英Eidos、「トゥームレイダー」最新作を発表
「Lara Croft Tomb Raider: The Angel of Darkness」

3月20日発表(現地時間)

会場:London Pacha

 英Eidos Interactiveは現地時間の3月20日、ロンドンビクトリア駅向かいにある大型クラブPacha Londonにて、「Tomb Raider」最新作の発表会を開催した。会場にはヨーロッパ勢を中心に全世界のプレスが集まり、通算2,000万本以上を売り上げたヨーロッパトップセラーシリーズ最新作の出来映えに熱い注目が集められていた。

さらに細身になった新バージョンのLara Croft。グラフィックエンジンは6作目にしてついに新しくなった。なお、掲載画面はすべてPS2版だ
 今回の発表会で何より驚かされたのは、ヨーロッパ市場における「Tomb Raider」シリーズ、およびヒロインLara Croftに対する期待度の大きさ。それを言葉で説明するのはやや難しいが、単純に歓声の大きさでいえば、E3やスペースワールドで任天堂の宮本茂氏が新作を発表するのに匹敵するほどで、彼らがいかに新作を待ち望んでいたのかということが肌で実感できた。

 発表会ではまず最初に映画「Tomb Raider」に出演した俳優クレス・バーリー氏が登場。Lara Croftを演じたアンジェリーナ・ジョリーとの競演についてさりげなく触れつつ、映画の元となったゲーム「Tomb Raider」シリーズについて、通算2,800万本の売り上げがあったこと、それによって2億4,000時間もの時間がプレイに費やされた計算になるといったこと挙げ、いかに第1世代シリーズが全世界で成功し、かつヒットしたかについて紹介した。

 続いて、第2世代となる新シリーズの正式タイトルを「Lara Croft Tomb Raider: The Angel of Darkness」と発表。その後、ムービーが上映された。前半は開発元Core Designのオペレーションディレクター(日本で言う開発本部長)エイドリアン・スミス氏以下、開発スタッフの紹介がメイン。次に流されたムービーでようやくLara Croftが登場した。映像はすべてPS2版で、彼女の持ち味である翔ぶような跳躍シーンに加え、腰をかがめてそろそろと歩いたり、侵入者を後ろから羽交い締めにして倒したりと動きの柔らかさが印象的な内容だった。グラフィックのクオリティはまずまずで、磨き込みはこれからといった印象。

 恒例の大喝采のあと、Core Design社長ジェレミー・ヒース・スミス氏(エイドリアン氏の実兄にあたる)が壇上に上った。ジェレミー氏は、「シリーズ通算2,800万本の売り上げがシリーズの質を表していると思う」と述べ、「'96年第1弾の発売以来、ヨーロッパ方面におけるプレイステーションの売り上げにも貢献できたと思う」と自信たっぷりに語った。続けて「『The Angel of Darkness』は供給プラットフォームをプレイステーション2のみに限定する」と宣言。場内は再び大きな拍手に包まれた。この拍手の意味はヨーロッパ市場がPS2を何より重視し、今もっとも期待を寄せているハードウェアということなのだろう。ここで若干補足しておくと、彼の発言はPC版は出さないという意味ではなく、コンシューマゲーム市場、つまりニンテンドーゲームキューブやXboxには出さないという意味。PC版はPS2版と同時に年末に発売される。

 そして彼の紹介で壇上に上がったのが、SCE Europe社長のクリス・ディアリング氏。満面の笑顔で挨拶し、「私は科学、技術、芸術の分野をすべて融合し、躍動させたものが(コンピュータ)ゲームだと考えているが、トゥームレイダーはまさにそういったゲームだった。同作が過去5年間でこれほど成長したのは実に素晴らしいことだが、これから先の10年間はこれまでとは別の世代のゲーマーに対する新しいチャレンジになるだろう」と発言。次作について「開発に携わっているCore Designのチームの方々にSCEのヨーロッパの代表として心から感謝を捧げたい。我々は次世代のユーザーに対する対応について考えているが、同作は彼女の表情などを含む、感情を表現できたことが大きいと思う。また映画の手法を取り入れ、映画のような世界でフルインタラクティブなエンターテインメントを堪能できることも大きい」と褒めちぎった。

 その後、新しいLara Croftの新しいモデル(通称“Real Lara”)が太鼓隊を従えつつ、フードを被った状態で客席後部より姿を現し、壇上でお披露目が行なわれた。いうまでもなく場内の興奮は最高潮に達したが、例によって彼女は一言もしゃべらず、インド舞踊のようなまか不思議なダンスをひとしきり披露したあと、ふたたびすし詰め状態の客席を、二丁拳銃をプレスに突きつけたりしながら去っていった。

Pacha Londonの模様。内部は完全に無秩序状態。掲載写真が白っぽいのは煙草の煙のせいだ。ドリンク類はフリーで、発表会開始時にはすでにデキあがっていたプレスも多数。クラブ奥の建物にはLara Croftが鮮やかにライトアップされていた。外は連日の小雨模様だったので気づいた人は少ないはず

左から順に俳優クレス・バーリー氏、Core Design社長ジェレミー・ヒース・スミス氏、SCE Europe社長クリス・ディアリング氏。三氏とも上機嫌だった

とんでもないところからReal Laraが出現し、場内は大混乱に。モデルはJill De Jongさん。国籍はオランダで、ヨーロッパではL'Orealヘアカラーのモデルなどで活躍しているようだ

 最後に今回発表されたストーリーを紹介しておくと、「Lara Croft Tomb Raider: The Angel of Darkness」は、シリーズ第4弾「Tomb Raider: The Last Revelation」以後の彼女の活躍を描く。彼女は最後の冒険後、陰鬱で気難しい人間へと変貌していた。そんな彼女のもとに届いた一通の手紙が彼女を救うきっかけとなる。差出人は心の友であるVon Croy。彼はとあるクライアントから14世紀の美術品を探す依頼を受け、彼女に協力を求めた。ところが彼女がパリに着いたときには、彼はすでに仕組まれた罠によってクライアント一味より殺害されていた……。

 Laraは今回の冒険でカーティス・トレントというかつての彼女自身のような冒険者に出会うという。事件解明の過程で、彼女本来の自我が再び目覚めるといった演出もあるのかどうか、そのあたりの詳しい事情はまだわからないが、ゲームの舞台はパリからスタートして、最終目的地はプラハになるということだ。物語の途中には、暗黒街の取引や魔術と血で染められたヨーロッパの闇の歴史にも触れることになるという。年末の発売が楽しみだ。

Tシャツのカラーが映画に合わせて黒になった。ズボンは、掲載画面のようにいつものスタイルのほか、ジーパンや迷彩ズボンなど多様なものが用意されているようだ

通路の角からこっそりのぞき込み、そろそろと近づいて後ろから侵入者を羽交い締めに。今回、操作方法などは一切明らかにされなかったが、前5作にはなかった彼女の人間らしいなめらかな動きが印象的だ

侵入者と対決するLara Croft。彼女の見事な跳躍、そして疾走、射撃など、ありとあらゆるアクションが繰り出される。彼女がヨーロッパ中で大人気なのは「強い女性だから」だそうだ

(C) 2002 Eidos Interactive. All rights reserved.

□Eidos Interactiveのホームページ
http://www.eidosinteractive.co.uk/
□「Tomb Raider」シリーズのホームページ
http://www.tombraider.com/

(2002年3月21日)

[Reported by 中村聖司]

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