★ GCゲームレビュー ★

百獣の王を目指して狩って喰ってコウビしろ!!
「動物番長」

  • ジャンル:アクション
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 価格:通常版6,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドー ゲームキューブ
  • 発売日:2002年2月21日(発売中)

【ゲームの内容】
 プレーヤーは最弱のドーブツ「ブタ」になり、モテモテになるために百獣の王になろうと志す。百獣の王になるには「ナマニク」を喰ってヤセイのチカラを取り戻し、コウビして強いコドモをつくり、さらに強いドーブツと戦っていかなければならない。百獣の王になるために、たくさん喰って、たくさんコウビしよう。



 欲望のままに生活し、己の野生を取り戻せ!

 「動物番長」は、極論すると「生きたいように生きる」ゲーム。「食欲・性欲・睡眠欲」という3大欲求に従って行動すれば、どんどん先に進むことができる。

 プレーヤーが最初に操るのは、ドーブツの中で最弱の「ブタ」。「ニク」が1枚しかなくチカラも弱い。そこで、他のドーブツを狩り、倒したドーブツから「ニク」を食いちぎって自分の栄養にして強く成長させていく。
 ドーブツの「ニク」には様々な色があり、色が濃くなればなるほど強くなっていく。初めは真っ白な「ニク」なので、自分より濃い色の「ニク」を持つドーブツを狩って、さらに強い「ブタ」になっていく。

スタートは「無色動物最初類」のブタ。ここから「百獣の王」を目指すサクセスストーリー
 また、「ニク」は初めは1枚だが、コウビしてコドモをつくることで「ニク」が1枚増える。「ニク」の数がそのまま強さになっており、2枚以上多いドーブツには歯が立たない。そこで、コウビしまくって「ニク」の多いコドモをつくらなければならない。
 ただし、1回コウビするためには1個の「ナマニク」が必要。「ナマニク」はナワバリにいるボスが持っているので、ボスを倒して「ナマニク」を喰わなければならない。

 コウビしてコドモができると、新たな種に「ヘンタイ」できる。種によって、「力が強い」、「動きが速い」、「ジャンプ力が高い」などの特性があり、戦い方やステージに合わせた「ヘンタイ」がポイントになる。「ヘンタイ」は、決まった色の「ニク」を食べることでも可能で、例えば黒や灰色の「ニク」ばかり食べると「灰獣類」に、黄色っぽい色だと「黄畜類」に「ヘンタイ」する。ボスと戦う前には黒い「ニク」を持つドーブツを狩って戦闘向きの「灰獣類」になっておくと、比較的楽に戦うことができる。

 加えて、空に浮かんでいる四角い「タイヨウ」が沈むと暗くなり、ドーブツたちは勝手に寝てしまう。すぐ側にボスがいようが、血で血を洗うような激戦を繰り広げていようが、ドーブツは本能に忠実なのでみんな寝る。起きると体力が全回し、何事もなかったかのように再び骨肉の争いが始まる。まさに自然界そのものといった感じだ。

セカイでは喰うか喰われるか。一瞬気を抜くとあっさりと喰われてクビだけ残ることに…… 「ニク」が多く、色が濃いほど強いドーブツに。強くなればボスでもわりと簡単に勝てるようになる 白い土地はヤセイを失った土地。もとのヤセイ溢れる土地に戻すのもプレーヤーの役目だ


 とにかく喰え!

 ゲームをスタートすると、「一獣の王」である「ブタ」から始まる。「ニク」を喰ってコウビして、新しいドーブツに「ヘンタイ」すると称号が「二獣の王」に変わる。さらに「ヘンタイ」すれば「三獣の王」、「四獣の王」……と増えていく。最終的に100種類のドーブツに「ヘンタイ」すれば「百獣の王」になり、最強のドーブツ「動物番長」と戦うことができるようになる。「動物番長」に勝って、自分が新しい「動物番長」としてセカイに君臨することが目的だ。

 「ヘンタイ」するには「ニク」が必要。そこでひたすらドーブツを狩って「ニク」を喰うのだが、手当たり次第に喰っていてはいけない。自分の「ヘンタイ」したいドーブツ、まだ「ヘンタイ」していないドーブツに必要な「ニク」をもつドーブツを狙って狩っていかなければならない。適当に喰っていてはなりたい「ドーブツ」に「ヘンタイ」することは難しいので、「次は赤翼類! その次に青爬類!!」となるドーブツを決めると「ニク」を食べやすくなる。

 ドーブツを狩る時は、「Lボタン」で標的を定め、「Aボタン」でタックルをして相手をじわじわと弱めていく。「ハラ」が0になると相手が倒れるので、再び標的を定めて「Aボタン」を押せば相手の「ニク」に噛み付く。噛み付いてスティックの下を押しっぱなしにすれば食いちぎれるが、相手が逃げそうな時や噛み付きが甘い時は、スティックを下に素早く数回いれると深く噛み直すことができる。

 ある程度強くなると、相手を倒さなくても噛み千切れる「立ち食い」や、同時に数枚の「ニク」を噛み千切ることもできるようになる。これらのテクニックは便利な反面、食べたい色以外の色の「ニク」もまとめて食べてしまう。そこで、いらない「ニク」は「うんこ」として排泄し、必要な色の「ニク」だけ残すこともできる。

 そのナワバリにどんな色のドーブツがいるのかをチェックし、計画的に「ニク」を食べることが重要だ。

ボスには「動物級長」、「動物園長」など「動物○○」という名前がついている ボスを倒せばナマニクが手に入る。ナマニクには「ナマニクキュウ」、「ナマボーン」などの種類がある ナマニクによってコウビが可能に! ナマニクによっては新たな能力を身に付ける場合もある


 「ナマニク」食べてLet'sコウビ!

ここが大人の社交場「こうび場」。ひとつの「コウビ場」には一度しか入れない
 「ヘンタイ」で種の違うドーブツになることはできるが、「ニク」の枚数は増やせない。そこで、より強く成長するためにはコウビしてコドモをつくることになる。

 初めはあんまりモテないため1匹のメスとしかコウビできないが、強くなれば多くのメスとコウビできるようになる。たくさんのメスとコウビすれば様々な種のコドモをつくることができる。しかし、認知できるのは1匹だけ。強い種や「ヘンタイ」するのが難しい種のコドモを選ぶと先の展開が楽になるので、できればそういったコドモを選びたい。

 コドモが生まれると親の亡骸のすぐそばからスタートする。目の前には「ニク」がなくなり顔だけとなった親が転がっており、コドモはそれを見ながら育つ。育つといっても数秒で大きくなり、ふたたび狩りができるようになる。

 成長したコドモは親よりも格段に強くなっており、今まで倒せなかったドーブツとも戦えるようになる。まさに「オレの屍を越えていけ」といった感じで、自分の息子に百獣の王になる夢と志を伝えていかなければならない。

 ちなみに、モテて多くのメスとコウビするためには、たくさんのドーブツに「ヘンタイ」し、百獣の王に近づけば近づくほどモテモテになる。さらに、「モテ カケラ」や「モテ ムシ」を食べれば一気にモテるようになる。

 この辺りが微妙に現実っぽく、メスにモテるためには自分の外見も内面も実力も地位も高めなければならない。「動物番長」でモテ方を勉強するのもいいかもしれない。

初めは1匹のメスにモテるのが精一杯だが、強くなれば何匹ものメスにモテモテに モテたメスの数によって生まれるコドモの種類が変わる。いっぱいモテていろんな種類を作ろう いっぱいモテても選べるコドモは一匹。初めは強そうな子供を選ぶといい


 何度もプレイして、いつかは「百獣の王」に!!

 「動物番長」は、一度プレイしただけではすべてを見ることができない。なぜならば、最後の目標は「百獣の王」になることだが、1プレイですべてのドーブツに「ヘンタイ」することはほぼ不可能だからだ。そこで、再び途中からゲームを始めることができるようになっている。

 クリアデータから再開すると、初めの種に戻ってしまう。しかし、鍛錬で鍛えることができる「コブ」や「ツノ」、「ハラ」、「ベロ」、「キズ」はそのまま伝えられる。「コブ」を鍛えるとハラの回復する速度が増し、「ツノ」は攻撃力が強化。「ハラ」はハラの最大値が増え、「ベロ」は「立ち食い」の力がアップ、「キズ」は防御力が増える。
 これらを遺伝で伝えることにより、生まれてくる次の世代もそのまた次の世代も、同じ種のドーブツでも一段と強くなっている。

 そして、「百獣の王」になれるまでひたすら狩って、食って、コウビする。何度もプレイしているとこの行程の繰り返しが楽しくなってくる。すべてのドーブツに「ヘンタイ」するというコレクター的な楽しみ方もできるが、個人的には「さて、今日も狩ってコウビするぞー!」といった習慣になっていた。

「ツノ」や「キズ」などは、生まれ変わってもずっと残る。同じ「ブタ」でもずっと強くなっている 目指すは「百獣の王」。まだヘンタイしていないドーブツを研究し、それを狙って「ニク」を集めよう


 子供の教育に最適!?

 「動物番長」は、ある意味ですごく現実的なゲームだ。すべてが四角の組み合わせによってシンプルに表現されているからあまり残酷には見えないが、狩りの時は狩った相手から血が噴出し(血も四角い)、主人公がダメージを受けると頭から血を流したり体がとれたりする。また、狩り終ったあとは首から上だけが横たわり、コウビの直後には親の死も見取ることになる。

 コミカルに描かれているが内容はまさに「野生の王国」であり、テレビなどでよく見かける「弱肉強食」や「自然の摂理」である。
 子供には「勧善懲悪」的なゲームをプレイさせるより、もしかしたら「動物番長」を遊ばせた方がいろいろな意味で教育にいいかもしれない。

飛び散る血しぶき、吹っ飛ぶ生首。スプラッターなはずだがどこかほのぼのしている 今は亡き父親の最期を看取る二代目。志を継いで、再び狩って、喰って、コウビする


ゲームでは、たびたび主人公のコメントが聞ける。無意味なものからヒントが隠されたものまで種類はたくさん
 「動物番長」をプレイして一番感銘を受けたのは、独特の「暴走っぷり」。ゲームはもちろん、パッケージや取扱説明書まで見事に飛ばしまくっている。詳しくは買ってから見ていただきたいが、説明書のかつてない「ストーリー紹介」や「主人公紹介」は必見。さらに、ゲーム中でステージクリア後に見られる主人公の独白も、かなりギリギリまでイッている。

 この「暴走っぷり」はこれまでに発売された任天堂のゲームにはあまりないテイストだが、「動物番長」で任天堂の凄さを垣間見た気がする。プレイする度に実感するのだが、「よく発売を許可したなぁ」とも思う反面、「任天堂だからできたんだろう」と思える。

 「動物番長」は様々な意味で「異色」なゲームだが、万人にオススメしたい。ただし、「動物番長」の専門用語(コウビやヘンタイなど)を私生活で活用すると、周りから白い目で見られることもあるので注意が必要だ。



(C)2002 Saru Brunei(Marigul) (C)2002 Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□製品情報
http://www.nintendo.co.jp/ngc/gdbj/index.html

(2002年3月8日)

[Reported by 田名網陽平]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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