★ PS2/DCゲームレビュー ★
前作からして「音ゲー」からの脱却が感じられたこの作品。ヘンテコかつカッコイイ不思議なノリがさらにパワーアップしている。ガイドバーなどが表示されず、キャラクタの身振りやサウンドを頼りにフレーズをリピートすることでゲームが進行。この繰り返しのおもしろさがこの作品としてのゲーム的要素といえよう。簡単にいうと、“輪唱”的楽しさであり、漫才の掛けあい的要素でもある。
さて、「スペースチャンネル5(スぺチャン)」が、「Part2」になってどのへんがどう変わったのかを中心にレビューをお届けしよう。
■ 踊らされている人々を救出せよ! 「Part2」になり、上下左右+A(「チュー」)、B(「ヘイ」)(PS2版ではそれぞれ×、○になる)の6つの入力によるダンスだけではなく、楽器演奏でバトルする「リズムバトル」も可能となった(デフォルトでは楽器演奏は↓入力)。楽器もギターだけでなく、ドラムなどいろいろ。さらに、歌も取り入れられた「歌詞付きバトル」も増えており、フレーズのタイミングが取りやすくなったり、楽曲のバリエーションも増えている。また、「タメ入力」もあり、フレーズにテンポを与えている。前作を知らない人のために説明すると、このゲームはいくつかのバトルの集合になっており、フレーズをうまく入力できれば「シチョーリツ」を稼ぐことができる。
「シューティングバトル」においては、敵に「チュー」、チキュウジン(助けるべき人々)のところで「ヘイ」をうまく入力することで、踊らされている人々を救出できる。成功すると、救出した人たちはうららの後ろについて一緒にパレードしてくれ、楽器パートが増えて曲がゴージャスになっていき、うららたちはハツラツと踊ってくれる。救助に失敗すると、なんとも情けない踊りになり、曲の展開もトーンダウンしてしまう。 また、「シューティングバトル」では、それまでに稼いだ「シチョーリツ」が「スター」に変換され、入力をミスするとスターが減っていき、無くなるとゲームオーバーになってしまう。とまあごたくを並べてもしょうがないほど、ゲームシステムに関してはとてもシンプルだ。要は、「お手本通りにリズムを取って入力」すればいい。特に序盤はフレーズのテンポもゆっくりで、覚えるのも入力するのもそんなに大変ではない。初めての人でもすぐに慣れてしまうだろう。
では、このゲームのどこがいいのか? というと、うららのキレのいいダンス、キャラクタや背景、そしてなにより重要なB.G.M.やS.E.などに共通する「ヘンテコなんだがカッコイイ」というテイストにある。曲のジャンルもバラバラで、登場人物もクールなやつやアツい女性など、キャラが立ちまくりなのだが、どこかに共通する「ほっとする味」を持っている。 オープニングからしてハリウッド映画のノリでスタートだし、途中にはドリフっぽいギャグテイストやギャグアニメテイストが感じられたり、スタッフのサービス精神がてんこ盛り。だが、それは決して押しつけがましいものではなく、さりげなく、したたかに取り込まれていてイヤミがないのだ。
今回の名バイプレイヤーとして挙げられるのは、あの「スペースマイケル」氏。「スペースチャンネル5」の局長に就任した彼は、本人からサンプリングしたというボイスと、あのダンスで見るものを魅了する。'80年代、マイケルにハマった世代は、ぜひあのムーンウォークを見てもらいたい。スペースマイケル氏が主役のステージでは、オリジナルながらもしっかり楽曲も「マイケルしてる」と思った。
■ 「ウララダンス」は小意気な仕掛け
ゲームモードは、「GAME」というストーリーを追って展開する基本のモードのほか、「ウララダンス」という問題集のようなモードが追加されている。これは、次々出されるフレーズをリピートし続け、どんどん課題をクリアしていくだけのシンプルなモードだが、絶え間なく出題されるフレーズに、やめ時の難しさを感じるほどテンポよく遊べるモードとなっている。 このゲーム、ポーズは任意のポイントでかけられるのだが、フレーズを忘れると大変なので、途中で中断が入らないように環境整備して、集中して遊ぶといいだろう。クリアした感想を言うと、ちょっと全体的には長いかな……と思うが、なかなかやり応えのあるモードだ。 なお、「GAME」や「ウララダンス」には、方向ボタン(1P)とA(○)、B(×)(2P)の入力を分担する2Pモードもある。こちらもぜひ遊んでみよう。ひとりでコントローラ2つを使って遊ぶことも可能だが……(笑)。
■ 「イショウベヤ」と「ナカマズカン」に注目 ほかにも、「イショウベヤ」と「ナカマズカン」というモードが用意されている。「イショウベヤ」は、まさにうららの衣装部屋。特定の条件をクリアするごとに、衣装をゲットし、ステージに関係なく好きな衣装でプレイできる。「ナカマズカン」は、「GAME」モードに登場したキャラクタのプロフィールが紹介されているモード。救出すれば図鑑入りしてくれるのだが、この「ナカマズカン」にはもうひとつの役割がある。プロフィール欄には、隠し入力(本来入力指示が出ていない場所に隠されている)」のポイントが書いてあったり、「イショウベヤ」に登場するアイテムのありかを教えてくれるものがあるのだ。 この隠し情報だけでなくとも、プロフィールのテキストはこれまたヘンテコなテイストにあふれており、必見の内容となっている。
同時発売されたPS2版とDC版だが、ハードウェアの特性による発色の違いやサウンドの特性の違いなど、重箱の角をつつけばいくつか違いがあるが、根本的には同じ仕様。個人的にはDC版の色味や映像の落ち着き具合の方が好みだが、微々たるものなので甲乙付けがたいともいえる。 このゲームは、クリアするまでにはそれほど時間がかからない(通してプレイしてもムービーをゆっくり見て1時間半ぐらい)。序盤こそまったりムードだが、後半に向けてボルテージがどんどん上がっていくので、多少馴れた人ならあっという間にクリアしてしまうだろう。が、ただ1回クリアしただけではこのゲームのすべては体験できない。ちゃんとやり込み要素が用意されているので、リピート性は高い。 「リズムバトル」で一部フレーズが聞き取りにくかったり、後半の「ダンスバトル」にせっかくの「スぺチャン」テイストをスポイルしているように感じられる仕掛けがあったりはしたが、ぞろぞろ皆と一緒にパレードしながら踊ったり、歌が入ったり、うららの冒険のスケールがバージョンアップしたことで「ミュージカル」という雰囲気はより一層高まったと感じられた。クリア後になんだかあったかい気持ちになれた一作だ。
(C)UGA/SEGA,2001
□セガのホームページ (2002年2月15日) [Reported by 佐伯憲司] |
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