SCEI、「PlayStation Meeting 2002」を開催
「バイオハザード Network」などネットワークタイトルをズラリ発表

2月13日 開催



「ファイナルファンタジーXI」の説明を行なったスクウェアのプロデューサーの田中弘道氏とディレクタの石井浩一氏
 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (SCEI) は、ネットワークを中心としたプレイステーション 2の今後の展開を発表した。2001年12月にSo-net、Yahoo! BB、その他ISPなどと矢継ぎ早に提携を発表したが、そのコンテンツに関してソフトウェアタイトルの発表や、大まかな利用金額まで公開された。

 プレゼンテーションを行なった久夛良木健SCEI代表取締役社長兼CEOは、昨年末にISPとの提携を発表したときと同様、思ったよりも早い時期にブロードバンド時代が到来したことを強調。今後、ブロードキャスト (放送) も含め動画、音楽などすべてブロードバンドに集約されていくとの持論を展開した。また、ブロードバンドをハードウェア的なインフラとして捉えるのではなく、コンテンツも含めどのように楽しめるのかを考えていかなければならないと説明。各種コンテンツの中でもゲームをその中心的な存在として、今後サービスを押し進めていきたいと発言した。

 ブロードバンドを推進するにあたり重要なのはコンテンツの配信だが、久夛良木氏は「すべてをブロードバンドで配信できるとは考えていない。まず最も進んだ配布方法としてソフトはパッケージ販売する。その上で常時接続のブロードバンド環境に接続し楽しんで欲しい」と現状の商習慣への配慮も含め、パッケージ販売と併用するビジネスプランを改めて強調した。

 ゲームそのものに関しては「これまでアクションとかRPG、シミュレーションといったジャンル分けを行なってきたが、今後はネットワークに接続し、どのような形態で楽しむのかといった分け方になるのではないか。たとえば、多人数参加型であるとか、通信対戦なのか、コミュニケーション型、データ追加型など、遊びのスタイルによって分類されることになる」とこれまでとゲームの遊びが変わることを示唆した。

ブロードバンドに接続することで新しいプラットフォームになると説明 以前、説明があったとおりパッケージ販売を行なった上でネットワークに接続してゲームを楽しむ形態をとる
ゲームのジャンル分けがこれまでとは変わると説明。これからはどのようなネットワーク形態にあった遊びを提案しているかでジャンル分けされるという 各種ネットワークリソースも順次リリースされる。これらのライブラリがリリースされれば、ネットワーク対応ゲームの開発が比較的楽になると思われる


 そしてスライドで現状開発中のタイトルがズラリと並んだ。アトラスの「多人数同時プレイRPG」やナムコの「ナムコスポーツオンライン」といった漠然としたタイトルも数多く含まれているが、フロム・ソフトウェアの「ARMORED CORE Σ」やすでに発表されているセガの「ぐるぐる温泉PS2」、「ハンドレッド・ソード」、SCEIの「アークザラッド オンライン」など、これでもかと数多くのタイトルが公開された。

 いくつかのタイトルに関しては各社開発者が登壇し簡単に解説。まず最初に登壇したのはスクウェアの「ファイナルファンタジーXI」の説明を行なったスクウェアのプロデューサーの田中弘道氏とディレクタの石井浩一氏。「気が早いので、ブロードバンドの概要がはっきりしていない2年前から開発をはじめ、βテストまでやっときた。ネットワークは生き物なので、DVDのような固定のメディアでは表現できずHDDがどうしても必要だった」とコメント。石井氏は「ネットワークゲームは単純にチャットだと思っていたが、やってみると『放課後、誰とあそぼうかな』といった子供の頃に感じたワクワク感を感じて感動した。遊ぶ世界を提供できることは嬉しい」と語った。現状の進行状況は詳しく説明されなかったが、「製品版のマスターに取りかかろうかな」といった進行状況だという。

 続いて登場したのがポリフォニーデジタルの山内一典氏。「GT オンライン (仮) 」についてコメントした。ネットワークゲームについては「ブロードバンド環境と言うことで贅沢にデータ転送することもできるが、PS2の画像描画機能を使えば少ないデータ転送でゲームをすることは可能。データの送出側の問題もあるので、少ないデータ転送で多くの人が一度に遊べるシステムを構築する」とコメントする一方で、「ゲームは制作に時間がかかるため、リアルタイムに更新することが難しい。でもネットワークを使えばリアルタイムに更新することが可能となる」と差分データ配信の可能性を示した。
 「GT」次回作の進捗については「年内に方向性を示せたらなと思う。DVD-ROMで発売し、差分をネットワークで配信することになるだろう。現在はどういったシステムにするのか、DVD-ROMとネットワークでのデータの振り分けはどうするのかと言ったことを検討している」とかなり具体的に説明した。

 SCEIからはプロデューサーの小林康秀氏が「みんなのGOLF オンライン」を発表。ゴルフゲームとネットワークは親和性が高いと説明し、「たとえば、チャットで相手にプレッシャーをかけるなど、ネットワークゲームになることでゴルフ本来の楽しみを実現できる」とコメント。現在発売中の「みんなのGOLF 3」で運営されている「みんGOL.net」でのノウハウをうまく生かして「敷居の低いネットワークゲームを目指す」と抱負を語った。

 カプコンの船水紀孝氏は「auto modellista」の説明を行なった。ネットワークで自分の作った車などを他のプレーヤーと交換するといったコミュニケーションやレース、観戦など、ネットワークを使った色々なたのし味方を提案するようだ。
 そしてここで電撃的に公開されたのが「バイオハザードNetwork」。詳しいことは明らかにされなかったが「バイオハザード3までのラクーンシティを舞台に脱出する市民の物語となっている」と解説した。

 最後に登場したのがコーエーのシブサワコウ氏。。コーエーが発表したのは多人数参加型RPG「信長の野望 オンラインRPG」。基本的にはこれまでの国盗りのシミュレーションではないという。このほかに公開されたこととしては戦闘システムが特徴的なことと、プレーヤーの行動により領主などの対応が変化していくという。発売は2002年の秋を予定している。

 このほかにもムービーでいくつかのタイトルが発表されている。ナムコの「プロジェクト・ビーナス (仮)」は人類の最後の100日間を描いた物語。画面を見た感じでは「7(セブン) ~モールモースの騎兵隊~」の雰囲気に近いシミュレーションのようだ。また、「3Dフライトシミュレーション (仮) 」は機体やミッションをネットワーク配信するという。コナミは実況シリーズをはじめとしたスポーツゲーム、そして音楽ゲームをネットワーク化していくという。

【開発中のネットワーク対応ソフト】
SCEIのネットワーク対応ゲームとしては大きな目玉となる「みんなのGOLFオンライン」。人が打つときにチャットでプレッシャーをかけることもできるかもしれない……ケンカにならないようマナーを守った、より現実に近いゲームプレイが求められるかも
ポリフォニーデジタルのプレジデント山内一典氏。「GT オンライン (仮) 」はDVD-ROMで販売し、差分をネットワークで提供するという。今年中に方向性を示すことができればとコメント カプコンの船水紀孝氏。「auto modellista」と電撃的に「バイオハザード Network」を発表 ナムコの「プロジェクト・ビーナス」。グラフィック的には「7(セブン) ~モールモースの騎兵隊~」に近かったのだが……


 各種ISPによると利用料金は1,000円前後が予定されている。これはブルードバンドアダプタを含めた金額だが、アダプタをレンタルするか、分割で購入するか、一括で購入するかで変わってくることになる。また、各ISPによって各種コースを設定する予定などで、実際に契約するときは各種検討しなければならないだろう。ちなみに3月中旬からは予約を開始するISPもある。

 このとき問題なのは、ISPによって遊べないゲームがあるかどうかだ。この件については現状では“ない”とは言えない。つまり、ISPがゲームメーカーと直接話を進めた場合、そのISPでしかゲームを楽しむことが出来なくなってしまう可能性があると言うことだ。SCEIの佐藤明氏は「ゲームメーカーはどこのISPでも遊べるようにする方向性でいる。『みんなのGOLF オンライン』はどのISPでも遊べるようにする」とコメントしているが、他メーカーに関しては全くないとは言い切れず、メーカー単位としている。一度ISPと契約し、プレイしたいゲームが他のISPでしか遊べないとなったときユーザーとしては契約し直すしかないわけで、なんとか解決して欲しい点ではある。
 ISPごとのサービスの違いで言えば、久夛良木氏は「ISPによってはハードディスクに各種ソフトをインストールして出荷することもあるかもしれない」という。ユーザーのそれぞれの志向にあったISPを慎重に選ぶことになりそうだ。

 具体的なスタートについてはソフトの完成次第としており、ゲームの開始は5月以降のスタートとなるようだ。ただし、データの差分をダウンロードするタイプの利用方法であれば4月中旬からスタート可能だという。

SCEIが提供するプレーヤー。ゲームを再生する「PS Player」、動画を再生することができる「RealPlayer for PS2」、ネットワーク経由で音楽を取り込み楽しむことができる「PlayStation Juke BOX」
3つのプレーヤー以外にもInstant Messenger、Mailが用意されている。これはクローズドではなく、携帯やPCとも相互にやり取り可能となっている これはあくまでもイメージ画像だが、近い将来にはこのようにチャンネルを切り替える感覚でコンテンツを分け隔てなく楽しめるようになるとしている



■ 今年もゾクゾクと新作タイトルがプレイステーション 2で発売!!

 基本的にメーカーに対する発表会であったため、すでに明らかにされてはいいるが出荷台数の発表、DVD-ROMの製造価格の引き下げ、ロイヤリティのディスカウント方式の変更など……。

 この中でユーザーにとって最も注目なのは、今年発表される予定のタイトルが一部公開されたこと。新規タイトルも数多く含めれ夏にはSCEI「XI爆発 (仮) 」、「ぼくのなつやすみ2」、ナムコ「太鼓の達人 (仮) 」、「ニンジャアサルト」、「テイルズ・オブ・デスティニー2 (仮) 」、EAS「ロード・オブ・ザ・リング/指輪物語」、ハドソン「桃太郎電鉄11」、タイトー「電車でGO! 旅情編」などなど……かなりのタイトルが発表となっている。

 正確な発売日はわからないが、色々楽しみなタイトルがズラリ勢揃いしていて、今から楽しみだ。

【プレイステーション 2用2002年発売予定タイトル】


□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□関連情報
【2月13日】SCEI、ゲームダウンロードや音楽配信を行なう「PlayStation BB」発表
@nifty、BIGLOBEなど国内大手ISPがPS2用接続サービスで提携 (INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0213/ps.htm
【2月13日】SCEIとBIGLOBE、PS2ブロードバンドサービスの提携で基本合意
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020213/biglobe.htm

(2002年2月13日)

[Reported by 船津稔]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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