NVIDIA、GeForce4ファミリー発表
「GeForce4はXboxをもしのぐ」

2月6日発表

 2002年2月6日、NVIDIAはGeForce4 GPUファミリーを発表した。昨年2月に発表されたGeForce3シリーズは、DirectX 8.0のDirect3Dに対応し、3Dコンピュータグラフィックスにリアルタイム・フォトリアリティ(写真品質)時代をもたらす新世代GPUとして脚光を浴びたことはまだ記憶に新しい。

 昨年秋にはマイナーチェンジ版であるGeForce2/3Titaniumシリーズが発表されたが、今回のGeForce4は型式番号に+1されていることからもわかるように、意欲的なモデルチェンジと考えて良さそうだ。発表会の模様については僚誌PC Watchのレポートを参照いただきたい。


■ 3タイプあるGeForce4

NVIDIAプロダクトラインマネージャのブリン・ヤン氏は自らのプレゼンテーションの中で「GeForce4はXboxをも凌ぐ」と強調。Xboxも自社チップ搭載機とはいえ、国内未発売の最新ゲーム機を引き合いに出すとはなかなか大胆な発言
 今回発表されたGeForce4ファミリーは、GeForce4 Ti、GeForce4 MX、GeForce4 Goの3タイプにわかれている。詳細は表にまとめたので参照いただきたい。以下、それぞれどのようなものか簡単に解説しよう。

●GeForce4 Ti

 今回発表されたGeForce4の本命製品ともいうべきものがGeForce4 Tiだ。開発コードネームがNV25だった事からもわかるように、NV2x系すなわちGeForce3の直系であるということがおのずと知れる。

 GeForce4 Tiはその動作クロックとメモリクロックの違いからランク付けがなされており上位モデルから「GeForce4 Ti 4600」「GeForce4 Ti 4400」「GeForce4 Ti 4200」と命名されている。

 GPUコアは新設計となり、GeForce3で採用されていたグラフィックスエンジン「nfiniteFX」はリビジョンが上がり、GeForce4では「nfiniteFX II」となった。併せてフルシーン・アンチ・エリアシング(FSAA)処理用に「Accuview Antialiasing」と特別に名付けられたエンジンを新しく搭載している。

 また、ビデオメモリとGPUを結ぶバスには「Lightspeed Memory Architecture II」が採用されている。これもGeForce3で採用されていたバス技術「Lightspeed Memory Architecture」にキャッシュサブシステムを統合してより広帯域を実現させたものだ。

 そして、これまでGeForce2MXの特権的な機能であったマルチディスプレイ機能「TwinView」機能に相当する機能が、ついにGeForce4 Tiにおいて採用されることとなった。なお、名前はTwinView機能ではなく、今回GeForce4ファミリへの実装にあたり、機能面でのフレキシビリティを強化したことにより「nView」という新名称が与えられている。

●GeForce4 MX

 GeForce4 MXはメインストリーム向けGPUで、グレード的にはGeForce2MXの後継ということになる。GeForce4 MXも、その動作クロック、メモリクロックの差異で「GeForce4 MX 460」「GeForce4 MX 440」「GeForce4 MX 420」という、3つのグレードに分かれて製品化される。

 GPUコアは新設計でレンダリングパイプラインの強化がなされてはいるものの、nfiniteFX系のエンジンの搭載は見送られている。よってプログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーのハードウェアサポートはなく、ソフトウェアレベルでのサポートにとどまる。

 しかし、FSAAエンジンの「Accuview Antialiasing」、マルチディスプレイ機能の「nView」はGeforce4 Tiと同等のものが実装されている。なお、「Lightspeed Memory ArchitectureII」も採用されているが、GeForce4 Tiのものよりもロジックが簡略化されている。

 ところで、このクラスは、GeForce“3MX”が欠番だったため、一気にGeForce2MXから4MXになってしまったわけだが、GeForce4MXはnfiniteFXエンジンを搭載していないため、表現力的にはGeForce3よりもGeForce2の方に近い。なお、GeForce4 MXの開発コードネームはNV17で、GeForce2系のNV15に近い番号が付けられていた。

●GeForce4 Go

 GeForce4 MXの省電力版に相当する。開発コードネームはNV17Mで、機能的にはGeForce4 MXと同等と考えて良さそうだ。

 GeForce4 GOオリジナルの機能としては省電力機能であるPowerMizer機能がある。これは簡単にいえば3Dグラフィックスをユーザーが意図的にカットするなどしてシステムの消費電力を節約できる機能のことだ。

 こちらは「GeForce4 GO 440」「GeForce4 GO 420」というラインナップになっている。性能的にはデスクトップPC用の初代GeForce2GTSを上回っており、ノートPCでもかなり高度な3Dゲームがプレイできるようになることを予感させる。

表1
製品名GeForce4 Ti4600GeForce4 Ti4400GeForce4 Ti 4200(※1)GeForce4 MX 460GeForce4 MX 440GeForce4 MX 420GeForce4 GO 440GeForce4 GO 420GeForce4 GO 410(※1)
コードネームNV25 UltraNV25NV25NV17 PRONV17 DDRNV17 SDRNV17MNV17MNV17M
コアクロック330MHz300MHz200MHz300MHz270MHz250MHz250MHz200MHz200MHz
メモリクロック330MHz DDR275MHz DDR200MHz DDR275MHz DDR200MHz DDR166MHz SDR250MHz DDR200MHz DDR(*2)200MHz SDR
グラフィクスコア256bit256bit256bit256bit256bit256bit256bit256bit256bit
ビデオメモリバンド幅128bit128bit128bit128bit128bit64bit128bit64bit64bit
メモリバンド幅(GB/Sec)10.48.86.48.86.42.78.03.21.6
フィルレート(Texels/sec)48億44億30億12億11億10億5億4億4億
描画速度(Triangles/sec)8,600万7,900万5,300万3,800万3,400万3,100万3,000万2,400万2,400万
レンダリングパイプライン数2x42x42x42x22x22x22x22x22x2
1クロックあたりのテクスセル処理数888444444
nfiniteFXII××××××
Lightspeed Memory Architecture
Accuview Antialiasing
nView
Vide Procesing Unit
Power Mizer××××××
参考価格(US$)39929919917914999NANANA
※1……筆者推測
※2……バス幅が他GeForce4ファミリーの半分の64ビットであるためにメモリバンド幅が低い


■ GeForce4によってなにができるのか

パッと見た感じ写真にしか見えない、GeForce4Tiのデモ映像
FSAAをかけないGeForce3よりもFSAAを有効にしたGeForce4Tiの方が高速
 GeForce4 MX/4GOは、型番こそ「4」だが、実質的にはGeForce2 MXの高速高性能版といっていいだろう。PCゲームユーザーにとっての本命はやはりGeForce4 Tiということになる。それでは、GeForce4 Tiは我々ゲームユーザーに何をもたらすのだろうか。

 まず期待されるのがPCグラフィックス基準の底上げ現象だろう。PCのハードウェア性能はあらゆる家庭用ゲーム機よりも上を行くはずなのに、登場してくるゲームグラフィクスのレベルは、家庭用ゲーム機に及ばない。これはなぜか。

 それはPCのハードウェア仕様が非常にばらつきがあるためだ。ゲームベンダ側は多くのユーザーにプレイしてもらうために、どうしてもその時代時代の標準レベルに合わせなければならないというジレンマがある。家庭用ゲーム機はハード仕様が同一なので、そのポテンシャルを活かしきったものを見せることができる。

 GeForce3は、プログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーのハードウェアアクセラレーションに対応した最初のGPUで、確かにリアルタイム・フォトリアリティ品質のグラフィックスの時代を切り開いたが、それを体験できるユーザーは高価なGeForce3を所有する一部のユーザーに限られていた。DirectX 8.0の発表にともない、プログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーの可能性が提示されてはいたが、実際にはこれを利用したビジュアルを体験できるユーザーはひどく限られていたのだ。

 GeForce4 TiシリーズのローエンドモデルGeForce4 Ti 4200はおそらく早い段階で2万円を割ると予想され、その結果かなり広い層のユーザーの元にnfiniteFX IIエンジンが行き届くことが期待される。

 そうなれば、多くのユーザーがプログラマブル・頂点&ピクセル・シェーダーを活用したビジュアルを楽しめるようになり、おのずと対応ゲームソフトも増えていくことだろう。この意味では、GeForce4 MXがnfiniteFXエンジンを搭載していなかったのはかなり残念だ。底上げをよりいっそう加速させるには、MXがnifniteFXエンジンを積むべきだった。

 製品発表会の席上などでたびたび強調される「NVIDIAの最終目標」は「全てのコンピュータに快適な3D環境を」だそうだが、そろそろ、このスローガンをその上である「全てのコンピュータにリアルタイム・フォトリアリティを」に「底上げ」していただけないだろうか。GeForce4 Tiがもたらす、新たな表現力については追ってレポートすることにする。

MSIより発売予定のGeForce4搭載カード「G4MX460-VT」

□NVIDIAのホームページ
http://www.nvidia.com/
□関連情報
【2月6日】米NVIDIAがGeForce4ファミリーの7製品を発表(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0206/nvidia.htm
【2月6日】NVIDIA、国内でもGeForce4シリーズを発表(PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2002/0206/nvidia2.htm

(2002年2月6日)

[Reported by トライゼット 西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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