★ PSゲームレビュー ★
シューティングゲームのおもしろさを再認識できる
「ZANAC×ZANAC」
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- ジャンル:シューティング
- 発売元:株式会社コンパイル
- 価格:4,980円
- プラットフォーム:プレイステーション
- 発売日:11月29日
【ゲームの内容】
かつてファミコンやMSX2などでリリースされたシューティング「ZANAC」のシリーズ最新作。'86年に発売された「ZANAC」を移植したモードと、新たな要素を加えてリニューアルした新作「ZANAC NEO」の2つのモードから選択して遊ぶことができる。
古き良き作品を進化させた「ZANAC NEO」だが、新システム「チャージショット」の爆風で広範囲の敵を巻き込んで起こす連爆が爽快。自機の種類も3機種用意されており、それぞれ機体性能やサブウェポンが異なる為、機体ごとの特性を活かした攻略が楽しめる。
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家庭用ハードといえば、「ファミコン」、「メガドライブ」、「PCエンジン」などのハードが主流だった'80年台後半。今からはとても想像がつかないことだが、シューティングゲームは一大ジャンルを形成し、数多くのタイトルが各社から発売されていた。「ゼビウス」、「R-TYPE」、「ファンタジーゾーン」といったアーケードのビッグタイトルが移植されるかどうかが、ハードの出荷台数に影響を与えていた。そんな時代を過ごした多くのゲーマーたちに鮮烈な印象を与え、この時代の家庭用シューティングの代表作品として挙げられるのが「ZANAC」、「アレスタ」などのコンパイル作品たちといえよう。
その後継者である「ZANAC NEO」は、パワーアップ形式やサブウェポンといった基本的なシステム面は前作にあたる「ZANAC」を踏襲しつつ、進化したハード上で「コンパイル節」ともいえる同社製シューティングの魅力を再び蘇らせることに成功している。
「ZANAC NEO」では多彩な敵キャラの攻撃パターンや、各面に待ち構える存在感あふれるボスキャラ、グラフィック、サウンドのすべてが新作。特にリミックスされたメインテーマは昔を知る人にとっては涙もののデキだ。
■ 8年の歳月を経て登場した正統後継者、「ZANAC NEO」
かつては花形のジャンルだったのに、どんどんユーザー離れが進んでしまったシューティングゲームは、今や一部マニアのプレイするものという烙印を押されがちだ。実際、高くなりすぎた難易度設定のせいで、プレイを始めてすぐに理不尽な攻撃に自機が散ってしまうことも多く、楽しさを感じる余地が少ない作品が多い。しかし、本作の序盤ステージはとても易しい。そこから少しずつ上がっていく難易度は、初心者から中級者以上のプレーヤーまでもが腕の上達を実感できるものになっている。
【武装の説明】 |
自機の攻撃手段としては、メインショットとサブウェポン、そして画面左下のゲージを溜めることで使用できる特殊兵器チャージショットとブラストモードが用意されている。
メインショットは常に自機の正面上方向に発射されるデフォルトの武器で、変更は不可能。パワーアップするには、黄色い玉(パワーチップ)を回収することが必要。これは、ときおり流れてくるアイテムボックスを破壊すると出現することがある。
特徴あふれる0~7番までの8種類のサブウェポンは「ZANAC」シリーズ最大のウリ。「ZANAC NEO」でも、数字が表記されたアイテムキャリアを撃って回収し、同じ番号をとり続けることでパワーアップしていく。方向キーの入力した向きに発射される「0番」や、自機を中心に回転し敵の攻撃を防いでくれる「3番」を筆頭に、これぞ「ZANAC」といった特徴ある武器群が用意されている。このサブウェポンの爽快感こそが「ZANAC」の持つ大きな魅力の柱であるといえるだろう。
「ZANAC NEO」では3種類の機体それぞれによってサブウェポンの効果が違うため、そのアイデアや演出を見るだけでも面白い。例えば機体の前方にバリアが付く「2番」でいうと、
- 1号機ナイフエッジ……敵の通常弾を吸収して自機のショットとして発射可能
- 2号機スカーフェイス……吸収した敵弾をチャージショットのエネルギーに変換
- 3号機ハンマーデューク……球体のバリアを展開。敵弾を喰らうと小さくなるが、時間と共に回復する。
というように、一見しただけではわからない様々な効果を持つものもある。これらの用途を考えつつ、ステージや状況に応じて的確に使い分けていけば、より楽に先に進めるようになるだろう。これが「ZANAC」攻略のカギであると共に他の作品にはない面白い部分でもあるのだ。
それぞれに特徴ある装備を挙げると、以下のような感じだ。2、3号機にはPCエンジンで同社が開発した「ガンヘッド」などをリメイクした武器も採用されている。
- 1号機
もっとも移動速度が速い高機動機体。サブウェポンの性能は旧「ZANAC」の自機に近く、使いこなすのには若干の慣れが必要。攻撃範囲の狭さを、自機のスピードとテクニックでどう補っていくかが腕の見せどころだ。
お勧めサブウェポン=7番 方向キーの左右で発射方向が変わる高速弾。使いこなすのが簡単な万能タイプ。
- 2号機
扱いやすいサブウェポンが多く、あらゆる局面で安定した力を発揮するバランス機体。初心者はまずこの機体でプレイしてみるといい。移動速度も標準的で非常に扱いやすい。
お勧めサブウェポン=3番 自機の周囲を回転するエネルギー体。防御するバリアの役目だけでなく、敵に接近した時は攻撃面でも利用可能。
- 3号機
高威力だが使いこなすのが非常に難しいサブウェポンを持つ、重装備機体。移動速度も遅く、上級者向けの機体といえる。また、特徴あるサブウェポンのギミックは一見の価値がある。
お勧めサブウェポン=4番 射程の短いリングレーザーを発射。左右や後ろの敵を狙い撃てるのが強み。
そして「チャージショット」は本作で追加された新要素。画面下のゲージが溜まると使用できるようになる強力な攻撃で、敵に当てると、その敵だけでなく周辺の敵をも巻き込み次々に連鎖爆発(連爆)を起こすことができる。この爆発には敵弾を消す効果がある(爆発に接触した敵弾のみ)ので、危険な場面での緊急回避という、いわゆる「ボンバー」のような(あくまで“ような"であるところがポイント)使い方ができる。だからこそ、ゲージの溜まりが比較的早いのがありがたい。また、このゲージは最大2本分まで溜めることができ、本数によって威力が変化する。
「チャージショット」の爆発に巻き込んだ敵(アイテムキャリアも含む)には倍率がかかって高得点が獲得できるので、スコアアタック時には欠かせない要素になるのは間違いない。
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チャージショット発射! 敵や敵弾の密集しているところにチャージショットを撃ち込めば、どんどん連爆が起こる。敵に大きなダメージを与えつつ弾も消せる一撃必殺の兵器 |
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ブラストモードは通常弾を消せるので、弾よけが苦手な人にはオススメ |
「ブラストモード」は、ゲージを消費し続けている間、敵の通常弾を打ち消せるようになる。「チャージショット」が一瞬威力を発揮してすぐ無くなるのに対して、持続するところが利点で、防御的な使い方が可能だ。
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また、パワーチップやアイテムを取ると、少しの間自機が無敵になるので、これを利用して敵の弾に突っ込んで消したり、敵に突っ込んでダメージを与えることができる。
昔に遊んで知っている人には常識かもしれないが、「ZANAC」シリーズは弾の発射数や連射速度、パワーアップ状態、ミスした数などによってランクが変動する。連射パッドを使用すると、中型機が数多く出現したり、弾の量も段違いに増えるので注意しよう。
本作は、爽快で楽しいシューティングだ。敵の配置や攻撃パターンを必死になって覚えなくても、「撃って避ける」シューティングのおもしろさを十分に堪能できる。ひたすら迫り来る敵をショットで破壊し、敵弾を避け、そしてボスを時間内に破壊するという、単純明快な楽しみ方ができる。
最近のアーケード作品に代表されるような「画面上を覆い尽くす弾幕」や「気が付いたら死んでいる敵のレーザー」は本作には存在しない。ミスする場合は、大抵危ないと気付いてからなので、この納得感が筆者の気に入っている点の1つ。
また、ゲーム中に一定の条件を満たすと出現する各種隠れキャラも健在。妖精やランダーの出現条件を知らずに遊んでいた筆者にとっては、本作でも思わぬところで遭遇できたことは、純粋に驚いたしうれしさがこみ上げてきた。
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「ZANAC」から継承される謎の隠しキャラクタ、妖精。その効果のほどは? |
ワイドショットになる条件は「ZANAC」と「ZANAC NEO」で異なるようだ |
■ 全バージョン完全収録に加えアレンジモードも! 昔懐かし「ZANAC」
'86年に発売された「ZANAC」を移植したモード。「ディスク版」と「ROM版」、そして今回新たに加えられたアレンジモードの「スペシャルバージョン」、得点を競うためのモード「スコアトライアル」をプレイすることができる。
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旧「ZANAC」で物足りなければ、激ムズのスペシャルバージョンも用意されている |
「スペシャルバージョン」は敵弾が多く、ミサイルが雨あられと降り注いでくる、まさに激ムズの難易度。またサブウェポンの内容にもちょっとしたアレンジが加えられており、例えば「7番」の武器は通常斜め前の角度にしか撃てないが、方向キーを斜め下に入れることでほぼ真横に撃てるうえ、R1ボタンで方向を固定できるようになっているなどの変更点がある。
初代「ZANAC」が発売されたのは今から15年も前のことなので、当然グラフィック、サウンド面での見劣りがするのは当然なのだが、そのスピード感や爽快さといったゲームの根本的な部分に関しては、現在でも十分通用すると感じた。
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旧「ZANAC」で物足りなければ、激ムズのスペシャルバージョンも用意されている |
■ 新旧2つの「ZANAC」
「ZANAC NEO」が「ZANAC」より進化したと思う点は、単に演出やグラフィックだけではない。
昔の「ZANAC」よりも、「ZANAC NEO」の方が全体的なゲームバランスが良くなり、より遊びやすくなっている。まず、ミスして次の自機が出現する時の無敵時間が長くなっているため、訳がわからないうちにたて続けにミスすることがない。また、ミスした直後は「チャージゲージ」が溜まった状態になるので、とりあえずチャージショットを撃てばパワーアップアイテムを取りにいけるのも大きい。
また、サブウェポンのレベルは別のサブウェポンに切り替えてもキープされており、元のサブウェポンに戻すとそのレベルに復活する。ミスしたときも、無くなるのは撃墜時のサブウェポンのレベルのみとなっており、いわゆる「復活」時の立て直しはしやすい。
こういった細かい気配りでストレスなく遊べる部分には、非常に好印象を受けた。
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ファミコン史上に残る不朽の名作が、今ここに蘇る |
昔からのファン、このタイトルに思い入れがある人ならばやって損はない内容だ。「ZANAC NEO」は、連爆などの新システムをさりげなく詰め込んだ、それでいて「ザナック」らしさ溢れる、正当な方向に進化した紛れもない「ZANAC」と感じる。奇抜な進化をせず、守って欲しいところをきっちり守ってくれていると思うので、もし往年のプレーヤーに「買い」かと聞かれたら「買い」だとオススメしたい。
そして本作は、実のところシューティングを知らない人にこそ「シューティングってこんなに面白いんだから」と、勧めたいタイトルなのだ。
(C)COMPILE 2001
□コンパイルのホームページ
http://www.compile.co.jp/
□製品情報
http://www.zanacxzanac.com/
□関連情報
【11月13日】コンパイル、PS用シューティング「ZANAC×ZANAC」インターネットスコアトライアル開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011113/compile.htm
(2001年11月21日)
[Reported by 河本真寿美]
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