★ PS2ゲームレビュー ★
■ 登場人物を一新し、前作とは全く別のストーリー 「2」と言うことで、前作と繋がったストーリーなのかと思う人も多いはず、筆者もそのクチだった。しかしながら、古ぼけたリゾートの町「サイレントヒル」が舞台という所しか共通点がなく、登場人物もストーリーも全く違うのである。前作のストーリーがきっちり完結しているので、新しいストーリーで始めた方が無理がない。これは当然の結果といえるだろう。そのため前作の予備知識無しに「2」を始められ、初めてのプレーヤーも問題なくストーリーを楽しめるわけだ。 主人公の「ジェイムス・サンダーランド」(以降、ジェイムス)は最愛の妻を亡くし、失意の中で無気力な生活を送っていた。そんな彼の元に一通の手紙が届く。宛名は「メアリー」。3年前に病死した妻の名前であった。手紙の内容は、2人の思い出の場所である「サイレントヒル」で待っているというもの。妻が死んだことを頭では理解しているジェイムスではあったが、彼は霧に包まれた町「サイレントヒル」に足を踏み入れる。というのがプロローグ部分である。ゲーム開始時には妻の待つ場所の見当は大まかにしかついておらず、サイレントヒルに足を踏み入れてから様々な場所を訪れ、クリーチャーに遭遇したりしながら、思い出の場所に近づいていくこととなる。 ストーリーを進めていくうちに、ジェイムスは様々な人物と出会うこととなる。その人物は謎に包まれており、これはストーリーを進めていく内におぼろげながらではあるがわかっていくこととなるだろう。
■ 前作のシステムをそのままに、様々にカスタマイズが可能なシステム このゲームは、3Dで表現されたフィールド上にいる主人公を操作し、クリーチャーとの戦闘や謎解きを行なう。これで一番気になるところは操作方法だろう。基本は、上で前進、下で後退といったキャラクタの向きに移動方向が固定されている状態。いわゆる「ラジコン操作」というものだ。時折、視点が変わってしまうため、画面ごとに左アナログスティック入力方向を切り替えるとなるとプレーヤーが混乱しやすくなるため、この手の3Dゲームでよく用いられている手法だ。ただし、この操作方法が苦手な人のために、方向ボタン入力に合わせてキャラクタの向きが変わる操作にも変更可能だ。プレイの取っつきに関わる重要な部分だけに、この変更は重要なポイントといえるだろう。 変更ができる部分は何も操作方法だけではない。クリーチャーとの戦闘が苦手な人もいれば、謎解きが難しくて解けないといった人もいるだろう。このような人のために、ゲームの難易度設定も細かなものになっている。ゲーム開始時に「ACTION LEVEL」と「RIDDLE LEVEL」を設定して、ゲーム全体の難易度を設定。前者はクリーチャーの強さなどといった戦闘に関わる難易度。後者は謎解きの難易度となっており、アクションとアドベンチャー部分の難易度を別個に設定できるのだ。これにより、戦闘のみ、謎解きのどちらかに重点を置いてゲームを楽しむこともできる。 さて、実際にゲームを始めたら、いよいよ舞台の“サイレントヒル”を探索することになる。その探索中、まずラジオを拾うことになるだろう。これは、ノイズが発生することでクリーチャーの接近を警告してくれる心強いもの。ラジオからノイズが聞こえたら、クリーチャーが近くにいるので、戦闘態勢を取るか、その場を走り抜けるかといった対処をとらなければならない。戦闘は、特定のボタンを押すことで手にした武器を構え、その状態でアクションボタンを押せば攻撃してくれる。武器によって威力や攻撃方法も変わり、ボタンを押した強さによって威力も変化する。序盤では角材で、後々、ハンドガンやショットガンといった銃器も登場するので、クリーチャーの強さなどに合わせて使い分けていくといいだろう。 視界を制限する「暗闇」を克服することも重要なポイント。暗闇に包まれた状態だと地図を見たり、アイテムの発見や回収が不可能となる。これを克服するため「ライト」を使い、前方の視界を確保する。光は探索の助けとなってくれる反面、クリーチャーたちに自分の居場所を教えるといったデメリットもあるので、ライトのON/OFFをうまく利用して敵を切り抜けるテクニックも必要となる。
■ 細かいところまで気を配り、圧倒的な存在感のあるグラフィック PS2という優れたプラットフォームことを考慮しても、グラフィックのクォリティは非常に高い。登場人物やクリーチャーのデキもさることながら、背景の作り込みに目を奪われる。壁などの落書きや汚れにいたる、細かい部分まで丁寧に作られており、ゲームの雰囲気を盛り上げてくれる。また、「霧」をうまく表現しており、最初はこの霧の表現に目を奪われるだろう。前方がよく見えず、徐々に物が姿を現すというところに違和感を感じないのだ。キャラクタの方へと目を向ければ、クリーチャーの不気味な動き、そして光沢のある肢体……と、前作を遙かに凌ぐ不気味さを持つ。また、人物やクリーチャーなどにライトを当てることで陰影がちゃんと付き、背後に長い影が伸びたりと細かい表現も怠っていない。 また、取り込んだ映像をそのまま流す、一般的なムービーのクォリティは言うまでもない。ただ、このムービーにも工夫が凝らしてあり、あたかもリアルタイムで表現しているかのような映像もあり、一見するとテレビドラマなどでよく使われている、デジタル画像を思わせる。ムービーの使用率もそれほど高くはないので、これによってプレイの流れをそがれることもない。
■ 安定した作りで、程良い恐怖を堪能しながら遊べる良作 本作は前作に比べると多少フィールドが狭まった感を受けるが、その分、マップなどのつながりを把握しやすく迷うということが少なくなった。円滑に探索を進められるので、個人的には嬉しい限り。歩いていると突然、人の叫び声などが響くなど、気を抜いているとものすごく驚かされることもある。ただ、シチュエーション的な恐怖を重視したためか、ビジュアル部分ではそれほど恐怖を感じることはなかった。前作ほどの破滅的なシチュエーションがなくなったのは残念ではあるが、かえってストーリー、ビジュアル、システムの全体的バランスがよく、非常に遊びやすくなっている。 気になるところといえば、戦闘が単調になるところ。アクション部分の難易度を上げることで、戦闘の緊張感が増すのでフォローできないこともない。が、もう少しクリーチャーの種類を増やしてもよかったのではないだろうか? と思った。クリーチャーとの戦闘に重きを置くゲームではないので、しかたないといえばそれまでだが。ちなみに謎解きの部分は結構骨太で、ヒントを見ない限りわからない謎も多い。難易度を上げれば、ヒントの内容もより難解になるので、やりごたえは十分ある。場合によっては、ヒントを探し出すのにも謎解きが必要になるということにもなる。このあたりは、難易度を調整して自分に合うものを選べばいいだろう。行き詰まりたくない人はノーマル以下でプレイすることをオススメする。 個人的には、大きなテレビで、部屋の電気を消し、ヘッドホンを使ってプレイすることをオススメしたい。全体的に暗めのゲームだけに、雰囲気を味わいたいなら明るい環境よりも遊びやすくなるし、ゲームの雰囲気も格段に増すはずだから……。
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□コナミのホームページ (2001年10月17日) [Reported by 渡辺洋二] |
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