★PS2ゲームレビュー★
フライトものと聞くと、複雑な操作系に画面上にギッシリ並ぶ計器類の見方など、ゲームに慣れるまでにたくさんのことを覚えなくてはならない……そんなイメージを持っている方もいるかと思う。しかしこの「スカイガンナー」は、コミカルなゲーム画面からも連想できるように、本格シミュレーション的なおもむきは薄い。初心者から上級者まで、自分のスタイルに合わせた多彩な遊び方が可能な、爽快感溢れる空戦シューティングだ。 ■ 簡単! 親切! アクロバティックな空戦が手軽に楽しめる痛快シューティング 本作をプレイして感じたのが“とにかく遊びやすく”という配慮が徹底されていることだ。実際はほぼすべてのボタンを使用することになるのだが、わかりやすいゲームシステムと親切な作りも手伝って、直感的に機体を動かせるようになっている。操作感覚や本作独自の要素を理解するため、チュートリアルを一度はプレイすることをオススメするが、フライトはちょっと……という方でもチュートリアルを終えるころには自在に機体を繰れるようになっているはずだ。 遊びやすさの要因と思われる要素としては、まずは敵機の捕捉に関して。「スカイガンナー」にはレーダーの類が一切ない。標的が常に画面中央に位置するように視点が移動するので、敵機を見失って迷うことがないため、敵との戦闘に集中することができる。ターゲットの切り替えもボタンひとつで行なえるため、敵の変更も自由自在だ。ミッションの成否に関わるような危険な敵が出現したときは、メッセージとともに警報で知らせてくれる。このとき△を押せばその敵を即座にターゲッティングするので、素早く行動に移れる。
また、撃墜されても10秒の間に方向キーとボタンが規定回数入力されれば復活できるので、一発死することがないのもうれしい限り。この回復は、「あと○回」と入力回数が視覚的に表示されるため、レバガチャ(方向キーをぐるぐると素早く何回も回す)にも気合が入るというもの。ただし、同ミッション内で何度も撃墜されると20回が30回、50回と次第に増えていく。さすがに200回近くにもなると厳しいものがあるが、3、4回撃ち落されたところでまず大丈夫。さらに、敵戦艦や地形にぶつかっても弾かれるだけなので、強引に攻めても自爆の危険はない。
こうした要素から、安心して(というのも変だが)アクロバティックな空戦を満喫できる作品になっている。これだけだと、まるでゲームオーバーになりようがない感じもするが、もちろんそんなことはない。パワースライド終了時には僅かにスキができるし、撃墜も回を重ねれば当然回復も難しくなってくる。他の機体を護衛するミッションや、制限時間が設定されていることもあり、そんなときは効率よく攻撃しないと一瞬で終わってしまう。それに、あまりに時間をかけすぎた場合も燃料切れで強制墜落する。
ストーリーは3人のガンナーと、天才的犯罪者ヴァントルとのドタバタ劇で進行する。プーレという無邪気なしもべ(敵兵はすべて彼ら)を率いて、あの手この手でさまざまなものを盗み出そうとするヴァントルをやり込めるミッションが主となる。一つのミッション内でも複数回「○○せよ!」というふうにその都度目的が提示され、この成否如何で展開が変化することもある。最初に選べるキャラクタはファム(やさしい)とシエル(ふつう)の2人。
■ オプションウェポンとEXアクションを使いこなせ! 基本操作は上昇・下降、ブースト、旋回(上級者向けのエキスパートモードではヨー+ロール)で移動、機銃とオプションウェポンで攻撃を行なう。これに前述のパワースライド、機体固有の特殊動作であるEXアクションが加わった形になる。 オプションウェポンは、使用回数に制限のあるロックオン武装。ファムとシエルの場合だと花火ミサイル、クロスミサイル、猟犬ミサイルの3種類が使用でき、これらを敵によって使い分けていくことが戦闘の基本テクニックになる。ここで、簡単に使い方を説明しておこう。 花火ミサイルは大きな爆風が発生して周りの敵を巻き込むので、戦車が密集した場所や、編隊を組んだ敵機に高い効果がある。砲台をゴッテリ装備した戦艦などは、まずこれで細かい武装をつぶしてから本体へ攻撃するのがセオリー。 着弾すると巨大な十字架が敵に突き刺さるのがクロスミサイル。これだけでは効果がないが、ここに機銃を撃ち込むことで爆発し、大ダメージを与える必殺の武器。発射後も接近する必要があるが、耐久力のある敵には比類なき効果を発揮する。 最後の猟犬ミサイルは、一風変わった使い方をする面白い武器だ。攻撃力はないものの、敵の行動を封じることができる。砲台に撃てば砲撃が止み、戦闘艇に撃ては動きを遅くすることができる。基本的には余りがちで、ピンポイントで必要となる場面がいくつかある。
なお、オプションウェポンは最大3カ所(機体によっては4カ所)まで同時ロックオンが可能。同じ箇所にロックを重ねれば攻撃力が加速度的にアップする。これが最大の効果を発揮するのがクロスミサイルで、ボス級の敵に対しては凄まじいダメージを与える必殺の武器になる。
EXアクションは、機体ごとにまったく異なる個性的な特殊動作。ファム機・ブランジェは、即座にロックした敵の方向に機首を向けるアクティブターン。敵を追って旋回する必要がないので、効率よく敵を倒していけるので非常に使いやすい。シエル機・アヴニールのEXアクションは空中で停滞するスチームブレーキ。背後から迫る敵機やミサイルをやり過ごせるだけでなく、このとき機銃を撃てば強力なヘビーバレットになる。クロスミサイルに劣らない威力を持つので、固い敵には積極的に活用しよう。猟犬ミサイルとの併用が効果的だ。
この2つに大きく関係しているのが画面左にあるゲージだ。オプションウェポンとEXアクションを使用するとゲージが上昇し、時間経過で少しずつ減少する。もしこれが上限に達するとオーバーヒートしてしまい、一定時間オプションウェポン、EXアクション、さらにブーストも使えなくなる。集中的に攻撃したいときなどはやむを得ないが、いざというときにミサイルが撃てない、なんてことのないようにゲージ量には常に気を配りたい。特にEXアクションと花火ミサイルはゲージ増加量が多いので注意が必要だ。
■ チェインとヒットでひたすら賞金を稼げ! 冒頭では「スカイガンナー」の遊びやすさを強調したが、だからといって底が浅いというわけではない。点数システムは実にマニアックで、賞金(スコア)を稼ぐことを考えると、とたんに頭を使うゲームに変貌する。 賞金を稼ぐ際に大元となるのが、敵を倒すたびに獲得できるボーナスカウント。敵破壊時には「C+1」といった表示とともにカウントが上昇していく。これを溜めると、敵にかかる倍率がどんどん上がっていくのだ。しかし時間とともに減少していくので、間断なく敵を倒さないと高倍率を維持するのは難しい。 これを前提とした上での、稼ぎの2大要素がチェインとヒットである。チェインとは敵の爆風で隣接した砲台や戦車などを倒すと得られる連鎖ボーナス。戦車が5台並んでいる状態なら、端を破壊すれば5チェイン、中央ならば3チェイン×2、といった具合だ。連鎖数に比例して賞金は2倍ずつ増えていくので、単純にチェイン数が多いほど賞金もどんどん上がっていく。また、チェインダメージしか受け付けない敵やクリア条件に関わるミッションも存在するので、稼ぎプレイのみならず、ゲームの進行上でも重要になる。
ヒットは、1回の攻撃で複数の敵を同時に倒したときに得られるボーナス。これで倒した敵は、ヒット数がそのまま倍率になる。5ヒットならば単純に5倍だ。ヒット狙いに使用するのは花火ミサイル。もともと使い勝手がいいオプションウェポンなので、賞金稼ぎを意識しているときは使い過ぎないように気をつけたい。
これらを駆使して基本倍率を高め、チェインやヒットで基本点の高い敵を倒すと、驚くべきほど賞金に差が出る。何度でも復活する砲台や敵機もいるので、時間制限のないミッションでは燃料切れギリギリまで稼ぐ必要が出てくるだろう。ほかにも、ミッション内のイベントによっても多額の賞金が得られる。
■ クリアしてからが本番! 何度も遊ぶことを前提に作られたゲーム ステージ構成は全5ミッションと比較的短く、デモをすべてスキップすれば1時間もかからずに1プレイは終了する。これは短いというよりもむしろ濃密、時間のないときでも気軽に遊べる利点と捉えたい。機体によってミッション内容は当然変わってくるし、ミッション内にも細かい分岐イベントが盛り込まれているので、ごく自然に上達志向、挑戦意欲が湧き上がってくる。特定の条件を満たすと新たな機体やゲームモードも出現するので、ベストスコアを目指して何度も遊ぼうという気にさせてくれるのだ。ストーリー性、世界観も重視した作りではあるが、それ以上にゲームそのものの面白さに注目してほしい作品である。ミッション内容や攻略手順をひととおり覚え、クリアしてからこそが本当の「スカイガンナー」が始まるといっても差し支えあるまい。
余談だが、開発者も仕事以上の熱意で、このゲームを相当やり込んだようである。細かい言明は避けるが、プレイを重ねればおのずとそれがわかる仕組みになっている。セピアカラーに彩られた、ちょっぴりノスタルジックな大空の物語を、秋の夜長に楽しんでみてはいかがだろうか。 (C)2001 Sony Computer Entertainment Inc.
□SCEIのホームページ (2001年10月16日)
[Reported by 氏家雅紀] |
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