|
★GCゲームレビュー★
■ さまざまな楽しみ方ができる盛りだくさんな内容 『スーパーモンキーボール』は、その名のとおり“おサル”の入ったボールを転がして遊ぶゲームである。だが、その魅力とゲーム性は一言では語れない。なぜかといえば、ボールを使う複数のゲームが一体化し、バラエティ豊かなパーティーゲームとなっているからだ。モードは3種類あり、メインゲーム、パーティーゲーム、ミニゲームとそれぞれ違った形式とおもしろさを持っている。ひとりでストイックに極めていくタイプのものもあれば、多人数で深く考えずワイワイ楽しめるものもある。ボールを転がして遊ぶ、というテーマから生み出されるさまざまな要素を、ひとつに詰め込んでパックにしたのがこのゲームの本質だ。ひとりでも多人数でも楽しめる、盛りだくさんでお買得なゲームといえるだろう。 ■ ストイックで奥の深いメインゲーム メインゲームは、アーケードで発売された『モンキーボール』をベースに制作されている。おサルの入ったボールを転がしてゴールへ導いていくという内容で、操作はコントロールスティックのみで行なう。コースは初級、中級、上級と分かれているが、ベースがアーケードだけにその難度は高めなため、まずは初級から始めたほうが無難だろう。コースは立体的になっており、コースの傾斜がボールの転がり方に反映する。そのため微妙なスティックさばきが要求されるのだ。うまく転がさないと、コースからはずれて奈落の底に落下していってしまう。アーケードで慣れたプレーヤーでも、ゲームキューブのコントロールスティックの扱いには多少の練習が必要だろう。 コースは最初のうちは簡単だが、先に進むに連れてバンパーなどの障害物や、傾いたり移動したりする床など、さまざまなトラップがプレーヤーに襲いかかってくる。しかし、プレーヤー側にも立体地形ならではのショートカットルートや、ワープする出口などの対抗手段(?)が用意されている。進めば進むほど、開発者とプレーヤーとの頭脳戦の様相が濃くなっていき、コースレイアウトは芸術性すら感じさせるデザインになっていく。そのゲーム性は妥協のないもので、ある程度テクニックがないと面をクリアしていくことはできず、必ずどこかのフロアでつまずいてしまうことになる。 人によっては、「こんなフロア自分には無理だ」と感じてしまうかもしれない。だが、逆に言えば一度クリアできたフロアは、再チャレンジでもほぼ確実にクリアできるのが、このゲームの優れたところだ。一度体験したステージはプラクティスモードでフロアセレクトが可能になるため、何度も練習することができる。練習時に一度でもクリアできれば、本番でもかなりの高確率でクリアできるようになるはずだ。自分には無理だと思えたフロアが、楽にクリアできるようになったときの達成感はなんともいえないものがある。 また、メインゲームをプレイしていくとプレイポイントが増えていくのも重要だ。プレイポイントをためることによって、ミニゲームを買うことができるのだ。ミニゲームを楽しむためには、ある程度メインゲームを遊ばなければならないが、さほどのプレイ回数は必要としないので安心してほしい。それでも早くミニゲームを出したいプレーヤーには、各所にあるワープできる出口(緑色及び赤色)に入るパターンを作ることをお薦めする。プレイポイントは獲得した点数によってたまっていくので、ワープして高得点を稼ぐとプレイポイントも一気にたまるというわけだ。
■ ワイワイ遊べるパーティーゲーム
パーティーゲームは、開放的かつ爽快なアクションを多人数で楽しむことができるモードだ。ゲームには「モンキーレース」、「モンキーファイト」、「モンキーターゲット」があり、どれも4人まで同時に遊ぶことができる。メインゲームがストイックに突き詰めていくゲーム性なのに比べ、パーティーゲームはお手軽に爽快感が味わえるところが好対照となっている。
この中でもっともお薦めなのがモンキーレースだ。火花を散らして走るレースシーンは非常にスピード感があり、メインゲームにはない爽快感を生み出している。バンクした立体的なコースをはみださないよう、ボールをコントロールして走るのが基本ルール。コース上にはボックスがあり、これを取るとアイテムを取得できる。アイテムはボタンで使用するが、これがよく考えて作られているのだ。
アイテムには前方に投げつけるタイプとして、爆弾や相手のボールを操作しにくい多角形にしてしまうものがある。これらのアイテムは、後方のプレーヤーにとって有利になっている。また、加速できるアイテムがあるが、これは遅いプレーヤーに多く出現する。必然的に、アイテムによって先頭が不利になり追い上げるプレーヤーが有利になっているのだ。アイテムは設定変更で使えないようにすることもできるが、アイテムありにしたほうがバトルはより熱く盛り上がる。このあたりのバランス感覚は、高いクオリティのドライブゲームを作ってきたアミューズメントヴィジョンのセンスがかいま見えるところだ。
モンキーファイトはパンチを出し合い、プレーヤーをフィールド外にたたき落とすアクション。制限時間内に相手を落とした回数の多いプレーヤーが勝利を得る。アイテムも存在し、取得することでパンチが伸びたり威力が上がったり、ぐるぐる回したりすることができる。戦いは絶え間なくせわしなく進んでいくので、短い時間で盛り上がるには適したゲームだ。
モンキーターゲットは、おサルを転がしてジャンプさせ、ボールを開いて羽を広げ空中を飛ばして狙った場所に着地させていくゲーム。ゴルフのニアピンコンテストを連続しておこなっていくような感じだが、空中でレバーを操作したりアイテムを使ったりできる独特のゲーム性になっている。パーティーゲームの中ではもっとも展開が遅いので、まったりと時間潰しをしたいときにはいいだろう。 ■ 本格的なテーブルゲームが集まったミニゲーム
ミニゲームは前述したように、メインゲームをプレイしてプレイポイントをためないと買うことができない。しかしおまけとは思えないほど完成度が高いので、ぜひとも出して遊んでみてほしい。3つのゲームはビリヤード、ボウリング、パターゴルフを題材にしているが、それぞれ単独で長く遊べるものばかりだ。あえて言えばボールの中におサルが入っている必要はないのだが、おまけ要素としてこれだけクオリティが高いものが入っているのはユーザーとしてはうれしいことだろう。
ビリヤードでは本格的なナインボールを遊ぶことができる。コントロールスティックで打つ方向を決めながら、ボタンでショットするシンプル操作。余計なフューチャーはなく、極めて本物のビリヤードに近い内容となっている。CPUも程々の強さなので、ひとりでも楽しめる。ボールの中にはやはりおサルが入っていて、大人のムードの音楽とのミスマッチが不思議な感じだ。
ボウリングは、アナログ感覚が生かされた操作性に特徴がある。投げる方向は左右に移動している矢印に合わせて行なうため、なかなか正確に決定するのが難しい。そこで方向決定後にスピンをかけて、ボールの進む方向を修正することになる。ところが、スピンもボタンを押した長さに比例するため、きっちり正確に投げるのは難しいというわけだ。
この操作は、最初にプレイしたときに違和感を感じるかもしれない。だが、この操作感覚こそが意外にも本物のボウリングの感覚に近いと感じた。プロでもない限りは思ったところに投げるのは難しいわけで、この繊細な操作感がむしろ魅力になっているといえるだろう。操作に慣れてくると上達した感覚が得られるのもよい。
パターゴルフは、おサルの入ったボールを転がして何打でホールへ入れられるか競うというものだ。コースは自由な発想で作られていて、実際のゴルフではあり得ない奇抜なコースが続出する。ここでは打つ方向と強さがほぼ正確に決められるので、ホールごとに決まった攻略パターンを作っていくことができる。パットするときはボールの中のおサルがパターを振る動作をすると、ボールが勝手に転がっていく。ボールの中におサルが入っているというのは、やはりどこか不思議な感じだ。 ■ おサルとバナナが世界観を統一する ここまで紹介してきたように、『スーパーモンキーボール』は内容がまったく違ったゲームの集合体である。これだけ違うゲーム性をまとめることができたのは、ひとえにおサル、ボール、そしてバナナというキーワードの存在。 ボールにおサルが入ることによって無機質な球体がキャラクタと化し、主人公となって冒険したり対戦したりすることが違和感なく行なえる。バナナはアイテムを取ったり、皮を踏んで滑るという効果を自然に演出する。そして、おサルが入ったボールを転がすという共通点によって、さまざまなゲームをひとつにくくることができる。プレーヤーはさほど違和感を感じることもなく、さまざまなゲームを楽しむことができるというわけだ。CMにもあるとおり、おサル、ボール、バナナというキーワードこそが『スーパーモンキーボール』を成り立たせているのである。 (C)AMUSEMENT VISION,LTD./SEGA.2001
□セガのホームページ (2001年9月27日)
[Reported by 石井ぜんじ] |
I |
|
GAME Watchホームページ |