価格：7,800円

　株式会社カプコンは、Sierra Studiosが先月欧米で発売を開始したネットワークRPG「アルカナム(原題：Arcanum of Steamworks & Magick Obscura)」を9月28日に発売する。販売形態は日本語マニュアル付き英語版で、対応OSはWindows 95/98/Me/2000。価格は7,800円となっている。

　「アルカナム」は、19世紀の産業革命時代を彷彿とさせる魔術と機械が混在するファンタジー世界をモチーフにした本格派RPG。大胆にもハイファンタジー世界に機械技術を導入し、人間はもちろんこと、ドワーフ、ハーフオーク、ハーフオウガといった荒くれ種族たちが詰め襟を着て文明社会に参加している。彼らは飛行機や蒸気機械といった機械文明がもたらした恩恵を享受する一方で、古代から伝わる魔術もそのまま存続、研鑽を重ねており、魔術師たちはこの発達しすぎた機械文明に警鐘を鳴らし続けている、といった混沌とした世界観となっている。

　ゲームは、モノクローム調の古めかしいオープニングムービーで幕を開ける。ムービーでは巡航中の旅客用大型飛行船が戦闘機2機の攻撃を受けて大破墜落するシーンが描かれる。しかし、何故攻撃を受けたのか、彼らは何者なのかといった具体的な情報の一切は伏せられたままとなる。それらの謎を解き明かしていくのが、航空機事故の唯一の生存者であるプレーヤーの役目というわけである。

　ゲームシステムは、Interplayの「Baldur's Gate」シリーズライクな非常に自由度の高い内容になっている。プレーヤーは、人々との会話から情報を集めたりクエストを得たりしながら、随時仲間を増やしつつ、謎の核心に近づいていくべく物語を進めていくことになる。本作の最大の特徴は、ユニークなキャラクタシステムにあって、中でもおもしろいのがBackgroundと呼ばれる初期設定項目だ。Backgroundとは事故に遭うまでのプレーヤーの前職や経歴のことで、システム的にはクラス(職業)に近い。 　ただし、FighterやMageといった従来のファンタジーRPGで見られるまっとうな職業はほとんどなく、一例を挙げるとSold of Soul(魂を売り渡した男)、Arsonist(放火犯)、Only Child（一人っ子)、Night Mage(夜間に強いMage)、Agoraphobic(臨場恐怖症)、Hydrophobic(恐水病)など、全部で40種類以上のBackgroundが用意されている。

　ゲーム内での効果も実にユニークで、たとえばOnly ChildはWillpower(精神力)が6ポイントボーナス加算されるかわりに、Charisma(カリスマ)が4、Persuasion(説得能力)が2、Haggle(交渉能力)が2、それぞれマイナスされるといった具合で、単純にStrengthやDexterityといった基本ステータスが増減されるだけでなく、のちのちどんな影響を及ぼすのかちょっと想像が付かないものが多い。このプレーヤーをいきなり途方に暮れさせるような深遠さが実に魅力的だ。オープニングからゲーム中を含め、すべてのBGMが弦楽器による演奏というのも雰囲気を盛り上げてくれていい。以前一度、DEMOも紹介しているので、興味を覚えた方はぜひ試してみて欲しい。

【スクリーンショット】

どことなく錆び付いた印象のゲーム画面。仲間はAIによる自動操作というのも特徴のひとつ

こちらは体験版より。全編英語で、しかもかなり長いテキストを読まされるので、ある程度の英語力は必要。あまり使われない英語も頻繁に出てくるのでいずれにしても辞書必須のRPGだ

(C) 2001 Sierra On-line,Inc. All Rights Reserved. Sierra, the "S" logo and Arcanum are trademarks of Sierra On-line, Inc. The Troika logo is a registered trademark of Troika Games, L.L.C.

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「アルカナム」の公式ページ(英文)
http://sierrastudios.com/games/arcanum/
□関連情報
【5月9日】本日到着！　DEMO & PATCH～2001年5月9日版～
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010509/demo0509.htm

(2001年9月14日)

[Reported by 中村聖司]