ファンタジックな世界観と柔らかな雰囲気が絶品!
次世代MMORPG「World of Warcraft」スペシャルレポート

会期:9月2~4日(現地時間)

会場:ExCeL London

 米Blizzard Entertainmentは、現地時間の9月3日、前日に引き続いて招待者限定の内覧会を同社ブース内にて行なった。出展タイトルは、来春発売予定のリアルタイムストラテジー「Warcraft III:Reign of Chaos」と、先日速報をお伝えしたMMORPG(Massive Multiplay Online RPG)「World of Warcraft(以下、WoW)」の2タイトル。WoWは、先日の暫定的な内容から、てっきりデモンストレーションムービーのみの内覧となるかと思いきや、かなり完成度の高いプレイアブルバージョンを出展し、キャラクタメイキングから、インターフェイスの詳細、そして簡単なクエストまでを、3人同時接続の状態で見せてくれた。その壁向かいに設置されていたWarcraft IIIも、発売は来春とは言いつつも、発売後はぶっちぎりの人気を獲得しそうな完成度の高さと作り込みの確かさを感じさせてくれる内容だった。

街の外は、このような奥行きの確かなフィールドがどこまでも続いている
 今回、同社が総力を挙げて開発している「Warcraft」2作品を見て、「やはりBlizzardは凄い」と思ったのは、グラフィックに最先端の3Dエンジンを採用しつつも、現実的なリアリティの追求より、ファンタジー性を重視しているところだ。いずれのタイトルも適度にディフォルメ化され、その雰囲気はどこまでも柔らかく、ユーモラス性に満ち、そしてなによりいつまでもその世界に浸りたいと思わせる吸引力がある。WoWに関して言えば、プレーヤーがその代人として選択できる種族は、半獣半人のオークやトーランといったある意味キワモノ系のキャラクタばかりだ。我々日本人はふつうにプレイすればまず間違いなく人間を選んでしまうところだが、海外ではオークやトーランを選ぶプレーヤーが多いはずである。というのは、シリーズ作品で培ってきた彼ら人種たちの重厚なバックグラウンド、彼らを選ぶことで始まるであろう特異な冒険への期待、そして走る姿やペーパードールに見られる、何ともいえない可愛らしさがそうさせるに違いないと思うからだ。ともあれ、Blizzardが自らの得意分野にユーザーを引き込むテクニックは抜群にうまいと思った。それでは、WoWの魅力を、内覧会で見た順番通りに紹介していこう。

 WoWは、速報でも触れたように、人間、オーク、トーランの3種族が用意されている。3種族で確定ではないようだが、どうやら増やすつもりもないようで、まずは3種族でスタートし、エルフ族などはのちほど拡張キットで追加する目算なのかもしれない。種族を決めると、次に名前、性別、Face(顔立ち)、Facial(ヒゲの有無など)、Hair Style(髪型)、Hair Color(髪の色)、Skin(肌の色)を順番に決めていく。特徴的なのがFacialの設定で、視線の鋭さや鼻の形など、多数の種類が用意され、個性的なキャラクターを作ることができる。

実際のゲーム画面。手前に見えるのは自分のキャラクタで、右ドラッグして視点を変更させたところのようだ
デモのスタート地点はここだった
戦闘シーン、ではなく仲間にHealのスペルを唱えたところのようだ
これがスペルブック。左下に見える空きスロットによく使うスペルを入れておけばワンキーで唱えられる
 キャラを作成しゲームスタートさせると、本来ならオープニングムービーやイベントなどが始まるところだが、今回はECTS用のデモということで、いきなり夕日の綺麗な海岸線に3人のPC(Player Charactor)が同時に出現した。操作は、W、A、S、Dで移動、左クリックが各種アクションボタン。右クリック視点変更用で、右ドラッグすることで、自由に視点を変更できる。PCの真後ろ、もしくはやや下にも視点を持っていくことができ、この場合は自動的にPCが透過表示となる。左上にキャラの顔とHP、MPが表示され、右上がミニマップとなっている。ミニマップは自由に拡大縮小が可能で、パーティーの規模や目的によって変更を行なうと都合が良さそうだ。
 画面上部にはDIABLOと同じように敵の名前とHPが表示され、下にはSpells、Ability、Questsといったメニューが並んでおり、左クリックで選択できる。左下にはスペル用のショートカットボタンが12個表示され、任意のファンクションキーに割り当てることができる。バックパックやインベントリーは右下にアイコンが用意され、すぐに使い慣れそうな無駄のないインターフェイスだ。

 インベントリーを開くと、PCのペーパードールと武具を装備するためのソケットがずらりと並んだウィンドウが画面左詰めでポップアップ表示される。右詰めで表示されるバックパックからアイテムを選択し、ソケットにはめ込むことで装備が完了し、ペーパードールもその装備品を装着した状態に自動更新される。ソケットには、頭、首、腕、盾、武器、鎧、ベルト、足、靴、素手(用のアイテム)、手首、指×2、長距離用武器、装飾品×4、弾丸と、計15もの項目が用意され、装備品を整える楽しさはDIABLO以上のものを感じた。サンプルクエストとして、鍛冶屋の親父から刀の柄と刀身を集めるよう頼まれるものがあり、とある場所にいる敵を倒し、そのアイテムを持って鍛冶屋をふたたび訪ねると、刀身に炎がぐるぐる回っている強力な大剣がもらえた。これはクエストアイテムということになるが、武器の入手法にはさまざまな手段が用意されているという。ちなみにその大剣は、大剣の特殊技能のひとつなのかオートガードも可能で、ときおり敵の攻撃を両手で大剣を抱えて渋いアニメーションで跳ね返していた。

 戦闘システムは基本的にオートバトルとなっており、一度ターゲットを選択するとあとは敵を倒すまで攻撃し続けてくれる(むろん、その間は一定の間隔で敵の攻撃を受け続ける)。敵にターゲットカーソルを当てるとポインタが剣の形に変化する。ここで左クリックすると戦闘開始である。素晴らしいと思ったのは、武器のスピードファクターがリアルに表現されており、重い武器なら重そうに振り(つまり攻撃速度は遅い)、軽い武器はリズミカルなアクションで敵を切り刻んでいく。もちろん、この間もPCに対して入力は可能で、死にそうなら後ろに逃げてもいいし、ショートカットで魔法を唱えてもいい。

 オンラインRPGにはつきもののリコールも可能となっており、リコールスペルを唱えることで、行く先々にあるまばゆい光に包まれた石塔「Bind Point」に戻ることができる。それ以外に街の名前が記されたスクロールもあり、これはいきなり街の入り口に戻ることができる。とはいえ、デモを見て感動したのは、街から街へ徒歩で移動する際の、ファンタジックな雰囲気に包まれたフィールドだ。このめくるめく感覚を効果的な画面なしで説明するのは難しいが、冒頭でも触れたように異国の地を歩むような劇的さと感動がある。

 余談だが、デモでは人間、オーク、ターレンの3種族をともに行動させていた。彼らに対しては常時ターゲットカーソルが剣の形になっており、他種族はいつでも理由なしに攻撃できるようだ。同種族間も攻撃可能のようで、これは相互の承認が必要。また、初心者向けに攻撃をまったく受け付けなくするモードも用意される模様だ。

 以下、記憶に残ったシーンをいくつか挙げると、「Potion of Speed」を飲んで高速に野原を駆け抜けるシーン、画面を包むような派手なスペルエフェクト、スペル発動時の画面の激しい揺れなど。前述したように今回見たデモは非常に完成度が高く、ぱっと見ではすぐ発売できそうな印象すらあるが、これからサーバの設置、稼働テストなど、長い時間を要する作業が待ち受けている。発売がいつになるのかはまさしく神のみぞ知るといったところだが、少しでも早く遊べるよう開発が順調に進むことを祈りたい。

太陽や星や雲といった空の表現が抜群にうまい。掲載画面にはないが、蜘蛛の巣のかかった大樹があったり、森の中で蝶が舞っていたりと、どこまでも自然なファンタジー世界が構築されている

□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□Blizzard Entertainmentのホームページ
http://www.blizzard.com/
□プレスリリース
http://www.blizzard.com/press/010902wow.shtml
□「World of Warcraft」のホームページ
http://www.blizzard.com/wow/

(2001年9月3日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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