ECTS 2001 現地レポート

ヨーロッパPCゲームメーカーの注目株
「CDV Software Entertainement」

会期:9月2~4日(現地時間)

会場:ExCeL London

 技術力の高いグラフィックスでギャラリーを集めていたのは、Sudden StrikeやCossack: European Warsなどで人気のドイツのメーカー「CDV Software Entertainement AG」だ。展示されていたのは、アクションRPGのDivine Divinity、CossackのアドオンやアクションストラテジーのProject Nomads、3DアクションのBreed、MMORPGのNeocronなどだ。今回の展示では、全体的に、CossackやSudden Strikeのような箱庭的緻密グラフィックスとは対極の、ダイナミックで美しい3Dグラフィックスのゲームが目立っていた。

■ アクションストラテジーって何? 「Project Nomads」

 アクションストラテジーと銘打たれた「Project Nomads」。一見、SFチックなFPSに見えるゲーム画面なのだが、驚いたことに色々なゲームジャンルのエッセンスを取りいれており、アクションあり、ストラテジーあり、FPSあり、といった実に不思議な味わいのゲームだった。

 戦いの舞台となっているのは空中に浮遊している島々で、プレーヤーはWizard Engineerとなって、様々な建物を建てたり、敵に反撃をしたりしながら島を守っていく。ゲームはミッションクリア型で、ステージによって多少勝利条件が異なるようだが、基本的に自分の陣地である島を外敵から守りきるのが目的だ。マルチプレイではデスマッチなどのより勝負性の強いゲームメニューも用意される予定とのことだ。
 浮遊している大きな島はそれ自体をバトルシップ的に使うことができ、プレーヤーが建てた施設を使いながら敵と戦うことになる。デモンストレーションでも激しい攻撃をかいくぐりながら、島に建物を建てたり、敵に反撃したりを繰り返していた。
 ゲーム中にメインで動かすのがWizard Engineerで、これだけを見るとちょっとFPSやアクションゲーム風なのだが、島のあちこちで半透明の建物の形をした小さなアーティファクトを彼で拾うと、好きなところにその建物を建てることができ、工場や発電所、防衛施設などを設置できた。
 また、島にある砲台や上空を旋回している飛行戦闘ユニットを自分自身で操作することができ、基地を拡張・防衛するというストラテジー部分にシューティングやアクショの要素も加わっている。

 砲台や飛行ユニットにはワンタッチで視点を切り換えられるのだが、そのまますぐに自分で操作できるため、単なる視点切り替えというより、次々と建物や戦闘ユニットに憑依しなおしていくような印象だ。実際、グラフィックスが切り換えのたびにユラーンと揺れて不思議な操作感と魅力があった。
 ゲーム中に登場するのは40種以上の乗り物と、100種以上の建物とで、AoEのようなテクノロジー・ツリーは存在するが複雑ではなく、数多くある建物は、敵の建物を壊すことで設置のためのアーティファクトを手に入れたりできるらしい。

 説明だけだと複雑そうに聞こえるかもしれないが、ゲームの進行自体は非常にシンプルで、Wizard Engineerでサクサクとフィールド内を動き回って(時には飛んで)アーティファクトを手に入れ、建物を建てつつ敵を攻撃、という感じだ。
 Xboxでのリリースも予定しているだけあって操作も非常に簡単で、ゲームの解説をしてくれたディレクタはゲームパッドだけで楽々とプレイしていたのも印象的だった。
 グラフィックエンジンはオリジナルのもので、高低差のある3Dフィールドをかけあがったり、ストレスなく空を飛び回ったりする様は圧巻。発売時期が2002年の第3四半期予定ではなく、今秋だったなら、かなり話題になっただろう。これから注目しておきたい一本だ。

このレベルのグラフィックスがそのままぐりぐりと動いていた 浮遊する島々が戦闘の舞台。飛行ユニットの激しい爆撃などもある 島に様々な建物を建てることでエネルギーを生産したり、新たなユニットを作成したりできる
開発元Radon Labsのディレクタ、Bernd Beyreuther氏自らがデモを行なっていた 右下の影に注目。きちんとキャラクタの造形に連動した影がついている 激しい戦闘シーンが非常に美しい
飛行ユニットとなって敵を撃ち落とすこともできる 1人称視点でなく3人称視点でも飛行ユニットを操作していた

□Radon Labsのホームページ
http://www.radonlabs.de/
□「Project Nomads」のホームページ
http://www.cdv.de/vorschau/templates/vorschau_e.php3?id=999165185


■ 王道をいくシングルプレイ・アクションRPG「Divine Divinity」

 「Divine Divinity」は、Rovellonという土地を舞台に、闇に侵されそうになっている世界を救うため、プレーヤーは選ばれた者として戦いに身を投じていくというアクションRPG。ストーリー性の高いゲーム内容にディアブロのアクション性を加えた、プレイしがいのあるRPGだ。
 プレーヤーキャラクタのグラフィックスは6種類あり、Warrior系・Wizard系・Survivor系の3系統96種のスキルの中から好きな系統のスキルを選んでキャラクタを育てていく。デモで見かけたスキルには全体攻撃魔法や、骸骨などを数体呼び出した召喚魔法などもあり、派手な戦闘が楽しめる。欧州では2001年9月14日に発売予定だ。

□Larianのホームページ
http://www.larian.com/
□「Divine Divinity」のホームページ
http://www.divinedivinity.de/


■ エイリアンを倒すために立ちあがる3Dアクション「Breed」

 エイリアン「Breed」と人類の生存をかけて戦う、ミッションクリア型のSF3Dアクションだ。視点は1人称、3人称どちらでもプレイでき、ある時は戦車に乗り、ある時は砲台で撃ちまくり、ある時は自らがかけまわってBreed殲滅のために戦わなくてはならない。デモでは戦車などを動かしていたが、非常に細やかでクオリティの高い3Dグラフィックスだった。2002年の第2半期に発売予定だ。

□Brat Designsのホームページ
http://www.brat-designs.com/
□「Breed」のホームページ
http://www.cdv.de/vorschau/templates/vorschau_e.php3?id=999164930

■ 宇宙を舞台にしたストラテジー「Imperium Galactica III」

 2001年第4半期に発売予定のミッションクリア型ストラテジーゲーム。プレーヤーはエイリアンに占領された地球を脱出した人類と共にコロニーを作り、力を蓄えて地球に戻るのが目的だ。リアルタイムの戦闘で敵と戦う一方、テクノロジーの開発をしたり、資源を上手く使って施設建てたりするなど、コロニーの運営も行なわなければならない。
 ゲームのメインとなるキャンペーンのほかに、シングルミッション10個と、ランダムミッションが25個以上用意されている。

□「Imperium Galactica III」のホームページ
http://www.cdv.de/vorschau/templates/vorschau_e.php3?id=999164804


■ MMORPG「Neocron」

 28世紀、第3次世界大戦後の荒廃した世界にあるNeocronという巨大都市を舞台にしたサイバーパンクなMMORPGだ。βテストはすでに今年の3月から始まっている。Neocron内の経済はプレーヤーの売買などによっても左右されるなど、プレーヤーの動向をゲームシステムに深くとりこんだ内容となっている。複数人が乗れる乗り物や、地下鉄、クラブやカジノなどがあるのも特徴で、既存のMMORPGから一歩進んだ様々な取り組みがなされているのが特徴だ。2001年末にサービスがスタートする予定となっている。

□Reakktor Mediaのホームページ
http://www.reakktor.com/
□「Neocron」のホームページ
http://www.neocron.com/


□CDV Software Entertainement AGのホームページ
http://www.cdv.de/

(2001年9月2日)

[Reported by 西尾ゆき]

I
【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.