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★ PCゲームレビュー ★
ボードゲーム、ミニチュアゲーム、テーブルトークRPG、ゲームブックなど、一昔前まで想像力を持て余した男たちの知的挑戦の場として、膝をつき合わせるような勢いで大いに遊ばれていた玩具たちが、いまやPCやゲーム機で手軽に楽しむことができる。マイピックは、その手のいわば通向けのタイトルを数多く取り扱っているメーカーだ。ちょっと思い出してみただけでも「RISK」「Magic:The Gathering」「Diplomacy」「Monopoly」「Warhammer」「Scotland Yard」など、結構な数ある。最近はそういった類のネタは確実に減りつつあるが、今回紹介する「スコードリーダー」は、30歳以上の戦史好きな人なら間違いなくピンと来るウォーゲーム界の元祖的存在だ。 ■ あらゆるウォーシミュレーションゲームの元祖「スコードリーダー」
ところで、「スコードリーダー」に似たゲームシステムを採用した国産タイトルに「アドバンスド大戦略」の開発元として知られるチキンヘッドが開発した「プラトゥーンリーダー」('97年発売)がある。ウォーシミュレーションゲームといえば戦略級が当たり前、という時代に堂々と小隊戦を持ち込み、「戦闘級SLG」というふれこみでSLGファンの話題をさらった。
プラトゥーンリーダーは、ターン制ヘックス式のシステムを採用し、随所に「スコードリーダー」の匂いを感じさせるきっかり戦術級のSLGで、機関銃を銃身、架台、弾帯(帯状にした弾丸の束)に分けてそれぞれ別の兵士に持たせて戦場で設置して使うといったマニア好みの兵器システムや、特定の人物に超人的な特殊技能を与えるヒーローシステムなど、グラフィックは地味ながらも噛んで含めるような味わいのあるゲームだった。
そのほかにもTalon SoftのウォーSLGブランド「CAMPAIGN SERIES」やSSIの「Panzer General」シリーズなど、「スコードリーダー」にインスパイアされて制作されたタイトルはいくらでも挙げられる。そのようなウォーゲームの大元がPCゲーム化されたのだから、楽しみにするなというほうが無理な相談というものだろう。
■ 内容のぎっちり詰まったPC版「スコードリーダー」
作戦日時はいずれもノルマンディ上陸作戦以降で、アメリカは上陸作戦からフランス方面のドイツ軍を完全に駆逐するまで、イギリスはオランダ、アルンヘムを舞台に史上最大の空挺作戦「マーケット・ガーデン作戦」が再現され、そしてドイツは「バルジの戦い」に挑戦できる。いずれも担当国が大苦戦を強いられた戦い、というところにおもしろみがある。
PC版「スコードリーダー」は、ボードゲーム版と同じくターン制のシステムを採用しているが、細部のところでかなりの相違点が見られる。一番の違いは「アクションポイント制」を採用したことで、これにより兵士たちはアクションポイントの範囲内であれば、何度でも好きな行動を取ることができる。アクションポイントは、各兵士ごとにだいたい20~40ぐらいの範囲内で定められている。移動に使うのは当然として、その移動の仕方も、歩く、走る、匍匐前進と3パターンがあり、それぞれ1ヘックスごとの移動コストが異なっている。そのほか、攻撃や姿勢の変更、特殊技能の仕様など、兵士が取れるすべての行動にアクションポイントが必要となる。
マニュアルでは一切触れられていないが、スコードリーダーでは「照準線が通るか通らないか」、つまり兵士が持つ銃器のスコープに敵兵が映るか否かというのが決定的に重要になっている。照準線が引けなければ敵がどんなに近くても兵器の命中率は0%だし、仮に照準線が引ければ敵兵を倒せる可能性が生まれる。兵器の命中率は、兵器の精度、射程距離、兵士の射撃能力/姿勢/士気、敵兵の姿勢などによって算出される。この照準線は、ボードゲームでは「定規で引いた線の途中に障害物が無ければ通る、あいまいな場合はサイコロを振って決める」と厳格に定められているのに対し、PC版では敵にターゲットカーソルを当ててみないとそれがわからない。攻撃するために移動するのに、移動しなければ攻撃できるかどうかわからないというのはやや本末転倒な気がする。敵兵が森の中に潜み、どこからか照準線が引けそうな場合はなおさらだ。
■ キャンペーンを終えたら、次は「作戦の自動作成」で骨の髄まで楽しむ
スコードリーダーでは、キャンペーンをすべてクリアしたユーザーのために、「作戦の自動作成機能」を用意している。要は「Age of Empires」のランダムマップと考えて良く、違いは先述した作戦タイプを決めたり、建物や地形の密度のバランスを細かくコントロールできるところ。すべてを設定してゲームをスタートさせると、自動的にマップがジェネレートされ、新しいマップで戦闘を行なうことができる仕組みだ。このモードでは、アメリカ対イギリス、ドイツ対ドイツといった仮想戦も試せるなど、楽しみが多い。もちろんキャンペーンの途中でも自由にプレイできるので、新兵器の使い勝手を試したり、新たな戦術の模索にも使えたりできそうだ。
手榴弾を遠方に投げつけるためには、体力のある兵士に砂浜を駆け抜けてもらわねばならず、いうまでもなく危険が伴う。しかし、実はそれしか道はなく、その可能性にすべてを賭けるという実にリアリスティックなゲーム性にひどく惹かれるものを感じた。スコードリーダーは、「誰も死なせずにクリアする」などという甘い考えはまったく通用しないゲームであり、そこにこそ本作のいぶし銀の味わいがあるといえる。
以下余談だが、海外のゲームサイトを見ると、本作の評価は意外と低い。確かにグラフィックはB級だし、インターフェイスにもまどろっこしさがあり、演出面も手ぬるい印象が拭えない。ただ、第2次世界大戦を未曾有のミクロ的視野で再現したPCゲームというのはこれ以外にないし、おそらく今後も現れないだろう。存分に楽しむためにはある一定以上の想像力が必要になりそうだが、新しもの好きのウォーゲームファンにはぜひお勧めしておきたい1本だ。
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□マイピックのホームページ http://www.mediaquest.co.jp/ □「スコードリーダー」の公式ページ http://www.mediaquest.co.jp/hot2/sl_c.html (2001年8月30日)
[Reported by 中村聖司] I |
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