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★ PS2ゲームレビュー ★最近はアクションゲームにも意欲的なコーエーと、過去にスノーボードゲームを手がけている株式会社ケイブがPS2用に新たに制作したスケボーアクションゲーム。操作には専用のボードコントローラを使用。PS2のL3、R3ボタンをボード状のパーツで連結させるという仕掛けのものだが、これがボードアクションをプレーヤーに直感させるデバイスとして作用している。プレーヤーは「カバジスタ」の一人として、街を占拠するガウーをトリックで倒さねばならない。専用のコントローラを用意するあたり、ボードアクションへのこだわりが感じられる一作に仕上がっている。
■ “スケボー”を乗りこなす感覚を味わった気になれる専用コントローラ このゲームの最大の魅力は、スケボーを乗りこなすという行為が非常によく表われている点。プッシュ(片足で地面を蹴って加速する)や、オーリー(走行状態で、ボードの後ろを蹴ることで飛び上がる)など、基本的なスケボーの動きを入力する操作をコントローラ上で再現できているため、直感的な操作ができる。 この入力形態は、プレイしていると、思わず力が入ってしまうほどよくできている。ゴムキャップで接続されたデッキ(スケボーの板部分)とコントローラのボタン部分は、スケボーの不安定さも十分再現できている。さんざんプレイした後の感想としては、この材質はもうちょっと硬質のゴムでも良かったんじゃないかと思うことが多々あったが、反面、「スケボーってこれぐらい不安定なんだろうな」と思わずにはいられないことも事実だ。ただ、縦に構えるためにコントローラのコードがジャマで、ちょっとホールド感が薄く、スピン(空中で回転するトリック)の入力には少々やりづらさを感じたことも確か。ボタンプッシュによる上方向からの入力と、スティックを傾けるという操作の併用時にそれを如実に感じた。 例えば、スピン入力から90度以内にフリップ(ボードを足から離して空中で1回転させるトリック)を入力しないと成立しない「アーリーフリップ」などの入力時は、このボードの不安定さとホールド感の薄さでたびたび失敗してしまった。これは私個人の入力方法がまだ甘い可能性も十分にあるが……。
ともかく、いいたいことは、こうやって入力方法について考え込んでしまう=スケボーを実際に乗りこなすときの練習の悩みに近い擬似感覚を味わえたぐらい、このコントローラの狙いはクールに感じられたということだ。たぶん、普通のコントローラの持ち方で、上、右、×などと入力するシステムだったら、難易度的にかなり簡単になっていただろうが、気分的にはそっけなかったのではなかろうか。
■ 敷居は低い? それとも高い? 「スキルアップ」モード ゲームモードはチュートリアル的要素の「スキルアップ」、ガウーを倒し街を救う「ストリート」、指定されたトリックを出し、BGM演奏を進める「ライブ」、分割画面で2人同時プレイ可能な「2PVS」、ゲーム設定の「オプション」の5つ。まず、コントローラに慣れる意味でも、必須といえるのが「スキルアップ」モードだ。 モードを選択すると、デフォルト状態では「ジェット」、「メイファ」、「マックス」の3人からキャラが選択可能。それぞれ、スピード、パワー、テクニックに差がつけられているが、最初はパワーに長けるジェットで練習したほうがいいだろう。
練習項目(ミッション)は「基本操作」、「トリック」、「応用トリック」、「ガウーアタック」の4つ。ミッションは10の課題+おさらいミッションという構成になっている。基本的に10の課題に関しては、教えられた通りにプレイしていれば、さほどの労力もなくクリアできると思われる。が、おさらいミッションはかなりハード。ハードな理由は何かということになるが、基本的にこのゲームのMAPは、きちんとオーリーし、飛距離を伸ばすシフティを使っていかないと、次の足場に届きにくい仕様になっているためだ。しかも足場は狭いところが多く、大きくターンすると確実に落下する。Uターンやブレーキなどを使って次のオーリーに備えなければならないので、レールに乗った感覚でスムーズに次、というわけにはいかない。このあたりがはっきりいってストレスになった。 練習ステージぐらい、転んで復活したら、きちんとまっすぐ走ればジャンプ台に届くぐらいにしてほしい……と思うのは私だけなのだろうか。途中に消火器などの障害物があるのもどうかと思う。また、トリック編のおさらいのように、下が海の状態で、トリックを失敗して落下したあと、復活すると次の場所にワープしてしまうのはいかがなものだろう? 落下したら即、「やりなおし」を何度も選択しなくてはいけないのはかなりわずらわしいのだが。これで制限時間がつけられているというのも疑問を感じる。
個人的にこの「スキルアップ」の各所の不親切さは気になった。もともとの難易度の高さもあるにはあるが、どちらかというと不親切に感じた。ほかにもジャンプ時のカメラ制御など、かなり足場が細いMAPのわりに、切り替えのタイミングが遅いので、位置調整がやりづらかった。
■ トリックを覚えるなら最適? 「ライブモード」 BGMの進行をトリックでコントロールするというライブモード。U字型の「ランプ」、半球状の「ボウル」といったステージで、指定されたトリックを順に決めるとBGMがゴージャスになっていく。同じ小節(ループ)を8回以上演奏させてしまうとゲームオーバーとなっており、失敗すると音がひとつづつ消えていく。ここでは、オーリーしてからトリックを決める時間が長めになっているので、曲を楽しみつつ、複合トリックを楽しく覚えられる。
複合トリックは、ボタンを連打するとかえって成立しない。前の動作が終わるころを狙って次のトリックを入力するのがポイントとなる。あらかじめリプレイデータが登録されているが、自分がトップになればリプレイデータがセーブできる。ランキングに入るためには、1回のオーリーで、トリックを数多く長い間決め、さらに、トータルでは早く終わる必要が出てくる。デフォルトのリプレイデータにはいろんなヒントが隠されているので、ぜひ参考にしてほしい。
■ 広めのMAPの「ストリートモード」も結構骨太 なぜメインモードとなる「ストリートモード」を最後にもってきたか。それは、スキルアップモード+ライブモードで要求された、「スケボーを自由に操る」と、「トリックを華麗に決める」という2つのスキルが要求されるからにほかならない。なおかつ、このストリートモードのMAPはかなり広めに作ってあり、トリックを決める順番なども考えていく必要性があるのだ。 このモードに登場するガウーは、冒頭で述べたとおり、トリックに見とれ、なぜか興奮して昇天してしまうというヘンな特徴を持っている。制限時間内に、エリアにいる全員のガウーにトリックを魅せつけてやらねばならないのだ。ガウーの視界は周囲をまわるマーカーで表示されており、その中でトリックを決めれば魅せつけたことになる。これは、トリックを決めてから視界内に着地するか、視界内からオーリーで飛び出してトリックを決めてもOK。 ガウーには、「ガウーグリーン(スピンが好き)」、「ガウーイエロー(グラブフェチ)」、「ガウーピンク(フリップマニア)」の色ちがいが存在するうえ、さらに、複合トリックが大好きな「トッポガウー」、視界が狭い「プッチガウー」、そして、足より下の高度で決められたトリックが見えない「ブッチョガウー」がいる。まあ、それぞれ好みがうるさいというわけだ。 建物の構造を把握しつつ、トリックを決めつつ、さらにコインを集めて時間制限を伸ばしつつ……と、このモードでは、やることが多い。ゆえに基本的なスキルは他のモードで学習していたほうが、このモードをより楽しめるということになるわけだ。しかも、MAPによっては、細い足場でジャンプ台からトリックを決める必要が多い場所も多く、落下時の-10秒のペナルティも結構つらい。 しかし、ガウーのやられボイスなど、こころなごむシチュエーションもあり、モチベーションは維持しやすかった。ステージラストに待ち受けるガウー大臣もユーモラスで、他のガウーと違い、こちらに接近してくるというかえってシビアな条件ながら、ステージが進むとまわりの景色も変わることもあってか、スキルアップモードよりは楽しい思いができた。
■ 上手くなれば加速度的に楽しくなるゲーム 総じて、うまくいけばそれまでの苦労を忘れてしまう性格の私には、上手くなればなるほど至福の時間が待っていた。連続でトリックを決め、さらにそれがレールスライドを利用するなどしてコンボになってつながり、まとめてガウーを倒せたときの快感……。序盤で苦労したからこその達成感なのか、それが制作者の狙いなのかはわからないが、スキルアップモードも、ストリートモードも、そしてライブモードも、辛い序盤を乗り切って集中してプレイできれば、とてもすがすがしい気持ちにさせてくれた作品だった。
ただ、ハズすと痛いしっぺ返しを食らうという意味では、初心者には多少骨がありすぎの感は否めないのも事実。もう少しだだっぴろい空間や、難易度の低いモードなどを用意してあげてもよかったのではなかろうか。それから、せっかく華麗なプレイを決めることができるのだから、リプレイもいろんなモードで使えるようにしてほしかったところだ。 (C) 2001 KOEI Co.,Ltd.
□コーエーのホームページ (2001年7月9日)
[Reported by 佐伯憲司] |
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