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★ PCゲームレビュー ★
実に豪華な3大特典と「もう殆ど特典の値段! ソフトはただのおまけ……?」というファルコム自らの名(迷?)キャッチコピーで、発売前から大いに話題を集めていた「イース I・II 完全版」(以下、完全版)がいよいよ発売される。6月発売というのは偶然なのか必然なのか、ともかく初代イースが産声をあげた時期が、'87年のやはり6月だった。この14年の間にイースおよびイースIIは、コンシューマ機を含む多数のプラットフォームで発売され、すでに圧倒的な量のイースレビューがこの世に流布している。いまさらイースについて書く必要もなさそうだが、見方を変えれば12年ぶりの「I・II」の登場ともいえるわけで、この点に懐かしさを込めてレビューをお届けしたい。 ■ 余談ですが、PC-Engine版のことなどを少し……
念のために書いておくと、「イース」と「イースII」はストーリーの上で完全に繋がったふたつでひとつの物語である。私のような人間から考えると、なぜ分けたのかわからないぐらいで、ただ、分けたがために、IIでいきなり魔法の要素が加味されても不自然に映らないし、個々の作品が独立して存在しているため、I・IIを通して力の抜き場がまるでない引き締まったゲームになっているのも事実である。 「だから結果として分けて良かったのだ」という結論は圧倒的な説得力を持つが、それでも私はシームレスに繋がらないと「イヤだ」と思ってしまう。理由は簡単で、IからIIに繋がるIIのオープニングシーンが好きでたまらないからだ。 IIのオープニングの内容は、Iのラストボスであるダルク・ファクトを撃砕した主人公アドルが、6冊のイースの書の力により、光と化して天空へ翔び、天空の国イースへと導かれるところまでが描かれる。ファルコムのサウンドスタッフにより書かれたBGMや「振り向くリリア」など、このオープニングで語るべき部分は山ほどあるが(個人的には数フレームだけ映る“走るリリア”がいい)、決定的に素晴らしいと思うのは、Iをクリアして「やっとクリアした、あ~疲れた」というプレーヤーの大団円気分を一瞬にして吹き飛ばし、次なる冒険に向けて新たな力を漲らせる爽快さと劇的性に満ちあふれた全体のつくりにある。この付加要素をプレーヤーが得るためには、IからIIへの繋がりはシームレスでなければならないだろう。 で、結局私はこの段落で何を言いたいかというと、要するに「そのIとIIがシームレスに繋がる決定版が12年ぶりに出ますよ」ということなのである。長い余談でした。
■ これで最後!? の「イース I・II 完全版」
Iの具体的な改良ポイントとしては、オープニングムービーの追加、ゲーム難易度に超上級者向けのナイトメアモード、初心者向けのイージーモード、ボス戦だけをひたすら楽しめるボス戦タイムアタックモードの追加、全面的なグラフィックの微調整、BGMおよびサウンドエフェクトのリファイン、SC-88用のMIDIデータが付属、などが挙げられる。余談だが、完全版では「イース II エターナル」からいきなり始めることも可能となっている。 ちなみに“エターナル”シリーズは、PC-8801版やPC9801版をプレイしてイースに心底惚れた人たちが手がけた作品ということで、細部へのこだわりがもの凄い。今回の新しく作り直されたIのオープニングムービーなどその最たるもので、いうまでもなくアニメーション技術も際だって見事だが、それ以上に凄いのは直接開発に携わったスタッフたちの10数年経ってもまだ冷めぬイースへの沸き立つ熱意と、その熱意を全力でぶつけることを承認する会社側の姿勢だろう。ここまで会社ぐるみで見事にやられてしまえば、「またイース出すんですか?」という常識的思考が入る隙がない。
■ 買うならDVD-ROM仕様の初回限定版 最後に、イース未体験者のために完全版の簡単なインプレッションをお届けしておきたい。結論から先に書いておくと、イースファンは3大特典を抜きにしても買って損はない内容と言っていい。もちろん未体験者にとっても最適な作品に仕上がっている。 なお、CD-ROM版とDVD-ROM版は単にメディアが違うだけではないので注意。DVD-ROM版は、すべてのサウンド(Wave)を44.1KHzのデータで収録しているのだ。そのぶんHDDの空き容量が600MB増しの1.6GBになるというかすかなデメリットが生じるが、お手元のドライブがDVD-ROM対応なら、迷わずDVD-ROM版がお勧めだ。ちなみに、現時点ですでに同社の初回限定版予約受付は終了してしまったので、入手は店頭のみとなる。即日完売が予想されるので、欲しい人はショップに早めに足を運ぼう。
さて、完全版について。ゲームの操作はマウスのみで、完全に片手操作だけで遊ぶことができる。アクションRPGということで、フィールドには視認できる形でモンスターが現れ、これらを倒すことでレベルアップに必要な経験値と、装備を調えるためのお金が手に入る。というと、地味な経験値稼ぎ作業を頭に思い浮かべた方もいるかもしれないが、完全版に限っていえば、そんなことはまったくない。イベントをこなしていくだけで、経験値が獲得でき、クリアできるだけのレベルにはなれるからだ。 戦い方はひたすら突撃(IIでは+魔法)あるのみ。正面からぶつかるとこちらもダメージを受けるので、後ろから、横から、斜めからと、エターナルで追加されたダッシュ機能をうまく使って正面以外から突入していくのがポイント。イースはレベルアップすると恐ろしく強くなるので、勝てないと思ったら街まで戻ってより強力な装備を揃えるか、近場で素直にレベルアップを狙った方がいい。 昨今は、2D見下ろし型のアクションRPGそのものが衰退している印象が強いが、「イース I・II 完全版」は、2Dだから得られる温故知新的なゲーム体験や、BGMやサウンドエフェクトをうまく使うことで、プレーヤーを一瞬にしてファンタジー世界へ昇華させるファルコム独自のサウンドテクニックなど、純粋な新作として見てもまだまだ第1線級といえる。体験者も未体験者もこの機会にイースの世界を体験してみよう。
(C) 2001 Nihon Falcom Corporation
□日本ファルコムのホームページ http://www.falcom.co.jp/ □「イース I・II 完全版」の公式ページ http://www.falcom.co.jp/ys12cmp/index.html □関連情報 【5月10日】「交響曲イース21stセンチュリー」試聴版 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010510/demo0510.htm 【4月23日】「イース I・II 完全版」デモムービー(第1部、第2部) http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010423/demo0423.htm 【4月4日】日本ファルコム、春の新作ラッシュ! 「Zwei」「イースI・II完全版」ほか http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010404/falcom.htm (2001年6月18日)
[Reported by 中村聖司] I |
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