★ DCゲームレビュー ★

爽快感満点の車を使ったアクションゲーム
クレイジータクシー2

  • ジャンル:ドライビングアクションゲーム
  • 発売元:セガ
  • 制作:ヒットメーカー
  • 価格:5,800円
  • プラットフォーム:ドリームキャスト
  • 発売日:5月31日

【ゲームの内容】

 お客を乗せ、目的地まで運んでチップをもらう、タクシー運転手の仕事をそのままゲーム化して話題を呼んだカーアクションゲームの続編。前作はACで稼動後、DCに移植されたが、今回は現状DC版のみが制作され、前作の西海岸の街からNYに舞台を移した。また、いくつかの新アクションや、家庭用ならではのゲームモードなどが追加されている。




 前作「クレイジータクシー」をプレイしたことがある人なら周知の事実かと思うが、このゲーム、車という手段は使っているものの、いわゆるレースゲームとはちょっと違ったゲーム性を持っている。車ゲーというと、「コース取りが」とか、マシンが、チューニングが……とか、どちらかというと「車とコース」に関してシビアに考えがち(これはこれで楽しいことには違いない)なのだが、このゲームでやることは、ひたすら客を捕まえて、目的地まで運んで代価をいただくということだけ。そういう意味では「お客と私」に関してシビアになっているゲームで、“たまたま”タクシーだから車なわけで、車だからドライブしなくちゃっ! ということなのだ。

 「OFFSPRING」、「METHODS OF MAYHEM」のBGMにノリ、ガンガン客を運びましょう

 まず、4人の主人公のなかから好きなキャラ(と車)を選んでゲームスタート。それぞれのキャラによって多少車の性能などに変化が見られるが、ルックスやボイスなどの好みで決めてもオッケー(車に対してシビアに考える必要もあまりないことは、今までもこれからも語っていくが)。

 NYの街中で客を見付けたら、周囲にあるサークルの中に車を停めると客が車に乗り込み、仕事が始まる。目的地、そこまでの距離、方向はすべて表示されるので、とくに方向に気をつけながら車を走らせる。といっても、お客はみなさんせっかちで、一刻も早くたどりつかないと機嫌を損ねてお金がもらえないばかりか、制限時間を超えるとおしかりとともに降車され、あまつさえゲームオーバーになってしまう。

 「AROUND APPLE」と「SMALL APPLE」の通常ルール時は時間はお客を乗せた時点で延長され、早く運べば追加される。制限時間はお客ごとに設定されているものと、トータルの2つがある。

 道中は交通法規を順守する必要もなく、反対車線だろうが歩道だろうが、公園の中だろうが走ることが可能。しかもどんなにぶつけても車はこわれることはないし、他車をぶち抜いたり、華麗に避けたりするとお客がよろこんでチップをはずんでくれるのだ。これがなにより気持ちいい。気持ちよさを倍加させるのが前作からおなじみの「OFFSPRING」、そして今作から参加の「METHODS OF MAYHEM」による強烈なビート。一度聴いたら忘れられないインパクトのある楽曲はゲームのテンポにマッチしていい感じ。

【主人公たち】
「SLASH」 「ICEMAN」 「CINAMON」 「HOT-D」
お客を見付けたら、サークル内に停車。行き先めがけて爆走し、なるべく早く現場へ到着。ルールはこれだけのシンプルなものだが、それがかえってゲームに没頭できる好材料になっている。黄色の文字で表示されているのが制限時間。お客を乗せたところで延長されているのがわかる


 「コマンド技」を身につければさらに気持ちいい

 「コマンド技」なんてえらそうに書いているが、実際はとてもシンプルな操作でハデなアクションが起こせるようになっている。

 まず、「クレイジーダッシュ」。停止状態からの急加速が可能な技で、停止状態で「Dギア」に入れたあとアクセルONで可能。時間を節約するには必須のテクだが、加速に驚いていると操作がおぼつかなくなるので注意。

 次に今作からの特徴である「クレイジーホップ」。このゲームに登場するタクシーは、すべてスーパーローライダー仕様(関東圏の人なら、横浜の大黒ふ頭パーキングにおける週末の夜を思い出せばわかる仕様)になっており、サスペンションを動かすことでホッピング(跳躍)できるようになっている。これはYボタンを押すだけでOKで、速度に応じて跳躍距離や高度が異なり、停止中はほぼジャンプしない。うまく活用すれば、立体交差の道路を飛び越えて高架側へ乗り換えたり、先行する車や逆走してくる車、障害物を飛び越したりできる。ステージがより立体的になった今作では必須のテクニック。

 さらに、「クレイジードリフト」もマスターしておこう。走行中にギアを一瞬「Rギア」に入れ、また「Dギア」に戻しつつ、ハンドルを切ることによってクイックかつスムーズに大幅に進路変更が可能。車を運転している人には「スピンターン」に近いアクションといえばわかりやすいだろうか。くさび形のコーナーでのターンなど、使用機会は意外と多い。

 このほか、ドリフトしたあと、バック走行に移る「クレイジーバックドリフト(操作は『クレイジードリフト』の最後の『Dギア』を省略すればいい)」や、「クレイジーバックダッシュ(『クレイジーダッシュ』直後に「Rギア」に入れるだけ)」の計5つがある。

 また、ボーナスには、敵車などを接近してキレイに避ける「クレイジースルー」、 一定時間空中を飛ぶ「クレイジージャンプ」、ドリフト状態を一定時間続ける「クレイジードリフト」の3種類がある。同じ時間走ってもギャラに差がでるのは、運搬客の数と、このチップの差になるというわけだ。一般車に激突せずこのチップをもらっていくと「コンボ」となり、レートがどんどん加算されるというやり込み派にもうれしいオマケもついている。

 普通、コマンド技といったテクニックというものは「練習しないとクリアできないから覚える」というのがお約束のようになっているが、このゲームにおいてのテクニックは「覚えると気持ちいいから覚える」という感じ。街中を激走しているだけでもとても気持ちいいのだが、テクニックを駆使して豪快に走れば、さらにその快感は倍増する。

「クレイジーダッシュ」。ストップ&ゴーの繰り返しであるタクシーにはとてつもない恩恵をもたらすテクニック。タイミングをマスターしよう
「クレイジーホップ」。ただのジャンプだが、立体構造のコースや巨大なトレーラーなどを回避できる「2」ならではのテクニック
「クレイジードリフト」。非常にスムーズに回頭でき、かなり気持ちいいうえに有用なテクニック。ドリフト時間を調整したりブレーキを併用すればスピンターンなどにも応用可能


前作よりも中身を充実したゲームモード

 モードセレクト画面を見ればわかるが、ゲームルール同様非常にシンプル。「AROUND APPLE」と「SMALL APPLE」がメインのゲームモードで、制限時間内にどれだけお客を乗せ、目的地まで運ぶことが出来るかを競うもの。2つの違いはMAPの違いのみ。ルールは「NORMAL RULES(制限時間内で競い、タイムボーナスありのもの)」と、3、5、10分間の時間限定ルールの全4つがある。

 次に、前作のDC版にもあった、家庭用ならではのミニゲームモード「CRAZY PYRAMID」。これはどんどんミニゲームをこなしていくと課題表示がピラミッド状になるというまあなんてセンスのいいネーミングでしょうということは置いておいても、とても楽しい、かつドライビングテクニックを磨けるモード。並んでいる課題2つをクリアすると、直上の課題が出現するまさにピラミッド構造になっている。内容は「CRAZY GOLF(ボールにアタックして規定ヤード以上吹き飛ばす)」や、「CRAZY HURDLE(ハードルを飛び越え、規定時間内にゴールする)」など、楽しいものが揃っている。

 また、前作で要望が高かったという「REPLAY」モードも搭載。約80秒の間プレイを記録でき、クレイジードライブ度合も競える。カメラも複数から選択可能で、見栄え重視の走りを極めるのもこれまた楽しい。

「OPTION」モードのコントローラセッティング。シンプル このように課題がピラミッド状に並ぶ「CRAZY PYRAMID」
「CRAZY GOLF」。巨大なボールとピンにわかっていながら笑ってしまうバカバカしさがいい。クレイジーダッシュで距離を稼ごう。ちなみに、島の外に落ちるとゲームオーバーだ(苦笑)
「CRAZY BALLOONS 2」は風船割りゲーム。クレイジードリフトとダッシュを駆使すればタイムアップ可能。練習もできて一石二鳥の課題
「CRAZY HURDLE」はまさにハードル競争。シンプルながらもジャンプのタイミングなどでタイムが変わるため、燃える


 新要素はまだある! 団体客はハイリスク&リターン

 「2」での新要素はまだある。お客に団体さんがいるのだ!! 最大4人までの団体客を載せることができるが、これは儲けがあがる分、制限時間がシビアになっている。降ろす順番を間違えると確実に制限時間をオーバーしてしまうし、1人でも間に合わないと成功報酬はもらえないときている。しかも途中で辞めることもできないのだ。慣れてきたら積極的にトライしてみるといいだろう。

 ちなみに団体客は4組いる。それぞれリアクションも楽しいので、ぜひ一度は乗せてもらいたいところ。

何組か存在する団体客。彼(女)らをきっちり運びきればかなりのボーナスが得られることはまちがいないのだが、失敗するとロスも大きい。全員無事届け切らないと儲けはゼロというまさにハイリスクハイリターン。それぞれリアクションが楽しいのもミソ
【団体客ご一行さま】
「ロカビリー」 「アフロ」
「チアリーダー」 「大道芸人」


 キャラの絡みがとても心なごむ作品

 「2」になってパワーアップしているが、前作からこのゲームのとても好きなポイントがある。それは、主人公たちタクシードライバーと、お客との掛けあいというかコミュニケーションのリアクションだ。

 主人公の動きやモデリングに力が入っているのは当たり前だが、このゲームが「タクシー」を題材にしていることを思い出させるのがこのお客の動き、そしてドライバーとお客のトーク+リアクションである。ブッ飛ばせば喜び、ぶつかれば心配し、遅刻すれば怒る、規定時間より早く到達できればハイタッチなど、とにかく豊富なリアクションには頭が下がる思いがする。

 町にいる人たちにもそれはあてはまる。書き割りのように動かない人も中にはいるのだが(重箱の隅ですな)、車が接近すると華麗に避けるありさまは、つい車を人ごみに突っ込んで行きたくなるし、このゲームが単なるレースゲームでないことは、この一点からでも十分伝わってくる。車の豪快な動きだけではなく、細かなところにいろんな工夫が見られるこのゲーム、レースゲームが苦手という人もぜひプレイしてもらいたい。皆でワイワイいいながらプレイするのが最も楽しいかも。

お客の動きがおおげさでなく非常に好感触。細かいところを見て行くと、とても心がなごむ。すべてがリズミカルで、プレイが心地いいのはこういったところからくる感覚なんだろうか

Original Game (C) SEGA (C)Hitmeker/SEGA, 2001

□セガのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□ヒットメーカーのホームページ
http://www.hitmaker.co.jp/
□製品情報
http://www.hitmaker.co.jp/top/game/coming/come_01_00.html
□関連情報
【5月15日】ヒットメーカー、DC「クレイジータクシー2」ペーパークラフトのダウンロードサービスを開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010514/hitmaker.htm
【4月13日】GameJamレポート その2 未発売タイトルをチェック
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010414/gjam2.htm

(2001年5月30日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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