GeForce3最適化グラフィックエンジン「krass」を使用した
深海シューティングアクション「AQUANOX」公開

■ GeForce3のテクノロジーデモとして公開されたAQUANOX

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 NVIDIAの最新ビデオチップ「GeForce3」の発表会等で、テクノロジーデモの1つとしてよく紹介されていたのがこの「AQUANOX」の映像だった。開発はドイツのMassive Development、販売はFishTank。E3ではFishTankのブースにて完成度90%程度の製品版に近いバージョンを展示していた。なお、このシリーズについて知らない人もいると思うので、まずは、簡単な予備知識から。

 「AQUANOX」は、BuleByteから'98年に発売された「ARCHIMEDEAN DYNASTY」の正統な続編だ。パブリッシャーが異なってはいるが開発チームも同じで、世界観もそのまま継承しており、さらにはプレーヤー扮する主人公まで同じ人物となっている。ちなみにARCHIMEDEAN DYNASTYは「アーキメディアン・ダイナスティ」としてアートディンクから発売されているので、ストーリーを通してプレイしたい人はあらかじめこちらから予習しておこう。

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■ 深海の傭兵エメラルド・デッドアイ・フリントの新たなる冒険

 人類の愚行は留まることを知らず、地球を汚染しきって温暖化を招き、ついには核戦争を勃発させ、陸地は海に没することとなる。こうして人類は海に適応した生活を余儀なくされ、27世紀、海底社会「アクア」は成熟を迎える。
 プレーヤー扮する主人公エメラルド・デッドアイ・フリントは賞金稼ぎ。もともとは戦乱の時代の傭兵で潜水艇のエースパイロットだったが、詳しい過去は謎、現在は「海のゴミ掃除」で食いつないでいる、という設定。
 今回は軍部の大規模な軍事実験が大地震を引き起こし、海底に住む巨大深海生物が人類を襲うようになってしまったという新設定も加わり、巨大クリーチャーも出てくるようだ。

 パッと見、AQUANOXは無機質なアーケード系の3Dシューティングゲームに見えるが、実はアドベンチャーゲームのスタイルを取っている。与えられたミッションをクリアすると、主軸となるストーリーがどんどん進んでいくというゲームシステムになっている。
 そして前作もそうだったが、登場するキャラクター達との会話の駆け引きも重要で、今作AQUANOXでは総勢約70名のNPCが登場し、ストーリーの進行と共にプレーヤーと何らかの関係を持つことになる。

 ミッションは基本的に自分の戦闘潜水艇を操って行なう。コクピットに座った視点、いわゆるFPS系の視点を採用しており(外部視点にも変更可能)、敵に照準を合わせ、これをロックオン、撃ち落とすというオーソドックスなシステムだ。シールドエネルギーを機体の4方向に配分して、敵の攻撃から身を守るというシステムはルーカスアーツの「X-WING & TIE FIGHTER」とちょっと似ている。
 ただ敵をうち倒す破壊任務だけでなく、護衛任務、偵察任務などの全部で30以上のミッションが用意されている。ミッションは基本的には1人で行なうのだが、ストーリーの進行によっては僚機がついたり、味方が現れたりもするようだ。ミッションをクリアすると賞金がもらえ、それでパーツを購入し、自分の潜水艇をパワーアップしていけるシステムは前作と同じだ。

 同作品の制作者は「前回は潜水艇シミュレータを目指したので非常に操作系が複雑だったが、今回アーケードゲームスタイルでとってもシンプル。ショートカットキーはあまり気にせず直観的にプレイできる」とコメントしている。
 実際にプレイしてみると、マウス+キーボードのFPSスタイルを採用していることがわかった。一応、前作と同じように、ジョイスティックやゲームパッドを接続してのプレイも可能という。そして、新フィーチャーとして、嬉しいのはマルチプレイに対応しているという点。デスマッチや旗とり合戦といった、お馴染みのゲームルールの他に、いくつかのAQUANOXならではのオリジナルマルチプレーヤーゲームが用意されるらしい。

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■ GeForce3ユーザーよ、頂点/ピクセルシェーダーを眠らせるな

 グラフィックエンジンには、Massiv Development自らが開発した3Dエンジン「krass」を使用する。FishTankスタッフによれば、もともとDirectX 7ベースで開発されていたkrassエンジンだったがNVIDIAの技術協力の下、1カ月間かけて徹底的にGeForce3にカスタマイズしという。対応フィーチャーに「VertexShaders V1.1 and PixelShaders V1.0」とあることからもハッタリでないことは明らかだ。

 実際に動いている画面で美しかったのは海底や潜水艇、建物に映り込んだ海面の光の揺らぎの表現。これはおそらく海底や潜水艇その他のオブジェクトの頂点の属性に含まれるテクスチャ座標に対して頂点シェーダを適用し、海面のテクスチャやライトマップを参照する仕組みを作り出して実現していると思われる。また、海面から伸びる光筋はボリュームレンダリングによるものだろう。

 そして疑似ラジオシティ表現を行なっている点も見逃せない。ラジオシティ(radiosity)とは相互反射のシミュレーションで、フォトリアリティ(実写品質)を実現するためには、ゲームグラフィクスにおいても今後は無視できない要素だといわれている。CGのくっきりはっきりしたビジュアルはそれだけでリアリティが欠如してしまうが、ラジオシティ技術を使うと、柔らかい、より自然な光の表現が可能となる。相互反射処理は非常に重い処理であるためゲームグラフィックスではなかなかリアルタイム処理が難しいのだが、krassエンジンではこれを擬似的に表現する仕組みを実装しているという。
 今回掲載したスクリーンショットで、柔らかい影の表現や、ほわっとした柔らかい自然光の表現を確認して欲しい。

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□Massive Developmentのホームページ
http://www.massive.de/
□AQUANOX
http://www.aquanox.de/index2.htm

(2001年5月25日)

[Reported by トライゼット 西川善司]

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