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★ PCゲームレビュー ★
コーエーはこれまでに数々の歴史シミュレーションゲームを生み出してきたが、それらの中でも極めて異色といえるタイトルが「太閤立志伝」シリーズだ。史実的つじつまはあまり問題とせず、血風吹きすさぶ戦国時代を実にのびのびと柔らかいタッチで再現し、秀吉の立身出世街道を実にコミカルに描いている。 6月1日に発売される最新作「太閤立身伝 IV」では、戦闘(個人戦と合戦)にカードバトルシステムを導入し、主人公として選択できる武将の数は総勢600名といった具合に、大幅な仕様拡張が図られている。それではさっそくその充実した中身をたっぷり紹介していこう。 ■ コーエー随一の異色作「太閤立志伝」とは?
このあたりは、豊臣秀吉本来の人柄の良さと、コーエー開発陣の秀吉に対する愛がなせる技だが、太閤シリーズでは、そこからさらに一歩踏み込み、余暇の使い方に関しても徹底的にこだわっている。たとえば、「座」で仕事をもらって小銭を稼いだり、信長様から主命のために貰ったお金を転用して大金を稼いだり、あるいは月の知行(給料)を酒屋の賭博で使い果たしてもいいし、道行く人を呼び止めて辻斬り行為を働くことも可能だ。あまりの自由度の高さに、うかうかしていると本来の出世の道も滞りがちになるほどである。しかしながら、「おお、遊びすぎた、いかんいかん」とたびたび反省しながら、出世街道をひた走るいい加減なゲームプレイこそが太閤シリーズの醍醐味なのである。
■ 今回の「太閤」は職業すらも変えられる! 自由放題に楽しめるお気楽なゲーム展開
今回の時代背景は、前作同様、木下藤吉郎の活躍時期(1560年~1600年)とほぼ合致し、ゲームの舞台も北海道を除く日本全図が使用されているため、パッと見では前作との違いがわからないかもしれないが、今回新たに「キャラクター・コレクション・システム」が搭載され、登場人物から「主人公カード」を手に入れることで、木下藤吉郎以外でのプレイが可能となっている。カードの入手方法は千差万別で、親しくなることで貰えたり、特定のイベントや個人戦に勝利することで貰えたりする。中には特定の武将でプレイしないと貰えないものもあって、数回程度のプレイではすべてのカードを集めることはできないようだ。それだけコレクション性も高く、主命や合戦の合間に「主人公カード集めに励む」という本作ならではのプレイスタイルもあり得そうだ。
また、今回は職業も変えられる。従来は、武士というくくりの中で天下人から浪人までの各種身分に付くことができたが、IVでは、武士階級から完全に離れて「商人」「忍者」になることができる。ただし、なるには大名家を出奔する必要がある。 商人になるためには、座に行って「商人入門」を選べばいい。まずは「商人見習い」から始め、商家にて数々の仕事を効率よくこなし、試験に合格することで、「手代」「番頭」「町衆」と出世できる。町衆になるまでは身分上は浪人のままで、町衆になってやっと商人となる。町衆になって独立して店を持ってからが本番。大名の御用商人となって、大名家を裏から間接的に操ることも可能なようだ。これは木下藤吉郎でもなれそうだ。 一方の忍者はなるのがまず難しい。鍛錬(ミニゲーム)の条件がかなり厳しく、鍛錬の難易度を下げる効果のある個人技能に優れた武将でないと、下忍にすらなれない。難易度的には天下人になるより遙かに難しい感じだ。ちなみに忍者プレイでは、暗殺や放火といった謀略活動に従事できるほか、練兵上で鍛えた兵を指揮して合戦に挑むこともあるようだ。くそう、服部半蔵カードはどうやったらもらえるんだろう。 ちなみに、従前どおり浪人のままで辻斬りばかりを狙って金品を稼ぐ、いわゆる「剣豪プレイ」も可能だ。今回は個人戦がカードバトルになって、かなり楽しいプレイスタイルになっているが、個人戦に勝利しても大したものは手に入らず、金銭面で一番苦労しそうだ。が、日本中を行脚するにはこの方法しかないわけで、一度は試してみたいプレイである。う~ん、上泉信綱カードはどうしたら手に入るんだろう。やっぱ倒さないとダメとか?
■ カードバトルで勝つ秘訣を一挙大公開 今回の評価でかなりハマったのがカードバトル。個人戦と合戦でカードの種類および仕様が異なり、どちらもルールは単純ながらどうしようもなくおもしろい。 個人戦は、配られたカードから3枚を選んで、数の合計の多い方が攻撃権を得るルール。攻撃カードには、1から9の数値が描かれており、特定の組み合わせで場に出すことでコンボとなる。コンボの場合、数値を無視して敵に大ダメージを与えることができ、運次第では一方的に勝つこともある(当然、その逆もある)。また、これら攻撃カードのほかに、特殊カードの要素もあって、この優先順位はコンボのさらに上を行く。いわゆる剣豪系の武将は、例外なく強力な特殊カードをたくさん所持しており、それが“個人戦の強さ”になっている。 ちなみに武力は攻撃力、剣術スキルは一度に配られるカードの枚数に適用される。個人戦用のカードがある程度集まってくると、「Magic:The Gathering」にも似た奥深い駆け引きが味わえ、心底楽しくなってくる。おもわず道行く人をことごとく呼び止め辻斬りに挑戦してみたくなるが、辻斬って負けると死ぬので、個人戦は道場でやるか、武将宅におもむき「手合わせ」で対戦をお願いするかしたほうがいいだろう。
一方の合戦は、場に出す前に手札の交換が行なえるポーカーのようなルールになっている。基本的なルールは個人戦と同じだが、合戦ではコンボの変わりに連続した数字3枚の組み合わせ「三連」、同じ数字3枚の組み合わせ「三揃」といった特殊ルールがあることに加え、個人戦に比べてかなりの長期戦になるため、特殊カードの使い方がすこぶる重要になっている。 たとえば、木下藤吉郎なら「水攻め」。合戦では特別ルールとして「秘策」コマンドが使用できる。これは不要な手札を捨てて、好きな特殊カードを1枚引けるというもので、使用回数は「軍学」スキルに依存する。彼の水攻めは、毎ターン、敵の志気を5、城の防御力を2下げる常駐型の特殊カードで、彼の場合、これを絶えず場に出し続けることで、有利に戦いを展開できる。
おもしろいのは、史上合戦で名を馳せた武将は、木下藤吉郎の「水攻め」に匹敵する超強力な特殊カードを所持しており、兵数差では楽勝なのに一方的におされまくることがあることだ。合戦は団体戦ということもあってかなり奥深く、城主以上になって軍団を指揮し出すとさらに楽しくなる。IVでもやはり戦国武将プレイは捨てがたい魅力があるといっていいだろう。
■ イベントにミニゲームに賭博など、お楽しみはまだまだ続く というふうに「太閤立志伝 IV」の内容を詳述していくと、永遠にレビューが終わらないので、ゲームの紹介はこれぐらいにしておきたい。 「太閤立志伝 IV」は、上記のカードバトルのほか、技能修得や訓練の際に遊べる16種類のミニゲーム、酒場で遊べる「おいちょかぶ」「ちんちろりん」「ぴんころ」といった賭博、そのほか座での仕事や評定での主命といった要素もミニゲームとして考えると、もの凄い数のミニゲームが収録されている。ある意味ミニゲームの集合体が「太閤立志伝 IV」だといっても過言ではないが、全体をカードシステムでうまく統合しており、ゲームとしてのまとまり具合は実に見事といっていい。
それにしてもやっと大名まで成長し、あともう少しでクリアという段階で、カード収集率10%という「ホントですか?」と質問したくなるような底なしの奥深さは、最近のゲームにはなかった要素だ。ゲームの雰囲気に即した心地いいBGMも必ずや気に入るはずだ。ぜひ数多くのゲームファンに楽しんで貰いたい傑作である。
(C) 2001 KOEI Co., Ltd.
□コーエーのホームページ http://www.gamecity.ne.jp/ □「太閤立志伝 IV」の公式ページ http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/new/taikou4/index.htm □関連情報 【5月18日】本日到着! DEMO & PATCH~2001年5月18日版~ http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010518/demo0518.htm (2001年5月24日)
[Reported by 中村聖司] I |
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