Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート

PlayStation2のオンライン構想の一端が明らかに…
~ネットワークアダプタや、液晶モニタなどを公開~

会期:5月16日(現地時間)

会場:Los Angeles Center Studio

 SONY COMPUTER ENTERTAINMET AMERICA(以下、SCEA)は、16日午後にロサンゼルス市内で報道関係者に向け「E3 2001 PRESS CONFERENCE(プレスコンファレンス)」を開催。2001年度のビジネスプランや、新作タイトル、そしてオンライン構想に向けたパートナーシップや、ネットワークアダプタとする周辺機器など、その一端を明かにした。


 ネットワークアダプタは、56Kモデムとイーサネットのコンボ

 およそ二時間におよんだコンファレンスを締めくくったのは、PlayStation2(以下、PS2)のオンライン構想。北米市場では、昨年のE3で行われたPS2のラウンチ時からすでに拡張スロットを利用したハードディスクの搭載と、ブロードバンド接続を前提としたネットワークサービスの構想を明かしていたが、一年を経て、より具体的な方向性を打ち出した。SCEAが目指すPS2ネットワークのフルサービスは2002年の完成を目指しているが、オンラインゲームについては今秋からスタートが切られる。

 SCEAの社長でCOOを務めるKAZUO HIRAI氏は、ソニーがリビングルームにおけるトップブランドであることと、PS2がその中心的な役割を果たすということを改めて強調した。そのうえで、マーケットとサービスの確立には多くのパートナーとのコラボレーションが重要とし、インターネット利用のさまざまな局面で中心的な役割を果たしているいくつかの企業とのパートナーシップをアナウンスした。

 SCEAが戦略的パートナーとして選択したのは、AOL、Real Networks、Macromedia、そしてCisco。まず、AOLとの提携でPS2にAOLのクライアントとインスタントメッセンジャー、チャット、E-MailそしてNetscape Browserを導入する。また、Real NetworksのReal Player8とMacromediaのFLASHは、いずれもインターネットのなかで標準的な仕組みになっている技術として評価。さらにCiscoとは、現在のIPv4技術を皮切りに、将来的にはIPv4/IPv6のマルチプロトコル導入までを視野に入れたパートナーシップが結ばれているという。

 PS2に取り付けるネットワークアダプタは、北米市場で11月に39.95ドルで出荷。56Kモデムと10/100BaseのEthernet機能の双方が同時に搭載されているのが特徴だ。ナローバンドとブロードバンドの過渡期ともいうべき現状で、最良の選択をしたということだろう。同時に出荷される40GBクラスのハードディスクの価格は未定のままだ。

 意外なオプションとして、XGAの解像度に対応する液晶ディスプレイも披露された。これはキーボードやマウスと一緒に2001年冬の出荷とされているが、詳細に付いては後日あらためてアナウンスされるという。

 ここで発表された構想や製品は、あくまで北米市場をターゲットとしたもの。日本市場がどうなるかについては、一切言及されていない。しかし、細部にこそ市場間での差異はあっても、基本路線としては日本市場でも同等の展開が行われるものと予想される。

AOLとの戦略的パートナーシップ。E-Mail、インスタントメッセージ、チャットなどを統合するAOLクライアントがPS2に…。日本でもこれまでのSCEIとDoCoMoとの関係を考えれば、ドコモAOLとの提携というのが妥当な選択肢なのだろう。 北米で販売されるネットワークアダプタの詳細。日本よりはブロードバンド環境の先進国であるアメリカですら、56Kモデムを排除できないという選択だ。ブロードバンドが立ち遅れる日本においては、その存在が一層重要になる。 ネットワークアダプタを披露するSCEAのCOO、HIRAI氏。北米のPS2は国内のSCPH-30000と同等の拡張スロット仕様だけなので、アダプタは一種類だけですむ。
スクリーンで紹介されるネットワークアダプタ。hddの文字が見えるが、ハードディスクとは別個の製品として扱われるようだ。右側には56KモデムとEthernetポートが見える。 ネットワークアダプタの取り付けイメージ。アダプタは、ハードディスクユニットの固定も兼ねている様子。インターフェースは、拡張スロット上部に用意されている。 縦置きにして、キーボードとマウス、さらに高解像度の液晶ディスプレイを備えた様子は、まるで省スペースのデスクトップパソコンのようにも見える。
ファーストパーティ、サードパーティからリリースされるオンライン対応ゲーム。米国市場で実績のある人気シリーズのものが目立つが、日本で馴染みが深いものは少ない。 オンライン対応のゲームのなかで、唯一デモが披露されたのは「SOCOM」。米国海軍の特殊部隊SEALsをテーマにしたアクションゲームだ。 オンラインサービスで提供される各種コンテンツ。PS、PS2のゲームタイトルやデモ、音楽、ビデオの配信などが挙げられている。


 注目の新作タイトルとクリエーターが続々ステージに

 コンファレンスの大半は、北米市場を中心としたマーケティングリポートと、新作タイトルのプレゼンテーションに割かれた。注目すべき個々のタイトルについては、明日以降に画面写真とともに取り上げていくことにするが、ステージには続々と日本のクリエーターが登場して、新作のプレゼンテーションを行ったので、いくつか紹介する。

 日本では7月19日に発売となる「FINAL FANTASY X」。プロデューサーの坂口博信氏は、会場には直接姿をみせず、ビデオ映像でのプレゼンテーションとなった。上映された映像は、ムービーシーンを中心としたものだったこともあり、特に映像の美しさについてさかんに場内から喝采がわきおこった。このとき同時に、今夏公開の「FINAL FANTASY MOVIE」の映像も披露されている。

 カプコンの三上真司氏は、新作の「Devil May Cry」を披露。RESIDENT EVILとして海外での評価が高い「BIO HAZARD」シリーズを作るクリエーターの新作だけに、その期待はそのまま歓声と拍手へと変わった。コナミからは、「サイレントヒル2」と「メタルギアソリッド2」がそれぞれプレゼンテーションされた。メタルギアソリッド2をプロデュースする小島秀夫氏は、みずからがハンドキャリーで持参したばかりという最新ビデオ映像を公開。海外での評価と人気が高いシリーズだけに、これまたさかんに歓声を浴びていた。

 なお、海外タイトルでは、クラッシュバンディクーを作り上げたNAUGHTY DOG社の新作「JAK & DAXTER」や、Electoronic Arts社のMADEDEN 2002、NBA Streetなどのタイトルがインタラクティブにデモンストレーションされている。

あのクラッシュバンディクーを作り上げたNAUGHTY DOG社の新作「JAK & DAXTER」。展示会場近辺では広告展開にも力が入っており、SCEA側の人気キャラにしたいという思いが伝わってくる。ゲーム内容は、クラッシュ風のアクションゲーム。 新作「Devil May Cry」をプレゼンテーションするCAPCOMの三上真司氏。アクションのカッコよさにもこだわりがあるという。お気に入りの、剣で切り上げて空中にいる敵を銃で乱射するアクションは、自ら実演!? SQUAREのFINAL FANTASYをプロデュースする坂口博信氏は、ビデオによるコメント。場内には、FINAL FANTASY Xと、今夏に公開されるFINAL FANTASY MOVIEの映像が流された。
2001年3月時点での、製造ベースのマーケットシェア。プラットホームごとに、様々な形でこうした資料が開示されるが、調査方法やサンプリングの基準にも違いがあって、各社それぞれに異なる数字となっているケースが多い。 PS One向けのLCDディスプレイには、149ドルの上位モデルも存在する。出荷時期は通常仕様と同じ2001年11月。価格差は20ドルなので、市場の性格上、日本なら多くのユーザーが上位モデルを選択するようにも思えるのだが…。価格差20ドルの存在意義は? PS2の北米での今夏のプロモーションは、PEPSIとTOMB RADERのLaraとともに。
マーケティングリポートでは、さまざまなリサーチデータが開示された。 全世界におけるPSの累計出荷台数は、三月末の時点で8,223万台。PS2は1,000万台を超えている。 北米では、昨年10月のラウンチから三ヶ月でおよそ50のPS2タイトルを出荷。すでに、三月末までには80タイトルが出荷され、年末までに280タイトルの登場が期待される。


□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/

(2001年5月17日)

[Reported by 矢作晃(akira@yahagi.net)]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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