大幅な機能拡張を行なった決定版 「アドバンスド大戦略 2001」

会期:4月14日(土)~15日(日)

会場:Zepp Tokyo



 GameJamでは、第二次世界大戦におけるドイツ第三帝国の興亡を永遠のテーマとしたセガの人気シリーズ「アドバンスド大戦略」の最新作「アドバンスド大戦略 2001」も出展された。あいにくデモ機は、常に次のステージを待つ人混みで充満しているメインステージ近くという大変試遊に不向きな環境に位置していたが、'91年のメガドライブ版の発売以来、数多くのユーザーたちに愛されてきた長い歴史と伝統を持つタイトルの最新作だけあって、多くの軍事ファンたちがモニタにシビアな目を向ける姿が見られた。DC版「アドバンスド大戦略 2001」(以下、「2001」)は、4月26日の発売を予定し、価格は7,800円。


■ファンの意見を元に全方位的な改良を施した文字通りアドバンストな“アドバンスド”

前のDC版と比べゲーム画面の文字が読みやすくなっている
 少し余談になるが、メガドラ版、サターン版、PC版、DC版と、セガ機およびPCで展開している同シリーズ。この中で一番快適に遊べるのがPC版であるということに異論を挟む人はいないだろう。PC版の1,600×1,200ドットクラスの高解像度表示でのプレイは、まさしく机上に置かれた師団展開図を見下ろしながら指揮を執る軍団長の気分になれる。

 要するに、広大な戦場に展開した自軍部隊を一望に収めながら執る指揮にPC版ならではの醍醐味が隠されているわけだが、「2001」ではこの点を大幅に見直し、DC版をベースに、全体を一目で見渡せる縮小マップを追加したほか、使用フォントを一回り小さくし、ステータス表示部分の各パーツにも修正を加え、戦場マップを大幅に見やすくしている。

天候変化を3Dグラフィックで再現。左が砂嵐、真ん中が嵐、右が吹雪。ティーガーIIには、やはり吹雪がよく似合う

ムービー再生時は、多くのユーザーが集まっていた
 DC版最大の醍醐味であるフル3Dで表現される戦闘処理シーンも大幅に強化された。具体的には、天候の変化が画面効果としてキチンと表現されるようになり、晴れ、曇り、雨、嵐、雪、吹雪、砂嵐と、起伏に富んだ戦場模様をリアルに再現してくれる。さらに今回は、大戦末期に実戦配備される史上初の超音速ミサイル「V2」の発射/攻撃シーンも完全再現したとのことだ(画面は本文の最後に掲載)。なお、デモ機ではオープニングムービーを通しで全部見たが、これが素晴らしい出来だった。

 平野部をばく進するティーガー隊が、市街地に身を潜める敵戦車部隊に対して戦闘を開始し、敵の主砲弾を正面から跳ね返しつつ、88mm主砲で次々に敵戦車を撃破していくといった内容で、街並みの美しさ、空の鮮やかな蒼さ、木々の描き込みの細かさ、戦車砲発射時の凄まじい白煙、砲塔の取れた敵戦車から立ち上る黒煙などが強く印象に残っている。5分以上はあったように記憶しているが、いやはや恐ろしく手間暇の掛けられたオープニングムービーである。

オープニングムービー。これはモノトーン調の画像になっているが、GameJamで見た映像はフルカラーだった


日本の旗が煌めくIFシナリオ
■追加シナリオは日本軍が参戦! 同盟国への武器の供与が可能に

 「2001」で追加されるシナリオは「本土防空作戦」「1941~1944」「ケルベロス作戦」「マルタ島救出作戦」など十数本。このうち一部はキャンペーンにも組み込まれ、IFシナリオでは日本軍が同盟国として参戦してくるとのこと。そのIFシナリオの舞台とは、イルクーツク、パナマ、マダガスカルなど。本シリーズのカバーする地域はますます広がっている。

日本軍は陸海空三軍揃っての参戦となる模様。2001での日本軍兵器の性能が気になるところだ

これが供与コマンド。使うタイミングに頭を悩ませそうだ
 追加ルールも際だった内容のものが多い。まずひとつめは、新コマンド「供与」。このコマンドを使えば、手持ちのユニットを同盟国に与えることができる。東部戦線におけるルーマニアや、アフリカ戦線におけるイタリアなど、従来、あまり活躍してくれなかった同盟国が自由に強化できるのはありがたい限りだ。ただし、供与した部隊は二度と帰ってこない。

 ふたつめは、夜間における航空機の扱いに新ルールが加えられた。夜間の離着陸の危険さを再現するため、一定の確率でダメージを受けるようになる。また、経験値が100未満の部隊は夜間は発進できなくなる。これにともない、陸上部隊同様、航空機も「収納」しなければ補給が受けられない仕様に修正された。

 3つめは、これまで無個性だったコンピュータAIに、将軍の性格要素を加味して、個性的な行動を取るようになった。デモ機ではこの辺りをキチンと見ておこうと思ったのだが、初級演習シナリオをデモ出展していたため、まったく見ることができなかった。リリースによれば、ロンメルは果敢に攻撃する一方、工事を怠りがちらしい。ということは、攻撃をためらうAIもいるだろうから、なんだか少し大変なことになりそうに思うのは私だけだろうか?

かなり厳しめの夜間ルール。よりリアルな戦闘戦術のためとはいえ、収納に1ターン使うのは痛い。これはかなり戦術に変化が出そうだ

 上記のほかにも、キャンペーンで所持できる最大ユニット数が256から326まで拡張されたほか、メールにセーブデータを添付して交互に送付しあう、メール対戦にも対応した。対戦プレイのみならず、コンピュータを相手にした協力プレイも可能と言うことだ。

 というわけで、ますます重厚長大路線をまっすぐに突っ走った印象の「アドバンスド大戦略 2001」だが、上記の拡張に加え、さらに「マップエディター」が付属する。前作DC版をプレイしたしないに関わらず、戦史に興味のある人ならぜひプレイしてもらいたい決定版である。

これがV2の発射シーン

(C)SEGA CORPORATION, 2001 ORIGINAL GAME (C)SYSTEMSOFT.

□「アドバンスド大戦略」シリーズの公式ページ
http://add-dc.dricas.ne.jp/

(2001年4月14日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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