★ PCゲーム ファーストインプレッション ★

あの名作ゲームが、今度はリアルタイム3Dで再登場!!
リアルミスト完全日本語版

  • ジャンル:3Dアドベンチャーゲーム
  • 発売元:CYAN (マイピック)
  • 価格:6,980円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:12月23日

【ゲームの内容】

 7年前に美しい映像で評判となったアドベンチャーゲーム「ミスト」を、完全3Dグラフィックスでリメイクした作品。画面に登場するすべての物体が緻密にモデリングされ、サウンドやムービーも一新された。マップの中を移動し、自由に視点を変えながら「ミスト」の世界を楽しむことができる。




 あの「ミスト」の世界を歩く

 グラフィックアドベンチャーゲームに画期的な進化をもたらした「ミスト(MYST)」が登場したのは、いまから7年前の'94年2月のこと。当初はMacintosh版としてリリースされたが、その後まもなくWindows版にも移植され、全世界で実に600万本の売り上げを記録した。当時ようやく普及し始めたCD-ROMを媒体にして、大量の、そして緻密に描かれた映像を惜しげもなく使った「ミスト」は、その後のアドベンチャーゲームに少なからぬ影響を与えることになった。デフォルメされていないスーパーリアルな世界をドラマの舞台にしたこと。そして言葉ではなく行動で謎を解いていくシステムは、現在のアドベンチャーゲームの基礎を築いたといってもいいだろう。また当時は「ミスト」をプレイしたいがためにCD-ROMドライブを購入したユーザーもいたほとで、ゲームメディアがフロッピーディスクからCD-ROMへと移行する流れを加速する役割も果たしたのではないかと思う。

 旧作では、他のアドベンチャーゲームと同じように、すでにレンダリングした絵を切り替え各シーンが独立した1枚の絵で構成されていたが、「リアルミスト完全日本語版」ではこの世界を丸ごと3D化し再構築し、自由に動き回れるようになった。視点の変更も自由自在で、足元を覗き込んだり、周囲をぐるりと360度見回すこともできる。ストーリーや謎解き部分は旧作をそのまま踏襲しているものの、舞台を3D化することによってよりダイナミックに楽しめるようになったというわけだ。

時空の裂け目を通って「ミストの書」が落ちていく プレーヤーが「ミストの書」を手にとり、開くところからゲームが始まる 謎解きの舞台となるミスト島。リアルタイム3Dで描かれている


 動きはスムーズ、映像も超美麗!!

島にはさまざまな建物があるものの、人影はない。無人島のようだ
 しかし、そうなると当然気になるのが処理速度。どんなにシステムが素晴らしくても、鈍重でぎこちない動きになってしまっては、ゲームを楽しむことはできない。「リアルミスト完全日本語版」の動作はどんな感じなのだろうか?

 今回筆者が利用したパソコンはAthlon 750MHz + GeForce MXという構成だが、プレイはとても快適だった。移動や視点の変化もスムーズで、ストレスはまったく感じない。静止画をなんとかフルカラー表示していた時代から、わずか数年でこんなにグリグリと動かせる時代になったのかと思うと、さすがにちょっと感動する。旧作の「ミスト」をプレイしたのはだいぶ前なので正確な比較はできないものの、32ビットフルカラーで描かれた「リアルミスト完全日本語版」の映像は、かつて使われていた静止画よりも美しく感じるほどだ。移動にともなうズームアップも滑らかで、ぎこちなさはない。地面や建物のくすみ具合やうっすらと霞む遠景、波打つ海面の描写も見事だと思う。

 ただしところどころ……何らかの謎が仕掛けられているであろう部分に来ると、突然ハードディスクへのアクセスが発生し、その間マウスの反応が鈍くなることがある。次の展開に備えて大量のデータを読み込むのだから当然といえば当然のことだが、今回プレイしていて唯一気になった点だ。

手に入れた資料を読む。そこに書かれていた内容は? 島の地下室で立体地図を見つけた ドーム型の建物の中はプラネタリウムになっていた


 奥行きのあるサウンドがプレイを盛り上げる

 「リアルミスト完全日本語版」では、映像だけでなく効果音やBGMもリメイクされている。もっとも大きな変化は、4スピーカー対応の立体音響が使われているということ。対応のサウンドカードに4スピーカー、もしくは5.1ch対応のヘッドフォンを使うと、まるでその場に立っているかのような感覚を楽しむことができる。もちろん、2スピーカーでもかなりの奥行きを感じるはずだ。謎解きを進める上でさまざまな音が重要な意味を持つゲームだけに、ぜひ良好なオーディオ環境でのプレイをおすすめしたい。


 架空の島「ミスト島」の謎を解け

日付けと時刻を入力すると、そのときの夜空が表示されるのだが?
 ここで、「リアルミスト日本語版」の設定とストーリーについて、ざっと説明しよう。このゲームは、プレーヤーである「あなた」が「MYST」と題された1冊の本を手にするところから始まる。その本を、いつ誰が何の目的で記したのかはわからない。どうやら架空の島について書かれていることだけはわかったのだが、それがどんな意味を持つのかも不明だ。

 「とりあえず読んでみるか」とページを繰った刹那、「あなた」は自分を取り巻く世界が暗闇に消えるのを感じ、次に意識を取り戻したときにはその架空の島「ミスト島」に佇んでいた。何がどうなったのかわからないまま、とりあえずこの島を探索するところからプレイは始まる。島には人影がなく、完全な無人島らしい。にもかかわらず、怪しげな建造物や宇宙船までもが用意されている。「あなた」はこの島から脱出して、元の世界に戻ることはできるのだろうか? いったいなぜこの島に引き寄せられたのか? 「MYST」は誰が何のために書いたのか? 島での謎解きを続けるうちに、隠されていた謎が少しずつ明らかになる。

 シナリオには一応はエンディングが用意されているものの、そこにたどり着くことだけがこのゲームの楽しみ方ではない。謎解きに直接関係ないトリックもたくさん散りばめられているので、それを見つけて楽しむのもよし。気に入った風景を探すのもよし。プレーヤーが自分の思うがままに行動し楽しみ方を発見していくのが、この「リアルミスト完全日本語版」の醍醐味だろう。

時間とともに周囲の景色も変わる。まもなく夕暮れだ 島の端にはレトロなスタイルの宇宙船が。動くのだろうか?


 正統派アドベンチャーゲームの進化形として

 とても味のあるゲームだ。くすんだ色づかいや、奥行きのある風景が美しい。時間の変化と共に変わる空や海の色も綺麗だ。仕掛けられている謎は少々難しく感じるときもあるが、しかし延々悩むというほどではない。ほどよい難しさで、ちょうどいいドキドキ感やワクワク感が楽しむことができた。プレーヤーの視点で世界を眺め、謎を解きながら一歩ずつ進む正統派スタイルのアドベンチャーゲームのもっとも進化した形が、この「リアルミスト完全日本語版」だと思う。旧作を知っている人にも、そして知らない人にも、ぜひ一見をおススメしたい。


(C)2000 Mattel Interactive, a division of Mattel, Inc., and its licensors.(C)1993, 1997, 2000 Cyan, Inc. All rights reserved. Myst and Cyan are registered trademarks and realMYST and The Adventure Becomes Real are trademarks of Cyan, Inc.(C)2000 SUNSOFT For Sale In Japan Only. Mattel Interactive is a trademark of Mattel Interactive. All other trademarks are the property of their respective owners. USE OF THIS PRODUCT IS SUBJECT TO CERTAIN RESTRICTIONS AND LIMITATIONS OF WARRANTY UNDER THE THE LICENSE AGREEMENT CONTAINED HEREIN.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II/Celeron 300MHz以上
  • メモリ:64MB以上
  • HDD:300MB以上
  • CD-ROMドライブ:6倍速以上
  • ビデオカード:DirectX7.0以上に対応しVRAM 4Mバイト以上搭載した3Dビデオカード必須


【筆者紹介 駒沢丈治(こまざわじょうじ)】
    「リアルミスト完全日本語版」をプレイしているうちに、CD-ROM黎明期だったころの作品を思い出した。そう、たとえば「スペースシップウォーロック」とか「ガジェット」とか。いま思うと、あのころのPCゲーム(というか正確にはCD-ROMゲーム)には独特の雰囲気があったと思う。たった6~7年前の話だというのに、妙に昔のことのように思えてならない。


□マイピックのホームページ
http://www.mediaquest.co.jp/
□「リアルミスト完全日本語版」の製品紹介ページ
http://www.mediaquest.co.jp/hot2/myst_c.html
□CYANのホームページ
http://www.cyan.com/

(2000年12月22日)

[Reported by 駒沢丈治]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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