★ ファーストインプレッション ★

ファンタシースターオンライン

  • ジャンル:ネットワークRPG
  • 発売元:セガ (ソニックチーム)
  • 価格:6,800円
  • 対応プラットフォーム:Dreamcast
  • 発売日:12月21日

【ゲームの内容】

 未知の惑星を舞台に繰り広げられるネットワークRPG。一人で遊ぶことも可能だが、ネットワークに接続することで他のプレーヤーとパーティを組んで冒険を楽しむことができるなど、これまでのコンシューマゲームでは味わえない楽しみを追求している。




 ハマった……「ファンタシースターオンライン (以下PSO) 」をプレイして、感想を言い表すなら、この一言につきる。「ファンタシースター」シリーズの最新作がDreamcast (以下DC) でリリースされることが伝えられ、それがネットワーク対応になると聞かされて興味を持ち、今年の春の東京ゲームショウで映像展示を見て以来「今年はこれしかないっ!」と方々で言い回ってから半年。11月中旬から実施されていたトライアル公開にも参加し、自分の勘は間違っていなかったことを実感した。このゲームは“スゴイ”。

自分よりも大きな敵に向かっていかなければならないことも。ただし、彼女は身長を最小に設定している レンズフレア処理や水しぶき、草を踏み分ける様子など、細かいところまで描写されている


 未開の惑星を他のプレーヤーと共に冒険

セントラルドーム付近に来たが、辺りは不気味なほどに静まりかえっている。あの中にパイオニア1の人々がいるのだろうか?
 人類が、疲弊した母星を捨てて移民を決意した遠い未来。無人探査船が発見した惑星ラグオルは、人類の生存に必要な条件を満たした楽園かに思われた。先遣隊であるパイオニア1が大規模なテラフォーミングをほどこし、人類進出の礎となるセントラルドームを建設。7年の月日をかけて、本格的な移民団パイオニア2を招聘。しかし、パイオニア2がラグオル軌道上に達したとき、セントラルドーム付近で謎の大爆発が発生し、パイオニア1のメンバーとの通信も途絶してしまう。事態を重く見たパイオニア2評議会はラグオル地表への有人探査を決定。そのメンバーの一人に選ばれたのが、プレーヤー自身の分身であるキャラクタというわけだ。

 このゲームはアクションRPG。3Dのフィールドを駆け、敵とリアルタイムに戦いながら進んでいく。探索エリアは森から洞窟、坑道というように徐々に増えていき、それぞれに野生動物や怪物化した生物、ロボットなど、エリアに応じた敵が登場する。3Dで描かれているためモンスターとの身長差やスピードも画面内で実感でき、特に各エリアの最後にいるボスキャラの大きさには圧倒されることだろう。剣や銃、魔法に相当するテクニックなどの効果も多彩で、剣は種類ごとにリーチが異なるなど、従来のRPGでは表現しづらかった部分までが見事に再現されている。アクションゲームとRPG、それにネットワークの長所をうまく活かしたシステムは、さすがにソニックチームといったところだろう。もちろんネットワークに接続していない人でも遊べるオフラインモードも用意されている。

 楽しいのがキャラクタークリエイト。名前や種族、職業はもちろんのこと、髪型や服装、顔などが数パターンから選択でき、顔の色はRGBを変更して自由に設定可能。身長や体型も、モーフィングを利用して無段階に調整できるなど、きわめて自由度の高いキャラクタークリエイションを楽しむことができる。こだわりと愛情を持って、自分の分身であるキャラクター作りに臨もう。きっと、長いつきあいになるはずだから。種族や職業の組み合わせによるキャラクタは全部で9種類。それぞれに特性が異なるので、ビジュアルで選ぶか特性で選ぶか、頭を悩ませることになるかもしれない。

こんな極端な体型も作れる。普通はこんな体型でプレイしたいとは思わないかもしれないが、発想次第では…… 色違いのキャラクターでお出迎え。こんな場面に出会えるかもしれないし、自ら作り出すこともできるかもしれない みんなでライフルを構えてポーズ

どこかで見たような名前の面々。体型や、メガネなどの小物にまでこだわったキャラメイクには脱帽するばかりだ。自由な発想があれば、楽しさはいっそう広げることができる。それがPSOだ パイオニア2の総督タイレル。自分からは語らないが、彼の一人娘リコはパイオニア1に搭乗し、行方不明になっている マップの各地に残されたリコのメッセージ。彼女の足跡を追うことが、パイオニア1の謎に迫るためのポイントになる


 難易度が変わるクエストも充実

 ゲームの本筋から離れた、いわゆるクエストも存在する。キャラクタが所属しているハンターズギルドからの依頼がそれで、依頼の内容や報酬などを見て、どれを受けるかを決めていくことができる。本筋から離れた、といっても、随所にヒントのような謎が散りばめられているし、序盤のクエストはチュートリアルになっていて、操作方法や攻略のコツなどをつかむことができるようになっているので、積極的に依頼を受けていくようにするといいだろう。ちなみにオンラインモードとオフラインモードでは内容も異なるほか、新たなクエストをダウンロードしてプレイすることもできる。シナリオデータを一括してダウンロードするシステムなので、新たなクエストが公開され続ける限り、いくらでも冒険を楽しむことができるのがうれしい。

 また、一度ゲームをクリアしても新たな難易度がプレイできるようになるので、再挑戦が可能になる。難易度が上がると敵が早く、堅くなるが、得られる経験値は多く、出現アイテムは強力なものが多くなる。ハイリスク・ハイリターンのハードモードは、なかなか噛み応えがありそうだ。

最初は依頼の数も少ないが、依頼の達成状況やダウンロードなどによって新たな依頼が追加されていく 攻撃方法やロック解除など、基本的な進め方を教えてくれる最初の依頼「戦いのいしずえ」
召喚魔法にあたるフォトンブラスト。敵の攻撃などによって蓄積したエネルギーを一気に放出して発動する、強力な攻撃手段だ 表情や色、各種のアイコンなどを組み合わせてシンボルを作る。もしかしたら、思いもつかなかったような利用方法もあるかもしれない


 5カ国語を自動翻訳する“ワードセレクト”

 現在、コンシューマ機で唯一モデムを標準装備し、インターネットへの接続を身近なものにしたDreamcast。当初からモデムに対応したソフトはリリースされてきたけれど、PSOはその決定版ともいうべきアクションRPGだ。これまでのコンシューマゲームと決定的に異なるのは、PSOが世界規模で発売され、全世界のプレーヤーが冒険を共有できるという点につきる。「ウルティマオンライン」や「EVERQUEST」など、PCをプラットフォームとするゲームには世界規模のものも多数存在しているが、コンシューマでは世界初、そして、マウスをメインデバイスとするPCよりも高いアクション性が期待でき、日本語が使用可能という点でも、PSOは他のタイトルとは大きな違いを持っている。

 言葉に関しては、日本語版のほか英、仏、独など5カ国語版がそれぞれ発売され、ワードセレクトと呼ばれる単語を拾い集めて会話する入力モードを使用すれば、他国語へも瞬時に変換して送られるなど、言葉の壁を意識した機能も搭載されている。さすがに全ての会話を自由に変換するわけにはいかないが、これまでためらわれていた海外のプレーヤーとの冒険も、気軽にできるようになるだろう。オフラインでも、また、オンラインでも作ったチーム (部屋) にパスワードをかけて1人でプレイすることもできるけれど、それはせっかくの機会を棒に振っているようなもの。ネットワークに接続し、冒険の入り口となるビジュアルロビーに集っている他のプレーヤーに、思い切って話しかけてみよう。その瞬間に、新たな仲間が誕生するはずだ。

洞窟内の空中を浮遊するクラゲのような生物。襲ってくるでもなく、ただ浮遊している。近づきすぎると消えてしまう、癒し系の生物 合体生物バンアームズ。分離すると攻撃力が高く、合体中は防御力が高いという、やっかいな相手だ 巨大な腕を振りかざし、高い攻撃力をほこるヒルデベア。できれば正面から対峙するのは避けたい相手だ

 会話について、もう少し触れておこう。PSOでの会話方法にはいくつかの種類がある。まず、前述のワードセレクト。たとえば「武器/防具/道具」から「武器」、「ほしい/あげる」から「ほしい」、「!/?/。」から「?」を選べば「武器ほしい?」と質問になる。最後を「!」にすれば「武器ほしい!」と要求になる。ロビーでの挨拶や戦闘中のかけ声など、さまざまなパターンが登録されているので、これだけでもかなりの会話が成立するし、なによりも同時翻訳されるのは、このワードセレクトによる会話だけだ。

 次にソフトウェアキーボード。ドリームパスポートなどでもおなじみのシステムで、英/かな/カナなどを切り替え、文字を拾って言葉にする。漢字変換もできるし、自由に会話文を作れるが、入力に慣れないと時間がかかるのが欠点だ。
 逆に、別売りのキーボードによる入力はカナ/ローマ字のいずれにも対応しているので、チャットでは便利だろう。ただ、キーボードを購入する必要がある。

 よく使う言葉をショートカットに登録しておくこともできる。登録できるのは、方向キーとRボタンの組み合わせて8種類と、キーボードのファンクションキー12種類。戦闘中など、入力の手間を省きたいときに効果を発揮する。
 そして、最後がシンボルチャット。文字のチャットで、よく「(^_^)」や「(;_;)」などの顔文字が使われるが、それをグラフィカルにしたものだ。事前に登録されているものもあるが、顔のパーツやハートマークなど、さまざまなアイコンと色を組み合わせて表情を作り、登録することができる。これだけで、海外のプレーヤーとでも簡単な意志の疎通は十分に可能だ。

 おわかりだろうか? PSOが「会話する」ことに、これだけ重点を置いているということが。そして、文字やシンボルだけではなく、PSOには画面内に自由に動けるキャラクタがいる。これは、すなわちPSOが極めて優秀なコミュニケーションツールであることを意味している。
 たとえば、こんなシーンを想像してみてほしい。「わーい、わーい」とはしゃぎながら駆け回る子供と「まちなさい!」と追いかける母親、そして、それを見つめる父親 (シンボルは(^_^)こんな感じだろうか) 。PSOとは全く関係ないけれど、これまで文字のチャットでは不可能だった表現が、PSOのシステムの中では簡単にできてしまうのだ。ゲームの枠に囚われない自由な発想があれば、PSOは十分、その受け皿になってくれる。
 ただのアクションゲームやRPGなら、これまでにもあった。ネットワークゲームもたくさんリリースされた。日本語チャットのできるソフトもあった。けれど、PSOはその全てを包含し、そしてPSOでしかできない体験を与えてくれる。

最初に出会うボスキャラのドラゴン。火を吐く、空を飛ぶ、地面に潜る、踏みつけると、多彩な攻撃でプレイヤーを苦しめる
洞窟エリアで出会う第2のボス、デ・ロル・レ。長い触手や遠距離からのレーザー、落石など、攻撃パターンは多彩。銃など遠距離攻撃のできる武器がないと、長期戦になるかもしれない


 ブロードバンドアダプタにも対応

 人が相手のことだけにトラブルも出るもしれない。それでも、CPU相手では決して得ることのできない楽しさと感動を、このゲームは与えてくれる。約1カ月のトライアル期間中、寝食を忘れて200時間を超えるほどプレイに没頭してしまったPSO。こんなにも1本のゲームにのめり込んだのは「ウィザードリィ#1 (APPLE II版) 」以来といってもいいかもしれない。

 もしもPSOに興味を持って、触れてみたいと思う方はくれぐれも寝不足と電話代にはご用心を。CATVやフレッツISDN、ADSLなどブロードバンドアダプタを利用できる方は、早めに注文しておいた方がいいだろう。すでに、トライアル参加者によって、ブロードバンドアダプタは品薄状態が続いているという。これまでは非公式対応だったが、先日公式に対応が発表されたので、この状態はしばらく続くかもしれない。そして、この状況こそがPSOの面白さをなによりも明確に表しているのではないだろうか。アクションゲームとして、RPGとして、コミュニケーションツールとして楽しいPSO。月400円の接続料 (3カ月前納で1,000円。接続開始から30日は無料) には賛否が分かれるかもしれないが、断言しよう。400円なら安い。

洞窟内で上下しているピストンに踏まれた決定的瞬間。タイミングを見計らえば、こんなことにはならないのだが…… 坑道エリアでは、工作用のロボットが襲ってくる。パイオニア1が持ち込んだ機械が、なぜ襲ってくるのか。謎は深まるばかりだ 地下水脈が作り出す幻想的な虹の下、それでも敵は容赦なく襲いかかってくる

(C) SEGA / SONICTEAM, 2000.


【筆者紹介 山城 宏】
     「アローン・イン・ザ・ダーク」や「トゥームレイダー」、「メタルギアソリッド」など3Dゲームの好きな自分ですが、根底にあるのは「ウィザードリィ」。今回のPSOは、それに勝るとも劣らない、まさに傑作だと確信します。一人でも多くのプレーヤーに、この面白さを知って欲しいと思います。また、今回の画面写真にはPSOのトライアルで知り合った「みるくちゃん (Milk-chan) 」並びに被写体のみなさんにも協力して頂きました。この場を借りて御礼申し上げます。


□セガのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□ソニックチームのホームページ
http://www.sonicteam.com/
□「ファンタシースターオンライン」のページ
http://www.sonicteam.com/pso/index2.html

(2000年12月20日)

[Reported by 山城 宏]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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