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会場:コーエー本社
今回のお披露目会は、同作の運営を担当するCJインターネットジャパンの3月5日の正式発表を受けて開催されたもので、開発担当者から拡張パックの企画コンセプトや概要が紹介されたほか、メインコンテンツとなる12対12で争われる大規模バトルコンテンツ「乱戦」の24人対戦がお披露目された。 「神将乱舞」は、3月17日リリース予定で、コーエーの拡張パックとして初の試みとなる「ダウンロード配布限定、完全無料」という、言い換えれば定期アップデートの大型版という形式ですべてのユーザーに無償提供される。
■ オンラインゲーム大手コーエーならではの成熟した大型アップデート「神将乱舞」
同社では、「拡張パックなのだから当然有料」という意見と、「基本プレイ無料のゲームなのだから当然無料」という真っ向から対立する2つの意見があるなか、最終的に無料という判断が下された。利用料金で運営費を稼ぎ、パッケージ料金で開発費を稼ぐというのが一般的に言われるオンラインゲームのビジネススキームだが、コーエータイトルとしてこの定義では捉えられない初のオンラインタイトルということになる。 この背景には、「真・三國無双 Online」がアジア市場で高いプレゼンスを示せていることが挙げられる。技術的、システム的、ブランド的に、アジアのメーカーが真似できない領域に到達し、将来が有望視されるオンラインコンテンツであるため、アジア展開を踏まえた上での戦略的な決断と言えそうだ。「神将乱舞」の登場により、「真・三國無双 Online」のアジア展開はさらに加速することは間違いなさそうである。 さて、お披露目会では、残念ながら初代プロデューサーであるコーエー代表取締役社長の松原健二氏は都合により欠席ということだったが、松原氏に変わって現在、オンラインゲーム担当執行役員を務める友池隆純氏が挨拶を行なった。友池氏は、オメガフォースの立ち上げメンバーの1人として「真・三國無双」シリーズのクリエイターとして知られる。オンラインゲーム担当執行役員に就任する前は、コーエーカナダで開発されたレースゲーム「Fatal Inertia」のプロデューサーを務めていた人物だ。 友池氏は、「2007年にCJインターネットジャパンに運営を移管するにあたり、『真・三國無双 Online』として再スタートしました。コーエーとしても初の基本プレイ無料タイトルとして試行錯誤がありながらも、現在では登録会員数30万人、最大同接も当初の5倍になり、順調に数字を伸ばしています。現在では『信長の野望 Online』や『大航海時代 Online』に並ぶと呼べるほど成長してきたのではないかと思っております」と、「無双」シリーズの生みの親として“弟分”の成長を評価。 その上で友池氏は、「神将乱舞」について、「拡張パック『神将乱舞』では、“一騎当千の爽快感”という特徴にさらに磨きをかけ、多人数対戦の強化と内容の充実を図り、自信を持って皆様にお披露目することができました」と自信を感じさせるコメントに終始した。 続いて、「真・三國無双 Online」開発プロデューサーの藤重和博氏が登壇し、「本日の発表が迎えられたことを大変嬉しく思います」と笑顔で挨拶を行なった。藤重氏は、松原氏の下で開発ディレクターとして「真・三國無双 Online」の開発に携わってきたことを踏まえ、オンライン上で4対4の「激突」を実現することがいかに困難な道のりだったかを紹介し、その上で「技術面でのチャレンジに加え、サービス面でもチャレンジを行なってきたのが『真・三國無双 Online」というタイトル。それがまた3月に大きく生まれ変わります」と宣言し、「神将乱舞」の概要説明に入った。
■ コンセプトは「1日1回一騎当千」。毎日遊ばせる工夫の数々
なお、各コンテンツの実装時期については、「3種類の新武器」以外は、すべて3月17日の実装が予定されている。ただし、「乱戦」のみは週末限定コンテンツとなるため、実際にプレイできるのは、最短でも3月21日以降となる。3種類の新武器の実装時期について明らかになっていないが、過去のパターンから類推すると、4月、5月、6月の定期アップデートで1本ずつ実装される可能性が濃厚だ。
・新対戦システム「乱戦」 ・生産システム「錬成」 ・新副将「狼」(動物副将システム) ・スタンプ集め「無双盤」 ・新シナリオ「赤壁大戦」 ・新戦場地形「連峰」 ・3種類の新武器 ・「神将乱舞」記念服飾
勝利条件は敵の兵糧をゼロにすること。ミリタリーFPSであるようなとにかく敵を倒して、敵のチケット(リスポーンポイント)をゼロにすることを狙う戦いとは若干異なり、敵キャラクターを撃破しても兵糧は減らず、マップに点在する拠点を制圧することによってのみ兵糧を減らすことができる。さらに敵陣奥の兵糧庫にある火薬庫を壊すことで「火計」発動となり、大量の兵糧を奪うことができる。これにより一発逆転も可能だという。 もうひとつの新ルールが「方針」システムの採用だ。11人もの仲間と意思の疎通を遠隔にするため、「攻撃」、「破壊」、「守備」の3択で、各プレーヤーの意志を仲間に伝えることができるというシステムだ。これにより、仲間間で大まかな作戦を共有できるだけでなく、その方針に沿ったパラメーター補正も行なわれるという。 そしてこの「乱戦」の特筆すべきポイントは、「乱戦」の開催がシステム側で完全に管理されたシステムドリブンのゲームシステムを採用しているところだ。従来の争奪ではユーザーが任意にルームを作成し、そこにユーザーを呼び集めてマッチングを行なう、いわばユーザードリブンのシステムが採用されていたが、「乱戦」は開催日時が厳格に定められている。この手の大規模コンテンツは、「24人も集めるのは大変ではないのか」、「人が少ない深夜帯は実質的に遊べないのか」といった部分が心配になるが、「乱戦」では、人が集まろうが集まるまいが関係なく定刻にスタートするため、この手の心配は無用となる。 本日のお披露目では、12台のPCが用意され、コーエージェミニビルの開発スタッフが操作する12台のPCと繋がった状態で、24人対戦を実現していた。対戦15分、募集5分といったサイクルで24人対戦が繰り返されたが、初めてなので勝手がわからずもたもたしていたら、締め切られて参加できないということもあった。この“バスに乗り遅れ感”はやや呆然とするところもあるが、24人集まるのを延々待たされたり、結局集まらずに解散となることに比べればよっぽど良い。ちなみに人数が12人揃わない場合は、自動的にNPC操作となる。 画面上部には、青と赤のバーが表示され、それが兵糧の残りを示している。右袖に12名のキャラクター名がずらりと並ぶのはまさに壮観で、新しい「無双」の到来を実感させてくれた。戦場マップは専用のものが使用され、大きさは争奪比で1.5倍とかなり広大だ。しかし、人口は3倍になっているため、密度は単純に倍になっており、そこかしこで複数対複数のバトルが繰り広げられていた。 「乱戦」が定刻開催のシステムを採用したことのメリットのひとつとして、事前に“参加予約”することが可能となっている。人気コンテンツにユーザーが集中するのは仕方がないことだが、人気であるが故に参加したくても参加できず、かえってストレスの原因になることもある。「乱戦」では参加予約が可能なことで、いつプレイできるのかわからないまま長時間待たされるようなこともなく、指定時間までの空き時間の有効活用が可能となっている。非常にインテリジェントなバトルコンテンツだ。 この「乱戦」は週末限定開催が予定されている。「神将乱舞」実装前日の3月16日に改めて「乱戦」の開催日が告知される予定となっている。気になる「乱戦」の報酬は、武器と服飾、消費アイテムとなっている。勝敗に関わらず武器1つと服飾1つは確定で、参加しがいのあるバトルコンテンツと言えそうだ。 「錬成」については、MMOタイトルとしての要素を強化するためのシステムで、布や染料などの“材料”と、アイテムを作るためのレシピが書かれた“処方”を組み合わせることで、ユーザーが新たなアイテムを生成することができる。 「錬成」には、服飾の色を変える「染色」、服飾を異なるデザインに変化させる「仕立て」、処方によるアイテムの組み合わせにより強力なアイテムを生み出す「合成」の3つのグレードが用意されている。錬成を繰り返すことで経験値を獲得し、「錬成」スキルを高めることができる。「錬成」スキルが高いと、「錬成」の成功率が高まるだけでなく、より高度な合成が可能となる。ときおり想定外のアイテムに変化するといったギミックも導入するということで、生産好きの日本人に特に好まれそうなシステムと言えそうだ。
イベントの最後に、藤重氏より2009年の取り組みについて説明が行なわれた。まず、グローバル展開については、現在展開している中国、台湾、韓国の3地域について、2009年夏をめどに「神将乱舞」を実装する方針を明らかにした。また、映画「レッドクリフ」とのタイアップは、「レッドクリフ PartII」でも継続していくという。
次回の大型アップデート「Revolution 4」は7月実装予定。内容的には「神将乱舞」の拡張をメインに、そのほかにも様々な新要素を検討。おまけとして、2009年9月に開催される東京ゲームショウへの出展も明らかにされた。今回は明らかにされなかったが、4地域の覇を競う世界大会の準備も進めているという。「真・三國無双 Online」が今年どのような進化を見せてくれるのか引き続き注目していきたい。
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□CJインターネットジャパンのホームページ (2008年3月11日) [Reported by 中村聖司]
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