|
価格:5,775円
「スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク」は、「スペースインベーダー」のアーケードのテーブル筐体を1/6のスケールでリアルに再現した貯金箱。ゲーム同様に100円玉を投入するとゲームをプレイする事ができる。タイトーのライセンスを受けて制作されている事もあり、当時のデータを流用して作り上げられたというインストカードやコンパネ、さらには筐体の横に貼り付けられている銘板も再現されている。制作を担当した大沢氏によれば「大人の鑑賞に堪えるものを」ということで、徹底的にこだわったという。 なぜ、今回の商品が企画されたのかについては「つらい事を楽しくしたいという事で、ただの貯金箱ではなく、つらい貯金を楽しくできる商品を目指した」と言い、その楽しい部分として「スペースインベーダー」を組み込んだのだという。 ちなみに1/6というサイズは同社のリカちゃん人形の縮尺と合致。インテリアとして飾ると言う目的で使用する事も可能だという。実は100円玉以外のコインも投入可能だと言うが、大沢氏は「是非とも100円玉を投入して遊んで欲しい」と強調。それはもちろん「100円玉を投入してゲームを遊んだ!」という記憶がそうさせているわけだが。100円玉を貯金した場合80枚まで貯金可能。ゲームをプレイしていない時にショットボタンを押しコントロールレバーで左右に入力すると何枚投入したかを表示する機能が付いており、100円玉を投入し続けた場合、この数値を見れば貯金金額を確認する事ができる。 ゲームは液晶ゲームとして再現。1コインを投入する事で砲台が3機までプレイ可能と当時のままのルールを採用。UFOを撃墜すれば最大1,500点となり、1,500点で砲台が1機増えるなど、当時の記憶のままにプレイ可能。もちろん(当時の仕様と同様に)連射もできないうえに、敵の攻撃も結構ハードなので「難易度は高い(大沢氏)」という。狙って打ち、的確に敵機を撃破していきたいところ。
大沢氏は同商品のポイントとしてサウンドの再現度も挙げた上げた。実際に聴いてみるとピキュンピキュンといった音など非常にリアルで、それもそのはず、タイトーから音源を提供してもらい再現したのだという。ただ、音声をoffにする事も可能で、「家族が寝静まった静かなところでプレイしたい時などは、音声を切りプレイして欲しい」とフォローした。 発表会場にはタイトーの関係者や、当時「スペースインベーダー」の開発に関わった西角友宏氏、効果音の製作を担当した亀井道行氏らも駆けつけた。 タイトーの金山富幸氏は「スペースインベーダー」について「1978年にリリースされ、当時は26万台も販売されゲームの文化を変えた」と説明。インベーダーゲームの筐体をずらりと並べた“インベーダーハウス”が流行し、1日800プレイというとてつもない記録を出すところもあったのだとか。有名な「日本から100円玉が消えた」という逸話も披露された。金山氏は「スペースインベーダー」を挑戦のシンボルと表現し、現在運営中のアミューズメント施設の直営店の意匠をインベーダーのキャラクターに統一しつつあるなど様々な施策を説明。現代の「スペースインベーダー」としてDS版「SPACE INVADERS EXTREME 2」なども紹介した。 ここで西角友宏氏と亀井道行氏を招き入れ「スペースインベーダー」開発当時のエピソードが披露された。当時コンピューターゲームは米国が先行しており、日本ではそれらを解析しながら開発者が独自に勉強しながら製作が続けられていた。西角氏もその1人で、製作を続けるうちに米国を逆転するようになっていったという。しかしある日西角氏は米国で開発された「ブロック崩し」を見て衝撃を受けたという。単純なゲームデザインでありながら全てブロックを消した時の爽快感に驚いたという。 西角氏は「ブロック崩し」に負けないゲームを作りたいという思いでゲームの開発に取り組んだという。当時のシューティングはクレー射撃などをテーマにターゲットを打つのが流行だったが、「スペースインベーダー」では敵が攻撃してくると言う当時としては画期的なシステムを導入。しかし西角氏は「『ブロック崩し』と似ている」と説明。たとえば敵が攻撃してくると言う点については、「『ブロック崩し』でボールが跳ね返ってくるのと敵が弾を撃ってくるのは同じ」で、「最後のひとつのブロックが消せないのと、最後のインベーダーを撃破するのが難しいのも同じ(西角氏)」なのだという。西角氏は「ブロック崩し」のおもしろさを「全て消した時の爽快感」に集約。これを再現するべく「スペースインベーダー」のシステムを作り上げていった。 しかし完成し営業に見せたところ、「これは難しくて売れないんじゃないか?」と反対されたという。当時のシューティングは決められた時間プレイでき、うまくプレイできればプレイ時間が加算されるというシステムが多かった。つまり誰でも一定時間はプレイできるわけだが、「スペースインベーダー」はヘタならすぐにゲームオーバーになってしまう可能性もある。「これではお客さんが怒ってしまう」というのが営業からの意見だったのだという。ところが発売してみると、結果として大ヒットを記録する。 西角氏はゲームを作る事が楽しかったと言い、なんとゲームセンターに行った事がないのだとか。正確には1度行った事があるが、それは納入直後に発覚した敵が弾を出す瞬間に100円を投入するとゲームがスタートしないというバグ対応のためにROMを交換しに行った時なのだとか。 開発は今とは違いハードの作成からスタート。はんだこて片手に開発が進められたという。もちろんソフトの開発環境も手作りで、「開発環境を作るのがほとんどで、製作期間の約6割は開発環境の開発だった」のだという。当時のハードウェアではインベーダーがかくかくした動きをするのが精一杯で、西角氏のイメージする「ダンスしているように手足を動かしながらインベーダーが攻めてくる」という現在のゲームのようなイメージを再現する事は不可能だった。しかし、自分が面白いと思うものを突き詰めてつくりあげ、それが結果的に大ヒット商品へと結びついた。 サウンドは西角氏の記憶では同時に製作されていたと言うが、亀井氏によればゲームが完成したあとに最後にサウンドがつけられたのだという。当時はサウンドの製作セクションなど無く、亀井氏も量産化部門に所属。そこで西角氏が「ゲームができたのでサウンドをつけて欲しい」と依頼。亀井氏は発信器で音を出し、「西角氏のゲームのイメージはこんなだろうなぁ」と考えながら、オペアンプで1つ1つ作り上げていったという。 西角氏はふと思い出したように当時の亀井氏を振り返り「色々うるさかった。よく文句を言っていた(笑)。そういえば最後に発射音が耳障りだから変えてくれと言ったのに、変えてくれなかった」と亀井氏に話しかけると、亀井氏は「発射音には高周波が入っていたから耳障りだったんですね。今度作る時は直すようにしますよ」と笑いながら答えていた。 最後に今のゲームについて聞かれた西角氏は「今のゲームはハードが先行していてグラフィックスを綺麗にできる。遊びの部分が面白くなくても評価されるものが出てきた。それは残念」と苦言を呈した。 一方、亀井氏は「スペースインベーダー」30周年に「スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク」が出た事が素直にうれしいと言い、「25周年の時に『30周年の時は小さな筐体を出したい』という話をしていた」と振り返り、「現実に実現できてうれしい」と締めくくった。
「スペースインベーダー ゲーム筐体型バンク」のパッケージに収録されているカラーフィルムを貼れば、カラーで遊べる……と言ったギミックまで細かく再現されており、当時を知る40歳代を中心とした人にはたまらない商品だろう。是非とも注目して貰いたい1品だ。
(C)TAITO CORP.1978,2008
□タカラトミーのホームページ (2009年3月5日) [Reported by 船津稔]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|