★PC/PS3/PS2/Wiiゲームレビュー★
馬主、調教師、騎手の3つの視点から競走馬育成
ストーリーも充実している間口の広い競馬シム
「ウイニングポストワールド」
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- ジャンル:シミュレーション
- 開発元:コーエー
- プラットフォーム:PC(Windows XP/Vista) / PS3 / PS2 / Wii
- レーティング:CERO:A(全年齢)
- 価格:10,290円(Windows版) / 7,560円(PS3版) / 7,140円(PS2/Wii版)
- 発売日:2月20日(Windows版)/4月2日(PS3/PS2/Wii)
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「ウイニングポストワールド」はコーエーが発売する競走馬育成シミュレーションゲームだ。Windows版は2月20日に発売され、PS3版、PS2版Wii版の発売も4月2日に予定されている。今回はWindows版からゲームの内容を紹介していきたい。
今回の「ウイニングポストワールド」はコーエーの「ウイニングポスト」シリーズの名前を冠しているが、現在「7」まで出ているナンバリングタイトルの最新作ではなく、新しいシリーズを見据えた完全新作という位置づけだという。競走馬を育て上げる競馬シミュレーションゲームは、競馬の知識が必要なハードルの高いゲームジャンルというイメージが強いが、「ウイニングポストワールド」では「シナリオモード」というストーリー要素の強い要素を搭載し、楽しみながら競馬に触れていけるという間口の広い作品になっている。
ゲームでは馬主、調教師、騎手という3つの異なった視点からプレイすることができる。やりこみプレイをすることで日本の名馬たちと戦うことができ、「ワールドモード」では長いスパンで彼らに挑戦しつつ、自分だけの名馬を育てていくことが可能だ。万人にお勧めの競走馬育成シミュレーションゲームである。
■ 間口が広く、じっくりとやりこめる競走馬育成シミュレーションゲーム。ヒロインの存在も注目
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ゲームの開始時を選択。各年の有名馬はライバルであり目標だ |
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レースは3Dグラフィックスで表現される。実況では馬の名前が読み上げられる。本作では架空の馬を作りレースに参加させられるが、用意されている名前から選ばなくては、実況で名前が呼ばれない。完全にオリジナルの名前を付ける場合は注意したい
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ヒロインとのエピソードも本作の魅力。間口の広い楽しさがある
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「ウイニングポストワールド」は1983年~2008年までの名馬を収録し、馬主や騎手、調教師となって様々な角度から競馬界を楽しもうという競走馬育成シミュレーションゲームである。
本作の最大の特徴はストーリー要素のある「シナリオモード」の搭載である。シナリオモードではプレーヤーは「馬主」、「調教師」、「騎手」から職業を選び、ストーリーを体験しながら課せられた目的を達成していく。シナリオモードの期間は2年となっていて、その期間で与えられた目的を達成しなくてはならない。
馬主モードでは、プレーヤーは会社からつぶれかけの牧場に派遣され、牧場仲間と協力しながら競走馬を育成、名馬のオーナーを目指していく。調教師は新米調教師として師匠の教えを受けながら成長していく。騎手の場合はデビュー後に伸び悩んでいる騎手として父の友人である馬主に見守られながら成長していくことになる。シナリオではヒロインキャラクターをはじめ、プレーヤーを見守る人々やライバルが登場する。
シナリオモードでは特にヒロインが魅力的だ。馬主モードで主人公を支える「穂高さくら」はいじらしいし、会長の娘であるお嬢様「姫神ノエル」は牧場の作業員として仲間となって人間的に成長していくというドラマが用意されている。騎手モードのかわいらしい後輩であり、ライバルでもある「穂高秋」など各モードにヒロインが登場する。この他にも、プレーヤーの教師役や、ライバル役などのキャラクターがいて馬と自身の能力を上げていくだけ、という従来の競馬ゲームとはひと味違う作品となっている。
シナリオモードはチュートリアルも兼ねる。プレーヤーは競馬とはどういうものか、レースで勝つにはどうするか、キャラクターの育成と馬の能力の開花のさせ方を1つ1つ学んでいくことになる。競馬シミュレーションといえば、名馬をその走りやドラマまで覚えていて、競馬新聞も読めて、“血統”の知識も必要で……といった初心者にハードルが高いイメージがあるが、本作はゲームとしてわかりやすい目標が設定され、それをクリアしていくことで、現実の競馬にも興味が持てるような作品になっている。各モードでの細かいエピソードで、馬という生き物に対しても親しみがわいてくる要素も楽しい。
「ウイニングポストワールド」は、腰を落ち着けてじっくり楽しむタイプのゲームである。ゲームは難易度設定が可能で、イージーにすることで競馬のことをよく知らなくてもそこそこ進めることができる。特に馬主モードならば運良く強い馬を手に入れることができれば、他の馬をぶっちぎる爽快感が味わえる。育て上げた馬がレースで活躍する姿はうれしいものだ。
しかしその馬がそのまま大舞台で活躍できるかというと、そうではない。どの競技にも言えることだが、勝ち続けた馬は選別され、上位レースで競っていく。小さなレースで無敵を誇っていた馬も、勝ち馬ばかりが集まる上位のレースでは徐々に輝きを失い、埋没してしまう。どうすれば馬をもっと輝かせることができるのか、それを模索していくことになる。
ゲームの難易度的には、馬主が最もハードルが低く、より細かい育成をしていく調教師、レースをこなさなくてはいけない騎手の順番でゲームが難しくなっていくと感じた。初心者にとって騎手モードでの「2年目で30勝する」というのはかなり難しい条件だ。しかし、「ウイニングポストワールド」においてはシナリオモードの“繰り返しプレイ”がゲームの難易度をグッと下げてくれるのだ。
シナリオモードは目的を達成したキャラクターはセーブすることが可能で、賞を取ったり、人脈を得たりすることでボーナスポイントや“アイテム”を獲得できる。ボーナスポイントやアイテムは次のシナリオプレイに持ち越すことができ、より強力なキャラクターでスタートできる。ボーナスポイントはただ漫然とプレイしているだけではダメで、より高みに到達しないと増えない。
ゲームに対する理解と、よりはっきりしたアプローチを目指してプレーヤーはシナリオモードを繰り返すことになる。プレイしていくことで、馬の能力に対する理解、効率の良い育成方法、馬への思い入れが強くなっていく。小さな成功がゲームにのめり込ませるきっかけとなるのだ。2年という期間はゲームになれてくると物足りなくなってくる。キャラクターを育てきることもできないが、その2年で何ができるか、集中したプレイが求められる。時には育成よりもキャラクター達のドラマに集中させたプレイも楽しい。
シナリオモードで育てたキャラクターは、「ワールドモード」で使用することができる。ワールドモードでは馬主、調教師、騎手をそれぞれ2人、合計6人のデータを使用できる。育てたキャラクターが力を合わせて世界を目指すのだ。このモードは時間の制限がなく、何年もたっぷりと世界に挑戦できる。すべての競馬賞を制覇することが「ウイニングポストワールド」の最終的な目標だ。強力なキャラクターと、血統を考慮した名馬でなくては完全勝利は難しい。その大きな目標を目指してチャレンジしていく作品なのだ。
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シナリオモードでは3つの職業の中からプレイできる |
名馬に勝つことができればカードを入手することも。これらのカードは自分の育成馬として使える |
シナリオモードでは様々なキャラクターが登場し、馬に対する知識が深まるイベントも用意されている |
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馬主モードでは子馬からの育成ができる。シナリオモードでは配合そのものはそれほど重視されていない |
調教師は馬の能力を開花させる。馬の素質を見抜いての育成が求められる |
騎手モードではレースで直接馬を操作し、自らの能力も高めて行かなくてはならない |
■ 子馬を育て上げ、大舞台で活躍させる馬主モード。自分の馬の活躍に一喜一憂
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子馬の誕生に立ち会う。彼らをどう育てていくかが馬主の大事な仕事だ
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馬の能力の開花は調教師の能力が関係する。馬主はできるだけ良い調教師に預けるのが仕事だ
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馬主モードではプレーヤーは負債でつぶれかけている競走馬牧場のオーナーとして活躍することになる。平凡なサラリーマンだった主人公が会社の命令でいきなりオーナーになり、初挑戦の牧場経営をやらされる、というストーリーだ。
牧場は経営が苦しいが雰囲気は明るい。プレーヤーを支えてくれる牧場主でありヒロインの穂高さくらとその祖父穂高玄米はつぶれそうな牧場を必死に切り盛りする。主人公の会社の会長である姫神虎吾郎の娘、姫神ノエルは牧場と主人公に興味を持ち、やがて好意をよせて牧場の一員となる。他にも様々なキャラクター、馬主、騎手が主人公と関係を持ってくる。
プレーヤーの目標は借金の返済だが、そのためには強い馬を育て上げなくてはならない。牧場には繁殖牝馬が1頭だけ。現役時代は目立った成績は残せなかったものの可能性を秘めているこのメス馬の子供でレースを勝っていくのだ。このメス馬にどんな種をつけていくかが最初にやることだ。2年で2匹の子馬を生ませ、生まれた子馬を調教師に預けたところからゲームは本格的にスタートする。
プレーヤーは所有している馬の育成、さらに「トレーニング」と「訪問」のどちらかを選ぶことができる。トレーニングはプレーヤーキャラクターである主人公の能力を高める。能力には、馬の能力を見極める「相馬眼」、子馬の能力を上げることができる「能力フロー」、より強い馬を種付けできる「血統知識」がある。能力フローと血統知識はさらに細かい項目にわかれている。
「訪問」は馬主や騎手に会いに行くコマンド。馬主に会いに行くと血統知識を教えてもらったりすることもあるし、調教師や騎手と親しくなることで馬を任せることも可能になる。また充分な名声を得た後ならば、彼らから特別な「アイテム」をもらうことも可能だ。注意したいのは、トレーニングか訪問かで1週間の行動が消費されてしまうことだ。
訪問だけでなく、さくらやノエルなどNPCと会う場合にも1行動としてカウントされる。NPCの場合「!」マークが出ているときは特別なイベントが起こる。NPCの過去の一部が明らかになったり親交を深めたりとアドベンチャーゲームの様な展開が楽しい。特に馬主モードでは馬と共に生活できる雑学的な要素も多かった。
2年という期間では血統知識を使う要素は少なく、シナリオモードでは馬の特性を見極める「相馬眼」と、馬の潜在能力を開花させる「能力フロー」を上げる事を中心にプレイしてみた。馬主モードでは、特に子馬の能力を育成できるのが面白い。評価額を上げて借金を減らすという方法があるが、あえて能力をじっくりと上げることで、スタート時に他の馬とは違った強さを獲得できるのだ。
プレーヤーが最初に手にする馬は能力は高くないが、子馬から育て、さらに優秀な調教師に預けた馬はそこそこ強い。うまくいけば賞を取るような名馬に勝つこともできる。いきなり血統や種付けの話でハードルが高いように思えるが、馬主、調教師、騎手の3つの中では最も難易度が低く感じた。ただ自分の手で馬が勝てている、という感触は少し薄い。それらはより馬の調教に特化できる調教師、そしてレースそのものに挑戦できる騎手で体験することとなる。
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会長の娘のノエル。お嬢様だがストーリーが進むことで徐々に変わっていく |
相馬眼が低いため馬の能力までは見えないが素質を秘めていることはわかる。どこまで開花させられるか |
イベントでは牧場の生活も体験できるスタッフと馬の交流を感じられる |
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自分の馬が活躍できる姿を見るのは非常にうれしい。一方で歴史的名馬の圧倒的な力に唖然としてしまうことも |
■ 担当馬の力を開花させる調教師モード。プレイを重ねることで見えてくる馬と自分の育成法
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名調教師の跡を継ぐことになったプレーヤー。能力が低く苦労の連続だ |
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馬の育成メニューは多彩な上、体長気力管理など気にかけるポイントは多い。この模索は楽しい |
調教師は直接自ら馬を育て上げる楽しさを体験できるモードだ。プレーヤーは引退を決意した師匠の後を引き継ぐ新米調教師となって馬に向き合うことになる。複数の馬を受け持ち、それぞれの馬の特性を開花させていくには自らも鍛え上げなくてはならない。
馬を鍛えるための要素は多い。馬の特性を見極める「相馬眼」、馬の潜在能力を開花させる「能力フロー」、そして「調教」である。これらをトレーニングで1つ1つ上げていくのはかなり時間がかかる。プレーヤーキャラクターは新米なので能力値は最低で、ここからどう能力を上げていくのか迷う。今回のプレイでは、馬主モードほどストーリーを楽しまずひたすらプレーヤーキャラクターの能力開発に努めてみた。
担当する馬は最初に3頭でそこから進行に合わせて増えていく。担当馬は最初に何頭ものリストを渡されてそこから選ぶのだが、1頭1頭開かないと能力が確認できないためちょっと能力の比較がしにくかった。馬の能力は相馬眼のレベルが上がるとさらに細かくわかるようになるのだが、まずは特性の高い馬を選んでスタートさせてみた。
どんな能力を優先的に開花させていくかも模索中だが、それでも1つ1つ持ち馬の能力が高まり、レースで勝てるとゲームにグッと引き寄せられる。レースはレース全部を見ることも、ダイジェストを見ることもできる。レース序盤から先頭を走る「逃げ」の馬の時などは後半は祈るような気持ちで見てしまう。
いつ休養を入れるか、どの能力を開花させればいいかを考えながら、自分なりのアプローチで馬を育てていく。筆者最初に調教師モードをプレイすることでゲームの特性が見えてきた。「馬」とどうつきあうかをもっとも体験できるモードだといえるだろう。
キャラクターは「スキル」を入手でき、これによって様々な特典がある。トレーニングで能力を高める必要がある調教師はトレーニングにボーナスがつくスキルがありがたかった。能力を開花させる能力フローを重点的に上げたため、訓練メニューはおろそかになりがちだ。どう上げていけば馬を1番強くできるかは、まだ模索中である。
調教師モードで感じるのは馬の能力と自分の能力の“限界”だ。育てることのできる馬は日本一を狙うには力不足を感じるし、成長させる調教師の力に関しても成長に時間がかかりすぎる。「2年で20勝」というハードルは決して高くはないものの、世界に羽ばたく逸材を育て上げられないもどかしさを感じてしまう。運良く名馬に勝つことができれば「名馬カード」を入手でき、育成させることも可能になるが、まず名馬に勝つことが難しい。
ここでやはり、繰り返しプレイの重要さが見えてくる。ボーナスポイントを稼ぎ、アイテムを入手することで次のプレイにはもっと有利な条件でスタートできる。コツをつかみゲームプレイもうまくなっていく。キャラクターの能力をどこまで高められるかが鍵となる。プレイするたびに、“もっと上を!”と目指したくなる。その強くなったキャラクターをワールドモードで活躍させたいと思う。
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自らを鍛え上げることで馬の能力を開花できる。どのメニューが良いかも考えていく |
馬主と同じようにレースシーンは見守るだけだが、そこから課題が見えてくる |
有名騎手と合うことも。訪問して彼に馬を任せるのもいい手だ |
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先輩調教師の穂高優。とても色っぽい |
気性の良い馬は「併せ馬」をすることで能力を早く高めることができる |
調教師のスキルは自らの能力を高めるものを中心に習得してみた |
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優秀な成績を残せばボーナスが多くもらえ次のプレイへ繋げられる。条件を満たしアイテムを入手することこも可能だ |
■ レースを自分の手で管理できる騎手モード。勝利の鍵は有名馬への騎乗
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体力や気力も充実させなくてはいけない騎手。レースの駆け引きなど最もやることが多い |
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レースはリアルタイムで進行する。いつコマンドを入れるかで展開に変化が |
騎手モードではプレーヤーは華々しいデビューを果たしたもののその後伸び悩んでいる騎手、という設定だ。ストーリー的には、アイドルでありながら競馬番組の関係でプレーヤーと同じ厩舎に出入りする霧島ミカがユニークだ。派手なアイドルの衣装とクールな普段のギャップが面白い。
騎手モードは3つの中で最も難しい、しかし、もっともやりごたえのあるモードといえる。このモードでは騎手としてレースに直接参加できる。スキルもレースに関係した特殊技を取ることができ、自らの力で勝利をもぎ取る感触を体験できる。ただ他モードと同様開始時は最低の能力からはじまるので、とにかく力不足を痛感するシーンが多い。
トレーニングでは相馬眼や騎乗技術だけでなく、体力や気力の向上、さらに調教技術まで上げることができる。騎手でも調教を上げることで自ら馬の能力を上げることができるのだが、正直他のパラメーターの重要度を考えるとそこまで手が回らないのが正直なところだ。また、レースで使用するスキルを取ってしまうとトレーニングを助けるスキルがとれなくなってしまうのも成長を難しくする理由の1つとなっている。
レースの駆け引きは自らの体験でコツをつかんでいくことになる。レースで使うコマンドは多い。まずスタートをどうするか。そしてレース中は馬に力走させる「気合」、勝負を仕掛ける「仕掛け」、馬の力をセーブさせる「引き」、「抑え」の4つのコマンドが使える。これらのコマンドを使い馬のレースでの位置をコントロールするのだ。馬との息が合ったときは、さらに馬の調子を映し出すメーターが現われる。ここでタイミングを合わせることで馬の力を溜めることができる。
レース終盤の直線に馬の力を爆発させる。ここでは「ムチ」と「追い」というコマンドと、様々なスキルを使うことができる。スキルには「追いムチ」と「見せムチ」が基本としてあり、さらにここにスキルを取っていれば「豪腕追い」や「好位抜出」といった特殊スキルを使用することができる。スキルにはレース中に溜めた馬の力と、キャラクターの気力が必要で、特殊スキルは消費が激しく使い所が重要となる。
騎手モードでは最初勝てないことにやきもきさせられることになるだろう。馬の能力が開花してないのか、自分の能力が低いのか、レース進行がダメなのか、初心者だからこそ何が敗因なのかわからず焦ってしまう。その悩みは尾を引き、「1年目に10勝、2年目に30勝以上」という目標達成もできないような袋小路にはまりこんでしまう。
ここで重要なのが「訪問」コマンドと、名馬カードの存在だ。「ウイニングポストワールド」では実在の名馬が登場する。名馬に乗ることができれば騎手として大舞台に立つことができる。そのために馬主の所へ何度も訪問し、友好度を上げ馬の騎手に立候補をするのだ。他のモードではほとんど勝つことのできないライバルであった歴史的名馬に乗ってレースで勝つことができるというのは、大きな爽快感をプレーヤーにもたらしてくれる。しかし大舞台では名馬の力だけで勝つことは難しい。歴史と同じ栄光をつかませられるか、「責任」も負うことになるのだ。
競馬にあまり詳しくない筆者でもシンボリルドルフや、メジロライアン、ディープインパクトといった名前は知っている。ゲームで触れることでその馬がどれだけ凄かったのかに興味がわいてくる。騎手モードでは特に名馬の登場する年代が重要だと感じた。「ウイニングポストワールド」においては名馬の知識は最初に絶対必要なものではなくて、調べることでさらにゲームが楽しくなる要素だ。名馬を操り共に大舞台へと駆け上がる興奮を体験できるのだ。
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アイドルの霧島ミカ。普段のクールな表情とのギャップが面白い |
レース前の作戦も重要な要素だ。どう戦っていくか? |
大きなレースでは特別な演出が入る |
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馬と息を合わせポイントを溜め、位置取りを気をつけて進め、最後に爆発させる。レースにはプレーヤー自身のリズムの確立も必要だ |
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レースで勝てばガッツポーズを決めることができる。名馬シンボリルドルフの圧倒的な力。右は気力が充実し、先行の時にしか使えない特別なスキル好位抜出。効果は高いが使い所は難しい |
■ 育て上げたキャラクターが一堂に会し“歴史”に挑戦するワールドモード。挑戦にはもうしばらくの時間が必要
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育てたキャラクターが集うワールドモード。血統を視野に入れた種付けなどより高度なプレイが楽しめる。今回のプレイでは勝つためには各キャラクターの能力がまだ足りなかった |
シナリオモードで育て上げたキャラクターを使ってさらなる高みを目指すモード、それが「ワールドモード」だ。このモードでは馬主、騎手、調教師を各2名ずつ、計6名のキャラクターデータを使用することができる。
ワールドモードでは繁殖がより重要になり、馬主モードでほとんど使わなかった血統知識も必要となってくる。6人のキャラクターのうち成長させることができるのは主人公に選んだ1キャラクターのみで、しかもレースに勝たないとキャラクターは成長させられない。ワールドモードを進めるには強いキャラクターデータが必須となるのである。
今回のプレイでは、満足できるキャラクターを育てることができなかった。「ウイニングポストワールド」ではワールドモードを体験できるように補充のキャラクターデータが用意されているが、彼らの能力は最低値であり、スタートしたばかりの馬を彼らに任せても勝利できない。結果キャラクターを育てることができずじり貧の展開になってしまった。ワールドモードに挑戦するためには明らかに力不足なのだ。まだまだシナリオモードを挑戦し、より高みを目指さなくてはいけないと痛感した。
ワールドモードは育て上げたキャラクターで日本の名馬と挑戦するという醍醐味がある。さらに名馬を自分のものにして育て上げ、歴史を塗り替えるという楽しさがある。筆者にとってはシナリオモードの各キャラクターのエピソードもまだまだ楽しみである。本作は繰り返しプレイすることでよりよい攻略法、ゲームに対する知識と興味が増してくる作品であると感じた。
「ウイニングポストワールド」のワールドモードは従来の「ウイニングポスト」シリーズとは違い、2008年以降は本作の最初のデータである1983年のデータが使用され、その年の名馬が登場する。「ウイニングポスト」シリーズでは“他のNPC馬主が生産した馬が繁殖入りする”という要素があったが、「ウイニングポストワールド」ではプレーヤーは各年に設定された名馬の血を取り入れて自分の馬の血統を強めていくのだ。
最後に、本作「ウイニングポストワールド」がなぜ“オンライン”でなかったかを少し考察したい。テクモの「ギャロップレーサーオンライン」やジークレストの「競馬伝説Live!」など競馬をモチーフとしたオンラインゲームは多数出ている。日本有数のオンラインゲームパブリッシャーであるコーエーがなぜ本作をオンラインゲームにしなかったのだろうか。
オンラインゲームでは他のプレーヤーと“競う”要素は大きな魅力である。競馬ゲームに関しては「他の人より強い競走馬を作る」というのは大きな魅力であるだろう。しかし、オンラインでの競争要素はどうしても「他のプレーヤーに勝てない」という壁が出てきてしまう。
「ウイニングポストワールド」はあえてオフラインゲームにすることで自分だけの競馬シーン、サクセスストーリーを可能にした作品であると感じた。「全部の賞を取る」という目標は掲げられているが、それは結果であり、そこを目指してシナリオモードをやりこみ、ワールドモードに挑戦し、またシナリオモードをやり直す、といった家庭こそが本作の楽しさだと感じた。今作の間口の広さは、新しい競走馬育成シミュレーションシリーズの始まりとして興味深い。今後の展開が楽しみである。
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□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「Winning Post World」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/keiba/wpw/
□関連情報
【2月10日】コーエー、WIN「Winning Post World」
レースシーンが流れるベンチマークプログラムを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090210/wpw.htm
【1月19日】コーエー、馬主・調教師・騎手でプレイ可能な競馬SLG
WIN/PS3/PS2/Wii「Winning Post World」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20090119/wpw.htm
(2009年2月27日)
[Reported by 勝田哲也]
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