★PS3ゲームレビュー★
本気になって真剣に遊べる 傑作アクションRPG!
「Demon's Souls」 |
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強大なデーモンや亡者が待つ闇に、1人で挑むのが実際どれだけ困難なことか。力が及ばなければ、ただ死が訪れる。ファンタジックな展開などは起こらずに……。「Demon's Souls」はそうした、シビアで辛くて厳しくて怖くて、だがそれゆえにシビれるような冒険を心ゆくまで楽しめるアクションRPGだ。
「Demon's Souls」の魅力にシビれちゃったプレーヤーは、死んでは挑み、死んでは挑みを繰り返す。その果てに強大な敵を倒したとき、途方もない達成感と安堵感を得る。試行錯誤とくじけぬ心があれば、なんとかなる絶妙のゲームバランスが優秀な作品だ。
オンラインネットワーク機能では、ヒントにもなれば罠にもなる“メッセージ”、他人の死にざまから危険を悟る“血痕システム”、ともに危険に挑んでいる感覚が味わえる“徘徊幻影”など、新機軸のシステムが「Demon's Souls」を盛り上げる。そんな「Demon's Souls」の魅力をお伝えしていこう。
■ デーモンがソウルを奪い、ソウルに飢えた亡者が彷徨う世界
北の国、ボーレタリアの王、オーラントは
人跡地の限界、氷山脈の奥地で、巨大な楔の神殿を見出し、ソウルの業を手にした。
ソウルとは、人に隠された、新たな力であるようだった。
だが、ボーレタリアの繁栄は長くは続かなかった。
老境に至ったオーラントは、更なる力を求め楔の深奥に入り込み
そこに眠る古い獣を目覚めさせ、色の無い濃霧と、デーモンたちが生じた。
色の無い濃霧はボーレタリアを覆い、デーモンたちは人々からソウルを奪い、喰らった。
ボーレタリアは、瞬く間に、ソウルに飢えた亡者だけが彷徨う亡国と成り果て
霧の裂け目から、多くの英雄たちを飲み込み、そして、誰も戻らなかった。
濃霧は、静かにポーレタリアから滲み出しつつあり、
既に北の地の大半が、濃霧の中に消失していた。
人々は、緩やかな滅びの予感に絶望していた。
やがて濃霧が、世界の全てを覆うだろう。
そんな中、最後の希望が
霧の裂け目からボーレタリアに入り込む……。
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濃霧の裂け目から、呪われた地ボーレタリアへと入っていく主人公。世界を救うためか、それともデモンズソウルの力に惹かれたのか…… |
「Demon's Souls」の物語の中心となる北の国ボーレタリア。この国は“ソウル”という新たな力によって繁栄した国だった。だが、老王オーラントが更なる力を求め楔の深奥に入り込んだ結果、眠っていた古い獣が目覚めてしまう。瞬く間にボーレタリアを濃霧が覆い、現われたデーモンがソウルを奪い、喰らう。ボーレタリアはソウルに飢えた亡者が彷徨う亡国となった。
呪われた地に住まうデーモンたち。デーモンたちは奪ったソウルを溜め込んでいて、それは通常のソウルとは比べものにならない力をもたらすという。多くの英雄がその力に惹かれ、呪われた地へと入り込み、そして誰一人として戻らなかった。濃霧はボーレタリアの外へと静かに広がり続け、北の地の大半を飲み込んだ。やがて濃霧は世界の全てを覆う。世界は緩やかに滅びようとしていた。
「Demon's Souls」の世界は、剣と魔法、デーモンとソウルが織りなす、本格派の西洋ダークファンタジーだ。薄暗く静かな世界には、重厚な死の雰囲気が漂う。プレーヤーは、この呪われた地へと挑む1人となる。
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楔の神殿までの道は、いわゆるチュートリアルになっている。メッセージが操作方法を教えてくれる形式になっていて、実際に戦いながら操作を試せる。だが、その道のりの最後には、「Demon's Souls」で最初の衝撃が待ちかまえている |
■ 活動の拠点「楔の神殿」と要石が繋ぎとめている世界
・ソウルを繋ぎとめる場所「楔の神殿」
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「黒衣の火防女」
あなたも、ソウルの力を求めるのですか?
わかりました
あなたには、力が必要なのですから
…私の中のデーモンに触れてください
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「心折れた戦士」
へぇ、また1人、裂け目に入ったのか
デモンズソウルを求めたか?
それとも、この国を救おうとでも?
…ハハハハハ
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黒衣の火防女はいろんなところに移動して、ときには座って足をブラブラさせていたりと、かわいらしいときも |
活動の拠点となるのは楔の神殿という場所だ。死者のソウルをつなぎとめている場所で、外へ出ることはかなわない。デーモンがはびこる恐ろしい世界と要石によって繋がれている。
ここにはプレーヤーの冒険をサポートしてくれる何人かの人物がいる。座り込んでソウルの消失を待つ男「心折れた戦士」、荷物を預かってくれる「大袋のトマス」、装備の修理、強化、アイテムの販売をしてくれる「鍛冶屋ボールドウィン」。このほかにもゲームの進行によって、様々なNPCたちが神殿に現われるようになる。
ある程度ゲームが進行すると「黒衣の火防女」という謎の女性が現われる。全身に黒い布をまとって長い灯火杖を持ち、目は黒い蝋のようなもので覆われている。彼女はソウルの力を自在に操り、獲得したソウルの力でプレーヤーの能力値を高めてくれる。
この神殿の1番上には、オンライン機能による殿堂(ランキング)表示がある。ランキング項目は、「世界を繋ぎとめた者」、「大きなソウルを得た者」、「多くのファントムを救った者」、「多くの黒いファントムを倒した者」、「多くのトロフィーを得た者」といった項目になっていて、殿堂入りしたプレーヤーの装備やステータスなども確認できる。
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神殿内にいるNPCは、アイテムを預かってくれるトマスや、鍛冶屋ボールドウィンなど、デーモン討伐をサポートしてくれる存在だ。そのほかにも、魔法や奇跡を修得させてくれる人などもいて、物語の進行によって人が増えることもある |
・要石で繋ぎ止められた世界には、強大なデーモンや想像を絶する危険が待ち受ける
要石の先にあるフィールドエリアは、いずれも強大なデーモンと、ソウルに飢えた存在が待つ危険に満ちた場所だ。各エリアはスタート地点からデーモンが待つ奥までで段階的に区切られていて、ユーザー間では1-1、1-2といったようにステージ数のように表現されている。どのフィールドから挑むかは自由だ。なお、要石にはもうひとつ、巨人の国という場所があるのだが、これは壊れていて使うことができない。今後なにかしらの展開がありそうだ。
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「ボーレタリア王城」
北の大国ボーレタリアの中心となる
巨大な石造りの城
デーモンにソウルを奪われた
飢えた兵士たちが侵入者に襲い掛かり
恐ろしい飛竜までもが巣食っている
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「ストーンファング坑道」
巨大な坑道を擁する穴掘り人たちの都
かつてボーレタリア戦士を支えた
頑固で勤勉な穴掘り人たちの多くは
ソウルを奪われ、思考する力を失ってなお
ただ黙々と、無意味な作業を続けている |
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「塔のラトリア」
女王が納めた象牙の塔の国、ラトリア
しかし1人の老人の復讐により
女王は命を失い、一族は牢に囚われた
その牢には、人ならぬ奇怪な獄吏が徘徊し
囚人たちの怨嗟の声だけが響いている |
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「嵐の祭祀場」
険しい孤島に作られた、影人たちの祭祀場
嵐を祀り、死者を弔った
数百年前に滅びたはずのこの地に
空を飛ぶ「嵐の獣」たちが現われて後
デーモンに惹かれた死者のソウルが
空っぽの骸骨に宿り、動き回っている |
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「腐れ谷」
湿った渓谷にへばりつく
捨てられた者たちの安息地
腐敗物にまみれ、毒と病に侵され
ただ死を待っていた貧しい人々は
彼らを愛しんだ女にソウルを献じるため
谷に迷い込んだ者に襲い掛かってくる |
■ 自分好みのキャラクターとスタイルを作り出せる自由度の高いシステム
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キャラクターの作成では、かなり細かなカスタマイズが可能だ |
1つのアカウントには、4つのキャラクターデータを保存できる。1度作成したキャラクターの作りを後から変更することはできない。じっくりと納得のいくキャラクタを作成しよう。
キャラクターメイキングでは名前、性別、生まれ、そして顔を決定していく。顔のカスタマイズ項目は非常に豊富で、顔全体の作りから、額、眉、目、鼻、頬、口元、顎、髪色などがあり、細かな調整もとても細かく行なえる。細かすぎて慣れないうちは思い通りの顔を作っていくのが難しいほどなのだが、ランダムの組み合わせからイメージに近い顔を探し、そこから細かに調整していくのがいいだろう。
「生まれ」というのはいわゆる職業のようなもので、騎士、魔術師、盗賊など、全10種類がある。生まれによってキャラクターの初期能力と初期装備や持ち物が変わってくるのだが、その後のステータスアップ、魔法や奇跡の修得など成長要素は自由に行なえるので、違いや差はなくなっていく。特定の生まれでなければ使えない武器や魔法などもないので、あくまで初期のステータスに関わる要素だ。「Demon's Souls」全般にも言えることだが、自由度が高く無粋な縛りがないのがいいところだ。好みでプレイしていける。
・「騎士」
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ボーレタリア南方の騎士階級。
筋力が高く、重厚な鎧を装備しているため、
防御に優れるが、運が悪いため、アイテムの入手に苦労する。 |
・「神職」
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神を信仰する僧籍の戦士。
鎖鎧と盾を装備し、回復の奇跡を使うタフなキャラクターだが、
技量は低く、高度な武器は使いこなせない。 |
・「盗賊」
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闇に紛れ汚れ仕事に従事する者。
不意打ちや奇襲、パリィからの致命の一撃など、
からめ手が得意なキャラクター。
とても運がよい。 |
・「魔術師」
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正式に魔法を学んだ平民。
「火線」、「水のベール」という2つの魔法を使用する。
武器は小型で、防御にも劣るため、直接戦闘は苦手。 |
・「神殿騎士」
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神の神殿を守る特別な騎士。
古い神殿の名を持つ重鎧を装備し、ハルバードで敵を薙ぎ払う、重戦士タイプ。
奇跡の回復も使用できる。 |
・「兵士」
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常に戦場で前線に立つ下級の兵士。
標準的な戦士タイプであり、特に体力が高い。
直剣のほか、槍を装備しており、戦い方の幅が広い。 |
・「放浪者」
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あての無い旅を続ける軽装の戦士。
特に技量が高く、斬撃属性の曲剣を使いこなす。
運も良いが、初期装備が貧弱なため、打たれ弱い。 |
・「蛮族」
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未開の人。
すべての生まれの中で最高のソウルレベル、
体力、頑強、筋力を持つが、初期装備は最低。
防具は無く、武器は棍棒のみ。 |
・「貴族」
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正式に魔法を学んだ貴族。
魔法「ソウルの矢」を使用する。
ソウルレベルは最低の1だが、唯一最初から貴重な指輪を装備している。 |
・「狩人」
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野外活動のスペシャリスト。
長弓を使用した、遠距離からの狙撃を旨とする。
革鎧や戦斧も装備しており、全体的にバランスが良い。 |
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片手に2つずつの装備、防具、アイテムを5種類、弓やボルト、指輪2種が装備品だ。かなり複雑そうに見えるが、方向キーでの装備切り替えと、左右の手に対応したL/Rボタンの操作はわかりやすくて操作しやすい |
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画面は△ボタンを押して両手持ちに構えているところ。状況や敵に合わせて切り替える |
「Demon's Souls」は様々な武器や防具、アイテム、さらに魔法や奇跡を使ってデーモンと戦い抜くアクションRPGだ。アクションは非常に多彩で、装備の自由度も高い。自分なりの戦闘スタイルを作り出せる。
手に装備する武器の種類は、剣、斧、槍、槌、弓、盾など、おおよそファンタジーRPGの定番と言えるものがたくさん存在する。魔法や奇跡もあって、魔法を使うには触媒なる杖などを、奇跡を使うにはタリスマンを装備する。
R1/R2ボタンで右手の装備品を、L1/L2ボタンで左手の装備品を使うという操作になっている。例えば右手に剣、左手に盾を持っている状態なら、
R1ボタン:剣で攻撃
R2ボタン:剣で強攻撃
L1ボタン:盾で防御
L2ボタン:敵の攻撃をはらうパリイ
となる。また、左右それぞれに剣を持たせた状態では左手武器の種類が大きい武器(直剣など)の時と、小さな武器(短剣など)の時とで操作が変わる。
左手が大きい武器の時は、
となり、小さな武器の時は、
の動作になる。
△ボタンを押すと右手に持った武器を、片手で持つか、両手で持つか切り替えられる。両手持ちのときはモーションが変わり、攻撃の威力が高まる。たいがいのRPGだと、大きな剣は両手で持つので盾は装備できなくなる、みたいな制限があったりするが、「Demon's Souls」にはそういうのはない。
剣と盾を持ったオーソドックスなスタイルから、二刀流、両手持ち、さらに、魔法詠唱用の杖と剣を組み合わせた魔法剣士のようなスタイルなど、自由に組み合わせることができる。
右手と左手には、それぞれ2つずつの武器や盾などを装備可能で、使う武器を方向キーの左右で切り替えられる。例えば、普段は左手に盾と杖を装備しておけば、魔法が有効な敵と戦うときに方向キーの左を押すだけで盾をしまって杖を構えてくれる。アイテムの使用は□ボタンで、使用するアイテムの切り替えは方向キーの下で行なえる。方向キーの上は、詠唱する魔法や奇跡の切り替えだ。
攻撃や防御、×ボタンでの回避など各種のアクションは、スタミナに気をつけるのがポイントになる。連続して攻撃していてもスタミナゲージが尽きると攻撃できなくなるし、敵の攻撃を防御し続けているときでもスタミナゲージがなくなると防御が破られてしまう。スタミナは時間ですぐさま回復するが、戦闘に夢中になってスタミナ切れを起こし、敵の攻撃を喰らってしまう、みたいなことにならないよう気をつけないといけない。
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背後から攻撃したときの「致命の一撃」。モーション中は、無敵となる |
致命の一撃という特殊な攻撃方法もある。敵の背後から攻撃するか、パリイを成功させた直後に攻撃すれば、特殊なモーションの攻撃を決めて大きなダメージを与えられる。敵に気づかれにくくなる指輪を使って背後から近寄り、致命の一撃を喰らわせるといった暗殺者のようなプレイも可能だ。ただ、致命の一撃はモーションが大きいため操作できない時間が発生する。その間も周りにいる敵は止まっているわけではなく動いているので、致命の一撃が終わった直後にピンチになることがある。基本的に1対1の状況で狙うのがいい。
装備品や所持品等に対するシステムは全体にリアル指向な作りだ。武器、防具全体の装備には装備重量という数値があって、装備重量が上限値の半分以上になると、移動速度が鈍くなってしまう。また、アイテムなどの所持重量もあって、重量を超えるとアイテムが拾えなくなってしまう。また、装備品には耐久度があって、耐久度が下がると壊れることはないものの性能が低下してしまう。
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非常に重要なのが、弓などの遠距離攻撃だ。安全な場所から攻撃したり、距離のあるところから先制攻撃するのはかなり有効。弓の場合、普通の視点で打つ以外に、自分で照準を定める狙撃視点にもできる |
■ メッセージやファントムといった、独特で面白いオンライン機能が満載!
・協力プレイの「青いファントム」、PKプレイの「黒いファントム」
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ソウルサインを出せば、他のプレーヤーに自分を召喚してもらえる |
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青いファントムは2人まで呼び出すことができる。自分を入れて3人にもなると、戦いはかなり楽になる |
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こちらは黒いファントムとなって、他のプレーヤーの世界に侵入したところ。その世界のプレーヤーを倒せば肉体を手に入れられる |
「Demon's Souls」はオンライン機能の使い方も独特で面白い。最大の特徴と言えるのが“ソウル体”という要素で、プレーヤーキャラクタが死亡すると肉体を失い“ソウル体”という状態になる。簡単に表現すると、魂だけの存在、幽霊のような状態だろうか。ソウル体のときはHPが半減するが、足音がしなくなり敵に気づかれにくくなる。肉体を取り戻すには、デーモンを倒すか、「儚い瞳の石」という消費アイテムを使わなければならない。また、オンラインに接続しているなら、ファントムとなって他のプレイヤーの世界にいくことでも肉体を取り戻すこともできる。
ソウル体のときにソウルサインを出すと、他の肉体を持っている状態のプレーヤーに召喚してもらえる。召喚された先では自分は青のファントムとなって、ともにデーモンに挑める。ようするに協力プレイだ。うまくデーモンを倒せれば、自分の肉体を取り戻せるし、召喚した側はフィールドエリアをクリアしたことになる。青ファントムは2人まで呼び出せる。
これがなかなかよくできていて、デーモンが待つ場所の直前にソウルサインを出せば、サクッとデーモン戦だけを協力プレイで戦えるし、フィールドエリアの入り口付近にサインを出せば、デーモンまでの道を互いに助け合いながら長めのプレイが楽しめる。協力プレイは1人で挑んでいるときとは違った面白さがあるし、難しくてクリアできないという人の救済策にもなっている。
もうひとつのオンラインプレイが、肉体を持つプレーヤーの世界に接続して、敵である黒いファントムとなり戦うプレーヤーキラープレイだ。接続した先のプレーヤーを倒せば肉体になって復活できる。モンスターに混じって襲うもよし、1対1の真剣勝負を楽しむもよし。接続先の相手は、基本的にソウルレベルが自分より高い相手になるし、相手は青ファントムを呼び出して黒ファントムと戦うこともできる。黒ファントム側はどちらかと言えば不利なバランスだ。腕に自信がある玄人向けのプレイと言えるだろうか。黒ファントムが侵入してきた、と画面に表示されたときの緊張感は、たまらないものがある。
プレーヤー間のコミュニケーション方法も独特だ。チャットのように自由な会話などはなくて、身振り手振りのジェスチャーのみで行なう。○ボタン長押しで出るジェスチャーメニューから選ぶするか、○ボタンを押しながらコントローラを動かしモーションセンサーを使うことで、手を振ったり、指さしたりといった動きができる。
ジェスチャーでお互いの考えを察し合うみたいなコミュニケーションが、手間や時間もとらずゲームのテンポを損なわなくていい。デーモンの直前で「エイエイオー」のジェスチャーを一緒にしたりするのは、チャットとは違った微笑ましさがある。それに、ダークで硬派な「Demon's Souls」の世界で顔文字のついたテキストチャットだったり、丁寧でわきあいあいとしたボイスチャットなんかをしたら、なんとも残念な感じになるだろう。ジェスチャーは雰囲気にも合っていていい感じだ。
・徘徊幻影
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右に白く見えているのが徘徊幻影。誰かが同じ場所でプレイしているのが見える |
オンラインに接続しながらプレイすると見えるのが、「徘徊幻影」だ。白い煙のような状態で、様々なプレーヤーが行き交う姿が見える。これはようするに、同じ時間に同じフィールドを冒険している他のプレーヤーの姿だ。何かしてもらったりしたりできることはなく、ただ見えるだけなのだが、これだけで雰囲気はずいぶんと変わってくる。
自分が進もうとしている先でモンスターと戦っているなとか、この人は回復アイテムを使っているなとか、見ているといろいろわかる。戦い方の参考になるときもあるし、たまに道を踏み外して落下していく姿なんかも見えたりする。なんともユニークなオンライン機能の使い方だ。見えるだけで色んな面白さをプラスしてくれる。また、徘徊幻影のおかげで緊張感がやわらぐところもあるが、敵が緊張感の高い状況で不意にすれ違ったりすると、驚かされるときもある。
・メッセージと血痕システム
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血痕に触ると赤い幻影が出現する。誰かが死んだときのリプレイ再生だ |
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他のプレーヤーからのメッセージはヒントになるものの、ときどき嘘メッセージもあったりする |
ステージのいたるところには、血の跡が残っている。これは「血痕システム」というもので、誰かがその辺りで死んだ証なのだ。近づいて○ボタンを押すと、赤い幻影が現われ、そのプレーヤーがどのように動いて死んだのかが再生される。
フィールドには赤い文字でメッセージを残すことができる。このメッセージはオンライン接続をしている他のプレーヤーにも見えるものだ。敵が待ち伏せていることを書き記したり、落下しやすい箇所があるので気をつけるよう伝えられる。
メッセージの内容は、「この先、○○に注意しろ」や「○○なら、ここは後で攻略すればいい」というような、定型文の組み合わせから作っていく。自由にテキスト入力できる方式だと、どうしてもおもしろおかしいメッセージで溢れてしまうし、入力も手間がかかってしまう。コントローラだけで手軽にメッセージを作れるし、雰囲気も損なわない。うまいシステムだ。
ただ、全てのメッセージが正しいものとは限らない。ひっかけのような嘘メッセージもところどころにあるのだ。これが、一概に悪いとは言えず、カオスな雰囲気を作り出していて面白い。「一歩前へ出てみよう」なんてメッセージがあるので、その通りにしてみたら落下して死亡した、なんていうことだってある。少し疑心暗鬼の心を持ちつつ頼るような感じだ。
役に立ったメッセージには評価を送ることができる。メッセージが評価されると、そのメッセージを残したキャラクターのHPが最大値まで回復する。この評価で嘘メッセージかどうかを見極めるのもいいだろう。また、メッセージには「心が折れそうだ…」のような、気持ちを書き残す内容もある。同感だと思ったら、評価してあげよう。
・ソウル傾向
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この画像ではストーンファング坑道のソウル傾向が黒になりつつある |
各フィールドにはソウル傾向というものがある。プレーヤーの行動によって変化するもので、オンラインのときには接続している全プレーヤーの行動が影響するものだ。デーモンを倒したり、肉体を持ったプレーヤーが倒されたり、様々な要素で傾向は変化していく。ソウル傾向はオフラインプレイでも変化するが、オンラインだと他のプレーヤーと傾向が共有される仕組みだ。
ソウル傾向が白いフィールドでは、デーモン達が弱体化し、逆に黒に偏ったフィールドではデーモンが強くなる。また、ソウル傾向によってはフィールドに変化が起きる。普段はいなかったデーモンが出現したり、足場が出現して進めなかったところにいけるようになったりする。
■ ゲーム序盤「ボーレタリア王城」に初めて挑んだ時の様子
ボーレタリア王城の序盤を最初にプレイした時の模様を書いていってみよう。どういう雰囲気なのか、どんな面白さなのかがストレートに伝われば幸いだ。
要石で移動してきた場所は王城の外郭部だった。巨大な城門へと続く道は荒れ果て、ところどころ火も見える。そこかしこの陰には、奴隷兵と呼ばれるみすぼらしい姿の兵が隠れていて、隙あらばと襲い掛かってくる。ところどころには血痕が残っていて、誰かがそこで死んでいったことを主張してくる。
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物陰に隠れていた奴隷兵が襲い掛かってくる |
この敵たちは動きが直線的なので、飛びかかってくるところを横に避けてそのまま後ろに回り込むようにすると楽だ。背後から攻撃すれば致命の一撃を喰らわせることができる。たいして強くもない敵なのだが、正面から戦うと、手に持った武器をなりふりかまわず振り乱してくる攻撃で、思いがけないダメージを喰らってしまうこともある。
細い道を進み、暗がりで中がよく見えない建物の中に入ろうとすると、手前にメッセージがあった。「この先の敵、待ち伏せに注意しろ」と書いてある。「待ち伏せているのか……」ありがたいながらも、緊張感が高まるメッセージだ。適切なメッセージは嬉しいヒントであり、先に危険が待っていることを告げるうまい演出にもなる。
おそるおそる中へと入っていくと、入ってすぐにいきなり斬りつけられた! 入り口そばで待ち伏せていたのだ。はさみこむように奥からも敵が飛びかかってくる。初めての場所で不意をつかれたときは軽いパニックだ。冷静に対処すればなんてことないところでも焦ってしまう。全編を通して敵の配置がいい感じにいやらしくて、緊張感に満ちたプレイが楽しめる。例えば通路の曲がり角を曲がったすぐのところにいたりもする。見通しのきかない曲がり角が怖い、というのは新鮮な感覚だ。
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火炎壺を喰らい炎に包まれた! 炎のダメージは大きくて危険だ |
階段の上から何かを投げつけられたと思ったら、突然炎に包まれた。敵が火炎壷を投げてきたのだ。原始的だが1番の脅威になるのは火だ。武器に松脂を塗っているのか、刀身が燃えている剣を持った敵もいる。敵自体は弱くても、炎をまとった武器のダメージは大きくて危険だ。後にだいぶ成長し強くなってからでも、火を扱う雑魚敵に囲まれて思いがけず死んでしまうことだってある。
先へと進むとちらほらと、普通の姿をした兵士も現われてくるようになった。彼等はソウルの力に魅了され、正気を失っている。奴隷兵と比べると盾をしっかりと構え、間合いをうまくとってくる。リーチのある槍を使ってくる兵士あたりは、こちらの武器によってはかなり戦いづらい。
階段を昇り、城壁の上へと出ると、兜の中が青く光っている重装備の騎士がいた。こちらに気づくと、盾をしっかりと構えてじりじりと近づいてくる。こちらが斬りかかっても盾で防がれてしまい、たいしたダメージは与えられない。向こうの攻撃の出がかりを攻めたり、攻撃をローリングでかわしてから、後ろに回り込むようにしてダメージを与えていくのだが、最初の魔物に比べると動きや武器の振りに隙がなくて難しい。それに加えてこの騎士は、ある程度ダメージを喰らうと回復までしてくる。一気に攻め立てなければいけないわけだ。こうした重装備の敵には、火や魔法の武器を使うのが効果的だ。
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赤い目の騎士にあっけなく敗北。各所には後から行くべき場所もある。そうしたところにはたいがいメッセージが残されているのでよくチェックしよう |
その近くでは、兜の中が赤く光っている騎士が待ち受ける細い通路があった。槍と頑丈そうな盾を構え、いかにも強そうだ。少しずつ距離を縮めて、弓を放ってみると、騎士は槍を突きだしてものすごいスピードで突進してきた。細い一本道の通路なので避けようもない。慌てて引き返すも騎士はそのまま追いかけてきた。狭い室内でなんとか槍を交わしつつ、背後からの致命の一撃を与えるも、騎士のHPは7割近くも残っている。これまでの敵とは格が違いすぎる。うまくいったのはそこまでで、槍の重い一撃を喰らい、絶命してしまった。
死んでしまうとその場に所持していたソウルが残される。ソウルというのは、他のRPGで言うところの経験値でありお金のようなものだ。ある時点から、ソウルを消費することで能力値を高めることができるようになるほか、アイテムを購入するのにも使う。それまで貯めていたソウルをなんとかして取り返したいところだが、キャラクターはスタート地点へと戻され、道中の敵も復活してしまう。このときにもう1度死んでしまうと、残されていたソウルは消失してしまう。焦りは禁物だ。
なんとかソウルを取り戻して別の道を進むと、ある通路の先で敵が待ち伏せていた。こちらが近づいていっても他の敵のように近づいてこない。周囲には樽がいくつも積まれていて、なんだか嫌な予感しかしない。おそるおそる敵との距離を詰めていくと、懐から火炎壺を取り出して投げてきた! 途端に大爆発を起こす樽。火薬が詰まっていたのだ。もちろん巻き込まれれば即死もありうる大ダメージを受けてしまう。
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重要人物の1人オストラヴァ。各フィールドには彼のほかにも重要人物がいる |
途中、高い場所から下を除いてみると、多数の敵が徘徊しているところに見慣れない騎士が立っているのが見えた。ボス敵のようなものだろうかと思いつつ、その場所へと降りていく。騎士がいたあたりに近づくと声がした。奴隷兵に囲まれて動けなくなってしまったそうだ。この世界にまだまともに話ができる人がいたことに驚きつつ、周囲の敵を排除していく。ここは敵の数がかなり多いので、後から万全の体制を整えて訪れるのがいいようだ。
騎士は特徴的な盾と剣を持っていた。重要人物の1人、オストラヴァだ。彼はお礼にアイテムをくれて、早々に立ち去っていった。なすべき使命があるということだ。このオストラヴァをはじめ、この世界には重要な人物がところどころにいるが、彼等とコンタクトをとるかは自由だ。それに彼等と戦うという選択だってある、何度も遊んでいろんなパターンを試してみるのも面白い。
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崖にいる巨大な飛竜。その手前にはいくつもの死体とアイテムが…… |
オストラヴァの救出を果たし、さらに先へと進んでいくと、遠くにとんでもないものが見えた。崖に悠々とたたずんでいる巨大な飛竜だ。遠近感がおかしくなったのかと思うほど巨大で、あんなのに襲われたらひとたまりもない。遠目に飛竜を見つつ先へ進むと、飛竜のいる崖へと降りていく道を見つけてしまった。おそるおそる近づいてみると、周囲には煙をだしている黒こげの死体がいくつも横たわっている。そこにはアイテムの光があった。
これは絶対にまずい。きっと殺されてしまう。でも、アイテムは欲しい。気づかれないようにうまく近づけばアイテムが取れるのか? いやいや、そんな簡単にはいかないような気がする。足下にはメッセージがあった。「心が折れそうだ…」と書いてあった……。この場面がどうなるか、だいたい想像がつくという人が多そうだが、ぜひご自身でプレイして頂きたい。
こんな感じにいたるところに様々な危険が待っている。ここに書いていった部分はだいたい30分~1時間いかない程度で進める範囲なのだが、初回プレイからかなり密度の濃い時間を過ごした。緊張感が高く、もっと先に進んでみたいという欲求が高く、死んでしまったときには悔しい。少しずつ各所のコツを掴んで進めたときの達成感はかなりのものだ。夢中になって西洋ファンタジーの冒険が楽しめる。
■ ゲームファンなら迷わずプレイ! シビれるような面白さとたっぷりの遊びごたえが待っている
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死んでもめげない心が大事。どんなに絶望的な戦いも、試行錯誤しながらくじけずにがんばればなんとかなる。いいゲームバランスだ |
こういうシビアなゲームは、うまく作られていないと挑戦しようという意欲が薄れてしまうものだ。インターフェイスでストレスを感じたりとか、テンポが悪かったりとか、ゲーム内容でしんどい目にあわされているときにそういうことまで重なったら、やる気がなくなってしまう。
その点「Demon's Souls」はとても良くできている。ストレスを感じることが少なく、キビキビとテンポよく挑める。グラフィックスのクオリティや雰囲気は海外ゲームのように感じられるところが多いが、丁寧さや味わいは国産ゲームの良さを持っている。
デーモンたちのインパクトはかなりのものだ。パッと見た段階で絶望的。挑んでみても絶望的だ。でも何度か工夫してがんばっていくと、次第になんとかなっていく。そんないい感じのバランスをしていて、ゲーム好きの心をわしづかみにしてくれる。昨今では少なくなった、本気になって真剣に遊べるゲームだ。
プレイ中に、「おいおい、こんなの絶対ムリだよー!」と何度も声に出たものだが、何度もトライするうちにコツやポイントがわかってきて、最終的になんとかなる。なんとかできた自分が嬉しいし、なんとかなっちゃう「Demon's Souls」のできの良さが嬉しい。時間はあっという間に過ぎていく。面白いゲームを遊んでいる実感がヒシヒシと感じられる。遊びごたえも満点で、ぜひプレイして頂きたいゲームだと思う。
(C)Sony Computer Entertainment Inc.
□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□フロム・ソフトウェアのページ
http://www.fromsoftware.jp/
□「デモンズ・ソウル」公式サイト
http://www.jp.playstation.com/scej/title/demons-souls/
(2009年2月28日)
[Reported by 山村智美]
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また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします
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