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Taipei Game Show 2009 関連レポート

台湾ゲームパブリッシャーUnalis訪問レポート
カジュアルさと流行を取り込んだ三国志のMMORPGを自社開発

2月11日 収録

Unalisの董事長、鄭宏森氏
オフィスはそれほど広くないが、きちんと仕切られて整然としている
 Unalisは、台湾で「シルクロードオンライン」、「ドリフトシティ」などをサービスしているパブリッシャー。パッケージソフトも扱う歴史のある会社で、最近だと「Left 4 Dead」や「Tom Clancy's H.A.W.X」といったタイトルをラインナップしている。

 2年前には「ケロロ軍曹」のゲームを掲げてTaipei Game Showに出展し注目を集めたが、今年は昨年に続いて出展を見送っている。しかし新作タイトルがないわけではなく、3カ月置きのペースでコンスタントに新作を投入しているという。しかも現在は自社開発タイトルも用意しているというので、Taipei Game Showに合わせて台湾のUnalis本社を訪問し、その新作タイトルを見せていただいた。

 新作は2タイトルあり、いずれも三国志を題材にしたもの。1本目のWindows用3DMMORPG「熱闘三国」は、Unalisの自社開発タイトル。2本目のブラウザで動作するWEBゲームRTS「激戦三国WEB」は、Unalisが出資し、同じビルに入っている新設デベロッパーの九芸テクノロジーが制作している。Unalisがデベロッパーとしても成功を収められるかという点でも、今後が気になるタイトルだ。



■ 可愛さを重視しつつ、流行の機能を満載したMMORPG「熱闘三国」

三国志ものにしては珍しく、デフォルメされたキャラクターを操作する
 三国志のゲームというと、日本のコーエーの作品を始めとして、リアルなキャラクターが戦うというイメージが強い。しかしこの「熱闘三国」は、メインビジュアルこそリアル系で描かれているものの、ゲーム中ではデフォルメされた可愛らしい雰囲気のキャラクターを採用しており、他の三国志タイトルとの差別化を図っている。

 動作環境は、Pentium 4 2GHz以上のCPU、512MB以上のメインメモリ、GeForce FX 5600以上のビデオチップを搭載したビデオカードと、現在開発中のタイトルとしては低めに設定されている。前述の可愛いキャラクターと合わせて、よりカジュアルなユーザーの取り込みを狙っている。

 基本的なシステムは、マウスでクリックして移動や攻撃を行なう、一般的なMMORPGのスタイル。グラフィックスも旧世代的なもので、一見すると新作というほどの目新しさが感じられるタイトルではない。しかしUnalisは、長年のオンラインゲームパブリッシングの経験を活かして、システム周りに最近のオンラインゲームの流行を取り込んでいる。

 まずプレイの序盤はレベルアップを早く設定し、最初の転職をすぐに迎えられるようにするという。転職は物語とも絡んでおり、「黄巾の乱」が終わる(クエスト形式になるものと思われる)と文武いずれかを選ぶ1次転職があり、次に「官渡の戦い」があり、それが終わるとより専門的な職業へと分かれていく、といったような流れになる。

 クエストのNPCを探す際には、マップ表示でNPCのリストから選ぶと、その場所が表示される。そこに向けて自分で操作していってもいいが、自動的に移動する機能も備える。さらに課金アイテムを使えば、その場所に瞬間移動する機能も提供される。目的地の検索には、NPCのほか、ランドマーク的な場所も選べるようになっており、仲間と合流する際などにも活用できる。

 成長要素はプレーヤーのレベルアップに加えて、騎乗できるペットの強化も用意されている。ペットに乗ると移動が速くなるだけでなく、乗ったまま戦闘することで、ペットも一緒になって攻撃を仕掛けてくれる。最初のペットは普通の馬だが、赤兎馬のような強力な馬もいれば、虎や狼といった別系統のペットも選べるようになる。

 さらに、特定の武将の陣営に所属することで、ある能力が向上するなどのメリットが得られる。所属国に貢献して官位を上げたり、武将から指示されたクエストを達成して有効度を上げたりすることで、より大きなメリットが得られるようになる。能力は所属する陣営によって異なるので、別の陣営に乗り換えることも可能だが、その場合はそれまで積み重ねた有効度などは0に戻ってしまう。

 戦闘システムでは、侵略戦という仕組みを用意している。NPCの軍団が大勢で攻めてくるのを防いだり、逆にこちらからNPCの拠点に攻め込むというもの。実際にプレイしている様子を見せていただいたところ、味方のNPCも多数登場し、自分1人でもかなりにぎやかな戦闘を実現していた。

 クエストの数も、クローズドβテストの段階から600種類、正式サービス時には1,200種類を用意するとしている。プレーヤー間で取引するためのオークション機能も用意し、クエストや装備強化などに必要なアイテムを循環させることで、初心者でもお金を稼ぎやすい仕組みを用意するという。

 自社開発に際しては、台湾だけでなく、技術的に先行している韓国や、中国からもスタッフを集めたという。またゲームそのものだけでなく、GMツールやサーバー設計についても充実していることも強調しており、パブリッシャーとしてのノウハウを存分に盛り込んでいることを伺わせた。

 サービススケジュールは、台湾において2009年夏ごろにオープンβテストを実施予定としている。課金形態はアイテム課金方式となる。

【スクリーンショット】
キャラクターだけでなく、街並みも柔らかい色合いで描かれている。戦争の刺々しさはかなり薄い
光っている武器は強化されたもの。ペットも攻撃できるので、キャラクター、武器、ペット、さらに陣営と、強化できる要素が多い
グラフィックスは軽量動作を重視しており、見た目には最先端ではないが、戦闘シーンではなかなか派手なエフェクトも出る



■ カードゲーム+RTSの対戦をブラウザ上で実現する「激戦三国WEB」

諸葛孔明のカードイラスト
 Unalisは以前から「忍豆」というブラウザ上で動く対戦ゲームを展開しており、小学生を中心に高い人気を得ている実績がある。そのUnalisが出資して設立された九芸テクノロジーが手がけるWEBゲーム「激戦三国WEB」は、カードゲームとRTSを組み合わせたものになる。サービスは2009年秋を予定しており、まだまだ開発中というタイトルだが、現時点で動いているものを見せていただいた。

 ゲームには、武将が描かれたカードが用意されている。カードには、魏、呉、蜀などの勢力、武力と知力、兵種、コストが書かれている。決められたコストの範囲でカードを選び、戦力を編成する。RTSといっても生産要素はなく、このカードで全戦力が決定される。

 戦闘では、最初から配置されている敵の城の破壊が目標となる。最初にフィールドにカードを配置すると、そこにそのカードの武将の部隊が現われる。ゲームが始まれば、後は普通のRTSのように複数の部隊がぶつかり合いながら戦い、さらに相手の城まで進軍して破壊を狙うという流れになる。敵の城を先に破壊すれば勝利、自分の城を破壊されれば負けとなる。部隊が戦って疲弊したら、自分の城に戻せば兵力が回復する。もし倒された場合でも、ある程度時間が経てば、少し後方にある別の城から復活して再度出撃できる。

 また各武将には、強力な技が用意されている。ゲームを進めていくと画面下のゲージが徐々にたまっていき、その技に必要な分量がたまると使用できるようになる。特定の敵に大ダメージを与えたり、移動速度が早くなったりと、武将によって色々な効果がある。

 武将のカードはクローズドβテストの段階で100種類以上、正式サービスでは200種類以上を用意するとしている。RTSの面白さをシンプルに引き出すとともに、トレーディングカードゲームのデッキ構築やコレクション要素といった要素も楽しめるのがポイントだという。

 そろそろ読者の方も気づかれていると思うが、ゲーム内容はセガのアーケードゲーム「三国志大戦」に酷似している。勢力や兵種の概念、戦闘における勝敗条件や武将固有の技など、ほぼそのままの内容が多く、説明を聞くまでもなくルールが把握できてしまった。さらにはカードデザインもイラストこそ違うものの体裁はほとんど同じ。制作においては特にセガとの協力関係もないそうで、このままサービス展開するのはかなり危うい。一応その点はUnalisとしても把握しているようで、カードデザインなどは今後変更するとしている。

 ただゲームの出来としてはまだまだ開発中で、さらにWEBベースで動作しているということを考えると、グラフィックスも美しく動作も快適。それだけに、せめて何か1つはオリジナリティの見える要素が欲しいところだ。

【イラスト】
まだスクリーンショットは公開できないということだったので、カードのイラストの一部をいただいた。上の諸葛孔明など、とてもよく描けているものもあるだけに、ゲーム内容により一層のアレンジが欲しいところだ


□Unalisのホームページ
http://www.unalis.com.tw/
□関連情報
【2008年1月27日】Unalisのパブリッシングタイトルを紹介
オンライン3D格闘アクション「TAPA」など
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080127/unalis.htm

(2009年2月14日)

[Reported by 石田賀津男]



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