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★モバイルゲームレビュー★

知る人ぞ知る良作がモバイルで復活!
「ワンダーボーイ」シリーズ第4弾

「モンスターワールド2」

  • ジャンル:アクションRPG
  • 開発元・配信元:セガ
  • 利用料金:月額315円(サイト利用料)
  • プラットフォーム:iモード
  • 対応機種:FOMA 703i以降/903iシリーズ以降
  • 配信日:1月15日(配信中)
  • アクセス方法:iMenu → メニューリスト → ゲーム → ゲームパック → ★ぷよぷよ!セガ



 「モンスターワールド2」は、主人公の剣士ブックを操作して、敵を倒してゴールド(お金)やアイテムを集めて装備を強化したり、フィールド上に隠された謎を解き明かしていくコミカルな世界観が特徴のアクションRPG。元々は、かつてセガが発売していた携帯ゲーム機であるゲームギア用ソフトとして1992年に発売された作品(※厳密には海外向けにマスターシステム用として1989年に登場したのが最初)である。

 今回レビューするiモード用「モンスターワールド2」は、マスターシステム版をベースにマップデザインされている。グラフィックスは過去のプラットフォームのものより美しくなり、サウンドも曲自体は同じだが音源が違うこともあって大幅にリニューアルされた印象だ。とはいえ2Dのドット絵だけで作り出されたシンプルなビジュアルは、いかにも1980年代のレトロゲームっぽい雰囲気を醸し出している。
【スクリーンショット】
iモード用「モンスターワールド2」はゲームギア版よりもビジュアル、サウンドともに進化し、データセーブの際にパスワードをメモする必要もない
写真はプレイステーション 2用「セガエイジス2500 モンスターワールドコンプリートコレクション」に収録されたもの。ちなみにゲームギアのモニタは3.2インチなので、当時はこんなに大きな画面サイズでは見られなかった



■ ゲーム内容はオリジナル版をそのまま継承、携帯ならではの独自システムもあるが……

 プロローグの場面は、前作にあたるシリーズ3作目の「ワンダーボーイ モンスターランド」(1987年発売)の最終ステージだったドラゴン城からスタートする。ブックが城内で待ち構えるドラゴンを倒すと、突然ドラゴンの呪いにかかってリザードマンの姿に変えられてしまう。ブックが元の人間の姿へと戻るため、敵と戦いながら世界中を冒険して呪いを解く「サラマンダークロス」を手に入れることがゲームの目的だ。

 操作方法は、方向キーの左右または4、6ボタンで移動、下または8でしゃがみ、上または2がジャンプ、5、*、#の各ボタンが攻撃ボタンで、0を押すと鍵や魔法などのアイテムを使用する。基本的には、左手(の親指)で方向キーを使ってブックの左右移動を、右手で2、5ボタンを使ってジャンプおよび攻撃の操作をすると最もプレイしやすいだろう。

 さらにオプション画面でオートアタックの設定をONにすると、敵が接近したときにブックが自動的に攻撃をしてくれるという、携帯コンテンツ版オリジナルの仕様も追加されている。ただ残念ながら、筆者がプレイした限りではこの機能はあまり役に立たないというのが率直な印象。プロローグの場面こそ出てくる敵を次々と倒してくれたが、ブックがリザードマンの姿に変身してからは、攻撃してほしいタイミングでなかなか炎を吐かず、敵に体当たりされてダメージを受けてからやっと反撃するというケースもしばしば見受けられ、結局は自力で操作することになった。

 アクションゲームをプレイするにあたり、必ずしも最適とは言えない携帯のデバイスでも快適に遊んでもらうというせっかくのアイデアだけに、うまく機能していないのは少々もったいない。デバッグあるいはテストプレイの段階で、もっとオートアタックの精度を上げておいてほしかった。そうすれば、敵が多くてちょっと面倒な場面でも片手で操作ができて、さらに快適に遊べる作品になったことだろう。

 また、扉を開く際には方向キーの上を押すことが必要だが、このボタンはジャンプも兼ねているので、扉を開けようと思ったのにその場でジャンプするケースが頻発したのも気になった。オリジナル版では扉とジャンプの操作がそれぞれ上方向キーとボタンに分かれていたのでこのような問題はなかったが、携帯版であえてこれらの操作を集約した意味がはたしてあったのか、少々疑問が残った。

 操作方法については、オプション画面で別途キーコンフィグ機能を用意しておき、プレーヤーが遊びやすいボタン配置を任意に設定できるようになっていれば嬉しかった。

【スクリーンショット】
「ワンダーボーイ モンスターランド」の最終ステージがプロローグの舞台。主人公がメカドラゴンを倒した後にリザードマンの姿に変えられてしまうと、ここから本格的に物語がスタートする
リザードマンに変身後はオートアタックがなかなか機能せず、自力で狙い撃ちしたほうがうまくいく場面が多かった。扉とジャンプのボタンが共通になっているのもかえって不便だったかも?



■ 携帯コンテンツとしてまさにうってつけの、シンプルかつ奥深いゲーム内容

 このゲームには、いわゆる「経験値」によるレベルアップや、謎解きのヒントにつながるような町の人との「会話」シーンなどは一切存在しない。ブックを強くするためには、地道にゴールドを集めて武器屋で装備品(剣、鎧、盾の3種類がある)を購入するか、あちこちに隠されている宝箱を地道に探し出し、HPの最大値が増えるハートのアイテムを集めることが必要だ。

 ゲームのバランスおよび面白さを保つ最大のポイントは、ブックの体が5種類の形態に変身する本作品独特のシステムにある。最初のリザードマンのときは行動範囲がかなり狭いが、1体目のボスを倒すと一部の壁によじ登れる特技を持ったマウスマンへと変身し、これによって今まで通れなかった場所へ行けるようになる。以後、ボスキャラクターを1体倒すごとに、水中を自由に泳げるピラニアマン、攻撃範囲の広いライオンマン、そして空を飛べるホークマンへと変身できるようになり、行動範囲もその都度どんどん広がってプレーヤーの冒険心を大いに煽ってくれる。

 このシステムのおかげで、たとえゲーム中にヒントが出てこなくても、その時点で行動できる範囲内に存在する武器屋や宝箱、あるいはボスのいる部屋を探し出せばいいことにプレーヤーが自然と気がつくので、手詰まり感を感じることがほとんどない。本作品最大の面白さの肝は、まさにここにあるのだ。

【スクリーンショット】
壁にへばりついてよじ登れるマウスマンや、水上を泳げるピラニアマンに変身することで行動範囲がどんどん広がる
マップのあちこちに隠されている宝箱。さらに「サンダーセイバー」という武器を入手すれば、一部のブロックを破壊できるようになり、さらに行動範囲が広がる


 マップの構造も実にシンプルで、どのエリアに進んでも途中でルートが分岐したりすることがほとんどなく、限りなく一本道に近い構成になっているので迷うことはまずないと言っていい。大きさ自体も広過ぎず狭過ぎずで、冒険の起点となる町を出発してから各ボスが出現する地点までおよそ10~20分程度で到達できるので、携帯電話用コンテンツとしてまさにピッタリのボリュームだ。しかも、途中でメニュー画面から「中断」を選んでゲームを終了すると、次回プレイ時には中断した場所からいつでも再開できるのでとても便利だ。

 ボスの行動パターンも、「画面内を飛び回る」から「炎を吐く」といった単純なパターンをひたすら繰り返すだけなので、装備さえ整えていれば高度なテクニックを使わなくても倒せるはずだ。他のザコキャラクターについても同様で、毎回出現位置も攻撃パターンも同じなので、攻略法は比較的作りやすい。難易度バランスの面においても、携帯コンテンツとして遊ぶには手頃な構成になっていると言えるだろう。

 なおドラゴン城のマップ内では、前作と同様に途中で道を間違えるとスタート地点に戻されるトリックが隠されているため、元ネタを知らないプレーヤーは少々面食らうかもしれない。だがこのトリックにさえ気付ければ、敵もほとんど攻撃を仕掛けてこないので、クリアするのは簡単だ。

【スクリーンショット】
ボス戦は行動パターンがいつも決まっていて、なおかつどこかに必ず隙があるので、そこを見逃さずに攻撃できるパターンを作れるかがポイントだ



■ 今こそかつての携帯ゲーム機用ソフトを再評価し、携帯コンテンツの充実を!

 シンプルな内容ながら、未知なるマップを探し求めて冒険する爽快感が意外なほどに高い「モンスターワールド2」。前述したように、「ワンダーボーイ モンスターランド」の元ネタを知らない人はちょっと戸惑うかもしれないが、基本的なゲームの流れと操作感覚に慣れてしまえば、本作品の持つ面白さを十分に堪能できるだろう。なお、「ワンダーボーイ モンスターランド」も、同じサイト「★ぷよぷよ! セガ」内ですでに配信されているので、興味のある方はぜひこちらの作品にもチャレンジしていただきたい(筆者はこちらも大のお気に入りだ)。

 本作品に限らず、ゲームギアなどの携帯ゲーム機用に発売されたソフトの中にも、携帯電話用コンテンツへと移植またはアレンジして配信すれば人気が出る可能性を持ったタイトルが、実はまだまだ眠っているのではないかと思っている。現代の携帯コンテンツと同様、いつでもどこでも気軽に遊べるのがコンセプトのゲームであれば、たとえオリジナル版の存在を知らない人に対しても、移植の工夫次第で十分に訴求が図れるのではないだろうか。

 これからも古(いにしえ)の携帯ゲーム機用ソフトをうまく活用することで、より楽しい充実した携帯サイト・コンテンツがどんどん出現することを大いに期待したい。

(C)SEGA

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「★ぷよぷよ!セガ」のページ
http://sega.jp/kt/docomo/puyosega/

(2009年2月10日)

[Reported by 鴫原盛之]



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