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★DSゲームレビュー★

スピード感のある戦闘と戦略性を持った秀逸SRPG
「女神異聞録デビルサバイバー」

  • ジャンル:シミュレーションRPG
  • 発売元:株式会社アトラス
  • 価格:5,229円(税込)
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(1月15日)
  • CEROレーティング:B(12歳以上対象)



 株式会社アトラスから1月15日に発売された「女神異聞録デビルサバイバー」。封鎖された東京で生き残る若者達の物語を描いたシミュレーションRPGだ。アトラスお得意の数々の悪魔や天使が、本作でも敵や仲魔として登場する。まず、本作がどのようなゲームになっているのか、その概要から紹介していこう。




■ 行き来も楽、戦闘もスピーディ。さくさく進めるSRPG 

 本作の基本的な流れとしては、渋谷や新宿といった街にそれぞれイベントが用意されていて、自由に行きたい街を選択し、物語を進める。時間が進むイベントや、戦闘となるイベントは、事前にわかるようになっているので、ゆっくり考えながら行き先を選択できる。戦闘以外でフィールドを歩き回ることはなく、移動に時間をとられないのはありがたい。

 戦闘は、ベーシックなシミュレーションゲームと同様に、マス目で区切られたマップでユニットを動かして進める。ユニットは1人+仲魔2体で構成され、基本的に敵と隣接して攻撃を選択すれば戦闘開始となる。敵との戦闘が始まると、コマンド選択式のバトルとなり、お互いに1回ずつの行動を行なう。

 操作は、一部の操作でタッチスクリーンが使用できるものもあるが、ほぼ全て十字ボタン+ボタンで行なう。

 セーブデータは1つしか用意されていない。本作は物語が分岐するので、3つくらいは欲しいところだったが、クリア後に仲魔などを引き継いだまま2周目に臨めるので、1周目と比べて楽に物語をやり直すことができる。

 「女神転生」シリーズなど、アトラスからリリースされる悪魔や天使が登場するタイトルは、難易度が高く、とっつきづらいという人がいるかもしれないが、本作は全体的に遊びやすい難易度に設定されている。実際プレイしてみると、物語はさくさくと進み、戦闘や仲魔の成長が楽しく、レベル上げも苦にならなかった。

青山や渋谷といった実在の都市が出てくるのが印象的だ。ここ東京で物語が進んでいく 誰でもプレイしやすいように作られた戦闘システム。特徴的なシステムとわかりやすさを併せ持っている



■ 封鎖された東京を舞台とした、7日間のサバイバル 

 高校2年の夏。従兄のナオヤに呼び出され、貴方は渋谷の雑踏へと足を踏み入れる。共に呼び出された友人、アツロウやユズと共に、時間になっても現われないナオヤを探す貴方は、唯一の手がかりとなる携帯ゲーム機「コミュニケーションプレイヤー」、通称“COMP”を起動する。街に現われる悪魔、封鎖された山手線、隠された真実……。これから巻き起こる非日常の全てを知っているかの様に、COMPはその時、貴方に告げたのだ。――――Let's Survive.

 突然の封鎖。その日に起こる出来事が書いてあるラプラスメール。仲魔を呼び出すことができる謎の機械COMP。何もわからないまま事件に巻き込まれ、真実へと近づいていく主人公達。極限状態の中、選択を迫られる場面が数多く登場する。どのような選択をするかはプレーヤーの自由だ。

 主人公に決まった名前は無く、苗字・名前・ニックネームを自分でつける。漢字を使うことも可能だ。自分の名前を付けると、より物語にのめりこめるのではなかろうか。

頼りになる仲間達。彼らもCOMPと呼ばれる機械を使って仲魔を呼び出し、一緒に戦ってくれる 苗字・名前は3文字。ニックネームは6文字まで設定できる。女神転生シリーズのように漢字が使える




■ 物語を進めるアドベンチャーパートと戦闘を行なうバトルパート 

 池袋や新宿といったエリアを移動しながら物語を進めるアドベンチャーパートと、戦闘を行なうバトルパートの2つを行き来していくのが基本的なゲームの流れとなる。

 ゲーム中には時間の経過があり、特定の時間・場所によって様々なイベントやバトルが発生する。「ラプラスメール」というその日に起こることが書かれているメールや人々からの情報をもとに行動するといいだろう。時間が経過すると他のイベントが無くなってしまうこともある。また、マップ画面でYボタンを押すことで時間を30分単位で進めることができる。物語を楽しみたい場合は、時間を進めずにイベントを見るといい。

その日の出来事が記されたラプラスメール。なぜ未来が書かれているかは謎だが、行動の指針になる重要な情報だ 時計マークが表示されているものは時間が経過するイベントになっている


● 生き残りをかけて行動するアドベンチャーパート 

 アドベンチャーパートは、行き先や行動を選択するマップ画面と会話の選択肢を決定する会話イベント画面に分かれている。

 マップ画面では、行き先や行動を決定する。複数の時間経過イベントが出たら、状況やどうしたいかをよく考えて決定したい。場合によっては、時間経過によって、イベントが消えてしまうことがあるからだ。時間経過イベント以外の行動はいくら選んでも問題ないので、気軽に選択してみるといい。「BATTLE」と書かれたイベントを選ぶ前には、チーム編成などでしっかり準備し、セーブをしてから臨みたい。

 「フリーバトル」と書かれたものは、時間を経過させずに戦闘ができる。パーティを強化するのに使うといい。通常と強敵の2種類のフリーバトルが登場する場合もある。強敵のフリーバトルが楽に勝てるようなレベルになれば、イベントでのバトルも簡単に勝てるだろう。

複数の時間経過イベントが出た。選んだ結果によって、物語が分岐することも BATTLEと書かれたイベントにトライするなら、準備やセーブを怠らないようにしたい パーティを強化できるフリーバトル。時間が経過しないので、いくらでも利用できる。また、いつでも撤退できるのも便利だ


● 戦略性のある戦闘が繰り広げられるバトルパート

 「BATTLE」と書かれたイベントを選択するとバトルパートに入る。バトルパートは、勝利・敗北条件の表示→準備メニューでの出撃用意→バトル→勝利条件を達成→リザルト画面という流れで進む。

 個々の戦闘は、ユニットを敵に隣接させて攻撃を選択することで始まる。仲魔のスキルによっては、遠い間合いから攻撃することも可能だ。

 行動順は、行動力によって決まる。「移動→攻撃」より「移動」のみだと消費行動力が少なくて済むわけだ。画面上に行動順がアイコンで表示されているのでわかりやすい。

 通常のシミュレーションゲームと異なるのが、スキルの使い方だ。1ユニットは人間+仲魔2体のパーティーで構成され、それぞれがスキルを持っている。スキルは戦闘中のみ使用できるものや、自動で発動するもの、戦闘前でも戦闘中でも使えるものなど様々ある。例えば、フィールドで使えるスキルを全員が持っている場合、移動→スキル発動→スキル発動→戦闘→戦闘後にスキル発動ということができる。戦闘前、戦闘後と任意のタイミングでスキルが使えるのだ。

 ユニットを撃破するには、パーティのリーダーを倒せばいい。中央に位置するのがリーダーだ。ただし、リーダーをかばうスキルを持っている相手だと、リーダーだけを倒すのは難しくなる。また、リーダーのみを倒すより、敵パーティー全てを倒した方が、得られる経験値やマッカ(通貨)が多くなる。もちろん、味方のリーダーとなる人間が倒されても、そのチームはバトルから撤退となる。

 経験値を一定以上得るとレベルが上がる。主人公のみ自分でアップさせるパラメータを選択できる。パラメータは以下の4つがある。

  • 「力」…力を上げれば、物理攻撃力が上がる
  • 「魔」…魔を上げれば、MP量・魔法威力・魔法防御力が上がる
  • 「体」…体を上げれば、HP量・物理攻撃・魔法攻撃に対しての防御力が上がる
  • 「速」…速を上げれば、行動順と命中・回避率などが上がる

     これらのパラメーターは、単に上記のものだけを考えていると後々大きな問題が出てくることがある。それはスキルへの影響。スキルを人間のキャラクタにセットするには、スキル毎に設定されたパラメータが必要となるのだ。色々と試してみたが、「魔」を中心にスキルアップしていくと攻略しやすい印象を受けた。

     戦闘システムで特徴的なのがEXTRA TURN。EXTRA TURNには以下のような特徴がある。

  • 「速」パラメータが高いほどEXTRAを取りやすい
  • 攻撃側にはボーナス値が加算され、EXTRAを取りやすい
  • 弱点属性で攻撃するとEXTRAが付くことがあり、弱点属性で攻撃をくらうとEXTRAが消えることがある
  • クリティカル攻撃をヒットさせるとEXTRAが付くことがあり、クリティカル攻撃をくらうとEXTRAが消えることがある
  •  これらの特徴は敵・味方どちらにも適用される。味方にはEXTRAを取らせ、敵には取らせないようにしていけば、戦闘は相当有利になる。よく考えてコマンドを選択するといい。

     物語が少し進むと、敵の持つ能力を解析して学習することができる「スキルクラック」というシステムが使えるようになる。戦闘開始時に、スキルクラックしたい能力と対象となる敵をチーム毎に決定する。対象となる敵を該当チームが倒せば、スキルクラック成功となる。パラメータが足りず、装着できないスキルでも、一度クラックしておけば、いつでもスキルを持たせられるので、各チームが異なる敵の異なるスキルをクラックすると効率がいい。フリーバトル、イベントでのバトルどちらでも、まだ所持していないスキルがあればスキルクラックできるので、なるべくスキルクラックしておくようにしたい。

     さらにスキルセットボーナスと呼ばれる機能もある。これはCOMPに大量のマグネタイトを貯めて、その力を解放することで、仲魔にスキルを覚えさせるもの。見た目にはどれだけマグネタイトが貯まっているかは見えないが、戦闘で効率良く戦うと貯まりが早いようだ。仲魔に覚えさせられるスキルは、スキルクラック済みのスキルから選ぶことになる。

    欠かさずにチェックしたい勝利・敗北条件。戦闘開始前の選択肢によって勝利・敗北条件が変わることも EXTRA TURNを取れれば、相当有利に。一度の攻撃でのダメージより、弱点を衝いてEXTRA TURNを狙うのもアリだ スキルクラックはできる限りしておきたい。たくさん持っていれば有利に戦闘を進められるだろう




    ■ 悪魔を購入する「デビオク」と悪魔を合体させる「邪教の館.exe」 

     物語が進むと、悪魔を購入する「デビオク」と悪魔を合体させる「邪教の館.exe」がCOMPに実装される。戦闘を有利に進める上で必須といえるほどの機能だ。

     「デビオク」は悪魔との契約交渉を代行してくれるオークションサイト。本作で仲魔を増やすには、デビオクを利用するしかない。戦闘などで貯めたマッカ(通貨)はここでのみ使用することになる。最初はレベルの低い悪魔しかいないが、デビオクを利用し続けることで貯まる評価を増やしていくと、よりレベルの高い悪魔に入札できるようになる。多少値段が高くなるが、同じ悪魔でも☆の数が多ければ多いほど、能力的に優れた悪魔となる。

     「邪教の館.exe」では、2体の悪魔を使って、オークションに出品されていない強力な悪魔を生み出すことが可能。ただし、主人公のレベルより高い悪魔を作ることはできない。所持している悪魔2体による2身合体と、条件を設定して合体可能な悪魔を絞りこめる検索合体の2種類から選択することになる。レベル順でのソートなど、とても使いやすくなっている。強い悪魔を作るのが目的ならば、検索合体を選び、レベル順にソートするといい。

     また、合体前の所有スキルは引継ぎが可能で、合体前の能力成長分は、一定の法則で引き継がれるようになっている。

    デビオクに出てくる悪魔は、時間を進めると更新される。同じ悪魔を2体購入したいなら、時間を進めるといい 邪教の館.exeは細かい設定やソート機能など使いやすく作られている。




    ■ 最後に 

     本作を、筆者はもう何時間プレイしただろうか? 選択肢を変えてみると、異なる物語が展開していく。多くの悪魔を作り、いくつものスキルをクラックした。だが、スキルがまだ3つほどクラックできていないし、他の物語もまだ展開していきそうだ。いいスキルを継承させつつ悪魔を作りたいなどなど、やりたいこと、やれることがまだまだ残っている。2周目以降だと、マッカや悪魔やスキルが引き継がれ、よりスムーズに物語が進むのも中毒的にプレイしてしまう要因の1つだろう。これは相当遊べるゲームといえる。

     遊びやすく、やり込み要素も十分。これほど優秀なシミュレーションRPGにはそうそう出会えないのではなかろうか。ライトユーザーにもヘビーユーザーにもシミュレーションゲームが得意な人でも苦手な人でも楽しめると筆者は思う。コレは「買い」だろう。

    (C) ATLUS CO.,LTD, 2008

    □株式会社アトラスのホームページ
    http://www.atlus.co.jp/
    □「女神異聞録デビルサバイバー」のページ
    http://ds.atlusnet.jp/product/index.html

    (2009年2月9日)

    [Reported by 木原卓]



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