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★モバイルゲームレビュー★

名作ホラーアクションの新作が携帯に登場
2人の騎士「アーサー」と「ランスロット」が競演

「魔界村 騎士列伝」

  • ジャンル:アクション
  • 開発元・配信元:カプコン
  • 利用料金:月額315円(サイト利用料)
  • プラットフォーム:iモード
  • 対応機種:FOMA 903iシリーズ以上
  • 配信日:1月6日(配信中)
  • アクセス方法:iMenu → メニューリスト → ゲーム → ミニゲーム → カプコンパーティ



 1月6日より配信されたiモード用「魔界村 騎士列伝」は、主人公の騎士「アーサー」または新キャラクタの「ランスロット」を操作して、槍や短剣、斧などの武器を駆使して敵を倒していくアクションゲーム。1984年にアーケード用ゲームとして発売され、大人気を博したホラーアクション「魔界村」シリーズの流れを汲む作品で、近年でも2007年にPSP用ソフト「極魔界村」が登場するなど、今なおカプコンの看板タイトルのひとつとなっている。

 私事にて恐縮だが、筆者は歴代のシリーズ作品をほぼすべてプレイするほど「魔界村」は大のお気に入りで、今回も行く先々のステージでどんな手強い敵やトラップが待ち受けているのかと、興味深くプレイさせていただいた。



■ 往年の世界観は今回も健在、携帯向けにより快適な操作環境も実現

 「魔界村」シリーズ最大の魅力は、なんといっても中世ヨーロッパ風のステージを舞台にゾンビや一角獣、サタンなどといった敵が次々と登場し、ホラー映画を彷彿とさせる不気味さと美しさとを兼ね備えた世界観にある。携帯版においてもその伝統は受け継がれ、薄暗い洞窟や墓地、燃え盛る炎などが3DCGを交えながら見事に描かれている。ジャンプのタイミングを間違えて谷底に落ちたり、トラップに引っかかると即命取りとなってしまうスリル感も、歴代のシリーズ作品と同様だ。

 操作方法は方向キーで主人公の移動、9ボタンを押すと武器を投げ、#ボタンでジャンプする(初期設定の場合。設定は変更可能)。方向キーの上を押しながら9ボタンを押すと、上に武器を投げられる。またジャンプ中に下を押していると、下にも武器を投げられる。さらに、ジャンプ中に再度ボタンを押すことで再度ジャンプできる、いわゆる「2段ジャンプ」も可能だ。こういった操作なので、基本的に両手を使って操作することになるだろう。

 本作品をプレイするにあたり筆者がまず思ったのは、「『魔界村』のような高度な操作テクニックを要求されるアクションゲームが、果たして携帯電話用コンテンツとして成立するのだろうか?」ということである。しかし筆者がプレイした感触では、これらの武器およびジャンプなどの一連の操作のレスポンスは全く問題なく、また処理落ちなどが発生してタイミングが狂わされるようなことも一切なかった。

【スクリーンショット】
不気味さと美しさとが共存する独特のグラフィックスは健在。各ステージの最後には、もちろん巨大なボスも登場する
地中から出てくるゾンビや、アーサーのライバル的存在の強敵「レッドアリーマー」など、歴代のシリーズ作品でおなじみのキャラクタも登場する

 さらに宝箱の中にときどき入っている「強化鎧」を装着すると、鎧の耐久力がアップするとともに、6ボタンを押すことで新たに魔法が使えるようになる。魔法はゲージを満タンまでチャージした後にボタンを押すと発動し、装備している武器によって効果がそれぞれ異なる(※宝箱についての詳細は後述)。

 かつて発売された「大魔界村」(1988年発売)などの作品では、魔法を使うためには攻撃ボタンを一定時間押しっ放しにして、ゲージを上限にまで溜めてから開放することで発動するようになっていたが、携帯コンテンツ版ではボタンを何も押さない状態でも自動的にゲージがたまるように仕様が変更されている。ほんのちょっとしたことではあるが、シビアなキー操作には不向きな携帯電話でも快適に遊べるよう配慮したことに、とても好感が持てた。

【スクリーンショット】
「強化鎧」を装着すると、耐久力アップとともに攻撃魔法を使える効果が得られる
ゲージは自動で溜まり、約2秒ほどで満タンになる。魔法は装備している武器によって異なり、鎧を着ている間は何度でも繰り返し使用できる



■ 「踏み付け」が使える新キャラクタ「ランスロット」

 アーサー、およびシリーズ初登場となる新キャラクタのランスロットの両主人公キャラは、操作方法は同じだが能力が異なる。初期装備はアーサーが槍、ランスロットはショートソードで、ランスロットはアーサーよりも攻撃力は低いが、その分身軽で移動および武器の連射スピードが速く、またジャンプ中には敵を踏んで倒せる「踏み付け」のアクションも繰り出せるという特徴がある。

 「踏み付け」のメリットは、足元からゾンビなどの敵がいきなり出現したときに、その場でジャンプすればダメージを受けることなく素早く倒せるところにある。ステージによってはボスキャラクタを踏んでもミスにならず、アーサー使用時よりも簡単に倒せるケースも見られた。また、場所はかなり限定されるが、空中にいる敵を踏んで反動をつけることで、より遠くの足場に飛び移ることもできる。

 当初は「踏み付け」が使える分、ランスロットのほうがかなり有利に戦えるのではないかと思っていたが、これら主人公キャラクタの選択によって、ゲームの難易度が極端に変化することはないというのが筆者の印象。ゲーム中には狭い足場を飛び移る場面が何度も登場するが、「踏み付け」の有無で優劣がつくようなことは特に見られなかった。

 また、途中でゲームオーバーになった後のコンティニュー時にキャラクタを変更できる。各ステージごとに、どちらが戦いやすいキャラクタか試せるようにしているのも嬉しい配慮だ。

【スクリーンショット】
アーサー(左)とランスロット(右)では、同じ武器でも性能および魔法の効果がまったく異なる
ランスロットのもうひとつの特技は「踏み付け」。敵を足場代わりにして、別の足場に飛び移る際に利用することも可能だ



■ 携帯でも無理なく遊べるよう、ゲームバランスを的確に調整

 過去の「魔界村」シリーズ作品の経験者は、多くの人が真っ先に「難易度の高いゲーム」とイメージするのではないだろうか。筆者もその例外ではなく、「難しくない『魔界村』なんて『魔界村』じゃない!」と思うほどで、今までに遊んだシリーズ作品はいずれも一筋縄ではいかない手強いものばかりであったと記憶している。

 では本作はというと、結論から先に言うと、ゲームシステムを大幅に変更するなどして難易度を下げ、ちょっとした空き時間を利用して手軽に遊べるような、携帯コンテンツにふさわしいアレンジが“見事に”なされていた。

 まず気が付いたのは、歴代の作品に比べて敵の出現頻度と耐久力がかなり低めに設定され、さらに移動スピードも遅くなっていること。あまり多くのキャラクタを一度に出現させてしまうと処理落ちしやすくなるという事情もあるとは思うが、細かい操作が難しい携帯のデバイス環境を考慮すれば、至極正しい調整方法であろう。

 シリーズ作品ではおなじみとなっている、地形が急に揺れ動いたり、触れると即死したりするトラップの類いも、全ステージを通じてほとんど登場しない。ちょっとしたジャンプのタイミングのズレが生死を分けるスリル感を求める人には少々物足りないかもしれないが、やはり携帯端末という操作上の制約がある以上、ジャンプ移動をやさしくしたのは順当な調整といえるだろう。

 もうひとつの大きなポイントは、主人公たちが敵の攻撃から身を守る鎧の耐久力を高くしていること。従来のシリーズ作品では、1度攻撃されると鎧がはがれてパンツ1枚の状態となり、再度ダメージを受けるとミスになるというのがお約束となっていたが、本作品ではアーサーの鎧は4回、ランスロットなら3回も敵の攻撃に耐えられる。

 そして攻略上重要となるのが、各ステージに隠された宝箱の存在。宝箱は特定の場所を通過すると出現するようになっている。「強化鎧」は宝箱からしか入手できないため、敵の攻略法とともに宝箱の出現ポイントを探しながらプレイすれば、これまでのシリーズ作品同様、さらに楽しさが増すことだろう。筆者がプレイした限りでは、こちらも過去の作品に比べて格段に見つけやすくなっているように思われ、これも難易度の低減にひと役買っていると言える。

 なお箱の中身については、「大魔界村」などと同様に、1個目は武器(種類はランダムで変化)、2個目は呪文を放つ敵のマジシャン、3個目が鎧というように、スタートしてから出現させた宝箱の個数によって変化するようになっているようだ。

 また、ときどき出現する壷を持った敵を倒すと、壷の中からランダムで得点アイテムや武器を落としてくれるのも「魔界村」のお約束。あくまで筆者の体感だが、携帯版ではこの壷を持った敵の出る頻度がかなり高めに設定されている。この壷のおかげで装備変更が比較的容易にできるのも、ゲーム全体の難易度を下げる要因になっている。

 唯一違和感を覚えたのは、今までのシリーズ作品では当然のように存在した、ゾンビなどの敵が出現する瞬間に発生する効果音などがまったく鳴らないこと。特に地中からゾンビやグールが出現する地帯では、いきなり自分の足元から出てこられると攻撃する前にダメージを受けてしまうケースがしばしばあり、これについては逆に難易度を不必要に高めてしまったという印象を受けた。敵の出現直前には、何かそれを告げるための効果音を入れてほしかった。

【スクリーンショット】
2面開始直後に地中から出てくる敵のグールは移動速度が遅く、最高2匹までしか出現しない。落下する足場や針などのトラップも少なく、2段ジャンプを採用したこともあって回避するのにそれほど苦労はしないはずだ
各ステージのいたるところに巧妙に隠されている宝箱。ちなみに1面の最初の宝箱は、開始直後、進行方向とは逆の位置に隠されている
宝箱の中身は武器、敵キャラのマジシャン、「強化鎧」(裸のときは通常の鎧)の3種類。武器の種類はその都度ランダムで変化する



■ 手軽に楽しめるホラーアクション。オールドファン以外にもおすすめ!

 携帯電話の限られた処理能力とプログラム容量のもと、世界観もゲームシステムも古きよき時代のアクションゲームの魅力を見事に再現した「魔界村 騎士列伝」。歴代のシリーズ作品に比べ、敵の数もマップもコンパクトになってはいるが、ちょっとした空き時間を利用して手軽に遊べるという、携帯コンテンツにふさわしいアレンジがされていると考えれば文句はない。システム、グラフィックス、BGMはどれをとっても、往年の名作「魔界村」の看板を掲げるだけのクオリティを十分に備えた作品に仕上がっていると言えるだろう。

 難易度がそれほど高くはないので、アクションゲームがあまり得意でない人や、オールドゲームファン以外の人にも、ぜひ1度プレイすることをおすすめしたい作品である。プレイする際は、できればヘッドフォンを使用して、同じくシリーズ作品の伝統を受け継いだ重厚なサウンドもじっくりと味わいつつ、「魔界村」の世界観を心ゆくまでご堪能いただきたい。

(C)CAPCOM 2009

□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「ケータイカプコン」のページ
http://www.capcom.co.jp/keitai/
□関連情報
【1月6日】カプコン、iモード「魔界村騎士列伝」
「魔界村」をもとにした携帯オリジナルのアクションゲーム
http://game.watch.impress.co.jp/20090106/capk.htm

(2009年1月7日)

[Reported by 鴫原盛之]



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