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会場:秋葉原UDX
このイベントでは、ゲームヤロウが運営する大人気オンラインFPS「サドンアタック」に関する様々な催しが行なわれたほか、同タイトルの公式全国大会である「サドンアタック クラントーナメントリーグ 2008(SACTL2008)」の決勝リーグが開催。決勝リーグには全国から3クランが参加。総当たり戦で日本一が競われ、オンライン予選会へのエントリーチーム総数866クラン、総参加人数9,777名の頂点を決める戦いがついに決着した。
■ 盛りだくさんの内容で進められたイベント。注目が集まったのはやはり頂点を決める「SACTL2008」
本イベントの参加・入場は無料ということで、主に「サドンアタック」のプレーヤー層である10代後半~20代前半のユーザーが会場へ訪れていた。それを反映して、イベント初日に行なわれた沢山の催しの中でも「ガチンコ! ポータルサイトSA対決!」や「メイド・コスプレショップ対抗SA対決!」といった「サドンアタック」がらみのステージイベントが行なわれた時間帯で特に会場が沸いた。
試合となればタイトル慣れしたチームが有利で、ゲームヤロウチームが圧倒的な強さで試合を進める。一方、スタッフがFPSを結構やりこんでいるというNC JAPANも善戦。この2チームで行なわれた決勝はかなりの接戦となり、なんと同スコアでフィニッシュとなった。結局じゃんけんで勝者を決めることになったが、ゲームヤロウが勝利して「サドンアタック」運営会社の面目を保つ結果となった。
秋葉系のメイドさんというと、「サドンアタック」の雰囲気とは相容れない気もするが、「一般プレーヤーがメイドさんを助けながら戦う」という構図は若い男性プレーヤーに大受け。格好良いところを見せてやろうと、参加者を募る場面では沢山のユーザーが「ハイハイハイハイ!!!」と手を挙げてアピールし、異様な盛り上がりを見せた。 といった内容で盛りだくさんに行なわれた初日の催しだったが、2日にわたったイベント全体から見ると“前哨戦”といった雰囲気。決勝リーグの試合がなく、「サドンアタック」プレーヤーにとって関心が薄い他タイトルの催しが半分を占め、また、進行も洗練されているとはいえない内容は、若年層を中心とした来場者には退屈だったようだ。ステージイベントの最後には、そう多くもない観客席(50席ほど)が半分も埋まらないという寒々しい状態となっていた。このあたりは、イベントの内容をもっと洗練させる必要があるように思う。 というわけで、やはり今回のイベントで関心が集中したのは、2日目に行なわれた全国公式大会「SACTL2008」の決勝リーグ。今回の「SACTL2008」は、オンライン予選にエントリーしたクラン数の合計866、プレーヤー人数に直すと9,777名という、全国最大規模の参加者を集めて進められてきた大会であるだけに、予選落ちしたプレーヤーだけでも会場を満員にする勢いがある。
決勝リーグでは、オンライン予選を見事通過した3クランが登場し、熾烈な総当たり戦を展開した。その試合中には、会場から溢れるほど沢山の人々がメインステージに釘付けとなった次第だ。その模様を続いてご紹介しよう。
■ およそ1万人のプレーヤーがエントリーし過去最大のFPS大会となった「SACTL2008」
決勝リーグに出場したのはオンライン予選を勝ち抜いた「NabD」、「iZone」、「Escape」の3クラン。「NabD」は「サドンアタック」アジア大会で4位という結果を残したクランで優勝の大本命と目される。「Zone」はWCG 2008チャレンジ3人制チャンピオンシップで優勝した実力を持ち、5人制の当大会でも期待が集まる。そして「Escape」は、本来の出場チームが参加辞退となったために繰り上げ出場となった、完全なるダークホースだ。 決勝リーグの試合はこれら3チームの総当たり戦にて行なわれた。全3試合のうち、1勝1分以上を記録したチームに優勝の可能性がある。
そしてゲームは5人対5人の「爆破ルール」で行ない、攻撃側のレッドチーム、防衛側のブルーチームを5ラウンド先取のハーフで攻守交代し、前後半を戦う。使用マップはクラン戦で使われる事の多い「オールドタウン」。遠距離戦、接近戦がバランスよく発生するマップだ。
・大方の予想を裏切り「NabD」が早々に敗退
そして迎えた第2戦、前半で攻撃側のレッドチームをプレイした「NabD」は大苦戦。前半を終えた時点でスコアは2-5と、2ラウンドしか勝利できないまま後半を迎えることになった。一方、善戦を見せる「Escape」は、戦術が非常に特徴的。とにかく固まって動き、速攻を仕掛けるというスタイルで、「NabD」の組織的な動きを翻弄した。 後半レッドチームをプレイした「Escape」は、その戦術スタイルを生かし、各ラウンドで速攻を見せ、かなり早いタイミングで爆弾を設置するという動きを披露。対応が後手に回ったブルーチームの「NabD」を悩ませる。しかし地力で勝る「NabD」は爆弾を設置させられた後も殲滅・解除という形でラウンドを取得。互角の状況で試合が推移し、結果は5-2と、前半と真逆のスコアになった。しかしここで「同スコアの場合は爆弾設置数の多い方が勝利」というルールが適用され、爆弾設置の早かった「Escape」が判定勝ちを収めた。 これで「NabD」は2戦連敗。「SACTL アジアチャンピオンシップ 2008」で世界の強豪を相手に4位という結果を出したチームが1勝も挙げられないまま敗退するという大番狂わせに会場は沸いた。そして、「iZone」と「Escape」との間で戦われる第3戦が事実上の決勝戦になった。
・優勝クランを直接決めることになった第3戦では、大会史上最も過酷な大接戦が展開
まず、「Escape」側がレッドチームとしてプレイした前半戦。通常「サドンアタック」のクラン戦では、攻撃側のレッドチームよりも防御側のブルーチームのほうが有利とされるため、レッドチーム側でスタートしたチームは、後半に勝負を託す状況になることが多い。しかし、「Escape」は果敢な集団行動により「iZone」を翻弄。レッドチーム側で5ラウンドを取得し、前半を3-5で折り返す奮戦を見せた。 この展開には会場も予想外だったようで、歓声よりもどよめきの反応が目立つ。本命と見られていた「iZone」は、これで後半レッドチーム側で「3ラウンド以上取得されたら負け」という苦しい立場に立った。しかも、「Escape」は前半ほとんどのラウンドで爆弾設置までは行くという内容だったため、取得ラウンド総数が同数になった場合、爆弾設置数の判定で負ける可能性が濃厚である。 したがって「iZone」は、レッドチームでプレイする後半、防御側の「Escape」に3ラウンド以上取られることは許されない状況だ。そのような形で始まった後半戦、全体的に接近戦が主体となった戦いが展開した。そして「iZone」は第1ラウンド、第2ラウウンドで敗北。なんと開始早々、あと1ラウンド負けたら終わり、という状況に追い詰められた。 しかしここから「iZone」の反撃が始まる。もはや1ラウンドも落とせない「iZone」は、観客席からの「がんばれー!!」という声に後押しされ、過酷な戦いに臨んだ。各ラウンドはまさにギリギリの内容で、第3、第4ラウンドでは双方4人が倒され、最後は1対1の撃ち合いで決着するという、紙一重の状況が続いた。1回の銃撃、ひとつの動きが展開する度、会場からどよめきと歓声が上がる。 そして迎えた第7ラウンド。「iZone」は連勝してスコアを4-2とし、前半を含めた総合スコアは7-7。爆弾設置数で「Escape」が上回るため、このラウンドを勝利したチームが優勝するという、大会の全てを凝縮したラストラウンドとなった。
双方慎重に進む、ゆっくりとした立ち上がり。「iZone」は遭遇戦で3人が倒され残り2名となるが、なんとか爆弾設置を成功させた。対する「Escape」は残り1名にまで撃ち減らされ、最後は2対1の撃ち合いに全てがかかる。全ての観客が固唾を飲んで見守る中、双方が接触した。アサルトライフルが火を噴き、「Escape」の選手が打ち倒された。この瞬間、「iZone」の劇的な逆転勝利が決まった。
・「iZone」優勝! 全国866クランの頂点に立つ
前半でリードし後半早々に勝利へのリーチをかけた「Escape」が敗戦した理由を特定することは難しいが、ひとつ挙げるとするならば、「試合が終わる前に、勝てると思ってしまった」ことだろう。その結果、心理的に守勢に回ってしまった。一瞬の隙が敗北につながる状況では、これは致命的となる。 一方、敗北スレスレの状況で5ラウンドを連勝して優勝をもぎ取った「iZone」は、そのプレイスキルだけではなく精神力も讃えられるべきだろう。最後まであきらめず戦った姿勢は、会場に集まった大勢の観客から盛大な拍手を引き出し、大会を最高のフィナーレで締めくくる原動力となった。 優勝した「iZone」には、ビットキャッシュ20万円分のほか、DHARMAPOINTブランドのゲームデバイス各種など、各種商品が授与された。2位となった「Escape」、3位の「NabD」にもそれぞれ賞品が授与された。それ以上に、全国866クランの頂点に立ったという結果と名誉が最大の獲得賞品だ。
以上の結果を持って「SACTL2008」は閉幕した。今回のイベント「サドンアタック祭り 2008 in AKIBA」は、初日こそ退屈な時間が多く、人もまばらだったものの、2日目の大会には最高のクラン、最高の試合が展開し、大勢の来場者が手に汗を握るという、素晴らしい成功を収めたと言える。 主催のゲームヤロウでは、今後もスケールアップしながら「サドンアタック」の大会を開催していきたいとしているため、今後ますます洗練された内容でイベントを行なっていって欲しいと思う次第だ。早速ながら、次の大会でどんなクランが活躍するか楽しみである。
(2008年12月22日) [Reported by 佐藤カフジ]
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