★iPhone/iPod touchゲームレビュー★
iPhone/iPod touchのゲーム機としての性能を見せつける 更なる進化を遂げた人気モバイルサッカーゲーム
「リアルサッカー2009」 |
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- ジャンル:サッカー
- 開発元・配信元:ゲームロフト
- 利用料金:700円
- プラットフォーム:iPhone/iPod touch
- 配信日:9月9日(配信中)
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“セスク”ことフランセスク・ファブレガスの名は、欧州サッカーファンなら誰もが知っているといっても過言ではない。弱冠21歳でイングランド・プレミアリーグ、アーセナルのキャプテンを務め、「欧州最高の若手」との声も高い。攻撃と守備を両立し、テクニックだけでなくフィジカルな強さも要求される最新鋭のサッカーにおいて、理想的な選手であるセスクを「現代サッカーの申し子」と呼ぶ人もいる。
ゲームロフトから配信されているiPhone/iPod touch用アプリ「リアルサッカー2009」は、そのセスクをイメージキャラクタに起用している。セスクという新しい時代のスターが、iPhone/iPod touchという新世代プラットフォームを象徴しているように感じるのは、筆者だけだろうか。
【スクリーンショット】 |
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天才的なひらめきを見せるが、体を張ったプレイもいとわないセスク・ファブレガス。心技体のすべてを備えている |
■ 豊富なチーム数と、実名で登場する選手、丁寧に描かれるグラフィックスに注目
「リアルサッカー」シリーズは、ヨーロッパのモバイルゲーム市場で人気を誇るサッカーゲームだ。本作はそのiPhone/iPod touch版として、プラットフォームの性能を活かしながら正当な進化を遂げた。まずは本作のポイントと概要を解説しよう。
世界各国60の代表チームと、129のクラブチーム、過去の有名選手たちをモデルにした9つのレジェンドチームを合わせ、198ものチームが登場するのが、本作の売りのひとつ。クラブチーム名は実名ではないが、FIFPro(国際プロフットボール選手協会)の認可を得ており、セスク以外にもバルセロナで活躍する「南米最高の若手」メッシや、サッカーファン以外にもお馴染みのロナウジーニョら、多数のスター選手が実名で登場する。ドイツや日本などの一部の国の選手は架空の名称になっているが、フランス・リーグアンのサンテティエンヌに所属する松井大輔や、イタリア・セリエAのカターニャにいる森本貴幸など、海外チームに所属する日本人選手は一部実名で登場する。
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“埼玉”、“茨城”という名の、浦和や鹿島を連想させるチームもある。フラッグもそれっぽいデザインのような気が…… |
FIFProの許可を受け、実名の選手が多数登場。しかし権利の関係上、架空選手で構成されたチームもある |
細かな部分まで非常に丁寧に作り込まれたグラフィックスも大きなポイント。スタジアムや選手は3Dで表現されている。モデルとなった選手の体格や顔、髪型など外見がうまく再現されているのにも驚かされる。選手のモーションは細かなところまでリアルを感じさせながら、うまくデフォルメしている。リアルに偏りすぎて動きがもっさりすることもなく、かといって嘘にならないリアル感。両方のバランスが、軽快で華やかさのある選手の挙動を実現している。
実際にiPhone/iPod touch上で本作のグラフィックスを見たときに、「ここまでできるのか!」と驚くはずだ。
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迫力あるスタジアム。最初に見たときは「お~!」と感嘆の声をあげてしまった |
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指先まで神経が行き届いているかのような選手の挙動。動かしていると小気味よいスピード感がある |
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ユニフォームのホーム、アウェーを選択できる |
天気、時間帯(昼、夜)、スタジアムといった試合条件も選択可能。試合中のカメラアングルも3種類用意されており、自由に変えられる |
サッカーゲームとしてはオーソドックスなシステムを採用している。1つのチームを選び、カップ戦やリーグ戦を戦うのが基本となる。
各選手には“シュート”、“スピード”、“スタミナ”など14個の能力値と、“魔術師”、“守備の要”、“弾丸キック”といった特徴があり、それぞれの個性や能力が設定されている。
選手の育成やトレード、スカウトといったチーム運営要素は存在しないが、戦術やポジションの設定を詳細に行なえる。サッカーそのものに焦点を絞って、純粋なサッカーの面白さを優先させた制作サイドの思いが伝わってくる。
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実際のプレイスタイルを分析して、各選手の能力値や特徴が設定されている |
フォーメーションの種類はかなり豊富に用意されており、ポジションの変更は、スクリーンにタッチすることでダイレクトに行なえる |
■ タッチスクリーンならではの操作。スタンダードながら、直観的でわかりやすい
本作を未経験の人が最も気になるのは、おそらく操作方法ではないだろうか。ボタンのないiPhone/iPod touchで、一体どうやって操作するというのか?
従来のサッカーゲームの操作方法といえば、方向キーで選手を動かし、ボタンでシュートやパスなどの動作を行なうのが一般的。実は本作でも、同様の操作方法をベースにしている。方向キーやボタンのないiPhone/iPod touchでは、タッチスクリーンそのものをコントローラとして使用。画面上に表示される操作キーとA、Bボタンで選手を動かす。コンシューマゲームで一般的な操作方法を踏襲しているので、直観的に理解しやすい。
ただしスクリーン上のキーはストロークがなく、押している実感がないため、思ったとおりにキーを押せないことも度々あった。何度も遊んでいるうちに自然に操作ミスは減ったが、慣れるまでは少し時間が必要かもしれない。また、これは筆者だけかもしれないが、プレイ中についつい力を入れてタッチスクリーンを押してしまうので、iPhone/iPod touchが壊れてしまわないかと不安を感じることもあった(端末はかなり頑丈なので大丈夫だとは思うが)。
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画面の一部をキー操作に使用する。最初は面食らうかもしれないが、慣れてくるとほとんど気にならない |
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スローインは、実際にボールを投げるような感じでスイングする。加速度センサーを内蔵するiPhone/iPod touchならではの操作方法だ |
タッチスクリーンを生かしたiPhone/iPod touch独自の操作を組み合わせることで、少ないボタンながら、さまざまなテクニックが駆使できる。例えばドリブル中に、画面の上で円を描くようにドラッグすれば“マルセイユルーレット”を、ダブルタップすれば“エラシコ”(どちらもドリブルのフェイントテクニック)を行なう。Bボタンをタップすれば通常はゴロのパスを出すが、タップしてから左にドラッグするように動かすと浮き球のパスを蹴る。
選手の切り替えは、画面上の選手を直接タップすればOK。タッチスクリーンを使ったソフトウェアキーでしかできない操作アイデアは感覚的にわかりやすく、ボタン数の制約を補って余りある新しい操作感が味わえる。
■ 試合をたっぷり楽しめる正統派のゲームモード。ローカルWi-Fi接続での対戦にも対応
ゲーム内容について、もう少し詳しく説明していこう。ゲームモードは好きなチームで自由に試合できる“エキシビジョン”と、“カップ”、“リーグ”、“PK戦”が用意されている。
“カップ”では、“新国際カップ”、“欧州クラブカップ”など6種類のカップ戦が楽しめる。“新国際カップ”は各国代表チームが、“欧州クラブカップ”はヨーロッパのクラブチームが優勝カップを争う。W杯にあたる“新国際カップ”は予選リーグを勝ち抜くと、決勝トーナメントに出場できるが、“アジアカップ”、“アメリカンカップ”はトーナメント戦のみといったように、カップはそれぞれ違う条件が設定され、現実に即したリアルな戦いが繰り広げられることになる。
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予選リーグのグループは、自動で組み合わせが決まる“ランダム”と、プレーヤーが自分で決める“マニュアル”を選択できる |
一発勝負のトーナメント。負けない戦い方が重要になってくる |
“リーグ”は、“イングランドリーグ”、“イタリアリーグ”、“フランスリーグ”、“スペインリーグ”、“ドイツリーグ”、“ナショナルリーグ”の6つ。それぞれが、実際に各国にあるプレミアリーグや、セリエAなどのリーグを模している。“ナショナルリーグ”は特にモデルはなく、ランダムに選ばれた20チームの各国代表でリーグ戦を行なう。
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強豪がひしめく“イングランドリーグ”。シーズンを通しての戦い方が求められる |
“カップ”、“リーグ”とも、大会を通しての得点王、アシスト王、優秀選手のランキングがある |
“PK戦”は、“エキシビジョン”と同じように好きなチームを選んで、PK戦だけを楽しむモードで、ミニゲーム的な感覚で遊べる。バージョンアップによって、ローカルでWi-Fi対戦できる“マルチプレイ”が追加され、対戦プレイが楽しめるようになった。操作チュートリアルの“練習”モードもあり、基本的なアクションから高度なプレイまでをプレイしながら習得できる。
また全モードに共通した機能だが、筆者個人としては“リプレイ機能”と好きなミュージックでゲームプレイできる機能を評価したい。
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PK戦のキッカーの順番は固定。ボールに全神経を集中したい |
ステップアップしながら、高度な操作を学べる。フリートレーニングは相手がいない状況で操作の練習ができる |
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iPhone/iPod touch内の好きな音楽を聴きながらゲームをプレイ。小さな要素かもしれないが、気に入った曲を流せばプレイ時の気分が大きく変わる |
いつでも数秒間のリプレイを再生できる。シュートシーンだけでなく、格好いいプレイが決まったときは、すぐに再生したい |
■ モバイルゲームの枠に収まらない、オーソドックスかつ丁寧な骨太ゲーム
デバイスとしての先進性ばかりが注目されるiPhone/iPod touchだが、本作は基本に忠実に、ゲームそのものが持つ楽しさを最大限に引き出している。あえてプラットフォームの魅力に頼らず、基本を忠実に守ってサッカーの面白さを追求した本作は、iPhone/iPod touchの懐の深さを象徴する作品ではないだろうか。
好きな場所で、移動時間に遊べるのが携帯ゲームの魅力だが、本作は腰を据えて遊んでみるのもよい、と言えるだけの価値がある。ダウンロード価格も、モバイルゲームと比較すれば高額に思えるかもしれないが、携帯ゲーム機のソフトとしてみれば決して高価とは言えない。モバイルゲームとは別物だという、制作側の自信の表われではないだろうか。
余談ではあるが、多くのサッカーファンがセスクを評価するのは、ハードワークに耐える若々しい肉体に、21歳の若者とは思えぬほど老成した頭脳を兼ね備えている点だ。肉体を“ハード”に、頭脳を“ソフト”に置き換えれば、本作が目指した先が理解できるような気がする。セスクをイメージキャラクタに起用したことで、そんな意欲を示しているのかもしれない。
※ 配信開始時は1,200円だったが、現在は値下げされて700円となっている。
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□ゲームロフトのホームページ
http://www.gameloftjapan.com/
□関連情報
【9月9日】 ゲームロフト、198のチームが実名で登場するサッカーゲーム
iPhone/iPod touch「リアルサッカー2009」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080909/rs.htm
【9月2日】ゲームロフト、iPhone「アスファルト4」
同社の人気レーシングゲームがiPhoneに登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080902/asph.htm
(2008年12月18日)
[Reported by 山科明之進]
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