★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
アフリカの過酷な大地で特殊任務に従事せよ!!
マップエディタに無限の可能性を秘めたフリースタイルFPS
「FAR CRY 2」 |
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- ジャンル:FPS
- 開発元:Ubisoft
- 発売元:ユービーアイソフト
- プラットフォーム:プレイステーション 3/Xbox 360/
- レーティング:CERO:D(17以上対象)
- 価格:7,329円(税込)
- 発売日:11月27日(Xbox 360版) / 12月25日(プレイステーション3版)
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アフリカ某国を舞台にサバイバル生活を演ずる「FAR CRY 2」 |
2004年に発売され、圧倒的なグラフィックスで業界に衝撃を与えたPCゲーム「FAR CRY」は、その後2つの“続編”へと分かれていった。ひとつは、「FAR CRY」を制作したゲームスタジオCrytek自身の手による「Crysis」で、もうひとつが、今回ご紹介する、Ubisoftによる「FAR CRY 2」だ。
なぜ2つの作品に分かれてしまったかという理由は、本作を語る上ではあまり重要ではない。より重要なのは、Crytekが圧倒的なビジュアルを持つ最新作を「Crysis」として2007年末にリリースする一方で、Ubisoftは独自の開発技術を投じて、これまた最先端水準のビジュアルを持つ作品「FAR CRY 2」を完成させ、結果的に2つの優れたゲームが誕生したということだ。
「Crysis」と「FAR CRY 2」について、「どちらが正統な“続編”なのか?」といった議論もあるかもしれない。世界設定やゲーム性について見れば、開発元が同じ「Crysis」のほうがより前作のテイストを継承した雰囲気がある。一方で「FAR CRY 2」も、高品位のグラフィックス、高い自由度、ゲーム性と両立するリアリティを実現し、非常に高水準の後継作となっている。それぞれに個性のあるゲームなのだ。
■ 舞台は内戦が激化するアフリカ某国。苛酷な環境で展開するサバイバル生活
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内戦勃発中の荒野はそこらじゅう武装兵士だらけ。完全に無政府状態だ |
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ゲームには25平方キロメートルのフィールドが2つ存在し、その全てを踏破することになる |
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アフリカの大自然をリアルに再現。ここまでくるとビジュアル狙いでプレイしてもお釣りがきそうだ |
本作「FAR CRY 2」の舞台となるのは、内戦が激化しつつあるアフリカ某国。完全に無政府状態となった国内では、2つの武装勢力“APR”と“UFLL”が激しい抗争を繰り広げ、国土は完全に荒廃している。主人公は、この国に大量の武器を持ち込み内戦を仕掛けたという死の商人“ジャッカル”を暗殺するというミッションを請け負い、単身で潜入したエージェントだ。
このような舞台設定で始まる本作最大の特徴は、戦いと冒険の舞台となるゲームフィールドが25平方キロメートルという広大な面積を持ち、すべてがシームレスに進行するというゲームシステムにある。主人公は、この広大なフィールドの中で、車両を奪い、武器を入手し、ターゲットを破壊、暗殺、護衛するといった様々なミッションを遂行していく。その中で、2つの武装勢力“APR”と“UFLL”のどちらに味方するか、どのような順番で戦いを進めていくか、すべてがプレーヤーの裁量にゆだねられている。
広大なフィールドは、アフリカ各地の様々な環境的特徴が詰め込まれており、非常に変化に富んでいる。鬱蒼としたジャングルで車を駆り、切り立った渓谷を抜け、野生動物のうろつくサバンナを疾走していくと、灼熱の砂漠。こういった地形的変化が、決して大ざっぱな表現になることなく、緻密なグラフィックスで表現されており、しかも、全ての環境が戦場になりうる。
本作のメインフィーチャーであるシングルプレーヤーモード(ストーリーモード)では、プレーヤーは基本的に孤立無援の存在だ。ほとんどの戦闘は単独で行ない、1つか2つの非武装地帯を除けば、周りに存在する人間はすべて敵である。
そんな中でプレーヤーは、マップ中に点在する“隠れ家”で休息、各地で武器弾薬の調達を行ないながら、フィールドを駆け巡る。出先で弾薬が足りなくなったら戦線を離れて補給場所を探したり、車両が煙を噴きはじめたらボンネットを開けて修理。戦闘だけではない、生死の掛かったバーチャル生活といった風味だ。
本作では世界がそれなりに広大であるだけに、移動に終始するシーンも多い。その道中は全く安全なものではなく、フィールドのあぜ道を走る最中には、よく出くわす検問所に注意しなければならない。そこでたむろしている5~6人の兵士は、主人公を発見し次第、容赦なく銃撃を加えてくるからだ。
銃撃を受けた際にどう対応するかはプレーヤー次第だ。車両でスピードに乗ったまま検問所を駆け抜け戦闘を回避してもいいし、その手前で立ち止まり、敵をひとりずつスナイパーライフルで片付け、クリアにしてから進んでもいい。道路を避けて丘や森の中に入り迂回するという手もある。だが、やはり最も多くなる選択肢は、正面突破ということになるだろう。
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何しろフィールドが広大なので、勢い車両に乗っての移動が多くなる。各所に配置されている検問所や兵士の詰所には要注意だ。主人公を見つけるなり全力で射撃してくる上、車に乗って追いかけてくることもある |
・舞台設定を上手に生かした戦闘システム
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照準はアイアンサイトで行なう。ズームせずに腰溜めでも射撃できるが、まず当たらない。しっかり狙おう |
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火種があると延焼してものすごいことに。これを拠点攻略に活かしていく |
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ジャミング発生。戦闘中にこれが起きると本当に困る |
FPSである本作の戦闘は、基本的に銃を使い、狙いを付けて撃つというオーソドックスな一人称視点のアクションだ。そのバランスはかなりリアル寄りで、画面中央にシステマチックな照準表示はなく、武器の照準器(アイアンサイト)で直接狙いを付ける。自動小銃や軽機関銃など連射型の銃は、大ざっぱに連射していると銃口が跳ね上がり、うまく命中できない。短いバースト射撃で的確に命中させることが基本中の基本となっている。
主人公の用いる武器は、銃以外に、ロケットランチャーやグレネードランチャーなどの特殊武器、ハンドグレネードや火炎瓶といった投擲武器、そして近接戦闘用のナイフがある。武器類はゲーム中の武器屋で新たなものを購入したり、倒した敵が落としたものを奪うことができる。
しかし、奪った武器には注意が必要だ。本作の舞台は正規軍がなく経済状態も最悪という国であり、したがって、敵が所持している銃はたいていサビだらけのオンボロなのだ。このような銃は、戦闘中にいつジャミング(弾詰まり)が起きてもおかしくない。
ジャミングが起きると射撃が不可能になるため、ひとまず安全な場所に身を隠し、リロードボタンを押して修復する必要がある。このときのアクションが非常に力作だ。排莢口に挟まった弾をほじくり出したり、固まったレバーを力づくでガンガンと引っ張るといった感じで、実にリアル。ガンマニアも納得の演出と、舞台設定、ゲーム性の3つがうまく融合している。
戦闘では周辺の環境を利用することもできる。ここアフリカは乾燥しており、周囲に枯れ草が生い茂っているような場所では“マッチ一本火事の元”である。このような場所で火炎瓶を投げたり、車両を爆破して火元を作ってやると、延焼を起こしてあっという間に大火事だ。
これを利用し、敵を焼き殺したり、移動ルートを制限して別の手段で倒しやすくするといった戦略が取れる。火事はしばらくすると自然鎮火するが、ごうごうと燃えさかりながら次々と飛び火していく炎の描写は一見の価値がある。
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武装車両の固定銃座を使って戦うと、手持ちの弾薬を消費せずに済む。中にはグレネードランチャーを装備した車両もあるので、見つけたら壊さないように大事に使いたい |
・状況に応じて臨機応変な選択を求められる
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重傷を負って瀕死になったら即座に回復ボタンを押そう。エグい演出で傷の手当てをしてくれる |
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爆発物はかなり強力で、「だいたいこのへん」というアバウトな狙い方でもガンガン敵を吹っ飛ばせる |
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本作における対人万能兵器はスナイパーライフル。一発で敵を沈められるのが心強い |
基本的に、本作における敵の攻撃はとても効率的で、常に全力で主人公を殺しに来るくらいの印象である。障害物のない野原で複数の敵に遭遇した場合、多少の負傷は覚悟しなければならない。主人公の体力は5個の目盛りがあるメーターで示され、残量ゼロとなれば死亡してゲームオーバーだ。
戦闘の際には、常に敵の攻撃を回避できる位置にいることが重要だ。体力残量が1目盛り以上ある場合、しばらくダメージを受けずにいれば、目盛り1つ分は自動的に回復し、回復用の注射を刺せば全快する。しかし、体力が最後の1目盛り以下となれば出血のため死に近づいていくので、素早く安全を確保し、回復ボタンを押して“傷口から弾丸をペンチでえぐり出し”て、出血を止めなくてはならない。
この瀕死シーンの演出は何パターンもあり、銃弾をえぐりだす以外にも、突き刺さった金属片を引っこ抜いたり、骨折した腕や指を強引に曲げ戻したりと、痛みの表現が激しくて思わず笑ってしまうほどだ。本作はこういった演出に対して、本当に力を込めて作られている。
ゲームが進み、ある程度色々な武器を使えるようになったら、状況に応じて武器を選択するセンスも必要になってくる。道中よく出くわす現地勢力の武装車両には、グレネードランチャーなどの爆発物がてきめんだ。夜、集落に攻撃を掛けるような場合には、音もなく射撃できるダートライフルが効果的である。近接戦闘が多くなるシーンでは、大量の弾をばら撒ける軽機関銃がおあつらえむきである。
全体のバランスとして、AK-47やAR-16といった本作の自動小銃(アサルトライフル)は、使いやすくはあるがパンチ力が弱く、敵を即座に無力化しづらいため、多くのシーンでメインウェポンの座から外れる事が多い。逆に非常に使いでがあるのが、ドラグノフSVDなどオートマチックタイプのスナイパーライフルだ。1発で確実に敵を沈められる上、遠距離だけでなく近距離でもショットガンライクに使える。このあたりは、立ち止まって攻撃してきがちな敵AIの動きのクセも絡んでいる。
このため、筆者は多くのシーンで、メインウェポンにスナイパーライフル、サブウェポンとして対車両用のグレネードランチャー、ライフル弾切れ時の代替品として軽機関銃を同時に携行するという組み合わせを取る事が多かった。が、敵の車列を撃破するといったミッションでは携帯型爆薬を使うなど、やはりミッションに応じた臨機応変さが求められる。敵地で弾切れを起こした際には奪った武器でがんばるしかない。単身行動する戦闘のエリートとしていかなる状況にも対応する、というのが本作の戦闘におけるメインテーマだ。
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AK-47などのアサルトライフル系武器は使いやすいものの、敵1人を倒すまでに5、6発の命中弾が必要な場合もあり、すぐに弾切れを起こしてしまいがち。このためスナイパーライフルに頼ることが多くなるが、接近戦が予想されるときにはショットガンも選択肢に加えたい |
■ 長大なストーリーモード。広大なアフリカの“土地勘”を掴んでからが本番
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冒頭でいきなりマラリアに倒れる主人公。ゲーム中常にマラリアの薬を切らさないよう腐心することに |
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“UFLL”のボスからミッションを受ける主人公。やらされる仕事はどれもキツくて危険 |
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バーに集う主人公の相棒“バディ”たち。ミッションのより良い作戦を提案してくれる |
本作のメインフィーチャーであるストーリーモードでは、各地でミッションを引き受け、それをクリアしたら別のミッションへ、というふうにRPG風の展開で進行する。2つの武装勢力“APR”と“UFLL”に関するミッションはストーリー進行に絡むメインクエストとなっており、他には新武器のアンロックのために行なう武器屋のミッション、お金稼ぎのために行なう暗殺ミッション、そしてプレーヤーの“隠れ家”をアップグレードするための“バディミッション”と呼ばれるサブクエスト的なものがある。
基本的に、どのミッションをどういった順番でこなすかは、プレーヤーの自由だ。ただし、プレイ中忘れてはならないことがひとつあって、それは、ゲーム冒頭でプレーヤーがマラリアに冒されてしまっているということだ。特定のミッションをクリアして薬を入手しなければ、戦闘中に不意の発作が起こり、意識朦朧として倒れることになる。
ゲームの序盤、アフリカ入りした主人公は、マラリアに倒れたところを、ターゲットであるはずの“ジャッカル”に救われる。“ジャッカル”は主人公の帯びた使命を知っており、しかしそれが達成されることはないという自信からか、主人公を生かしたまま高見の見物を決め込むつもりらしい。“ジャッカル”が起こした内戦を、主人公がさらにかき乱すことを期待しているのかもしれない。
結局現地勢力に協力しながら命を繋ぐしかないという状況に陥った主人公は、一時的ながら目的を共にする相棒たち“バディ”の協力を受けながら、内戦に関係していくことになる。そんな主人公が請け負うミッションのすべては、単独での破壊工作や暗殺といった汚れ仕事だ。“APR”、“UFLL”どちらのミッションを受けるかによって途中のシナリオは変わっていくが、最終的に“ジャッカル”を見つけ出して殺す、という最終目的は変わらない。
ミッションを受けた際に、“バディ”のいずれかが急に連絡を寄越してくることがある。これはミッションを別の方法、たいていは、普通の方法よりも安全に、そして完全に達成するための作戦を伝えてくるものだ。
プレーヤーはこれを無視して本来の方法でミッションをクリアしてもいいが、バディの要求に従うことで、フィールドの所々に所有できる“隠れ家”を強化することができる。最大限まで強化した“隠れ家”では、弾薬、注射器の補給のほか、グレネードランチャー搭載型の武装トラックを調達できるようになるため、その後の展開が非常にラクになる。
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ミッションの遂行には長い移動と戦闘がつきもの。常に弾薬と回復薬を切らさないよう、近場の"隠れ家"を確保しておきたい。隠れ家には“バディ”が待機しており、会って話をすれば主人公が死にそうになったときに救命してくれる |
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どうにも邪魔な検問所。道路上の兵士をひとりかふたり轢きながら通過すれば、なんとか無事にやりすごせる |
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マップを熟知して、目的地点のおおよその位置だけで移動できるようになれば一人前だ |
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ストーリーが進行するにつれ、敵の攻撃も激しくなっていく。無理な突撃は避け、安全第一で行動するのがスムーズなプレイのコツだ |
とはいえ、ゲームの序盤は本当に大変だ。25平方キロメートルにも及ぶ広大なマップは、歩いて移動するには広すぎる。大抵は車両を奪って移動することになるのだが、道がぐねぐねと入り組み、常時マップを見ていなければ迷ってしまう上、各地の検問所で敵に遭遇して毎回死にそうになるなど、ミッションの目的地に行くだけでも苦労が絶えないのである。
本作には、目的地を指定すれば自動的に移動してくれるような機能はない。唯一の安全な移動方法はバス停を使うことだが、そもそもバス停の数が少ないため、ほとんどの場合、ミッションの目的地まで数キロの道程を自力で移動する必要がある。途中出くわす検問所の敵兵は全滅させても一定距離離れることでわずか数分で元通りに復活するため、ある地域を行ったり来たりする場合、短時間に何十人も無益な殺生をしなければならない。煩わしいことこの上なしである。
このことから、ゲーム時間の半分以上は移動に費やされ、残りの半分は割はミッションに関係のない自衛的戦闘に終始しがちだ。本当にゲームを進行させるための、ミッションがらみの戦闘や人物との会話は、全体の1割程度だろうか。武器性能が悪く戦闘効率の悪い序盤は特に、ゲームの本当に面白い部分から遠ざけられているような印象が強い。ミッションを受けて、その目的地を確認したプレーヤーに「うわあ……遠い……」と思わせてしまうのは、本作の最大の弱点であろう。
こういったストレスが緩和されてサクサクとゲームが進められるようになるのは、ほとんどの道を走破し、マップをチラリと見ただけで目的地への経路が思い浮かぶようになってからだ。土地勘を得れば、広大で複雑なフィールドも随分と手ごろに感じられてくる。そうなれば不必要な戦闘を回避しつつストーリーに集中してプレイを進められるため、本作の本来のおもしろさが浮かび上がってくるのだ。
とはいえ検問所の敵兵はやはり邪魔で厄介なので、ゲームシステムの中に、検問所を完全に無力化する方法があれば良かったと思う。賄賂を渡して見逃してもらうような、ソーシャルな解決策があればゲームシステムにうまくフィットしたかもしれない。
こういった特性もあって、本作のストーリーモードは非常に長大だ。筆者は既に20時間以上のプレイを費やしているが、進行度は全体の50%程度だろうか。本作は、上掲したような面倒な点を除けば、あの手この手で生き延びていくというストーリーや、戦闘における戦略性の高さ、フィールド各地の見事な眺めなど、非常に見所の多いゲームだ。少々の面倒は我慢しつつ、それなりに楽しくプレイしているところである。
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“UFLL”に協力してきた主人公だったが、ある日裏切りに遭い、“バディ”ともども皆殺しの憂き目に遭う。九死に一生を得た主人公は再び“ジャッカル”に命を救われ、敗北感を胸に新たなフィールドへと旅立っていく |
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敵が大量に居ると判っているときに役立つ武器、それが迫撃砲。敵の索敵圏外からおおよその照準をつけて、炸裂弾を降らせてやろう。運がよければ一撃でターゲットを粉砕できることもある |
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主人公の“足”となる乗り物には色々な種類がある。よくお世話になるのは武装車両タイプになるが、たまには非武装車両で優雅にクルージングしてみるのもいい(たいていボロボロだが)。時々見つかるバギーは小回りが効き、ジャングル内を強引に突っ切るような運転がしやすい |
■ 高性能マップエディタ搭載。自由にマップを作り、共有し、マルチプレイで遊ぶ
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高性能なマップエディタが搭載され、ユーザー間のマップ流通も可能になっている |
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インターフェイスは至極簡単で、サクサクと地形をつくることができる |
「FAR CRY 2」にはストーリーモード以外にも楽しみがある。本作はコンシューマ用のゲームとしては規格外に高性能なマップエディタを搭載しており、プレーヤーが自由にマップを作り、それをオンラインに公開することも可能だ。作成したマップを使ってマルチプレーヤーモードで遊ぶこともできる。
本作のゲームフィールドを構成しているのは、ハイトマップ方式の地面と、その上に置かれる各種のオブジェクトだ。基本原理としてはコンピューターゲーム黎明期から使われている、マップを大量作成するのに向いた方法だが、その中身は今日のコンピューターゲーム界で最高の品質に仕上がっている。そして本作に搭載されたマップエディタでは、ストーリーモードで見られるような風光明媚なマップを自分の手で作り上げることが可能になっているのだ。
マップエディタの基本は簡単で、「地形ツール」を使って地面の凹凸をザクザクと作り、そこにゲーム中のオブジェクトを選択して置いていくというものだ。地表に生い茂る植物などを自動生成してくれる機能もあるため、ジャングル、サバンナ、砂漠地帯といったテーマに沿うリアルな地形を、ものの数分で制作することができる。
オブジェクトの配置については、複雑で精密なものを作る為には少々慣れが必要ではあるが、ある程度大雑把に“それっぽい風景”を作るだけであれば、エディタ使用開始から十数分程度で実現可能である。こうして作られた風景が、本作のグラフィックエンジンで非常にリアルに描写されるので作り甲斐がある。マップエディットの楽しみを知るには格好の素材だ。
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地形を作って、適当にオブジェクトを配置しただけで、かなりそれらしい風景を作ることができる。環境に合わせた植生を自動生成してくれる機能があり、砂漠、サバンナ、ジャングルと、雰囲気の異なる映像が即座に制作可能。創作意欲を刺激されそうだ |
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オンラインでは沢山のユーザー制作マップが流通している |
作成したマップをマルチプレーヤーモードで使用するためには、風景の作成以外にも、プレイ可能範囲の設定や、プレーヤーのスタートポイントなどが必要になる。完成したマップに名前を付けてオンラインに公開すると、他のプレーヤーがそれをダウンロードできるようになるのだが、ファイルサイズはごく小さいもので、1個のマップをダウンロードするために必要な時間は、せいぜい30秒から1分。他のプレーヤーが作った個性的なマップを見て回るのも楽しい。
筆者がリサーチした時は、日本語版未発売で、海外版のみが流通している段階だったため、国内プレーヤーの作品は見つけることができなかったが、海外プレーヤーもなかなかユニークなマップを大量に作っているようだ。中でも特に面白いのが、本来ゲーム中に存在しない巨大客船を、各種のオブジェクトを組み合わせて強引に作ってしまったもの。この手の強引なマップは沢山あって、ニューヨークのタイムズスクエアを模したマップなどもある。
マルチプレーヤーでの利用で人気があるのは、わりと作品世界から外れたものが主流のようだ。取材時点で一番人気にレーティングされていたのは、「D-DAY」という作品で、史実の1944年5月に米独軍が海岸線で衝突した戦場“オマハビーチ”を模したマップだった。なるほど、これは確かに対戦が熱くなりそうだ。
マップ上に配置する為のオブジェクトは、ゲーム中に存在するほぼ全てのものがエディットで利用可能となっており、これらを巧く組み合わせればストーリーに存在しないものも作れてしまう。現時点のユーザーコミュニティの成果を見るだけでも、本作のマップエディタには相当大きな可能性が眠っていそうだ。
本作のマルチプレーヤーモードは、最大16人での対戦が可能で、4つのゲームモードが搭載されている。その内訳は、「デスマッチ」、「チームデスマッチ」、「ダイヤモンドキャプチャー」、「アップライジング」。「ダイヤモンドキャプチャー」は、旗の代わりにダイヤモンドを奪うというCTFライクなモードで、「アップライジングは」、フィールドにある3つの拠点を占拠し、その状態で相手チームリーダーを倒せば勝利というものだ。
上掲の「D-DAY」マップを遊ぶには、これらのゲームモードのうち「アップライジング」が最も適切だろう。デスマッチ向きのマップとしては、他のゲームに存在するマップを模したもの(例えば「Call of Duty 4」のマップ)などが散見された。ユーザードリブンのマップ供給がうまく機能すれば、本作のマルチプレーヤーモードはなかなか遊び応えのあるものになりそうだ。
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各種オブジェクトを強引に組み合わせて作り上げた巨大客船 |
こちらも強引な手法でタイムズ・スクエアを忠実に(?)再現 |
オマハビーチを再現した「D-DAY」マップ。対戦が楽しそうだ |
【スクリーンショット】
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アフリカの自然を再現する圧倒的なグラフィックスと、マップエディットまで可能な自由度。本作は高いクオリティを持った骨太のFPS作品である |
(c) 2008 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Ubisoft, Ubi.com and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
□ユービーアイソフトのホームページ
http://www.Ubisoft.co.jp/
□「FAR CRY 2」の製品情報(Xbox 360)
http://www.Ubisoft.co.jp/games/products/084/productinfo.html
□「FAR CRY 2」の製品情報(プレイステーション 3)
http://www.Ubisoft.co.jp/games/products/085/productinfo.html
(2008年11月28日)
[Reported by 佐藤カフジ]
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