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韓国Dragonfly訪問レポート
独ソ戦のifを描いたFPS「KARMA II」と「メタルスラッグオンライン」

11月12日 収録

会場:韓国Dragonfly本社

 韓国Dragonflyは、日本でも「Special Force」の開発で知られているデベロッパーである。現在はPhantagramとBluesideを傘下に入れ、「キングダムアンダーファイア」シリーズなどの人気タイトルも抱える、巨大デベロッパーに成長している。

 同社のオフィスは、一般的なオフィス街からは少し離れた、高級住宅街の中にある。入り口にトンボの形をしたドアノブがついていたりと、遊び心もある。このオフィスは2年前にできたそうで、なぜ高級住宅地の中にあるのかというのは、社員にもよくわかっていないらしいのだが、周囲が静かで仕事に集中できそうな環境ではあった。ここには約100人ほどの社員が入っており、主に「Special Force」シリーズの開発を行なっている。他にも近くに別のオフィスがあり、そちらもあわせると約170人の社員がいるという。

 こちらのオフィスに訪問させていただき、2009年にサービス予定のFPS「Karma II」と、「メタルスラッグオンライン」に関する話を伺ってきた。2009年にはこのほか「Special Force 2」も予定されているが、「現時点では、Unreal3エンジンを採用したこと以外はお話できない」としている。

 また2010年には、「Kingdom Underfire」、「Soldier of Fortune」、「Quake Warz」、「サムライスピリッツ」、「ザ・キング・オブ・ファイターズ」の5タイトルのオンライン版をサービス予定としている。SNKプレイモアの対戦格闘ゲームのオンライン化は、2005年にNC Softとの業務提携によって制作されると発表されていたが、Dragonflyの広報担当者は、「そちらはうまくいかなかったようで、弊社の開発タイトルとは無関係」としている。



■ 意欲的なシステムを複数盛り込んだFPS/TPS「Karma II」

「Karma II」チームリーダーのRobin Kim氏
 Dragonflyが2003年に正式サービスを開始した「Karma Online」は、韓国初のオンラインFPSとされている。このタイトルはそれほど人気を集められなかったが、次の「Special Force」でブレイク。その後、GameHiの「サドンアタック」が大ヒットし、「Special Force」とともに韓国のFPSブームを作り上げた。

 「Karma Online」は韓国でのサービスを既に終了しているが、その続編として開発されているのが「Karma II」である。1950年代前半、第2次世界大戦でドイツが降伏せず戦いを続けているという架空の設定で、ドイツ軍とソ連軍の戦いを描く。

 本作はDragonflyの自社開発・自社運営となり、同社としては数年ぶりのパブリッシングタイトルになる。現在は第1回クローズドβテストが終了し、まもなく応募者全員が参加可能な第2回クローズドβテストを実施予定。正式サービスは2009年上半期の予定としている。

 本作のチームリーダーのRobin Kim氏に、ゲームの説明をしていただいた。まずゲームシステムは基本的にはFPSだが、Fキーを押すとカメラの視点が下がり、TPSになる。兵科システムを採用しており、「アサルト」、「スナイパー」、「サポート」、「重火器兵」の4種類が用意される。兵科の変更はリスポーン時に可能。また兵科の中でも多彩な武器が用意されているのも売りだという。

【スクリーンショット】
上の4つがドイツ軍、下の4つがソ連軍。キャラクタデザインは異なるが、装備品は共通。その他の連合軍は登場せず、独ソ戦(の仮想世界)のみを描いたゲームとなっている
長く戦争が続いたという設定からか、荒廃した街などが戦闘の主な舞台となっている。実在する場所はゲームには登場せず、全て仮想世界のものとしている


 対戦人数は最大10対10。ゲームモードはチームのキル数を競う「チームデスマッチ」、リスポーンのない「サバイバル」、人質を取る側と救出する側に分かれる「奪還」、爆弾処理を行なう「爆弾」というFPSでは馴染みのある4つのモードに加え、「ワンフラッグ」、「占領」という独自色の強い2つのゲームモードを用意する。

 「ワンフラッグ」は「チームデスマッチ」をベースにしたものだが、ゲーム中に逆転要素のあるアイテムが登場するもの。中には“50キル加算”といったものもあるようで、敵を倒すとともに、このようなアイテムをどうやって取るかを考える戦略性が求められるようだ。

 「占領」は、互いの陣地の間にある拠点を奪い合うというもの。拠点のある場所にプレーヤーが移動して一定時間が経過すると、その場所を占領したことになる。占領すると、そこが新たな前線基地となり、そのチームのリスポーン場所になる。逆に拠点を取られた側は、初期の前線基地よりも1つ後方にある別の場所へとリスポーン場所が後退し、以前の前線基地は中立化。今度はそこを奪い合う戦いとなる。これを繰り返し、敵が後退できない場所まで拠点を奪うか、制限時間内により前の拠点を奪えたチームが勝利となる。実際の戦争で起こりうる戦場の押し引きを、うまくゲームに組み込んでいる。

 もう1つの特徴として、特殊なモーションが発生するスキルがある。ジャンプ中に座るボタンを押すとハイジャンプといった具合に、複数のキーを組み合わせることで発動するもので、ダッキングしながら通常より速く横方向に動いたり、斜め前に素早く前進するといったテクニックが使用できる。ゲーム的なメリットもあるが、キャラクタの動きがより多彩になり、リアルな戦場を演出する役目も持っている。

 ゲーム的なスキルとしては、マウスを素早く横に動かすことで、一時的に銃器の集弾率が上がる「ゴールデンクロスショット」というシステムが用意されている。視界の外から銃撃されたとき、素早く振り返って撃つと発動するため、強力なカウンター攻撃を仕掛けられるわけだ。この時にキルを取ると、画面に「GOLDEN CROSS SHOT」と表示されるのも、嬉しさを倍増させてくれる。スナイパー職のように敵が来るのを待つスタイルだと恩恵は少ないが、ガンガン前に出て行くタイプの人は、より有利に戦いを進められるだろう。

 また本作には各兵科ごとに10個のスロットがあり、アイテムを装備してキャラクタの能力を上げられる。アイテムはプレーヤーの階級が高いほど、より高性能なものを使えるようになっている。どの程度の能力向上があるかはアイテムの性能を見なければわからないが、間接的とはいえキャラクタの成長要素もあるといっていいだろう。

 このほかに個人的に面白かったのが、「サポート」が持つ回復アイテムの扱い。一般的なFPSでは味方に密着して回復させる仕組みが多いが、本作では使用すると固形のアイテムを前方に投げる。アイテムはそのまま地面に落ちるので、それを誰かが拾うとライフが回復する。落としたアイテムを自分で拾ってもいい。アイテムを直接味方に投げつけるとすぐに回復するが、ライフが満タンの味方に投げつけると、受け取られずに体に当たってどこかに転がっていくのがなかなか笑える。

【スクリーンショット】
3Dグラフィックスは丁寧に描きこまれている印象を受ける。荒廃した街の表現は特にうまく、ゲーム的にも、ちょっとした障害物や隙間が点在していて緊張感がありそう

【紹介ムービー】
TPSモード切り替え ダッキング スプリント
ゴールデンクロス 重火器兵(RPG) 回復アイテム
プレイムービー(ブリッジ) プレイムービー(ファクトリー)



■ アクションを継承しつつオンラインゲーム化した「メタルスラッグオンライン」

「メタルスラッグオンライン」プロデューサーのThomas Choi氏
残念ながらゲーム画面はまだ非公開。ロゴとイメージイラストのみが公開されている
 SNKプレイモアのアクションゲーム「メタルスラッグ」をオンライン化した「メタルスラッグオンライン」は、Dragonfly内の開発スタジオの1つ、Wizhandsが開発を担当している。NEOGEOのアーケードゲームは、以前から韓国や台湾などのアジア圏で人気が高く、そこから「メタルスラッグ」や「ザ・キング・オブ・ファイターズ」のオンラインゲーム制作という方向に話が進んだのだと思われる。

 今回はWizhandsのVice Presidentで、本作のプロデューサーを務めるThomas Choi氏に話を伺った。まだゲーム画面は見せられない段階だそうだが、ある程度のゲーム内容は語ってくれた。

 まずゲーム内容は、これまでに発売された「メタルスラッグ」シリーズに近いアクション性を保つという。グラフィックスは3Dになるが、あくまで映像的な変更のみで、横スクロールスタイルのゲームシステムに変化はつけないとしている。

 ゲームはとある街からスタートする。この街には他のプレーヤーたちもおり、ここでパーティを組んで、クエストを受けて街の外へと出て行く。街の外は「メタルスラッグ」シリーズのアクションゲームが展開されるという流れで、最大4人が一緒にプレイできる。一般的なオンラインゲームに照らし合わせると、街はMMO型のロビーで、フィールドはパーティごとに個別生成のMOタイプといったところだ。

 クエストには、最後のボスを倒すものや、点数を競うものなど、いくつかのゲームモードがあり、プレーヤーが選んで参加できる。また各クエストには難易度設定もでき、イージーだと難易度は低いが報酬が少ないといった仕組みになっている。

 街はいくつかあり、街の間を移動するには、隣の街に行くクエストを受けて何ステージかクリアしていく必要がある。また街と街を繋ぐポータルのようなものも用意されるという。街が変わるとクエストも変化するので、もっと新しいステージを遊びたければ他の街へ移動することになる。

 プレーヤーの成長要素には、「階級」と「メタルブック」がある。「階級」が上がると、衣装アイテムなどの使えるアイテムの幅が広がっていく。「メタルブック」はアイテムを装備するインベントリ的なもの。本作のアイテムは全てカードの形で扱われ、カードを「メタルブック」に入れることで、能力の向上などの効果が得られる。ほかにも“特定の街に入るためのカード”もあるそうで、これを課金アイテムとして販売する計画だという。「メタルブック」のスロットは最初は少ないが、成長することで増えていく。

 プレーヤーキャラクタは複数用意され、ジャンプ力や火力などで少しずつ能力が異なる。キャラクタはアイテムと同様の形で販売され、1人で複数のキャラクタを持って、変えながら遊ぶことも可能だという。

 協力プレイのほかに対戦の要素はないかと尋ねたところ、「検討はしているが、今のところは未定」としている。

 サービススケジュールは、韓国で2009年上半期にクローズドβテストを実施予定。パブリッシャーはまだ未定だが、「中国のパブリッシャーから特に多く声をかけられている」という。ビジネスモデルはアイテム課金の予定で、前述の街への入場権のほか、「ヘビーマシンガン」などの武器や衣装アイテムを課金アイテムとして販売する予定だという。

【イメージイラスト】
「メタルスラッグ」シリーズよりもデフォルメされたイメージのキャラクタ達。ゲーム中のキャラクタをイラストに描き起こしたという感じだろうか


□Dragonflyのホームページ
http://www.dragonflygame.com/

(2008年11月16日)

[Reported by 石田賀津男]



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