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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:4,000ウォン(前売り2,000ウォン) 「PRIUS ONLINE」は10月23日にオープンβテストを開始しており、「真・三國無双 Online」は12月にオープンβテストを開始する予定。ブースではこの2つの新タイトルを20台近くの試遊台でアピールしていた。他タイトルは全て正式サービス中だが、人気は高く、試遊台は常に人にあふれていた。 本稿ではブースの模様を紹介すると共に、韓国、海外のコンテンツを韓国国内のパブリッシングする事業の総括を務めるYounsig Kwon氏と、「真・三國無双 Online」のパブリッシングの総括を担当するJonwoo Lee氏に行なったインタビューの内容を合わせた形で紹介したい。
■ 小さな女の子と幻想的な世界で冒険する「PRIUS ONLINE」、会場でも女性ユーザーに人気
で紹介しているが、小さな女の子の姿をした「アニマ」というキャラクタと共に冒険するMMORPGで、女性ユーザーも人気が高い作品だ。 ブースではゲーム内のキャラクタをイメージしたコンパニオン達がステージに立つ撮影会が頻繁に行なわれ、プロモーションムービーもメインのステージでひっきりなしに流されているという、ブース全体で「PRIUS ONLINE」をアピールする構成になっていた。 ブースでは体験用ののアカウントを使うか、ユーザーがアカウントを持ち寄ることでゲームをプレイできた。本作は女性プレーヤーが多いことをアピールしているが、プレイしているユーザーの中には、実際女性の姿が目立った。隣り合った試遊台でおしゃべりをしながらゲームを進める女性プレーヤーもいて、他のMMORPG以上に女性人気が高いことを伺わせた。 会場用のアカウントを使うことで、ゲーム序盤の展開を見ることができた。プレーヤーを含む戦士の一団は暗い洞窟の奧に住む魔法使いを倒そうとするが、1人、また1人と倒されていく。そのとき突然光が輝き、小さな女の子が降りてきて、パーティーは救われる。女の子はずっとプレーヤーを見つめていて、他のパーティーメンバーが手をさしのべても見向きもしない。プレーヤーは仲間を離れ女の子を連れ、旅立つこととなる。 最初のキャラクタ作成画面は、潤んだような目をしたキャラクタがこちらを見つめているのが印象的だ。さらにアニマの設定では、こちらの顔をのぞき込んでいるような小さな女の子のキャラクタモデルをカスタマイズする。とがった耳と、大きな瞳が妖精のような幻想的な雰囲気を出している。 ゲームの操作はクリックで移動、ショートカットでスキルを使うというオーソドックスなものだが、後ろからアニマがついてくるのがかわいらしい。スペースキーでジャンプをすると、アニマも一緒にジャンプする。このとき、アニマは短い両手両足をいっぱいに広げて飛び上がる。アニマのモーションには特に力が入っているのが感じられた。
アニマは独自のAIを持っていて、プレーヤーとの関わりで協力的になっていくという。またアニマとの協力により“ギガス”といわれる強力なロボット(?)に変身するギミックもある。幻想的な世界観と、ハードなデザインのモンスター、そして何よりアニマの存在が韓国プレーヤーの心をつかんでいるようだ。
■ 韓国市場の声を受けた「真・三國無双 Online」、“決闘モード”で初心者にもわかりやすい対戦が可能に
ブースでは20台近くの試遊台が設置され、自由にプレイすることができた。「真・三國無双 Online」だはゲームパッドでのプレイに対応し、実際全ての試遊台にはゲームパッドが用意されていたが、半分以上のプレーヤーがキーボードでプレイしていた。 韓国ではコンシューマゲームの「真・三國無双」の人気が高く、PCゲームのパッケージとして販売された「真・三國無双3」のプレーヤーもいて、コアなファンを獲得しているという。「真・三國無双 Online」の注目は高く、試遊台では常にプレーヤーがいて、頻繁にルームが作られ戦いが行なわれていた。また、キャラクタのコスプレをしたコンパニオンも人気で、カメラに囲まれていた。 会場では、日本で11月18日実装される大型アップデート「Revolution 3」の目玉の1つ、決闘モード(日本名:闘技)を体験することができた。決闘モードは、より簡単に戦いを楽しめるゲームモードで、マップは従来の3分の1以下に縮小されている。最初に配置されているのは中立の軍のみだ。 通常のゲームモードでは、プレーヤーは敵兵を倒して入手できる「仙箪」を使って強化する要素があるが、闘技では最初から強化されている。キャラクタを強化したり自軍を増やすといった準備期間なしで手軽に対戦が楽しめるモードだ。
「Revolution 3」ではこの他にも武将達の新武器や新しい技、初心者向けのチュートリアルが実装される。試遊台で確認することはできなかったが、韓国のオープンβテスト以降では「Revolution 3」が実装されたバージョンになるという。韓国ユーザーが「真・三國無双 Online」にどのような反応を示すか今後に注目したい。
■ 初心者要素や、協力要素も。サポーターを結成し、積極的に提案を行なう運営
「真・三國無双 Online」は、コンシューマゲームの「真・三國無双」シリーズのフォーマットを踏襲している。韓国ではコンシューマゲームの市場はまだ小さく、PSPなどで触れているユーザーがいても、シリーズをプレイしたことのないユーザーもまだ多い。「韓国での『真・三國無双 Online』の展開には、コンシューマゲームファンだけでなく、オンラインゲームユーザーをいかに多く取り込めるかが鍵となると考えました」とLee氏は語った。 CJ Internetでは「真・三國無双 Online」というゲームをアピールするために、「真・三國無双」シリーズのファンを中心に5,000人規模の“サポーター”を結成、彼らから積極的に要望や意見を取り込むことで韓国にあった形でのサービスを模索していったという。クローズドβテストは2万人規模のユーザーを集めて意見を集めた。 韓国でのサービスに当たり、韓国側がよりこだわって意見を届けたところが「キーボードでのプレイの最適化」だという。「真・三國無双 Online」はコンシューマゲームと同じパッドでメニューを選ぶインターフェイスとなっている。この項目をマウスでクリックして選択、というところは取り入れられていたが、さらに一歩踏み込みショートカットによるメニューの選択もできるようにしたという。 課金に関しては基本は日本と同じ路線を踏襲していくが、アバター要素でも韓国オリジナル要素が入れられればと、Lee氏は語る。まだコーエーと調整していく部分ではあるが、ゲームバランスに影響を与えないレベルのブースト系の補助アイテムなど、企画を立て提案をしていくという。正式サービス時のラインナップは、日本と全く同じだと数が膨大になるため、検討中とのことだ。 Lee氏は韓国展開に当たり、是非とも決闘モード(日本名:闘技)が必要だったと考えていた、と語る。「真・三國無双」シリーズはコンシューマでの人気が高いが、サポーターの間でもシリーズを知らないユーザーにとって、戦場でのシミュレーション要素や仙箪強化といった要素は「真・三國無双」を初めてプレイするユーザーにはわかりにくい、という声が多かったという。 戦場を小さくし、すぐ敵対プレーヤーと戦える入門用コンテンツとして決闘モードは間口が広い。また、従来のルールでは逃げ回り時間切れを待つことも可能だがこのモードでは直接のぶつかり合いが勝敗のわかれ目となる。このシステムによって、よりカジュアルに対戦が楽しめるのではないかとLee氏は語った。「Revolution 3」ではチュートリアルも実装される。こちらも韓国の新規ユーザーにゲームシステムを紹介するのに有用なコンテンツである。 Lee氏は「真・三國無双 Online」では4vs4の戦いの中で、現状ではまだ“個人の戦い”によるところが大きいのではないか、と考えているという。4人で1軍として戦場を走り回るが、実際の所、1人1人が別々な場所で戦っていたり、初心者が足を引っ張ってしまいかねない。4人、または2人でより力を合わせるようなコンテンツがあっても面白いかもしれない、という。 「真・三國無双 Online」に限らず、上手いプレーヤーが新規キャラクタを使って初心者のキャラクタを倒しまくってしまう、という状況はしばしば発生する。上級者と初心者をどう結びつけさせ、よりよいゲーム世界を作っていくかはゲーム運営での大切なベクトルである。 CJ Internetでは今後、オープンβテスト、正式サービスへと繋げていく流れの中で、ゲーム大会の開催を予定している。ゲーム大会を通じて上手いプレーヤーの戦う姿を見せて、初心者の目標にする、といった方向性も考えているとのことだ。 韓国では、Eスポーツ的なアプローチでテレビ番組を放映するという方向性も考えているが、ゲームを中継するためには観戦モードなどのゲーム内での新しいシステムも必要となる。また、日韓戦や現在サービスしている、中国、台湾も含めた形での大会なども運営のアイデアとして、コーエーと話をしているという。実現できれば非常に面白い要素だ。 ちなみに、韓国での三国志の人気に関しては、韓国では過去に「三国志演技」を扱った漫画が大ヒットしたことがあり、30代くらいの人が特に強い思い入れを持っているという。また、低年齢層には劉備は「正義の味方」的なイメージを持たれているようで、全体的に劉備の人気が高いとのことだ。
今回のLee氏のインタビューからは、シリーズという概念を受け継ぎつつも、改めて「真・三國無双 Online」のオンラインゲームとしての可能性を感じることができたように思える。世界で展開する「真・三國無双 Online」が各国のパブリッシャーの意見を受けながらどんな進化をしていくか、興味のひかれるところだ。 ■ CJ Internetのデベロッパー事業は苦戦、2009年は再びパブリッシング中心に
CJ Internetはポータルサイト「ネットマーブル」を運営し、「サドンアタック」などパブリッシング作業で韓国ユーザーに認知されるメーカーである。2007年CJ Internetは、MMORPG「PRIUS ONLINE」、横スクロール型アクションMMORPGとして「KOONGYA ADVENTURE」、「HERE WE GO」など数本のサービスを一気にスタートし、デベロッパーとしてのイメージをアピールした。 Kwon氏は昨年のCJ Internetの活動を振り返り、「『PRIUS ONLINE』は成功といえる成績を収めたが、『KOONGYA ADVENTURE』、『HERE WE GO』に関してはユーザーからの評価を得られることができず、現在オープンβテスト中であるが、正式サービスまでにはコンテンツの強化が必要だ」と語った。「PRIUS ONLINE」は同時接続者数8万人という成功といえる成績を収めたが、2つのタイトルは苦戦をしているという。 「KOONGYA ADVENTURE」、「HERE WE GO」の苦戦の原因としては、「ゲームそのものには問題がないと考えている。しかし、この一年カジュアルゲームというジャンルにおいて、韓国市場ではヒット作といわれる作品が全く出なかった。コンテンツの原因以上に、韓国のゲーム業界全体の流れというのはあったと思う」とKwon氏は語った。その上での施策としてKwon氏は“ターゲットの絞り込み”が必要ではないかと考えているという。 一方で、「PRIUS ONLINE」が人気を得た理由として、Kwon氏は「これまでのMMORPGはPvP要素が注目されていたが、『PRIUS ONLINE』はみんなで楽しめる要素や、おしゃれを楽しめるアバター要素が評価されたと思う。女性ユーザーが多いのも特徴で、全体の28%くらい、通常のゲームだと女性は15%前後なので、これはかなり高いと言える」と語った。 パブリッシャーからデベロッパー事業に力を入れた1年の感想を聞いてみたところ、Kwon氏は「我々がデベロッパー事業に力を入れたのは、国内だけでなく、世界的に展開するにあたり、やはり自社タイトルの開発が必要である、という判断からの方向性だ。現在は、開発が30%、パブリッシングを70%という割合で事業を展開している。」 「『イースオンライン』はヨーロッパでの展開の契約もとりつけ、台湾、中国、日本など世界中で展開する計画で進められている。サービス時期はまだアナウンスできないが、『PRIUS ONLINE』は日本でも契約が行なわれているし、『魔球魔球』も日本や台湾で展開できている。世界へ向けたパブリッシング展開という大きな目標に関しては、順調に展開していると言えるだろう」とKwon氏は語った。「イースオンライン」は国内では中堅の成績を収めていて順調だという。 CJ Internetのデベロッパーとしての活動は続いており、現在3本の新タイトルを開発しているが、現在これらのタイトルはジャンルも含めて発表できないという。これらのタイトルが形となるのは早くても2010年、来年の2009年は、CJ Internetは再びパブリッシング事業に力を入れていくとのことだ。 2009年のパブリッシングタイトルは「真・三國無双 Online」、「ドラゴンボールオンライン」、そしてアクションRPGの「レリック」というタイトルを準備する予定だ。「ドラゴンボールオンライン」に関しては、「現在、テストを初めても良いくらいのクオリティになっていると思っているが、昨今のユーザーのコンテンツの消費速度、そして世界からの反響も非常に大きく、コンテンツをさらに追加している。2009年の第1四半期には情報公開を第3四半期にはサービス展開をできると思う」とのことだ。 Kwon氏は「『ドラゴンボールオンライン』は世界的に注目されているタイトルなので、ミスは許されない、という気合いで取り組んでいる」と語った。目指している方向性は、原作コミックスに出てくる要素を全てゲームの中に盛り込みたい、というものだという。具体的にはどこ、とは言えないが、理想としては全ての要素で、1つのコンテンツができれば必ず原作者の監修をお願いする、といった形で力を入れた形で原作を重視して開発をしているという。
パブリッシャーからデベロッパーへ力を入れた転身を図ったCJ Internetだが、話を聞いてみて、その結果は厳しかったのかな、と感じた。苦戦している2本のタイトルに関しては、「ゲームそのものには問題がないと思っている」とKwon氏は語るが、「PRIUS ONLINE」がユーザーから評価を得ている点を見ても、他コンテンツとの差別化の上で足りなかったのではないか、という印象がある。韓国ユーザーは「革新性」を求めているのではないだろうか。
ちなみに、「PRIUS ONLINE」の日本展開に関しては、まず中国で展開し、日本では2010年になる予定だという。その他のタイトルに関しても未定で、パブリッシングメーカーも含めてまだ発表はできないということで、今後の発表を待ちたいところだ。
□CJ Internetのページ (2008年11月16日) [Reported by 勝田哲也]
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