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★PCゲーミングデバイスレビュー★

マイクロソフトマウスもいよいよ次世代へ
BlueTrackマウスの実力と可能性を検証する

「Microsoft Explorer Mouse」
「Microsoft Explorer Mini Mouse」

  • ジャンル:マウス
  • 開発元:Microsoft
  • 発売元:マイクロソフト
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 価格:Explorer Mouse:9,000円 /Explorer Mini Mouse:6,600円
  • 発売日:10月31日(発売中)



 10月2日に掲載した弊誌連載「PCゲーミングデバイス道場」にて、「レーザーとオプティカルはどちらが優秀なのか!?」と題する検証を行ない、結果的には「オプティカルセンサーのほうがトラッキング性能が高い」と結論づけ、ゲーミングデバイスとしてマウスを選ぶなら、レーザーマウスより、オプティカルマウスのほうがお勧めできることを実証した。

 だが、この実験結果が有効だったのはわずかな期間で終わってしまった。10月31日に、マイクロソフトから新機軸のセンサーを搭載したマウス「Microsoft Explorer Mouse」と「Microsoft Explorer Mini Mouse」が発売されたからである。マイクロソフトのメインストリームラインに採用されているトラッキングテクノロジーは、レーザーでも、オプティカルでもない、“BlueTrack”と呼ばれる新型センサーに変わってしまったのである。突然登場した“BlueTrack”とはいったい何者なのだろうか?

 この2製品は、いわゆるゲーミンググレードのデバイスではなく、あくまでも一般向けの製品であるため、本来なら弊誌で取り扱うマウスではない。しかし、来年2月に米国で発売が予定されているマイクロソフトの新型ゲーミングマウス「SideWinder X8 Mouse」では、同じくBlueTrackセンサーを搭載することがアナウンスされており、ゲーミングマウスの分野にもBlueTrackテクノロジーの波が押し寄せてくることは間違いない。そこで今回は、来るべき将来に向けて、「Explorer Mouse」のBlueTrackセンサーの実力を検証しておきたい。


■ “BlueTrack Technology”搭載マウス第一弾。BlueTrackとはどのようなセンサーか?

「Explorer Mouse」(右)と「Explorer Mini Mouse」(左)
センサー部をのぞき込むと、青々と光る大きなLEDが見える
青色LEDが広い範囲を照らしている。これはレーザーよりもオプティカルマウスに近い特性だ
オプティカルはもちろんレーザーでもほぼ反応しないサーフェス上で、なんとか操作可能なレベルでカーソルが動く
 まず、「Explorer Mouse」と「Explorer Mini Mouse」の基本的特徴について簡単に触れておきたい。この2製品は、「Explorer」の名前が示すとおり、マイクロソフトの旧製品「Intelli Mouse Explorer」といった一般向けのメインストリームラインの系譜を継ぐものである。

 形状としては、オフィス、パーソナルでのリラックスした使用を念頭に置いたデザインとなっており、“かぶせ持ち”に適したボトムヘビーの流線型が特徴的だ。ボタン数は5個となっており、メインボタンのクリックは非常に軽い。ホイールはスルスルと回転する、抵抗の少ないタイプ。物理的には力を抜いて扱うためのマウスとなっている。

 PCとの接続は無線方式で、付属のUSB無線インターフェイスを通じて信号がやりとりされる。無線というとゲーマーは遅延を警戒して眉をしかめがちなところだが、実際のところ遅延はかなり低く抑えてあり、通常使用において有線マウスとの違いを体感することはないレベルだ。この点については後ほど詳しく検証する。

 そして今回注目する点として、この2製品が搭載する、マイクロソフト独自開発の新型センサー技術“BlueTrack”テクノロジーについて見ていこう。

 BlueTrackセンサーの動作原理などについてはマイクロソフトのBlueTrack特集ページに詳しく紹介されているが、その特徴を極めて乱暴な言い方で表現すると「オプティカルセンサーの“赤色LED”を“青色LED”に変えました」という感じになる。もちろん違いはそれだけではないのだが、この新センサーの違いによって何が変わったのかを詳しく説明していきたい。

 最大の違いは、従来のオプティカルセンサーやレーザーセンサーよりも、さらにトラッキング面の読み取り能力が向上した、という点である。

 BlueTrackで利用している青色の光は赤色の光より波長が短く、トラッキング面の細かい凹凸をより明瞭なコントラストで照らすことができるため、赤色LEDのオプティカルマウスではトラッキングが不可能な表面でも利用できる。

 またレーザーセンサーとの比較では、レーザーは指向性が高くトラッキング面積が狭いため、ホコリやゴミなどにトラッキングを乱されやすいが、BlueTrackは広く拡散する光を利用しトラッキング面積も広いため、そのような心配が少ない。さらにトラッキング面が広いということは、トラッキング面を同じ速度で画像処理した場合に、より高い速度追従性を見せるということにも繋がる。

 これらの特徴から、BlueTrackセンサーは、レーザーにも勝る読み取り面の汎用性を備えつつ、従来のオプティカルセンサーのように高いトラッキング性能を持つ、ということになる。つまり、2方式のいいとこどりのセンサーというわけだ。

 なお、「Explorer Mouse」と「Explorer Mini Mouse」は全く同じセンサーを搭載しており、CPIは1,000、サンプリングレートは8,000fpsというスペックになっている。将来登場予定の「SideWinder X8」では、同じBlueTrack方式のセンサーにて、4,000CPI、13,330fpsという高スペック版を搭載するとされている。

「Explorer Mouse」。サイズは長さ115mm×幅79mm×高さ43mmと、かなり大柄な印象。内蔵電池を含む本体重量は155gと重く、上部が細くなっている形状が相まって、持ち上げ操作が辛い。かぶせ持ち向けのデザインだが、ゲームで使うならば通常より低い位置を掴んでのつまみ持ちを推奨する。充電器も同梱しており、マウスを乗せるだけで充電が可能だ

「Explorer Mini Mouse」。センサーは「Explorer Mouse」と全く同じ。サイズは長さ95mm×幅67mm×高さ39mmと、手の大きな人ならマウスが完全に隠れるほどの小ささだ。重量は電池込みで111g。電池は交換せずに約4カ月使用できる。小さく、軽く、かぶせ持ち、つまみ持ち両方で使える形状であるため、ゲーム用途ならばこちらをお勧めしたい


■ トラッキング速度性能は驚きの“高安定性”が特徴
 米国で2009年2月登場予定の「SideWinder X8」への期待が高まる計測結果

連載でも使用したトラッキング性能計測システムを使い、トラッキング最大速度を計測してみた
 レーザーマウスよりも様々な表面で使えるBlueTrackセンサーは、それだけで従来のレーザーマウスに置き換わる存在として価値がある。だが、使用する表面を選ばずに使えるという点については、ゲーミングデバイスとしてはまったくプラスにならない。というのも、滑り、ストッピングといったプレイ上の快適性を必要とするゲーマーは、それなりのマウスパッドを使っているからだ。

 そのため、ゲーマー的に注目したいのは、BlueTrackの持つトラッキング速度の性能についてである。BlueTrackは、基本的にはオプティカルセンサーと同じく拡散する光を使って表面を照らし、センサーが広い面積を捉えられるため、理屈の上では少なくともオプティカルマウスと同程度の速度性能を発揮してくれるはずであり、高速操作の再現性においてもレーザーマウス以上の性能が期待できる。

 ということで、本当にそうなのかどうか、実際に計測した。計測方法は、弊誌連載「PCゲーミングデバイス道場」の第4回と同じ。マウスを固定し、マウスパッドを敷いたターンテーブルを回転させつつ、1周ごとにレポートされたカウントを計測する方法だ。「Explorer Mouse」のCPIは1,000固定なので、800CPIで計測した連載記事のデータに比べるとカウント数が若干増えているが、今回はその“安定性”に注目して見て欲しい。

 結果のグラフを以下に示す。

ゲーミングマウスユーザーもビックリの安定性。これなら激しいゲームにも充分に使えるはず。BlueTrackセンサーがもたらしてくれる未来は明るそうだ

 非常に特徴的なグラフだ。まず、レポートされたカウント数が、各速度域にて非常に安定している。以前計測したオプティカルマウスでは、速度が上がるにつれてカウント数が低下していくという傾向があったが、このマウスでは常にほぼ一定の数値が出力されたのである。

 計測限界値は2.7m/sあたりで、それ以上の速度ではマウスが常に0をレポートしてくるようになった。これが「Explorer Mouse」のセンサー限界であると推測される。グラフでは、2.5m/sあたりからややバラつきがあるように見えるが、計測時のアナログ的なゆらぎを考慮すると、本マウスはトラッキング限界速度に達する直前まで、低速時と同じ正確性でカウント数をはじき出せる性能を有すると見られる。

「Explorer Mouse」のクセ。筆者だけかもしれないが、少しセンサーの角度が不自然なような……
 これは、ゲーミンググレードではない製品の性能としては申し分のない水準であるのは当然として、ハードなゲーム用途にも充分使えるというレベルだ。筆者が計測した限りではレーザーマウスの性能は確実に超えているし、それ以上に、オプティカルマウス以上に“安定している”という点は、BlueTrackセンサーの原理を考えると、まさに期待通りの結果が出たことになる。

 2009年2月にリリースが予定されているBlueTrackゲーミングマウス「Microsoft SideWinder X8」では、これよりもさらに読み取り速度を向上させたセンサーを搭載すると発表されているため、オプティカルとレーザーの双方を超えたベストマウスの存在になることが期待されそうだ。


■ ゲーミング用途として気に掛かる無線方式。ラグはそんなに無い?

やはり気になる無線インターフェースの出来。筆者の体感上では、ほとんどラグを感じなかった
 センサー性能については期待通り満足できる結果を得られた。だが、来年発売される「SideWinder X8」が今回の「Explorer Mouse」と同じく無線インターフェースを採用している点を考えると、若干の不安が残る。果たして無線の性能はゲーミング水準に達しているのだろうか?

 まずはレポートレートについて見てみよう。一般の無線マウスの中にはレポートレートが不安定なものが存在するのも事実なので、これを確かめるべく複数の計測ソフトウェアを使って実測を行なった。

レポートレート計測の模様
 そのうちのひとつ、シグマA・P・Oシステム販売のブランド「DHARMAPOINT」が公開しているツールの写真を紹介しておこう。これはマウスのレポートレートを表示してくれるソフトで、画面上に線を描き、その制御点の数によってグラフィカルにマウスの軌道を確認できる優れものだ。

 見ての通り、本製品「Explorer Mouse」では125Hzとレポートされた。左側の線はそれで描いたものだが、右の線は参考用に1,000Hz駆動の有線ゲーミングマウスで描いたもの。違いは明瞭におわかりいただけるだろう。また、米RazerのBlueprintサイトで公開されているレポートレート計測ソフトでも125Hz程度の数字が出た。本製品は一般的な有線マウスと同等の速度で動作していることになる。

 ただし、USB無線インターフェイスをUSBハブを経由して接続した場合、この数値が半分程度になってしまう現象が確認された。実際に使用する際は必ずPC本体のUSB2.0ポートに接続するようにしよう。

 さて、一般的なPCモニタのリフレッシュレートは60Hzなので、マウスが125Hzで動くのならば、通常の使用において違和感は全くない。だが、ゲーミング分野において多くのマウスが500〜1,000Hzで駆動される事に、単なるプラシーボ効果以上の理由があるのは確かであり、このあたりがゲーミングマウス「SideWinder X8」でどうなるか気になるところではある(レポートレートがいくつになるか、現時点では不明)。

・無線マウスで心配されがちな遅延は驚くほど少ない

反応速度計測の模様。極度の集中を必要とし疲労で揺らぎが出るので、意味のある統計データを作るにはものすごく時間がかかる。いずれ機械で計測する方法を編み出したい
 次に反応速度について見てみよう。無線マウスは有線マウスに比べて反応が遅い、というのはPCゲーマーの大部分が一致する見解であるが、本製品についてはどうだろうか。

 本製の無線機構は、エンジニアの努力により遅延を最小限に抑えたとされている。これを確かめるため、いつもはキーボードのレビュー記事にて使用している反応速度計測ソフトを使って実際に測定してみたが、その結果、有線マウスに比べ、有意の差はほとんど現われなかった。

 今回は数日に分けてみっちり反射速度を計測することができなかったため、図表の形にまとめることは避けたい。目安として、有線マウスで記録した反射速度の最小値が148msであったところ、本製品「Explorer Mouse」で記録した最小値は156msであった、と述べるに止めておこう。

 少なくとも、マウスからPCにデータが伝わるまでに介する無線機構に由来する遅延は、体感不能なレベルまで削られていると見ていいだろう。ただ、ゲーミング分野では体感不可能な差ですら、勝負にこだわるがために気にする人も多い。そういった点も含め、万全を期した検証は、BlueTrack搭載のゲーミングマウス「Microsoft SideWinder X8 Mouse」が実際にリリースされるのを待ちたいと思う。


BlueTrackの未来に大期待
 今回は一般向けの「Explorer Mouse」を検証したことで、少なくともBlueTrackセンサーそのものの性能が確認でき、しかも悪くないということがわかった。このことから、ゲーミング分野においてもBlueTrackの未来は明るい、としておきたい。

 現時点においては「Explorer Mouse」及び「Explorer Mini Mouse」そのものをゲーミングマウスとして活用することも充分に可能だ。しかし、ゲーミンググレードのマウスに比べるとマウスソールの滑りがかなりぎこちないので、オプションのソールを装着することをお勧めしておこう。


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□「Microsoft BlueTrack Technology」の情報ページ
http://www.microsoft.com/japan/hardware/mouse/bluetrack/special/

(2008年11月7日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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