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ピーター・モリニュー渾身の力作RPG「Fable II」体験レポート
前作から大幅にグレードアップした夢中で楽しめるアルビオンの冒険あれこれ

10月11日収録



 2005年に発売されたXbox用アクションRPG「Fable: The Lost Chapters」は、極めて意欲的な作品だった。主人公はありきたりな英雄像の押しつけではなく、行動次第で善にも悪にもなることができたし、結婚して所帯を持つなど、生活臭溢れる英雄人生も楽しむことができた。

 その前作から3年以上が経ち、来る12月18日に、続編「Fable II」がXbox 360専用タイトルとしていよいよ発売される。その目玉は何と言っても、前作から大幅に強化された遊びの広がりと、圧倒的なボリュームだ。今回、この「Fable II」を実際に遊び、体験することができた。新しいアルビオンの世界ではどのような冒険が待っているのか?という疑問に答えるべく、その感触をお伝えしたい。


■ 冒険のはじまり。小さな英雄の選択が町の将来を変える?

貧民街のはずれで、つつましくもたくましく生きる姉ローズと主人公。小さい方が主人公だ
 「Fable: The Lost Chapters」にて、アルビオンの英雄が世界を救ってから500年後。城下町バウワーストーンの貧民街には、貧しくもたくましく生きる姉弟(姉妹)がいた。本作では男性、女性どちらかのキャラクタをプレイすることができるが、男性を選択した場合は弟が主人公、女性を選択した場合は妹が主人公となる。筆者は今回のプレイで男性を選択したので、主人公は少年ということで話を進めよう。

 プレイ開始直後のシーンは、前作と同じく、チュートリアルを兼ねた物語のイントロダクションとなっている。ここでの主人公は齢10歳ほど。後に英雄になるとは思いもよらない、無邪気な年頃だ。

 産業化直前のヨーロッパを思わせる、小汚い町並み。姉ローズに連れられて賑やかな場所に出ると、怪しげな行商人がガラクタを売っている。目玉商品は、なんでも願いが叶うという「魔法のオルゴール」だ。価格は1週間分の食費ほどもする。しかし姉は、これがどうしても欲しいという。

怪しげな見せ物小屋で、魔法のオルゴールとやらが売りに出されていた。これがすべてのはじまり
 これが最初のクエストだ。主人公は、姉のオルゴール代5ゴールドを稼ぐため、町中を走り回るのだが、ここには本作で通底する「選択」が仕込まれている。逮捕令状5通を無くして困っている衛兵を助けてあげたり、酔いどれ親父とそのカミさんの頼みを聞いているうち、「良いこと」をするか、「悪いこと」をするかで、町の将来が変わってくるのだ。

 やがて少年は街を出て、青年となって戻ってくる。そのときにわかるのだが、少年期に自分が行なった選択によって、貧民街が素敵な住宅街になっていたり、悪党うごめくスラムになっていたりする。その影響は見た目だけでなく、住民の性質や、主人公が買い物をする際の値段に影響したりするので、「本当にそれで良いか?」と自分に問いながら序盤をプレイしたい。

 さて、主人公は無事5ゴールドを集めてオルゴールを買い、数奇な運命に巻き込まれていく。天涯孤独の身となった少年は、オルゴールが本物の魔法具であることを予言した謎の女性テレサに導かれ、修行の数年間を過ごし、いよいよ本格的な冒険に身を投じていく。

衛兵の落とした逮捕状を探しつつ、貧民街に住む人たちのお手伝いをしてゴールドを稼ぐ。5ゴールド溜まったら魔法のオルゴールを買えた。この魔法具が導く先には……少年の身には重すぎる運命が待ちかまえている


■ 前作を踏襲しつつ改良された戦闘と成長のシステム
  プレーヤーの個性が自然に出てしまう戦闘スタイル

謎の女性テレサに導かれ、主人公が数年間の修行に打ち込んだキャンプ。新たな英雄の冒険はここから始まる
 本作の基本的なゲームシステムは、前作と同じテイストだ。まず戦闘は、剣による直接攻撃、射撃武器による遠隔攻撃、魔法による特殊攻撃の3種類を組み合わせて行なうシームレスなリアルタイムアクションになっている。英雄の成長は基本的にレベルアップ制だが、レベルアップ毎に「強さ」、「スキル」、「ウィル」という各能力を個別に強化していく仕組みだ。

 3つの各能力はそれぞれ、直接攻撃、遠隔攻撃、魔法攻撃のそれぞれに対応しており、戦い方に応じた成長となる。例えば剣で敵を倒すと「強さ」を向上させる経験値(レッドオーブ)が得られ、レベルアップ時には「強さ」に関連する技を習得できる。

 3種類の攻撃方法は特にどれが優れているとは言えず、それぞれにユニークな味わいがあり、状況に応じて使い分けることでより効率的に戦闘を進められるバランスだ。

ファイヤボールの魔法を限界まで詠唱して、自身をターゲットに解き放った所。序盤でもこんなに派手な魔法が使える
 特に魔法は面白くできている。魔法は、攻撃ボタンを押している間ずっと詠唱を続け、離した瞬間に発動される仕組みで、長く詠唱を続けるほど効果が強くなる。電撃の呪文であれば、“ピリピリ”→“バリバリ”→“ドドドド”という感じだ。その際に方向スティックを倒すと、その向きに応じて発動方法が変化する。敵一体に対する直接攻撃になったり、主人公を中心とする範囲攻撃になったり、といったもので、戦略的に使える。

 当然、長く詠唱を続けるには、敵に追撃を受けない程度の距離を確保することが必要だ。その距離を足で稼ぐか、剣で吹っ飛ばしてから詠唱に入るかは自由。プレイの仕方で戦闘の組み立てがガラリと変わり、したがって得られる経験値の種類も変化する。この仕組みのおかげで、主人公はプレーヤーの個性に応じて成長していくわけだ。

 さらに、戦闘だけでなく冒険全般を楽しげにしてくれるのが、主人公に付き従う犬の存在だ。これは貧民街時代から主人公になついている犬なのだが、今では立派な大型犬に成長して戦闘を助けてくれるほか、「ここ掘れワンワン」とばかりに、隠し財宝のありかを教えてくれたりする。重要なNPCを教えてくれたりもするので、放置せずにしっかり面倒をみてやりたい。

 青年期序盤のクエストでは、前作の作中で炎上崩壊した「英雄ギルド」の遺跡を巡って、このあたりの仕組みを理解することができる。そのすぐ後、バウワーストーンの街に向かう道中では山賊退治を頼まれるので、そこで攻撃方法をうまく組み合わせた戦闘方法を試すことになるだろう。

 ちなみに山賊退治の場面では、檻に捕らわれたかわいそうな住民を助けるか、奴隷商から金貨を受け取って見逃すかを選ぶことができる。ここでもプレーヤーの思いのままに振る舞えばいいが、その行動が後の世界にどんな影響を与えるか、想像せずにはいられない。この決断の結果は、世界にどのような影響を与えるのか楽しみだ。

 ここまでおよそ小1時間ほどのプレイ時間だ。本作では戦闘、会話、重要な選択のすべてが、シームレスに、テンポ良く進行していくので、心地よくプレイできる。筆者はこのあたりですっかり夢中になってしまい、今回の取材で許可された試遊時間があっという間に過ぎていった次第だ。

「強さ」、「スキル」、「ウィル」それぞれのスキル習得画面。戦闘スタイルに応じて、いずれかの特性に合致する経験値が得られる。プレーヤーの戦闘スタイルに応じて、よく使う能力が優先的に強化されていく仕組みだ

「英雄ギルド」。前作から500年後の現在では、まるで遺跡のようになっている。主人公はここで経験値を各能力に振り分ける術を学び、以降はいつでもどこでも新たな能力を習得できるようになる。この点は前作より便利だ

山賊退治では、「英雄ギルド」で学んだ戦闘スキルの使い道を試すことができる。剣、ボウガン、ウィルの使い分け方を学びつつ、サクっと倒す。その後には奴隷商とのちょっとした取引があるので、煮るなり焼くなり好きにしてみる


■ アルバイトに不動産、そしてナンパ。街の暮らしは「英雄」らしからぬ遊びに溢れる

バウアーストーンの街。前作から500年、かなりの大都市に成長しているようだ。ここが長い冒険の拠点となっていく
 さて、山賊退治を終えると、少年時代以来の懐かしい街、バウアーストーンに帰還することになる。ここからが本作の“メイン”と言っていいだろう。なにしろ、街には沢山のクエストがあるのはもちろん、そのほかの遊びも満載なのだ。

 まず、駆け出しの冒険者としては、とりあえず装備をととのえたい。しかしお金はそんなに持っていない……となると、普通のRPGならフィールドに出かけて“狩り”にいそしむところだ。そこを本作では、“アルバイト”でなかなかの金額を稼ぐことができる。まずは武器屋に弟子入りして、鍛冶作業の手伝いだ。

鍛冶屋のアルバイトに精を出す。ゲージの中のポインタが緑色の部分に来た瞬間にボタンを押すだけだが、賃金が上がるにつれて判定が厳しくなっていく
 お店でのアルバイトはちょっとしたミニゲームになっている。鍛冶屋の場合は、左右に動くゲージに合わせてタイミング良くボタンを押すというリズムゲーム仕立てだ。1回成功すると武器が完成して、手伝い賃をもらえる。2回、3回と連続で成功させていくと、もらえる手伝い賃が倍々で増えていく。それに従ってだんだんタイミングが厳しくなっていくので、やがて失敗してしまうのだが、うまくいけば短時間で大金を稼ぐことができる。思わず夢中になり、延々やってしまいそうだ。

 一定金額を稼ぎ出すと職業レベルが上がり、基本給が増えていくという仕組みもある。いわば“見習い”から“親方”までの階段を上っていくというわけだ。職業レベルはアルバイトを中断しても持続しているので、ひとつのアルバイトをとことんこなした方が、稼ぎの効率はよさそうだ。本番のプレイでは何屋さんのエキスパートになろうか、などと色々想像させてくれる。

 本作では武器防具の他にもお金の使い道は沢山あって、中でも特に大金を要するのが不動産だ。前作でも町中の一軒家を購入することはできたが、本作ではさらに徹底しており、街や村を構成するほぼ全ての建築物が購入可能となっている。掘っ立て小屋から、豪邸、お店、なんでもござれだ。お店を買えば定期的に営業収入の一部を集金できるほか、市庁舎を買えば市長として振る舞えるらしいが……。

肉屋の婦人を誘惑?結婚すればお店も手に入って一石二鳥!……とても英雄とは言えない動機ではある
 大きな家を手に入れれば、一人で暮らすのが寂しいと思うのは自然なこと。本作では前作と同様に、街の人を口説いて恋愛関係になり、最終的に結婚することができる。今作で凄いのは、異性とも、同性とも結婚できてしまうということだ。イギリス流のブラックユーモアを感じざるを得ないが、それもまたプレーヤーの選択次第だ。

 ちなみに今作では異性と結婚後に子供をもうけることもできて、そうなればプレーヤーは“お父さん”もしくは“お母さん”としてふるまう事になる。冒険を続ける主人公と、家庭を守る配偶者という構図になるわけだが、定期的にお金を家に入れないと「養育費をよこせ!」という険悪な状態になり、離婚してしまうこともある。幸せな家庭生活には“定期メンテナンス”が必要なのだ。

 意中の異性もしくは同性と恋愛関係になるためには、相手がまず自分の属する性を好むことが大前提だが、その上で様々なコミュニケーションコマンドを使って相手を喜ばせる必要が有る。冗談を言ったり、凛々しく振る舞ったりといった基本的なコマンドは、十字キーからアクセスするエモーションアイコンで呼び出せる。その際、相手の性格によって、必要な態度が異なってくるので、うまく反応を観察することが必要だ。このあたりの“めんどうくささ”も、ある意味リアルで楽しい。

 その主人公自身も、今作では「善」と「悪」だけの違いではなく、「純粋」、「悪魔的」という別の軸における性格変化が追加的に組み込まれている。これは様々な状況に応じてどういった選択をおこなうかによって変化していくのだが、単に“良いひと”を演ずるだけでは「善」ではなく「純粋」に傾いてしまう傾向があるようだ。真の善人(もしくは悪人)を目指すためには、選択肢の裏に隠された、真意を読み取る能力も必要ということか。

バウワーストーンの中央広場は栄えていて、色々な商店が建ち並ぶ。目に見える建築物はカネさえあれば購入可能 路地に入ると、生まれ育った貧民街。これは「よいこと」をした場合の町並み。高級住宅街になっている こちらは左と同じ場所の写真だが、「わるいこと」をした場合、このようなスラムになる。警察力も届いておらず、ゴロツキが自警している有様


■ ゲームの総ボリュームは前作の少なくとも5倍以上! アルビオンの冒険が今から楽しみだ

体験プレイの様子。マイクロソフトの村山功氏が本作を詳しく紹介してくれた
 今回お届けする本作のご紹介はここまで。わずか数時間の体験では、本作のほんの入り口をかいま見たに過ぎないが、マイクロソフトの紹介によれば、本作のゲームボリュームは前作の軽く5倍以上はあるという。

 総プレイ時間は、脇目を振らず本筋のクリアだけを目指した場合でも15時間程度、色々な遊びを楽しみながらプレイすれば数百時間にもなるとのこと。また、日本語化にあたっての翻訳テキスト、ボイス量は50万ワードに迫る分量になったとのことだ。これはノンボイスで大量のテキストを搭載した大作「The Elder Scrolls IV: Oblivion」に匹敵するボリュームである。

 前作は、最短2.5時間でクリア可能というボリュームの少なさが最大の弱点であっただけに、今作がそれほどの膨大なボリュームを備えるに至ったことは、本格的なプレイを前に胸を躍らせたくなるほどの出来事だ。来る12月18日、「Fable II」の発売を心待ちにしたい。

「Fable II」では、主人公の行ないによって「善」、「悪」が変わるだけでなく、「悪魔的」、「純粋」といった性格の違いも変化していく。また本稿では紹介しきれなかったが、食べ過ぎるとだらしなく太ったり、剣を振り続けると筋肉質な体になったりと、前作以上に外見の変化が起こりうる。理想の英雄を目指して、どんな冒険をしようか?そんな想像をかき立てられるゲームなのだ


(c)2008 Micrsoft Corporation. All Rigts Reserved.


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/ja/jp/default.aspx
□「Fable II」のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/games/splash/f/fable2/
□関連情報
【8月14日】マイクロソフト、Xbox 360「Fable II」
12月18日発売決定。「リミテッドエディション」も同時発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081002/fable2.htm
【8月14日】マイクロソフト、RPG「Fable II」のゴールドを一足先に稼げる!
Xbox 360「Fable II パブ ゲーム」を配信開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080814/fable2.htm
【7月15日】Microsoft、「FABLE 2」体験会を開催
ピーター・モリニュー氏との協力プレイを体験してわかったゲームの魅力
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/fable.htm
【7月15日】E3 2008、Microsoftメディアブリーフィング最新タイトル一挙紹介!!
ハードコアからカジュアル、ファミリーまで網羅する圧倒的布陣
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080715/ms.htm
【2月21日】Game Developers Conference 2008現地レポート
ピーター・モリニュー氏自らが語る
Xbox 360「Fable 2」プレイデモ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080221/fable2.htm

(2008年11月1日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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