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会場:幕張メッセ
会場となったのは幕張メッセそばにあるホテル・ニューオータニ幕張の野外施設。プールサイドに設営された会場には、「マイクロソフト XNA ゲームクリエーターコンテスト 2008」にノミネートされたゲーム作品がプレイアブル展示され、メインステージで各賞の受賞者発表が行なわれたほか、日本初となる「FIFA09」の10対10対戦会が開催され、非常な盛り上がりを見せた。
■ 14作品がノミネートされた「XNA ゲームクリエーターコンテスト 2008」
今回で2回目となるコンテストには、8月4日から9月9日までの期間に応募されたゲームの中から14作品がノミネートされ、その中からそれぞれ一般、学生の部門ごとに最優秀賞、優秀賞の受賞作品が発表された。 コンテストの特徴としては、XNAを開発基盤として利用することで、ノミネートされた作品のほとんどが1ヶ月から2か月程度という短い期間で制作されている。中には制作期間10日というものもあり、一方で丸々8か月かけた大作もあるなど、幅も広い。 作品のジャンルとしては、パズル、シューティング、アクション、カードゲームなど様々で、独特のアイディアを元に短い期間で完成させたというものが多い。また、作品の開発チームは専門学校生が中心で、教育機関でのXNA利用が広がっている現状をよく反映している。マイクロソフトが推進するゲーム開発環境XNAのメリットがそのまま表れたコンテスト内容と見ていいだろう。 授賞式に先立ち開会の挨拶を行なったマイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部部XNAグループ部長の田代昭博氏は、まず「XNA Game Studio 3.0」における、エンドユーザー側でのゲーム流通を、日本でも来年前半に開始できるよう準備を進めていることを報告。 また、「特別賞」の表彰を行なったマイクロソフト株式会社ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏は、自ら選んだ2作品に対し、「審査が終わっても時間を忘れてプレイしてしまいました」と絶賛。大規模なゲームだけではなく、アイディアの光る小粒な作品にも大いに魅力があることを語った。 2回目となる今回のコンテストでは一般、学生の各応募区分が新設され、一般区分には4作品、学生区分には10作品がノミネートされた。受賞部門としては、面白さやアイディアを評評価する「ゲーム部門賞」のほか、プログラムの2次利用を視野に入れ、開発基盤として優秀な作品に与えられる「ゲームアセット部門賞」が新設されている。 発表された各部門の受賞作および受賞者は以下の通り。 ・応募区分:学生 ゲーム部門 最優秀賞:「Bloom★Block」 澤木雄一氏・応募区分:一般 ゲーム部門 優秀賞:「GLITNIR」 松下浩則氏・ゲームアセット部門 優秀賞:「BUGS WAR」 大久保大輔氏
一方新設されたゲームアセット部門の受賞作品は、ゲームとしての完成度よりも、技術的な発展性を評価されたものとなっている。こちらのプレイアブル出展はされていなかったためゲームの詳細は確認できなかったが、今後「XNAクリエーターズクラブ」などを通じて公開されることがあるかもしれない。 今回ノミネートされた作品の画面については撮影が禁止されていたためご紹介することができないが、それぞれに個性ある絵作りとゲームデザインがおこなわれており、1~2か月という短期間で制作したとは思えない作品群であったことを最後に述べておきたい。
2009年春に開始予定の「XNAクリエーターズクラブ」での作品流通が始まれば、多くの作品を実際に楽しんだり、開発に参加する機会を得られることになるだろう。今後ますますXNAでの草の根ゲーム開発が活発化することを期待したい。
■ 日本初、「FIFA09」を使って10対10のトータルフットボール対決!
「FIFA09」はPC、プレイステーション 3、Xbox 360、Wii、プレイステーション 2、PSPのマルチプラットフォームでエレクトロニック・アーツからリリースされるサッカーゲームの最新作。 同作のPS3及びXbox 360版では10対10のオンライン対戦が最大のフィーチャーとなっており、20人の人間プレーヤーが、ピッチ上のフィールドプレーヤーになりきってプレイするという、サッカーゲームとしては究極のマルチプレイを体験できる。 欧州ではすでに出荷が始まっている「FIFA09」だが、日本での発売日11月14日に先駆けて、本イベント会場にて10対10のゲストマッチが行なわれた。その内容をレポートしてみたい。 参加したのは、事前登録の2チームと、当日参加のゲスト2チームの計4チーム。トーナメント方式で優勝チームを決める趣向だ。 事前登録のうち1チームは、日本におけるXbox360事業のトップである泉水敬氏がリードを務める「お笑いチーム」。XNAステージイベントにも登場したアメリカザリガニ平井氏のほか複数名のお笑い芸人が構成するチームは、かねてからのXbox 360応援団として「FIFA」シリーズもそれなりにやりこんでいるとの前評判だ。
もう一方の事前登録チームはメディアおよびエレクトロニック・アーツの関係者によるチームで、事前にどのポジションをプレイするか相談して作戦を組み立てるなど、優勝する気満々で試合に臨む。
・10対10の試合はセンターバックが作る! 全員人間ならではのサッカー体験
10対10では対CPU戦に比べて圧倒的にディフェンスの寄せが速く、トラップに気をつけないとすぐにボールを失う。だが、いったん寄せをかわした際に大チャンスにつながることがある。というのも、全員が人間であるためにディフェンスラインが乱れがちになるためだ。 なにしろサッカーらしいポジション意識に慣れないうちは、オフェンスの選手も、ディフェンスの選手も、ついついボールのある場所に走ってしまう。結果的に、逆サイドや最終ラインの間に広大なスペースが生まれやすく、したがって、縦パス1本で決定機が生まれる仕組みだ。 しかし、前線の選手は意外とピッチ全体が見えていないことが多く、スペース流れていく選手に気づかないまま、ボールの奪い合いに終始しまいがち。その広大なスペースを最もよく見える位置にいる選手は、最後尾中央にいるセンターバックの選手なのである。ボールを奪うやロングパス一閃、得点機を演出する。これは最高にかっこいい。
筆者が参加した第1試合ではまさにこの縦ロングパス1本を決められてしまい、反応して飛び出したフォワードの選手がダイレクトで合わせて先制点を挙げた。それ以降、筆者の参加した飛び入りチームと、事前登録のメディア関係者チームは固いディフェンスで互いに得点を許さず、最終的に1-0でメディア関係者チームが勝利した。短い時間ながら非常にエキサイトした次第だ。
・「お笑いチーム」のプレイに大爆笑。ザルなディフェンスにレッドカード乱舞
対する飛び込みチーム。中にチームワークの良い一群がおり、互いに声を掛け合いながら中盤でゲームを組み立てる見事なプレイを見せていた。ラインがぐちゃぐちゃのお笑いディフェンスをいとも簡単に抜け出し、前半だけでも無数の決定機を作り、数分のうちに3得点を挙げる。 後半になるといよいよゲームが荒れ、スローインからのリスタート直後、ボールのないところで危険なスライディングを見舞った「お笑いチーム」に一発レッド。「なぜそこで?!」という意味不明な状況に会場は大爆笑。これに伝染したのか飛び入りチーム側もラフプレーが始まってしまい、1発レッドで退場者を出したのちさらにPKを与えるという荒れ具合だ。 結局は大差で終わった試合も、予想外の荒れ模様に会場は大ウケ。結局「お笑いチーム」はPKで1点を返したものの、試合は大差で飛び入りチームの勝利に終わり、組織だったディフェンスの重要性と、おバカな展開になった試合もまた笑えて面白いと確認させるに至った。オンラインでワイワイガヤガヤ会話しながらプレイしてみたいものだ。
・10対10の手ごたえは抜群。唯一、ラグの改善だけが望まれる
いくつかの決定機も演出されたが、シュートがポストに嫌われたり、入ったと思って喜んでみたらオフサイドだったりと、無得点のまま終盤へ。そこで、パスをつないでしっかりとゲームを作り続けていた飛び入りチーム側にPKのチャンスが訪れる。これを決めてリードしするや、試合は1-0で決着。飛び入りチームの優勝となった。 実際にプレイしてみての感想としては、期待通り、10対10でプレイするサッカーゲームは最高に面白いということだ。互いに意思疎通をしながら、スペースを作ったり、それを利用してパスを受けたりといった個々の動きが目まぐるしく連動していく。「サッカーはオフザボールの動きがすべてだ」という言説も、実際のプレイを通して「なるほど」と納得できる。 その中でオフェンスとディフェンスの動きが連動してゴールに結びついたとき、全員がサッカーの面白さを体験できる。得点の喜びを全員で分かち合う気分は素晴らしい。 その一方で少々気になったのが、操作の入力に対して、ゲーム内キャラクタのリアクションが一瞬遅れるラグの問題だ。これは「FIFA08」でも指摘されることの多かった問題だが、20人対戦となった本作でも、同じレベルのラグが感じられた。 これはプログラム技術の問題というよりも、おそらく中枢サーバーとの距離に起因する問題と見られる。ラグが大きい場合には、プレッシャーのボタン入力がショートパスに化けてしまったり、早いクロスをダイレクトでシュートできなかったりするため、ゲームプレイへの影響が大きい。 この問題の解決への道筋が立てば、日本の「FIFA」ファンにとって大きな朗報となりそうだが、これについては後日予定している「FIFA09」開発者へのインタビューで別途お伝えすることにしよう。
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