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東京ゲームショウ2008現地レポート

マイクロソフトプライベートイベントレポート
XNAゲームクリエーターコンテスト2008受賞者発表ほか、
日本初の「FIFA09」10対10対戦会を実施。優勝者は?

10月9~12日開催

会場:幕張メッセ

 幕張メッセで10月9日より開催されている「東京ゲームショウ2008」の初日、マイクロソフト株式会社は、プライベートイベント「Xbox 360 International Press & Community Party」を開催した。

 会場となったのは幕張メッセそばにあるホテル・ニューオータニ幕張の野外施設。プールサイドに設営された会場には、「マイクロソフト XNA ゲームクリエーターコンテスト 2008」にノミネートされたゲーム作品がプレイアブル展示され、メインステージで各賞の受賞者発表が行なわれたほか、日本初となる「FIFA09」の10対10対戦会が開催され、非常な盛り上がりを見せた。


■ 14作品がノミネートされた「XNA ゲームクリエーターコンテスト 2008」
 アイディアが光る数々の作品から、各賞の受賞者が発表

特別賞の選出と表彰を行ったマイクロソフト泉水敬氏。各受賞作を絶賛した
プレイアブル出展されたノミネート作品を吟味する参加者。個性的な作品が数多く並べられていた
 このプライベートイベントで受賞者発表が行われた「マイクロソフト XNA ゲームクリエーター コンテスト 2008」は、マイクロソフトが推進するXbox 360/Windows用ゲーム開発環境「XNA Game Studio」を用いて制作された優秀なゲーム作品を表彰する催し。

 今回で2回目となるコンテストには、8月4日から9月9日までの期間に応募されたゲームの中から14作品がノミネートされ、その中からそれぞれ一般、学生の部門ごとに最優秀賞、優秀賞の受賞作品が発表された。

 コンテストの特徴としては、XNAを開発基盤として利用することで、ノミネートされた作品のほとんどが1ヶ月から2か月程度という短い期間で制作されている。中には制作期間10日というものもあり、一方で丸々8か月かけた大作もあるなど、幅も広い。

 作品のジャンルとしては、パズル、シューティング、アクション、カードゲームなど様々で、独特のアイディアを元に短い期間で完成させたというものが多い。また、作品の開発チームは専門学校生が中心で、教育機関でのXNA利用が広がっている現状をよく反映している。マイクロソフトが推進するゲーム開発環境XNAのメリットがそのまま表れたコンテスト内容と見ていいだろう。

 授賞式に先立ち開会の挨拶を行なったマイクロソフト ホーム&エンターテイメント事業本部部XNAグループ部長の田代昭博氏は、まず「XNA Game Studio 3.0」における、エンドユーザー側でのゲーム流通を、日本でも来年前半に開始できるよう準備を進めていることを報告。

 また、「特別賞」の表彰を行なったマイクロソフト株式会社ホーム&エンターテイメント事業本部長の泉水敬氏は、自ら選んだ2作品に対し、「審査が終わっても時間を忘れてプレイしてしまいました」と絶賛。大規模なゲームだけではなく、アイディアの光る小粒な作品にも大いに魅力があることを語った。

 2回目となる今回のコンテストでは一般、学生の各応募区分が新設され、一般区分には4作品、学生区分には10作品がノミネートされた。受賞部門としては、面白さやアイディアを評評価する「ゲーム部門賞」のほか、プログラムの2次利用を視野に入れ、開発基盤として優秀な作品に与えられる「ゲームアセット部門賞」が新設されている。

 発表された各部門の受賞作および受賞者は以下の通り。

・応募区分:学生 ゲーム部門

最優秀賞:「Bloom★Block」 澤木雄一氏
ブロックを回転させながら、すべての面に「緑」を生やしていくパズルゲーム。トライデントコンピューター専門学校の制作チーム「澤木組」5名が45日で制作。

優秀賞:「ペパとらおりがみ」 有馬静香氏
「折り紙」のキャラクターを、障害物に対応するために適切な姿へと変化(ペーパートランスフォーム)させながらステージクリアを目指す、パズル性の強い横スクロールアクションゲーム。大阪コミュニケーションアート専門学校の「妖精さん」チーム10名が1ヶ月で制作。

優秀賞:「Last Tower」 伊藤大徳氏
ステージ中央のタワーを防衛するため、全周囲から押し寄せる敵をひたすら撃退し続ける3Dガンシューティングアクションゲーム。2人協力プレーが可能。専門学校HAL名古屋の制作チーム「nhs360」3名が1ヶ月22日で制作。

特別賞:「ReVolt」 三浦奈々子氏
数字の大小を軸にして戦うカードバトルゲーム。様々なサポートカードや、数字の強さが逆転する「ReVolt」システムなどにより戦略性が高くなっている。専門学校HAL名古屋の制作チーム「Rose Quartz」5名が2か月で制作。

・応募区分:一般 ゲーム部門

優秀賞:「GLITNIR」 松下浩則氏
防衛衛星を配置することにより、エイリアンの侵攻を食い止めて宇宙ステーションを守るというパズル要素の強いストラテジーゲーム。10日で制作されたというスピード作品ながら、グラフィック表現がしっかりとしていたのが印象的。

優秀賞:「クレッシェンドシンフォニー 鏡の騎士」 佐川直樹氏
「インテリジェンスタクト」という魔法の力を、5×5のマスで構成されたパネルを使い呼び出しながら戦うRPG風バトルゲーム。世界観が凝っており、キャラクター性が強い作品。佐川直樹氏率いる「こびとスタジオ」4名が1ヶ月13日で制作。

特別賞:「Dicevaders」 佐藤明氏
落ち物パズル風のマス目に沿って進んでくる「サイコロ」を撃ち、任意方向に回転させ、サイコロの目と隣接するサイコロの数を一致させて消滅させるというシューティングパズルゲーム。佐藤明氏率いる制作チーム「Roots」が14日間で制作。

・ゲームアセット部門

優秀賞:「BUGS WAR」 大久保大輔氏
銃を装備した兵士たちと二足歩行ロボットを指揮し、小型クリチャーを従えた巨大クリーチャーと対決する。トライデントコンピュータ専門学校、大久保大輔氏の制作チームが1ヶ月14日で制作。

優秀賞:「Secret Base」 辻知宏氏
兵器を所有する施設に潜入して、その兵器に係る情報を奪取する女兵士の戦いを描く。トライデントコンピュータ専門学校、辻知宏氏の制作チームが1ヶ月18日で制作。


授賞式の模様。中には感極まって声を詰まらせる受賞者もいた
 ゲーム部門の受賞作はいずれも、短い期間で制作されていながら、アイディアがうまく生かされ、プレイ内容がしっかりと楽しめる水準にあるものが選ばれた。表彰のためにステージ上に招かれた際に感極まって涙ぐむ受賞者もおり、ゲーム制作を通じて得る経験の重さを感じさせる風景となっていた。

 一方新設されたゲームアセット部門の受賞作品は、ゲームとしての完成度よりも、技術的な発展性を評価されたものとなっている。こちらのプレイアブル出展はされていなかったためゲームの詳細は確認できなかったが、今後「XNAクリエーターズクラブ」などを通じて公開されることがあるかもしれない。

 今回ノミネートされた作品の画面については撮影が禁止されていたためご紹介することができないが、それぞれに個性ある絵作りとゲームデザインがおこなわれており、1~2か月という短期間で制作したとは思えない作品群であったことを最後に述べておきたい。

 2009年春に開始予定の「XNAクリエーターズクラブ」での作品流通が始まれば、多くの作品を実際に楽しんだり、開発に参加する機会を得られることになるだろう。今後ますますXNAでの草の根ゲーム開発が活発化することを期待したい。

【ステージイベント】
Xbox 360ファンサイトコミュニティ代表のKyosen777氏と佐川直樹氏は、共同で開発した緊急医療をテーマとするXNA作品を紹介。佐川氏の本職は医師であるとのことで、徹底的にリアルな内容となっているとのこと。作中ではAEDの使用法、人工呼吸の手順などを学ぶことができ、シリアスゲームの作例としても面白い

続いてのステージイベントでは、お笑いコンビ「アメリカザリガニ」の平井善之氏が登場。平井氏がゲームコンセプトを考案したというXNA作品「婆々(ババ)キャノン」を紹介。六畳一間の空間で、入れ歯を発射してぶつけあうターンベースのゲームだそうだ。ぜひいちどプレイしてみたい

「アクションゲームツクール」の紹介を行なう株式会社エンターブレインのプロデューサー杉内賢次氏。同作は、「XNA Game Studio 3.0」のプロジェクトファイルを出力するゲーム開発支援ツールで、12月8日のリリースが予定されている。モジュール化された各ゲームシーンをGUI上で接続したり、各種リソースを組み込んでゲーム全体を設計できる仕組みだ


■ 日本初、「FIFA09」を使って10対10のトータルフットボール対決!
 アメリカザリガニ平井氏率いる「お笑いチーム」の抱腹絶倒プレイも飛び出し大盛況

Xbox 360がズラリ20台並べられ、全フィールドプレーヤーを人間がプレイするという10対10の「FIFA09」大会が催された
マッチングスクリーン。20人のプレーヤーが2チームに分かれ、それぞれポジションを選択してプレイする
 会場でXNA関連の授賞式が幕を閉じると、プレスおよびコミュニティプレーヤーを対象とするレセプションパーティとなった。このパーティでの最大の目玉は「FIFA09 ワールドクラスサッカー」を使用しての10対10大戦会だ。

 「FIFA09」はPC、プレイステーション 3、Xbox 360、Wii、プレイステーション 2、PSPのマルチプラットフォームでエレクトロニック・アーツからリリースされるサッカーゲームの最新作。

 同作のPS3及びXbox 360版では10対10のオンライン対戦が最大のフィーチャーとなっており、20人の人間プレーヤーが、ピッチ上のフィールドプレーヤーになりきってプレイするという、サッカーゲームとしては究極のマルチプレイを体験できる。

 欧州ではすでに出荷が始まっている「FIFA09」だが、日本での発売日11月14日に先駆けて、本イベント会場にて10対10のゲストマッチが行なわれた。その内容をレポートしてみたい。  参加したのは、事前登録の2チームと、当日参加のゲスト2チームの計4チーム。トーナメント方式で優勝チームを決める趣向だ。

 事前登録のうち1チームは、日本におけるXbox360事業のトップである泉水敬氏がリードを務める「お笑いチーム」。XNAステージイベントにも登場したアメリカザリガニ平井氏のほか複数名のお笑い芸人が構成するチームは、かねてからのXbox 360応援団として「FIFA」シリーズもそれなりにやりこんでいるとの前評判だ。

 もう一方の事前登録チームはメディアおよびエレクトロニック・アーツの関係者によるチームで、事前にどのポジションをプレイするか相談して作戦を組み立てるなど、優勝する気満々で試合に臨む。


・10対10の試合はセンターバックが作る! 全員人間ならではのサッカー体験

慣れないうちはフォーメーションが乱れやすい。全員にしっかりとした連携意識が必要なのは、リアルサッカーと同じ?
 人間がそれぞれのフィールドプレーヤーをひとりづつ担当するという、本作の10対10をプレイするのは、もちろん初めての体験だ。前作「FIFA08」では5対5だったので、半数はコンピューターが担当しており、ずいぶん違うゲーム内容になる。実際にプレイして気づいたことは、勝負を決めるのは前線ではなく、ディフェンスを担当するプレーヤーだということだ。

 10対10では対CPU戦に比べて圧倒的にディフェンスの寄せが速く、トラップに気をつけないとすぐにボールを失う。だが、いったん寄せをかわした際に大チャンスにつながることがある。というのも、全員が人間であるためにディフェンスラインが乱れがちになるためだ。

 なにしろサッカーらしいポジション意識に慣れないうちは、オフェンスの選手も、ディフェンスの選手も、ついついボールのある場所に走ってしまう。結果的に、逆サイドや最終ラインの間に広大なスペースが生まれやすく、したがって、縦パス1本で決定機が生まれる仕組みだ。

 しかし、前線の選手は意外とピッチ全体が見えていないことが多く、スペース流れていく選手に気づかないまま、ボールの奪い合いに終始しまいがち。その広大なスペースを最もよく見える位置にいる選手は、最後尾中央にいるセンターバックの選手なのである。ボールを奪うやロングパス一閃、得点機を演出する。これは最高にかっこいい。

 筆者が参加した第1試合ではまさにこの縦ロングパス1本を決められてしまい、反応して飛び出したフォワードの選手がダイレクトで合わせて先制点を挙げた。それ以降、筆者の参加した飛び入りチームと、事前登録のメディア関係者チームは固いディフェンスで互いに得点を許さず、最終的に1-0でメディア関係者チームが勝利した。短い時間ながら非常にエキサイトした次第だ。

10対10対決に興じる会場風景。ゴールチャンスにはギャラリーからも大きな歓声が巻き起こり、ちょっとしたスタジアムのような雰囲気だ


・「お笑いチーム」のプレイに大爆笑。ザルなディフェンスにレッドカード乱舞

試合に先立ち意気込みを述べるアメリカザリガニ平井氏ら、お笑いチームの面々
 第2試合で飛び入りチームと対戦した泉水氏率いる「お笑いチーム」は、10対10の別の側面を楽しませてくれた。意外とやりこんでいるのでは?と思われた「お笑いチーム」の面々だったが、それぞれボールに向かって全力疾走、団子状態となりゲームを支配できない状況が続く。

 対する飛び込みチーム。中にチームワークの良い一群がおり、互いに声を掛け合いながら中盤でゲームを組み立てる見事なプレイを見せていた。ラインがぐちゃぐちゃのお笑いディフェンスをいとも簡単に抜け出し、前半だけでも無数の決定機を作り、数分のうちに3得点を挙げる。

 後半になるといよいよゲームが荒れ、スローインからのリスタート直後、ボールのないところで危険なスライディングを見舞った「お笑いチーム」に一発レッド。「なぜそこで?!」という意味不明な状況に会場は大爆笑。これに伝染したのか飛び入りチーム側もラフプレーが始まってしまい、1発レッドで退場者を出したのちさらにPKを与えるという荒れ具合だ。

 結局は大差で終わった試合も、予想外の荒れ模様に会場は大ウケ。結局「お笑いチーム」はPKで1点を返したものの、試合は大差で飛び入りチームの勝利に終わり、組織だったディフェンスの重要性と、おバカな展開になった試合もまた笑えて面白いと確認させるに至った。オンラインでワイワイガヤガヤ会話しながらプレイしてみたいものだ。

「お笑いチーム」はレッドカード乱舞の荒れた試合に!というか、なぜスローインの場所に3人も居るの?と、つっこみどころ満載のプレイに会場は笑いっぱなしだった


・10対10の手ごたえは抜群。唯一、ラグの改善だけが望まれる

勝利を決めて喜ぶ飛び入りチーム
優勝、準優勝チームの面々で記念撮影。マイクロソフトの体験会ではおなじみの“X”ジェスチャーで締める
 続いて、1回戦を勝ち抜いた2チームが直接対決。いずれもポジション意識がしっかりとしたプレーヤーが多く、ディフェンスの固さと攻撃力では拮抗している。予想通り堅調な流れの試合となった。

 いくつかの決定機も演出されたが、シュートがポストに嫌われたり、入ったと思って喜んでみたらオフサイドだったりと、無得点のまま終盤へ。そこで、パスをつないでしっかりとゲームを作り続けていた飛び入りチーム側にPKのチャンスが訪れる。これを決めてリードしするや、試合は1-0で決着。飛び入りチームの優勝となった。

 実際にプレイしてみての感想としては、期待通り、10対10でプレイするサッカーゲームは最高に面白いということだ。互いに意思疎通をしながら、スペースを作ったり、それを利用してパスを受けたりといった個々の動きが目まぐるしく連動していく。「サッカーはオフザボールの動きがすべてだ」という言説も、実際のプレイを通して「なるほど」と納得できる。

 その中でオフェンスとディフェンスの動きが連動してゴールに結びついたとき、全員がサッカーの面白さを体験できる。得点の喜びを全員で分かち合う気分は素晴らしい。

 その一方で少々気になったのが、操作の入力に対して、ゲーム内キャラクタのリアクションが一瞬遅れるラグの問題だ。これは「FIFA08」でも指摘されることの多かった問題だが、20人対戦となった本作でも、同じレベルのラグが感じられた。

 これはプログラム技術の問題というよりも、おそらく中枢サーバーとの距離に起因する問題と見られる。ラグが大きい場合には、プレッシャーのボタン入力がショートパスに化けてしまったり、早いクロスをダイレクトでシュートできなかったりするため、ゲームプレイへの影響が大きい。

 この問題の解決への道筋が立てば、日本の「FIFA」ファンにとって大きな朗報となりそうだが、これについては後日予定している「FIFA09」開発者へのインタビューで別途お伝えすることにしよう。


□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/ja/jp/default.aspx [Reported by 佐藤カフジ]



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