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★モバイルゲームレビュー★

ハドソン初の乙女ゲーム、テーマは「婿選び」
大奥に集う5人の候補から理想の婿を選ぶのだ

「乙女★ヒミツの大奥 ~葉桜の章~」

  • ジャンル:恋愛アドベンチャー
  • 開発元・配信元:ハドソン
  • 利用料金:1ダウンロード525円
  • プラットフォーム:Yahoo! ケータイ
  • 対応機種:SoftBank 3G
  • 配信日:配信中(8月1日)
  • アクセス方法:
    メニューリスト → ケータイゲーム → 恋愛・美少女ゲーム → 乙女★ヒミツの大奥



 ハーレムは男だけの憧れではない。女性だってアッチでもコッチでもチヤホヤされたい。実生活ではともかく、想像の中でいろんなタイプの男前たちに「好きだ」、「愛してる」と囁かれるような逆ハーレムを夢見る人はきっと多いに違いない。

 ハドソンが初挑戦する女性向け恋愛ゲーム(乙女ゲーム)は、そんな逆ハーレムを満喫できる1本。とある国の姫となったプレーヤーの周りには、ミステリアス、インテリメガネ、ショタ系など、バラエティ豊かな婿候補5人が集っている。彼らと恋愛をして、好きな人を選ぶという嬉し恥ずかし「婿選び」がテーマなのだ。



■ 国を守る可憐な姫君にかけられた呪い。解くカギは“婿”!?

 作品世界は、江戸時代をイメージさせる日本的な国。和や時代物の香りを感じさせつつ、服装や言葉遣いには現代的なムードも漂う。厳密な時代考証よりも、雰囲気重視の「和風ファンタジー」として舞台を設定している。

 主人公は、妖鬼に両親を殺されてしまい、16歳で国を継ぐことになった月白姫。姫だけは命を取り留めたものの、妖鬼に呪いを掛けられてしまう。胸元の奇妙なあざとして現われた呪いは、半年かけてじわじわと体を蝕み、姫が元来持っている、妖鬼を抑える不思議なチカラを奪ってしまう。あざを消すため、ひいては国を守るためには、呪いを解かねばならない。

 その方法とは「夏までに婿を迎えること」。姫を真に愛してくれる男性を婿に迎えれば、呪いが解けるのだという。姫は急いでおふれを出し、国中から我こそはと思う婿候補を集めた。婿候補たちを「大奥」と呼ばれる館に集め、姫をサポートしてくれる占い師の「陽華」、侍女の「お清」と共に、呪いの解除を目指して半年間の婿選びを始めることになる。本作の「大奥」は、実際にあった大奥とは違い、女性と男性が逆転している設定だ。よしながふみの漫画「大奥」をご存じならば、想像がつくだろう。

 主人公の名前はデフォルトの設定があるが、5文字以内で変更もできる。1周クリアするごとに名前が変えられるので、毎プレイごとに別の女性気分で5人の男性と恋を楽しむのもアリ。

【スクリーンショット】
侍女の「お清」と占い師の「陽華」が姫の婿選びをサポート



■ ヒミツを抱えた婿候補たち。心を開かせ、真の愛情を勝ち取るのだ

 姫の元に集った婿候補は、14歳から27歳まで年齢もバラバラ。姫の元家庭教師、大店の息子、そして素性が一切不明というナゾの男まで、バラエティ豊かな5名。一国の主となる姫の婿なのに“素性がわからない男”が混じっているとは、いったい何事か。一抹の不安を覚えつつも、緊急事態なので仕方ないのだろうと納得することにした。彼らはそれぞれ複雑な事情や思惑を抱えており、婿志願した理由は単に姫への愛情ではないご様子。妖鬼の呪いを解くには「真の愛情」が必要なため、半年の間に婿候補との親密度を高め、信頼関係を結ぶことで、姫への愛を高めなければならない。

 一見すると、姫に愛情や関心を抱いている婿候補5人。しかし心を掴むにはすんなりといかず、それなりの手練手管が必要。心を開かせると共に、女性として意識してもらうことが重要になる。

【スクリーンショット】
婿候補の中では最年長で、姫の家庭教師として長らく側にいた「川本宗助」。姫とは兄妹のような関係で、信頼関係はあるものの恋愛には移行しにくい 大店の放蕩息子「伊東和巳」は、家族関係にまつわる事情がありそう。大奥を抜け出しては街に繰り出している和巳は、姫に街で暮らす一般の人々の生活を垣間見せてくれる
運動が得意な爽やか青年「神崎亮太郎」(左)と、女の子みたいにかわいい「森岡直純」(右)は、大奥に上がる前からの友人同士。常に2人で行動する彼らのうちのどちらかと親密度を高めるためには、少々工夫が必要かもしれない 正体不明のナゾの男「早乙女久遠」。無口で何を考えているかわからない久遠は、何か重大なヒミツを隠しているようだ


会話中の選択肢は重要。よく考えて選ぶのか、フィーリングで決めるかはプレーヤー次第
 5人の婿候補は「大奥」と呼ばれる邸内に、それぞれ部屋を与えられて住んでいる。姫は5部屋の中から1つを選んで訪問し、婿候補との会話を楽しむ。会話中には選択肢が登場することもあり、選択結果が親密度に影響する。関係が深まっていくと、彼らの過去やヒミツを少しずつ話してくれる。また姫への気持ちもゆっくり変化し、大切に思ってくれるようになるのだ。

 キャラクタのグラフィックスにはそれほど多くのバリエーションがあるわけではないが、微妙な視線や表情の変化で彼らの心境の変化が上手く描かれている。日本男児たるもの、そんなに感情を前に出すべきでない。少しの違いから、心の動きを読み取るのがイキなのだ。プレーヤー自身である月白姫も表情豊か。互いに高まる恋心が遊ぶ人にも伝わり、ドキドキしてしまうことも多いのではないだろうか。

【スクリーンショット】
大奥に入れるのは姫1人。婿候補達の私室を訪ね、会話を楽しむ
人によって表情の変化度合いは違うが、だんだん姫に惹かれていくのは共通している


1カ月が過ぎると占い師の元へ行ける。行かずに難易度を上げるプレイも可
 各キャラクタとの親密度は、月末に占い師「陽華」を訪問することで確認できる。各候補の親密度を5点満点のハートで確認できるほか、各キャラクタとの親密度をアップする方法もレクチャーしてくれる。陽華は「占いなので定かでは……」と明言を避けるが、占い結果は攻略の大きなヒントになる。

 婿候補とは、部屋の中や庭など敷地内で過ごすほか、街に出かけることもある。ときにはイベントも発生し、普段のグラフィックスとは違う画像が楽しめる。この画像は、ゲームをクリアすると、オープニング画面の「アルバム」から鑑賞できるようになり、ダウンロードして待ち受け画面などに使用できる。各キャラクタの画像は5~7枚、全部で30枚用意されている。ゲームの進め方によって見られる枚数や種類は変わるので、何度も遊んでコンプリートする楽しみもある。

【スクリーンショット】
親密度や攻略ヒントを見ながら戦略を練るのが大切
クリア後のオマケは「アルバム」。思い出のシーンを振り返ろう



■ したたかに、軽やかに大奥を巡り、理想の婿とのベストエンディングを目指せ

 4~6回ほど婿候補の部屋を訪ねると1カ月が終わる。毎回どの部屋を訪ねるかはプレーヤーに一任されている。各部屋をまんべんなく訪れてもいいが、1人に絞らないと親密度が十分には高まらない。いろいろな婿候補と話したいが、それではハッピーエンドにたどり着くことは難しい。いつ誰の部屋に行くのか、アタマを悩ませることになるだろう。

 そして半年が経過すると、婿を決定するイベントが発生。婿候補選択の自由はプレーヤーにはなく、その時点で最も親密度が高いキャラクタが自動的に選ばれるようだ。ゲーム中に高めた親密度と最後の選択肢により、エンディングは婿候補ごとに3通りあるので、全部で15通りに分岐する。ベストエンド時に見られる美しいグラフィックスと、ふたりの愛の成就を目指してがんばろう。

 婿候補たちは基本的に自室にいるが、姿を消してしまうこともある。月が変わるタイミングで帰ってくることもあるが、自分で探さないといつまでも姿を現わさないケースもある。ほかの婿候補の部屋を訪ねている場合や、他のキャラクタが行方を知っていることもある。部屋を訪ねられる回数は決まっているため、いかに早くお目当てのキャラクタを探し出せるかも大切な要素になる。

【スクリーンショット】
夏祭りイベントで気持ちを確かめた後、婿が決定される

うっかりセーブ忘れに注意。あえてセーブしないという遊び方もある
 ゲームのセーブは、自身で「メニュー」から「セーブ」を選んで行なうという、手動でのセーブ方式を採用している。攻略したいキャラクタがなかなか見つからないとき、不本意な選択肢を選んでしまったときなど、セーブせずにゲームを終えてやり直す、トライ&エラーも可能だ。ズルい方法かもしれないが、理想の婿を自分自身の手で捕まえようと考える強い女性には、そんなしたたかさも必要なのだ。



■ プレーヤーを裏切らないシナリオで乙女心をキャッチ。声を聞けるミニゲームも配信中

 遊んでみて驚いたのは、シナリオボリュームとゲーム性の高さだった。中でも5人の婿候補たちとじっくり話し、楽しい時間を過ごせたのは嬉しい誤算だった。少しずつ話をする中で人となりや性格が明らかになってくるので、彼らの個性を自然に受け入れられた気がする。単に文字量が多いだけでもない。ゲームとしての要素もしっかりあり、攻略には骨が折れた。相手を定めて取り組んでみたものの、なかなか思い通りにコトは運ばない。「わたしは姫で、相手は“婿候補”なのに、なぜ必死でご機嫌とりせにゃならんのか?」と思わなくもなかったが、中盤から後半にかけて相手の心の動きや本心が少しずつわかり始めると気にならなくなった。

 すべてのキャラクタとのベストエンディングを見るには相当時間がかかったが、どれも遊びがいのあるシナリオばかりで満足度は高い。それぞれの事情にも思い入れてしまい、ほかのキャラクタを攻略しているときにも「この人を選んだら、○○はどうするのだろう?」、「自分の幸せを追求すると○○が不幸になってしまう!」などと、すっかり物語に入り込み乙女心をグラグラと揺らしてしまった。

最後の選択肢。どちらを選ぶか、姫になりきって決めるのだ
 最後に1つある選択肢も面白い。ここでの答えを間違えると、どうがんばってもベストエンドにはたどり着けないようなのだが、偽りの心で自身に接していた男性を「許せるのか」、「許せないのか」がプレーヤーに託される内容に、リアルな女性心理を見た。愛しているから、愛されているからすべて許せるとは限らない。「この理由ならよくっても、あの理由では許せない!」などと、ワガママな乙女心を発揮して婿候補の気持ちを突っぱねるのも、すべて許して受け入れるのも自由なのは、シナリオへの満足度を高めているような気がする。

 といいつつも、婿候補との楽しい時間と恋心の高まりにすべて許せる気持ちになり、「でも、今は本当に愛してくれているんでしょ」と彼の愛を受け入れてしまうのだが。ハッピーエンドを望むのは当然だが、余韻の残るノーマルエンドも、切ない話好きとしてはポイントが高い。最後の選択肢の前でセーブしておいて、ぜひ2種類とも見ていただきたい。

 あえて難を言うと、部屋を選ぶシーンの操作性が少し気になる。婿候補の部屋配置が2画面にまたがっているので、何度も画面移動が発生してしまう。繰り返しの多い操作だけに、もう少しスムーズに部屋を選べると嬉しい。また「神崎亮太郎」と「森岡直純」はずっと一緒に行動しているため、半分以上は同じエピソードを見ることになる。仲良しなのは微笑ましいが、もう少し違うエピソードが多いとよかったのにと残念に感じた瞬間もあった。しかし、互いを思い合う親友たちの気持ちには非常に心揺さぶられ、思わず涙してしまった。2人のシナリオはこのゲーム中で、一番のお気に入りと言ってもいい。



 この本編のほかに、5人の婿候補たちと花札で対戦できる「嗚呼! 乙女花札」(1ダウンロード315円)も配信されている。花札を知らなくても遊べるよう、基本的なルールの説明があり、さらにゲーム中も今取れる札が明示されているなど、ゲームをわかりやすくする工夫が随所に見られる。勝ち抜き形式でゲームは進み、勝つと「こすぷれ」として、現代風のユニフォームに身を包んだ婿候補たちのごほうびグラフィックスも楽しめる。

 もうひとつ嬉しいのは、本編ではテキストだけだった婿候補たちが喋ること。「こんな声だったんだ」などと思いつつ、ゲームに興じよう。

【スクリーンショット】
「嗚呼! 乙女花札」は婿候補たちとの花札勝負。本編では聞けないボイスも入っている
オマケはキャラクタのコスプレ画像。学生服や保父さんなど種類も豊富


(C)HUDSON SOFT

□ハドソンのホームページ
http://www.hudson.co.jp/
□「乙女★ヒミツの大奥」のページ
http://www.hudson.co.jp/mobile/ykeitai/otome/
□関連情報
【8月1日】ハドソン、同社初の乙女ゲームサイトを開設
Yahoo! ケータイ「乙女★ヒミツの大奥 ~葉桜の章~」を配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080801/otome.htm

(2008年9月18日)

[Reported by 南奈実]



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