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★オンラインゲームファーストインプレッション★

ロボット、ヒーロー、ドラゴン、3種族が魅力の世界
「メイプルストーリー」を生みだしたスタッフによる新MMORPG

「TENVI(テンビ)」

  • ジャンル:MMORPG
  • 開発元:Symmetric Space
  • 運営:ネクソンジャパン
  • 利用料金:無料(アイテム課金を予定)
  • 対応OS:Windows 2000/XP/Vista
  • サービス開始日:未定(オープンβサービス中)



 株式会社ネクソンジャパンは横スクロール型のアクションMMORPG「TENVI(テンビ)」のオープンβテストを8月21日から行なっている。本作は基本プレイ無料、アイテム課金制の正式サービスを予定しており、正式サービスの日程は未定だ。

 「TENVI(テンビ)」(以下、「テンビ」)は「メイプルストーリー」を手がけたスタッフが中心となって設立された韓国Symmetric Spaceが開発する作品で、かわいらしいキャラクタ、アクション要素のあるゲーム性、細かく描き込まれたフィールドなど、「メイプルストーリー」を発展させたような作品となっている。

 本作ではさらに、個性的な3つの種族、彼等が乗る「ガーディアン」、さらに空を飛ぶといったオリジナル要素を加えている。グラフィックスと世界観も大きな魅力だ。今回はファーストインプレッションとして、本作の基本要素を紹介したい。


■ ガーディアンと協力して戦うMMORPG。3種族の文化が生み出す世界観の厚みが魅力

アンドラスの最初のシーン。敵に襲われ、飛行する船から脱出する。キャラクタの細かい仕草がかわいらしく、楽しい
世界観がきちんと設定されているのがわかるグラフィックス。軽快な操作性も魅力だ
 「テンビ」のプレーヤーキャラクタの種族は「アンドラス」、「タリー」、「シルヴァ」という3つの種族が用意されている。彼等3つの種族が住む世界「パブラワールド」は「宇宙連合」という勢力から侵略されつつある。3つの種族は力を合わせて宇宙連合に立ち向かうこととなる。

 「テンビ」ではプレーヤーキャラクタはそれぞれ種族特有の「ガーディアン」を持っている。アンドラスは機械文明を使いこなす種族で、ロボット型のガーディアンを使う。ロボットは丸いコクピットに短い手足が生えたデザインだ。

 タリーは白い肌と長い耳を持ち、自然と化学が融合したような洗練された文化を持つ。ガーディアンは人型タイプで、このガーディアンに「融合」して戦うことができる。シルヴァは褐色の肌を持つ種族で、自然に近い文化を持ち、魔法を使いこなす。ガーディアンはドラゴンを飼い慣らし、戦闘ではドラゴンに乗って戦う。ドラゴンと力を合わせて強力な魔法を使う種族だ。

 パブラワールドはいくつもの島から形成されていて、3つの種族はそれぞれスタートする島が違う。各種族のフィールドはそれぞれの文化の違いが出ていて面白い。アンドラスはオイルの臭いがしそうな無骨な機械の世界で、ごつごつした岩場もあり、フィールドを進むとゴミの廃棄場もある。

 タリーは遺跡風のフィールドが多く、奥に進むと「精霊」と呼ばれる別の種族と遭遇する。彼等との交流も体験できるのがタリーのフィールドの特徴だ。シルヴァのフィールドは鬱蒼とした樹木に覆われていて、奥に進むと明るい森の下に昼なお暗い闇の森が広がっている。各フィールドにはスタート地点となる街のテレポート装置で行き来できる。シルヴァのプレーヤーが友達と一緒にタリーで最初から冒険、ということも可能だ。

 戦闘はほとんどガーディアンに乗って戦う。アンドラスのロボットが大きな武器を振り、シルヴァはドラゴンに乗って派手な魔法を使いこなす。ガーディアンと融合したタリーは、格闘技のように拳で敵を攻撃し、2段ジャンプで体を回転させる。各種族の戦闘ニメーションは凝っており、他の種族を見ていると、「むこうもかっこいいな」と憧れてしまう。それぞれの種族がゲームの大きな魅力となっている。

 ゲームの操作はカーソルボタンで移動、Altキーでジャンプ、Ctrlキーで攻撃、シフトキーでものを拾い、TABキーでガーディアンの乗り降り、ショートカットでスキルやアイテムを使う。残念な点は、現時点でゲームパッドに対応していない点だ。プレーヤーの中には外部ソフトを使ってパッドを使用している人もいるようだが、日本展開にあたり、まず最初に対応して欲しかったところだ。

 キャラクタの動作は軽快で、武器によって距離を活かした戦いができたり、複数の敵をまとめて倒したりもできる。アクションの“駆け引き”の部分はどちらかといえば大味で、戦い方としては、ダメージ覚悟で敵の群れにつっこみ、強力なスキルでまとめて倒す、という展開になる。レベルを上げ、適性レベルの敵を倒していくというアクションゲームよりもRPGよりのバランスだ。

 気になった点としては、足場に関する当たり判定がシビアで、筆者の感覚としては足場に乗れたかな、と思うところでも落ちてしまう場合が多かった。ほんの数ドットの判定なのだが、通常のマップでさえ、ジャンプ台に何度も乗らなくてはいけなかったりするので、ストレスを感じた。現在の日本のアクションゲームは、ギリギリのところで足場にしがみついたりと、キャラクタを操作する爽快感を重視するバランスの作品が多い。MMORPGである本作の場合、もう少し判定が甘くても良いのではないかと感じた。

アンドラス、タリー、シルヴァの3種族。特にガーディアンはそれぞれ特徴があり、他のプレーヤーの姿を見ていると自分もプレイしたくなる。1アカウントで3キャラクタまで作成可能だ
アンドラスの街とフィールド。石がごつごつしていたフィールドなどもある。巨大なゴミ処理場があり、現在は危険なモンスターに占拠されてしまっている
洗練された文化を感じさせられるタリーの街。フィールドには遺跡がある。「精霊」と呼ばれる他種族の生活圏と繋がっていて、ゲームを進めることで精霊達が住む村に向かう展開も
「野性味」を感じさせるシルヴァの街とフィールド。下の方には日を遮る暗闇の中にある森のフィールドも


■ レベル10から分化していくキャラクタタイプ。ゲームバランスは課金アイテム前提の印象

レベル10での覚醒(転職)。アンドラスはアタックマシンかシューティングマシンを選択する
レベル20で空を飛ぶことが可能に。ゲーム性がどのようにふくらんでいくか期待したい
アバターアイテムをつけることでぬいぐるみのような姿に。正式サービス時のプレーヤーの姿はバラエティ豊かなものになりそうだ
 各種族は、それぞれ種族固有のスキルと、2タイプのスキルを持つ。そしてレベル10になると「覚醒」し、より専門的な役割を担うことができる。アンドラスは剣や斧を振り回す近接タイプの「アタックマシン」か、銃を使いこなす「シューティングマシン」。タリーは短剣を使って素早い攻撃を繰り出す「ローグ」か、敵の能力を下げる「デバッファ」。

 シルヴァは攻撃魔法を使いこなす「ウィザード」か、回復魔法が得意な「プレイヤ」である。各職業は覚醒と同時に「覚醒スキル」を習得する。この覚醒スキルと、通常のスキルを組み合わせて戦っていく。スキルの組み合わせはプレーヤーの手に委ねられている。

 覚醒スキルはレベルが上がると自動的に上昇するが、通常スキルはスキルポイントを消費してあげていくため自由度が高い。例えばシルヴァでプレイしていて、回復系のプレイヤに覚醒したが、攻撃系の通常スキルを上げる、というのも可能だ。覚醒と違う系統のスキルを上げすぎるとどっちつかずのキャラクタにもなりそうだが、回復系のプレイヤでも1つの攻撃魔法だけは強くする、といった育て方も面白いかもしれない。

 今回筆者はアンドラスでシューティングマシンに覚醒した。スキルは射撃系のものを中心に取っていった。アンドラスは、遠距離武器ダメージと命中率を増加させる「スキルマスタリー」や、スキルの射程を延長する「レンジアップ」といったパッシブスキルにもポイントを割り振らなくてはいけないため、自分なりのスキル選択をする、というところまで選択肢は広くないようだ。それでも、ダメージを強化するのか、敵を弱らせるスキルを取るかでパーティープレイでは役割が変わってきそうだ。今回はソロプレイ重視のためダメージ重視にしてみた。

 シューティングマシンでは固有の覚醒スキル「レーザービーム」が派手で爽快だった。貫通するレーザービームを発射するスキルで、数体にまとめて大ダメージを与えられる。また、MPが続く限り連射できる「ヤマネコショット」はボス戦に特に強力で、さらに敵を貫通する「ピアシングショット」を習得することで狩りもかなりしやすくなった。

 「テンビ」はクエストを受け、それに対応する敵を倒すという感じでキャラクタを成長させていく。「モンスターを何匹倒せ」というものが多いが、クエストの数は多く、世界観にマッチしている。しかし、全体的に得られる経験値が少ない。クエストをクリアした後も延々と同じ場所でモンスターを狩り続けるというのは、ゲームの展開として単調で、昨今のMMORPGと比べてテンポが悪く感じた。これは課金アイテムによる経験値アップを前提としているからかもしれないが、レベル8くらいから、適性レベルのモンスターをひたすら狩り続けないとレベルが上げられないバランスは考えさせられる。

 持ち物も課金アイテムの仕様を前提としているようで、生産系のアイテムの種類が多いためすぐにバッグ、銀行を圧迫してしまう。材料アイテムだけでなく、アイテム製作のレシピやメモ、シルヴァのフィールドで挑戦できる「クイズ券」などがバッグを圧迫する。一方、外見のみを変えるアバターアイテムに関しては、「福袋」という形で先行体験できた。筆者が入手したのはガーディアンにぬいぐるみの頭が被さるようなアイテムで、キャラクタのイメージが全く変わる。アバターアイテムには特に期待したい。

 アイテム課金制のゲームは課金アイテムでどれだけプレイ感が向上するかが重要なところだ。現在の「テンビ」のゲームプレイは、快適とは言い難い。しかし、このバランスは課金を前提としたものであることを考えれば、評価は変わってくる。本作の場合は、課金アイテムが入ってゲームのプレイ感に特に興味を持った。バランスの評価は正式サービス後にすべきだろう。課金アイテムのラインナップと値段のバランスも注目したい。

 この他に、装備アイテムは序盤から能力値が付与されたもの、形が違う特別なものなどがドロップされる。アンドラスの銃タイプでも片手の銃で盾を持つことで防御力を重視するか、攻撃力重視のライフルにするかなど、選択も楽しい。レアアイテムを手にして一時的に違うスタイルで戦う、ということもあるだろう。また「キューブ」というアイテムを装備に付与することで、お気に入りの装備を強化することも可能だ。

 レベル20になるとキャラクタは「飛行」を覚える。シルヴァの街は上下に長く、飛行ができるとずいぶん楽だ。また、敵の攻撃が届かないところを飛ぶこともできるので、移動が便利である。開発者によれば、「テンビ」は漢字で「天飛」と書き、空が飛べるようになってからが本当のゲームの始まりだという。今回はレベル20になれたところで時間いっぱいになってしまったため、空を飛ぶことはできたものの「その先」を見ることができなかった。今後プレイを続けて体験してみたいと思う。

射撃系のスキル。敵の能力を下げるスキルも。レベルアップ時のポイントを割り振って成長させる 覚醒時に得られる2つのスキル。レベルアップ時に自動的に上昇する 覚醒スキルのレーザービーム。複数の敵を攻撃できる強力な技だ
フィールドにあるワープゲート。発見することで他のワープゲートから移動することができる クエスト画面。様々なエピソードが展開する。他の種族のクエストも受けることができる クエストをクリアすると、NPCの元に帰らなくても報酬を受け取れる
シルヴァの街で挑戦できるクイズ。クイズ応募券が必要だ 3つの種族のフィールドでクエストをクリアしつつ冒険を進めていく レベル20以降の冒険の地となるミノスアイランドの拠点となる街
ドロップやクエストで入手できるキューブを使うことで、装備アイテムに特性を+できる 生産要素。レシピと材料アイテムで様々なアイテムを作れる いらないアイテムを分解することで、材料アイテムを入手できる


■ アイデアがたくさんつまったインスタンスダンジョン。皆が集まる憩いの場「TENVI広場」

ダンジョン入口にはパーティーを求めるプレーヤーが集まっている。タリーのダンジョンは比較的人気が高い
ボタン一発で行くことができるTENVI広場。現在は露店でごった返してしまっている
釣り要素。バッグがきついため現在は楽しみにくい。生産アイテムの種類は多いが、序盤では生産のメリットも少なく、バランスは考えさせられるところだ
 「テンビ」ではインスタンスダンジョンが用意されている。アンドラス、タリー、シルヴァに複数用意されており、それぞれコンセプトがはっきりしている。戦闘が前提のダンジョンの場合、ボスモンスターにたどり着くまでの道のりは様々な仕掛けが用意されていて、適性レベルでダンジョンに挑戦する場合は、パーティープレイが必須となっている。

 「鍵」をドロップするまで他のモンスターを倒す、大量に現われるガードモンスターを倒す、道をふさぐ柱を壊す、テレポート装置、敵の集団の波状攻撃……などなど各ダンジョンのギミックは凝っていて面白い。また、パーティープレイの火力の集中、テンポの速いゲーム展開も魅力だ。

 アンドラスのスタート地点で入れる「ドクターKのアジト 」というダンジョンでは3Dグラフィックスで描かれた巨大ボスが襲いかかってくる。ダメージも強力で戦っていて楽しかった。ルートがあり、ボスが待ちかまえるダンジョンというのは楽しい。

 「テンビ」のダンジョンは難易度設定が可能で、高レベル向けの難易度の高いダンジョンも選べる。この選択方式がユニークで、パーティーメニューからリーダーが難易度を設定するのだ。世界観というよりも、非常にゲーム寄りなギミックである。ユーザーもまたダンジョンを効率の良い経験値稼ぎと、アイテム収集の場、と捉えている傾向が強いようで、「周回プレイ」が前提になっている。このため、慣れているプレーヤーはどんどん先に行ってしまい、初めて挑戦したときには置いていかれる、ということもあった。

 ダンジョンにはアクション要素の強いものや、生身のパイロットで挑戦するものなどバラエティ豊かで、スタッフの気合いを感じられる。しかし一方で、現在の「テンビ」ではパーティーを募りにくいという問題がある。ダンジョン入口の前で参加者を募る、という方式が一般的だが、3種族それぞれのフィールドにダンジョンが用意されていて、チャンネルも各サーバーに5つあるため、募りにくい。全チャンネルを閲覧できるパーティー募集システムが欲しいところだ。

 プレーヤーが交流する場、という意味では「テンビ」はユニークな試みがされている。左下に「テンビ広場」というボタンがあって、どのフィールドからも一瞬で皆が集まる広場に行くことができるのだ。ここでパーティーの募集などができるかもしれない。できれば、ギルド募集の掲示板なども設置して欲しいところだ。現在、お試しとして露店アイテムが入手できるため、広場の入口が露店で埋まっている状況になってしまっている。できれば露店コーナーは、隣接する別のフィールドでして欲しいとも感じた。

 「テンビ」はギルドや釣りシステム、アイテム抽出や生産など、現在のMMORPGのトレンドを積極的に取り入れている。何よりも3つの種族と、細かく描き込まれたフィールド、世界のボリュームという他の作品に比べても魅力的な要素を多く持っており、プレーヤーたちを強く惹き付けるポイントがたくさんある。

 一方で、プレーヤーを結びつけるための仕掛け、プレーヤー自身の冒険心を誘うゲームの展開などには物足りなさを感じる。世界的にヒットした「メイプルストーリー」を生みだしたスタッフが、自分たちの目指す作品を作るために独立し、生み出した作品だからこそ、本作では「メイプルストーリー」からさらに進化した、より楽しく冒険ができるバランスや、ユーザーを世界と一体化させる演出を見せて欲しい。

 ゲームパッドへの対応も、日本で展開するために必須である。MMORPGというジャンルを牽引するタイトルの1つとして、あえて高いクオリティを要求したい。本作は、オープンβテストでできるだけ人を集め、それから正式サービス、というサービス形態を取っている作品でなく、最初から課金アイテムでプレイ感が向上する楽しさをセールスポイントにしているゲームなのではないかと感じた。本作の評価は、正式サービスがはじまってから、ということになりそうだ。今後の展開に注目したい。

アンドラスの最初のダンジョン「オオハシの洞窟 」。レベル10から挑戦できる
レベル15からのアンドラスのダンジョン「Dr.Kの研究所」。巨大ボスがカッコイイ
レベル12からのタリーのダンジョン「夜の庭」。柱を破壊し先に進む。石像が襲いかかっていく“試練”も
難易度選択。メンバー全員が制限に達してないと入場できないため注意が必要だ アンドラスの「ヘルシュの自由運動場 」。アクションの腕を試せるダンジョンだ パイロットだけで挑戦するタリーの「選択の森」

Copyright (C) 2008 NEXON Corporation and NEXON Japan Co.,Ltd. All rights reserved.
Copyright (C) 2008 Symmetric Space Inc. All rights reserved.


【「TENVI(テンビ)」】
  • CPU:Celeron 700MHz以上(Pentium 4 2.4GHz以上推奨)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
  • ビデオカード: Geforce4 MX 440以上(Geforce FX5600, radeon9600 以上推奨)
  • HDD:2GB以上の空き容量

□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「TENVI」のプロモーションサイト
http://tenvi.nexon.co.jp/
□関連情報
【8月7日】ネクソンジャパン、「TENVI」開発スタッフインタビュー
「メイプルストーリー」開発スタッフによる横スクロール型MMORPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080807/tenvi.htm
【8月7日】ネクソンジャパン、WIN「TENVI」日本展開を発表
横スクロールタイプのMMOアクションRPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080807/tenvi2.htm

(2008年9月11日)

[Reported by 勝田哲也]



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