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8月30~10月12日開催予定 テクモ株式会社とSeedC株式会社は、8月30日より、Windows用オンラインミリタリーアクション「WarRock」のトーナメント大会「『WarRock』日本最強クラン決定戦2008」を開幕した。当日は大会開幕を記念し、昨年の大会の覇者で本大会第1シードのTeam:Japanとクレイモアの試合の模様を開幕戦としてライブ配信を行なった。
ゲーム大会の実況中継のライブ配信は、お隣韓国ではずいぶん前から普及してるスタイルだが、日本ではまだまだ前例は限られ、普及しているとも言い難い。今回、「WarRock」運営チームは、開幕戦から決勝戦まで、全4回にわけて実況中継を予定している。これは日本では非常に画期的な試みといえる。本稿では、開幕戦のライブ中継の模様と共に、ゲーム実況のライブ配信の意味について解説しておきたい。
■ 「『WarRock』日本最強クラン決定戦 2008開幕戦」をライブ配信
応募クラン数は200以上。予選大会は128クランで実施していく。参加クラン数、開催日程とも大規模な大会となっているが、予選開催日は土日祝日に限られ、サラリーマンでも比較的参加しやすい環境が整えられている。 本大会ならではのユニークなレギュレーションとしては、クランの登録人数に上限がないことだ。さらに、クランメンバー全員を選手として登録できるだけでなく、試合の途中で選手の入れ替えも可能となっている。「WarRock」プロデューサーの河野順太郎氏によれば、「人数が多い方が有利なのはわかっているが、どこか和気藹々感のようなものを残したかった」ということだ。 FPS系のタイトルは、メーカーとプレーヤーの密着度が、運営の善し悪しを計る上で重要な指針となる。このため、各運営会社は今回のようなゲーム大会を筆頭に、密着度を高めるための施策を練っているが、Lievoの施策のテーマは、さしずめ“和気藹々感”といった感じだろうか。 本大会はこの“和気藹々感”の演出が随所に見られ、開幕戦から盛り上げようという熱意が感じられた。具体的には、放送パートナーのCD Networks Japan(CDN)を筆頭に協賛メーカーを募り、「Has-Key(ハスキー)」として芸能活動も行なっているLievoイメージガールをゲストとして招いて、大会予選をライブ中継するという試みだ。ライブ中継は8月30日だけで終わりではなく、9月9日、10月7日、そして東京ゲームショウでの決勝当日である10月12日の都合4回に渡って行なわれる。もちろん、視聴はすべて無料だ。 ゲーム実況のライブ配信は、まだまだ日本では未成熟のゲーム文化のひとつであるため、ひょっとするとピンと来ないゲームファンもいるかもしれないが、今後確実に成長が見込まれる分野だ。従来、ゲーム大会は、決勝戦など一部の試合を除いて、スケジュールやコストの都合から結果のみが伝えられ、その模様がエンドユーザーまで届くことはほとんどなかった。それは、ゲームクライアント側が観戦を前提としたツールをもともと持っていなかったり、開発側の協力が得られなかったりして、見せたくても見せられなかったためだ。 しかし、昨今の動画配信サイトでのゲーム映像の人気を見てもわかるように、上級者の戦いの模様を見たいというユーザーニーズは非常に大きい。しかも、最近ではエンドユーザーが自由に公開できる時代になっているため、直接運営不満となって跳ね返る傾向が強くなっている。大会を開催することと、大会をしっかり中継することは表裏一体であり、どちらが欠けても意味がないという時代が到来しつつある。今回のライブ配信は、そうしたニーズを満たす目的で行なわれたものだ。
■ 試合はTeam:Japanが2本連取で完勝。東京ゲームショウで決勝大会を実施
今回我々メディアは、生放送収録中のCDNのスタジオに入らせて貰い、1時間のライブ配信を舞台裏から観察することができた。ライトアップされたブルースクリーンの前に4人が座り、手前のモニタを見ながら、絶えず誰かが喋り続けている。実際の映像は、背景にはゲーム映像が映し込まれている。 もちろん、この撮影スタジオには、今回の主役であるTeam:Japanの選手はもちろんのこと、競技者側の人間は誰もいないし、彼らを応援するゲームファン達もいない。彼ら4人が発する音声を除けば、非常に静かな環境だ。韓国の放送の場合は、例外なく選手とファンがワンセットで居て、MCの喋りが勝つか、応援が勝つかというぐらい賑やかな雰囲気だが、このイベントはちょっと不思議な空間に足を踏み入れた印象があった。今後はこうした風景が当たり前になってくるのかもしれない。 話を戻すと、ライブ配信は弓猫氏によるゲームの紹介と大会概要を皮切りに、大会スポンサーと入賞賞品の紹介、河野氏の本大会の解説などが流れるように進んでいく。10月12日の決勝大会では「Has-Key」のふたりがミニライブを行なうというサプライズや、河野氏からHOHOI、10 Minute Mailの2クランが注目であることが披露されたあと、いよいよ開幕戦がスタートした。 予選のレギュレーションは、「CADORO」と「MARIEN」の2マップを舞台に、小規模戦闘ミッションモード3本先取を1ラウンドに、2ラウンド先取マッチを行なう。「Counter-Strike」のようなエコラウンドのような存在はないため、展開は非常にスピーディーであり、前後のラウンド展開を踏まえた作戦力ではなく、純粋にチーム力が問われる戦いとなる。 前述したように最初のカードは昨年の大会の優勝クランTeam:Japanとクレイモア。Team:Japanはメンバー数29名、Japan006氏をリーダーに、9,948勝1,052敗、勝率9割4厘(8月29日21時時点)という、名実共に圧倒的な実績を持つ。優勝候補の筆頭と目されるクランだ。対するクレイモアは、総勢18名、2,942勝2,135敗、勝率5割7分9厘(8月29日21時時点)と、試合数から見ても古豪と言えるクランだが、Team:Japanを前にしてはあらゆる数字が霞んで見えてしまう。 試合展開もまさに一方的で、時間にして10分足らずだっただろうか。もっとも短い試合で1分程度で決着が付いてしまうような圧倒的な試合展開で、あっという間にTeam:Japanが2ラウンド連取して勝利を決めた。これには実況を行なう4名も苦笑いで、弓猫氏は「実況する間もないような戦い」と表したが、まさにそんな印象だった。 実力差が歴然としていたためか、Team:Japanのメンバーは待機したり、待ち伏せしたりする風でもなく、アサルトライフルを手にどんどん突き進み、クレイモアのメンバーを一気に蹴散らしていた。視聴者の立場からすると、拍子抜けするほどあっさり終わってしまって少々物足りなかったが、連覇を目指すTeam:Japanの初戦の内容としてはほぼベストと言えたのではないだろうか。 その後、放送時間が多少余ったためか、続く2戦目も実況が行なわれた。2戦目は「玉砕」と「Last Alliance of Patriots」の戦いで、お互いに1ラウンドずつ分け合い3ラウンド目までもつれ込んだ。こちらの試合は比較的じっくり観戦することができた。傾向としては、スナイパーのような重火器系よりは、ハンドガンを含む軽火器を扱うユーザーが多く、前転を繰り返して被弾面積を最小限にしながら小刻みな移動を行ない、近距離で決着を付けるという展開が目立った。動きが多く、出会い頭の銃撃戦が楽しく、観戦しがいのあるタイトルだと感じた。
次回放送は、9月9日20時が予定されている。CDNのゲーム番組「ネットゲッチャ」の枠内で、Has-Keyの2人からオンライン予選の途中経過が報告される予定だ。10月12日には、決勝戦の模様がライブ配信される。地方在住で東京ゲームショウまで見に行くのは難しいという人は、ぜひ見逃さないようにしたい。
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□テクモのホームページ (2008年9月1日) [Reported by 中村聖司]
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