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歴代5作品のアートを展示
セガ「カルドセプト カードアート展」

8月9日~10日 開催

会場:秋葉原UDXギャラリー

2日間の限定開催。DS版の先行体験もアリというファンには嬉しいイベントだった
 株式会社セガは、トレーディングカード・ボードゲーム「カルドセプト」シリーズの歴代アートを展示するイベント「カルドセプトアートカード展」を8月9日~10日に秋葉原UDXアートギャラリーにて開催した。

 「カルドセプト カードアート展」は、シリーズ誕生10周年を記念して開催されたイベント。歴代5タイトルで使用されたカードアート、イメージアート全1,254作品が展示されたほか、10月16日に発売予定のシリーズ最新作「カルドセプトDS」の先行ゲーム体験会コーナーも開設された。入場は無料。

 今回、一般入場の前にプレス向け先行入場が行なわれた。会場入り口には「カルドセプトDS」パッケージアートをプリントした大型タペストリーが掲げられ、そのすぐ横には歴代カードアートがずらりと並ぶ。カード横にはシリーズ別作品手数、作家別作品点数といった解説があり、その質と量にはあらためて圧倒される。

    【解説文より(原文ママ)】
  • カルドセプトのカードのほとんどは、ゲームデザイン上の必要性が元になって創り起こされます。ゲームバランスのために必要な能力や機能を考え、それにあった名前や容姿を割り当てます。まれに、登場させたい伝承のクリーチャーがいる時は、それにあった能力を後から割り当てることもあります。容姿や絵柄が決まるのはゲームデザイン後であり、そこからカードイラストをイラストレーターに発注します。イラストレーター諸氏も十分にファンタジー世界の知識を持ち作画にあたりますが、時にはゲームデザイン上の要請から、リテイクが出ることもあります。シリーズを通してのたくさんのカードは、1枚1枚がこうした手順を経て出来上がっています。この製作スタイルが、カードの世界観に統一感を与え、また原典の忠実な再現を超えて、「ファンタジー世界図鑑」とも呼べるクオリティと説得力をもたらしていると思います(大宮ソフト)。

    【作家別作品点数(カッコ内はシリーズ合計値:敬称略)】

  • あきまん(2)、有田満弘(60)、池田宗隆(24)、一徳(5)、岡本正樹(5)、開田裕治(75)、加藤直之(93)、かねこしんや(5)、傑怪老(39)、古代彩乃(90)、斎藤智晴(184)、獅子猿(19)、末弥純(5)、杉浦善夫(10)、添田一平(33)、ゾルゲ市蔵(7)、高梨かりた(16)、田中俊成(20)、丹野忍(5)、寺田克也(43)、仲秋勇作(16)、中井覺(355)、にしだあつこ(3)、花山由理(106)、原田みどり(8)、廣岡正樹(11)、緑川美帆(10)、目黒詔子(5)
 カードアートのほか、コミック原画、歴代シリーズ作品の解説、イメージアートも展示されていた。俗っぽい発想で恐縮だが「これ、入り口で画集やポスターが販売されていたら間違いなく買ってしまうなぁ……」と思わずつぶやいてしまうほど印象深い作品ばかりで、その繊細なタッチを網膜に焼き付けるべく、しばし仕事を忘れてじっと見入ってしまった。

 ここで唯一残念だったのは、各イメージアートが漠然と並べられて展示されていたこと。シリーズを知り尽くしたコアなファンなら、個々のアートに対する知識もあってさほど問題はないだろうが、最近興味を持った人のためにも、それぞれ作家名と簡単な解説くらいは添えられていても良かったのではないだろうか。

加藤直之氏が描いた最初に描いたという油絵のコンセプトアート(下段写真最左・中央)が生で拝見できるなど、見所満載。機会があればまた是非開催していただきたい


 会場最奥には、前述のとおり10月16日に5,040円で発売予定のシリーズ最新作「カルドセプトDS」体験コーナーが開設されていた。プレイできたのは体験版で、コーナーを4つのゾーンに分割。各ゾーンには6台の試遊台を設置し、それぞれ対戦相手とマップが異なるように設定されていた。内容は以下のとおりで、共通設定は、魔力条件4,000G、期間条件20ラウンド、時間制限30秒。

  • 対戦相手:セバスチャン、使用マップ:城塞都市ロカ、使用ブックタイプ:水、風
  • 対戦相手:ヴァイデン、使用マップ:城塞都市ロカ、使用ブックタイプ:火、風
  • 対戦相手:コーテツ、使用マップ:貿易都市スネフ、使用ブックタイプ:火、地
  • 対戦相手:ゼネス、使用マップ:貿易都市スネフ、使用ブックタイプ:火、地
 DS版は、1999年にプレイステーションでリリースされた「カルドセプト エキスパンション」をベースにした作品。ただし、後述のミニインタビューにあるとおり、単なる移植ではなく新カードの追加や念入りなバランスの再調整、ボイスチャット・アイコンチャットをサポートしたWi-Fi対戦環境など“ほぼ新作”といっても過言ではないほど手が加えられている。

 筆者はイベント当日まで現物を見たことがなかったため「DSの画面に、あの情報量が詰め込めるのだろうか」と少々心配していたが、体験版をプレイして、そんな杞憂はどこかに即吹っ飛んでしまった。これまた後述のインタビューでも触れるが、無理にタッチペンを採用しなかったことが幸いし、本体をホールドした状態でテンポよく遊べるのがいい。インフォメーションの切り替えもサクサクと快適で、シリーズを一度でもプレイしたことがあれば何の問題もなくスッと入りこめる。

 液晶画面の解像度を考えると、カードアートの再現度は“驚異的”とさえいえる仕上がり。新たな演出もプレイのテンポを阻害しないよう十分配慮されており、キャッチーな要素が増したぶんさらに幅広い年齢層におすすめできるクオリティを備えたといえる。「同盟戦」、「やりこみの証、メダル」などの新要素は体験できなかったが、このあたりは製品版購入時にジックリ確認したい。筆者は本シリーズを人に自慢できるほどやりこんだクチではないが、それでも体験プレイ後に即「あぁ、これは絶対に買わなきゃダメだ」と確信した。

 新カードの追加、バランスの再調整もさることながら「Wi-Fi経由で全世界のセプターと戦える」という1点は何物にも代えがたい。通常のワイヤレス対戦もサポートされているが、歳をとると友だち同士で顔をつき合わせながら一緒にゲームをするという機会はなかなか得られない。だが、Wi-Fi対戦はそうした垣根をいともアッサリと取り払ってくれる。しかも、テンポよくサクサク遊べるのは今回の体験会で確認済み。シリーズのファンはもちろん、TCG系に興味はあるがなかなか手が出せなかったという人にも是非おすすめしたい。

上写真・上段は初日のプレス先行入場時のもの。下段は一般のお客様入場後。体験版は20ターン以内もしくは10分で終了。先着100名で整理券が配布されたが、試遊台が計24と多めに設置されていたこともあり、さほど待たされずにプレイできていたようだ

【ロゴ】【パッケージ画像】
【スクリーンショット】



■ 大宮ソフト、鈴木英夫氏ミニインタビュー

鈴木英夫氏
 今回、会場にて本作の開発元である有限会社大宮ソフト・鈴木英夫氏から本作に関するお話をうかがうことができた。気になる人は、ぜひご一読いただきたい。

―― まずはDS版の新要素についておうかがいしたいのですが?

鈴木英夫氏(以下鈴木) まず、新しいカードが入っております。ベースはPSのエクスパンション版なんですけど、カード全部に再チューニングが施されて、そういう意味では別なカードソフトになったと思います。

―― お恥ずかしい話なんですが、今日ここにくるまで、てっきりPS版の忠実移植なのかと思っておりました。

鈴木 いや、初めはそんな軽い気持ちでスタートした話ではあったんですけど(笑) やっぱり作っている過程で「ここはこうだろ、ああだろ」とやっていくうちに(物足りなくなった)。見てくれとかは「エクスパンション版」が元なんですが、実際にプレイした感じは違ったものになっています。

―― DS版の開発にはどれくらいの期間が?

鈴木 1年半近く、ですかねぇ。DSを扱うのが初めてだったことと、通信は気を配ることが多くて大変です。通信は環境要素もありますので、ラグなのか環境なのかひとつずつ確認するのが大変で……。

―― 画面の解像度など、色々ご苦労されたのではないでしょうか?

鈴木 そうですねぇ。まぁ、大宮ソフトはスーパーファミコンの時代からやってますので「懐かしい」感じもあったりして(笑)。そういった面では、あまり不自由な感じはなかったですけどね。

―― 体験版をプレイした際、上画面に情報が集中していてタッチパネルを見ることがほとんどありませんでした。作っていく過程で「もうちょっとタッチパネルを使わせよう」などといった意見は?

鈴木 逆にそぎ落としていった感じ……と思っていただいていいと思います。最初は「両方、タッチパネルだけでもゲームができるように」と考えていた時期もあったんですけど、なんかどっちつかずになっちゃうなぁと。やっぱり、このゲームはボタン操作のほうが絶対にやりやすい。今でもタッチパネルは補助的に使っているんですけど、スタイラスとボタンを持ちかえるのが面倒くさい。

―― DS版ときくと「タッチペン」という先入観がありまして、つい。逆にプラットフォーマーから「もうちょっとタッチペンを使う仕様にならないか」などの意見は?

鈴木 いや、全然そんなこと言われなかったですよ。逆にプロデュースや広報サイドから「普通、タッチペンにもっと対応させるんじゃない? 大丈夫?」というのは普通の意見としてありまして。ぼくらも最初は素直にそう思っていたんですけど、やっぱりシリーズ歴代の操作感覚というのがありまして、そこから大きく変えるだけの必要性が結果的になくて。中途半端に対応するくらいなら、今みたいにボタンメインのほうがスッキリしていい。自分のやりたい決まった操作なら、ボタンのほうが絶対に早いし間違いがない。

―― 開発にあたり「DSのここを活かしたい!」といったことは?

鈴木 そんなに気負ってなかったんですよ。話にきいていたのは、たとえば「タッチパネルに無理やり対応しなきゃ」といってよれちゃうソフトのこととか。そんなに気にはしてなかったんですけど、ただ「2画面はいいなぁ」と。今までのシリーズ作だと1画面しかなかったんで、人の番では見ているだけだったんですが、下画面は自分の (情報が表示される) 画面なので、人のターンでも情報を切り替えて状態を確認できたりとか。意外にいい具合だなぁと。企画の時点でDSのハード特性をそんなに意識してなかったんですが、結果的には携帯機でどこにでも持っていけて、通信対応で、という意味では「カルドセプト」との相性は良かったと思います。

―― 凄くテンポがいいと感じました。そこはかなり気を遣われたのでは?

鈴木 自分たちで遊んでいると、待たされたりとか嫌になってくるんですよ。たとえば「魔法を使った!」と画面を演出するんですけど、自分で作ってて結構苦労したのに、時間がかかるとイライラするんですね(笑)。よし、もう詰めようみたいな。そういう意味では、実際にプレイしているときは作戦に集中していると思うんで、それをいかに邪魔しないか。ROMカートリッジとういこともあって(シリーズに)向いたハードウェアでリリースできたと思います。

―― 表示系も相当チューニングされたわけですね。

鈴木 開発が長かったぶんだけチューニングにも時間をとれましたので。開発のほうが面倒くさがって「ここはこれでいいだろう」というと、チューニングの人たちがガンガンいってきてこられたんで(笑)

―― 演出やグラフィックといえば、ぼくらはDS版でも「おぉ、凄い!」と楽しめるんですけど、今回アート展ということで「イラストレーター」さんたちはどう受け止められているんでしょうか? 落としこむ段階で「もっと絵を大きくあしらって欲しい」とか。

鈴木 落としこみのときには、凄く気を遣っているんですよ。でも、やっぱり原画の迫力みたいなのは、どうしても……。よく漫画とかでもいいますよね。普段見てるものでも生原稿を見ると情報量が違う! とか。原画の迫力は、こうしたイベントなどで見ていただけると二度美味しいということで(笑)

―― 体験版には入っておりませんでしたが、Wi-Fi対戦の仕様はユーザーコード交換のみですか? 不特定多数とのランダム対戦もあるのでしょうか?

鈴木 両方対応しておりまして「誰でも対戦」、「お友だち対戦」、好みに応じて選んでいただけます。「仲間内でいい」、「次から次、新しい人とやりたい」ユーザーさんの色々な好みがあると思いますので。本当はどっちか片一方にしたほうが楽だったんですけど(笑) これだけ色々な遊び方があされる時代ですから。どっちがメインということもないんですけど、本当に好きな形で遊んでもらえればと思います。

―― ユーザーのレベルに応じたレーティングやマッチングシステムなどはありますか?

鈴木 「誰でも対戦」のときはレーティングがあります。マッチメイクはレーティングを見る形です。レーティングは勝つと上がり、負けると下がる。

―― ポイントが低い人が、高い人に勝つとたくさんもらえるといったことは?

鈴木 微妙な補正はありますけど、そんなにシビアな形ではなくて、日々対戦していただくと徐々に上がっていくという感じです。マップはシングルゲーム用と対戦用から選べます。

―― 「誰でも対戦」は、誰かが作ったゲームに勝手に入っていくようなイメージですか?

鈴木 それに近いんですけど、運営側で設定した「フロア」という概念があります。「初心者フロア」、「エキスパートフロア」とか。一応条件とかは絞ってあって「初心者用だったらこのマップで」というのもあるんですけど、それも運営側の設定で変更できます。たとえば月替わりとか。

―― 月替わりというお話が出ましたが、現時点で既に決定されている要素は?

鈴木 今のところ1カ月くらいで……「誰でも対戦」のランキングをWebで表示するというのもあるんですけど。それを1カ月くらいのスパンでやっていこうかな、と。

―― 大会などのオンラインイベントも実施しやすそうですね。オンラインナンバーワン決定戦とか。

鈴木 やりたいという話は出ています。今、企画の最終調整をしているところです。

―― 今回のDS版はPSのエキスパンションがベースでしたが、いわゆる「完全新作」のご予定は……?

鈴木 いや~、今はもう大変だった開発がやっと一区切りついてポカーンとしてて(笑)。

―― これを見ると、シリーズのファンはみな「よし、次は(完全新作!)」って期待すると思うんですよね。ましてや、今回Wi-Fiという手軽な対戦環境も実現したことですし。

鈴木 いや、なんていうんですかね。“デスマーチ酔い”から醒めたら考えておきます(笑) いや、もちろん色々考えてはいますよ! ですけど、やっぱりちゃんと準備をしないと。今回みたいに開発期間がかからないように。

―― 最後にファンの皆さんにコメントをお願いします。

鈴木 10年経ちまして、これだけイラストもたまって「カルドセプト」って愛されたタイトルだなぁ、ありがたいなぁと思っております。DSという、普通の人が普通に遊べるゲーム機で出すことができたんで、年齢層に関係なく遊んでいただければと願っております。

―― お忙しいところ、本当にありがとうございました。


Copyright (C)1997-2008 Omiya Soft“Culdcept”、
“カルドセプト”は有限会社大宮ソフトの登録商標です

□セガのホームページ
http://sega.jp/
□大宮ソフトのホームページ
http://www.omiyasoft.com/
□「カルドセプト」シリーズのページ
http://www.culdcept.com
□ニュースリリース
http://www.culdcept.com/10th/exhibition/
□関連情報
【7月18日】セガ、DS「カルドセプトDS」10月16日発売決定
「カルドセプト カードアート展」を秋葉原にて開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080718/culd.htm
【2007年10月31日】セガ、「カルドセプト」シリーズ誕生から10周年
DS「カルドセプトDS」発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071031/culd.htm

(2008年8月11日)

[Reported by 豊臣和孝]



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