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E3 Media & Business Summit 2008現地レポート

Valve、アクションホラー「Left 4 Dead」プレビュー
これぞ新時代のCO-OPプレイ? ゾンビの洪水の中で壮絶チームサバイバル

7月14~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 「Half-Life」シリーズ、オンラインのゲーム配信システム「Steam」などで知られる米Valve Corporationは、E3 2008の同社プライベートブースにて、新作サバイバルアクションホラーFPS「Left 4 Dead」をプレイアブル出展した。

 「Left 4 Dead」はPC/Xbox 360で11月に発売が予定されているマルチプレーヤーFPSで、4人のプレーヤーが協力してゾンビまみれのステージを脱出することだけが目的という、シンプルで思い切ったゲームコンセプトを持つ。同社ブースには本作の試遊台が4つ並べられており、4人CO-OPプレイの面白さを実際に体験できた。


■ 振り向けば、ゾンビの大群。
 先の読めない恐怖とスピーディなアクションを両立させた「Left 4 Dead」

Valveブースには4台の試遊台が設置。4人同時のCO-OPプレイを実際に確かめることができた
 Valveが今回のプライベートブース内を全部使ってプッシュする作品「Left 4 Dead」は、「Counter-Strike:Condition Zero」などを開発したことで知られるTurtle Rock Studiosが制作する、CO-OPプレイ専用のFPSだ。ゲームエンジンはValveが誇る「Source」の最新版で、さらに敵NPCの挙動にはTurtle Rock Studiosの最新AIエンジンが導入されているという。

 まずは本作の特徴をまとめておこう。プレーヤーが置かれるシチュエーションはシンプルだ。現代都市に特殊なウィルスが突如蔓延し、感染した者は皆、凶暴性だけが残る恐ろしいゾンビに変貌してしまった。そんな中に取り残されたのが、たまたまウィルスへの抵抗力を持っていた4人のプレーヤーたちである。生き延びるため互いに協力し、死が満ちるこの都市から脱出しなければならない。

 というわけでプレーヤーは、ゾンビゲームではよくある孤立した状況でゲームをスタート。補給所代りの小部屋で銃と弾薬を補給したら、ドアを開け、何が起こるかわからないステージへ入っていく。対するゾンビは、一般的なゾンビゲームのイメージとはかけ離れたスピードでプレーヤーに迫ってくる。例えるなら、スプリン競技のオリンピック選手並の全力疾走ぶりだ。こんなのが、1ダース単位で大量に湧いて出るものだから、ほとんどゾンビの洪水である。ゲームのテンポは凄まじく速い。

武器と弾薬は、ステージ内にいくつかあるセーフルーム内で補給し、戦いに備える。回復キットは人数分しかなく、勝手な無駄遣いはゆるされない
 プレーヤーの武器は「M4 Carbine」や「M3 Super90」、「UZI」といった、リアル系の銃だ。また、ゲーム中に重要になってくるのが、マウス右クリックで発動する「殴り」攻撃だ。弾薬が限られている本作では、むやみに撃ちまくっているだけではすぐにピンチに陥るので、近づいてきたゾンビを殴ってよろめかせ、的確な射撃を決めることが生存のコツである。

 このあたり、開発元が「Counter-Strike」関連作品で豊富な経験を持つこともあって、銃の質感、射撃における打撃感がすばらしく、FPSとしての基本インタラクションは抜群だ。

 手榴弾や火炎瓶などのサブウェポンの存在も確認された。ゾンビが大量に湧いてくる場所へ投げ込めばチーム全体が大きく有利になる。しかし、その数は限られているので、常に最善の選択が求められる。

 ゲームはステージクリア型の構成で、1ステージには2~3個のチェックポイント的なセーフルームがあり、そこで弾薬と体力の補給・回復をしながら、4人のプレーヤーがそろって先に進んでいくというスタイルだ。そして、ステージを通して「どこからゾンビの大群が出てくるかわからない」という緊張感が続く。

敵を片づけても油断する暇は全くない。気を抜いた瞬間、ゾンビが洪水のように突っ込んでくる
 崩壊した都市を再現した不気味なステージ内を進んでいくと、突然、通路の奥、ビルの屋上、壁の穴、フェンスの向こう側から、大量のゾンビが全力疾走で向かってくる。その数は画面を埋め尽くし、囲まれたチームメンバーの姿が見えなくなるほどだ。

 なんとか片づけて4人が集合し、前を向いて移動を開始しようとしたら、後続がついてこない。振り向くと、もうゾンビの大群に埋もれている、という状況も日常茶飯事。常に何が起こるかわからない上、思わず噴き出してしまうほどの激しさだ。

 こういった「静と動」の切り替えが本作の最大の醍醐味と言えるのだが、それをさらに強化するのが、セミスクリプトベースのステージ構成だ。要所ではスクリプトベースの演出で決まった敵が出てくるシーンもあるが、ほとんどの場面でステージ内のゾンビ出現パターンはランダムであり、何度プレイしても未知の恐怖が味わえる。プレーヤーの予断を決して許さないことで、ゲームの緊張感を高め、協力プレイの動機を強めているのだ。

【「Left 4 Dead」】
大量のゾンビが全力疾走で迫ってくる様子は、まさにゾンビの洪水と形容したくなる、すさまじいものだ。プレーヤーは4人で協力しあい、この地獄をなんとか生き延びなければならない



■ 4人同時CO-OPプレイを体験。密接なチームワークを求めるゲーム性は期待以上!

ブース内の4人同時プレイ。すぐにゲームへはまり込み、初対面でも互いに声をかけながらプレイしていた。
 さて、すべてのスペースを使って「Left 4 Dead」の試遊台だけが設置されていたValveプライベートブースでは、本作の醍醐味である4人同時CO-OPプレイを実際に体験することができた。プレイ感覚はこれまでのどのゲームにもないユニークなもので、他人同士でも自然とチームワークが生まれていく絶妙なゲーム性を楽しめた。

 本作はCO-OP専用のゲームであり、ゲームには必ず4人のプレーヤーが登場する。人間が足りない場合はBOTが代行するが、やはり人間同士でプレイするのが一番面白い。味方に射撃が当たるとダメージを与えてしまうので、ゾンビの群れと交戦するときには味方を巻き込まないよう細心の注意が必要だ。いわゆるFF(Friendly Fire)-ONの設定というわけだが、この設定をオフにすることは決してできないというハードコアぶりだ。

仲間が救出してくれなければ死を待つのみ。孤立が即、死につながるゲーム性だ
 本作がよくできているのは、単に4人でゾンビを撃ちまくるだけでなく、ゲームのあらゆる場面で密接な協力プレイへ誘導する仕組みが導入されている点だ。ひとつは、プレーヤーの「死」に対する扱い。本作ではプレーヤーが深刻なダメージを受けると床に倒れ、上体を起こして拳銃射撃だけで応戦するという状態になる。こうなると、他のプレーヤーが助け起こすまでは移動不可能で、死を待つしかなくなる。

 そしてプレーヤーが死亡した場合、それが可能な場面であれば、60秒後に近くの復活ポイントで再出撃することになる。しかし、復活ポイントは常に「外からしか開けられない小部屋」になっており、仲間が救出しなければ戦線に復帰できない。もし、全プレーヤーが死亡したり、交戦不可能な状態となれば、脱出行は失敗。ゲームオーバーとなる。

 ほかにも、仲間の助けが必要なシチュエーションは沢山ある。よくあるのが、ゾンビのタックル攻撃で倒され、マウントを取られて一方的にボコボコにされてしまう場面だ。仲間がゾンビを倒さなければ引き裂かれて死を待つしかなく、思わず「助けて!」と叫んでしまう。

倒れて動けなくなった状況。ハンドガンは使えるが、ゾンビに囲まれれば絶体絶命
 触手で行動の自由を奪うゾンビや、視界を奪う敵もいる。ゾンビの大群に囲まれて、弾薬や回復アイテムが切れ、どうにもならない状況も多い。そんなときに、互いに守りあい、アイテムを融通し、弾薬を分け合うというチームプレイが、自然発生的に生まれる。ピンチ状態のメンバーは特別なアイコンで方向が示され、救出を促す。そして「大丈夫か」、「ありがとう」の言葉が交わされる。その一方で、勝手に動き回り孤立したプレーヤーは、ゾンビの大群に襲われ、なすすべもなく殺されるのだ。

 およそ30分間の体験プレイでは、仲間が死ねば、自分も死ぬという、本作の強烈なCO-OP特化型のゲームデザインをしっかりと感じることができた。本作のキャッチコピーは「共に戦うか、孤独に死ぬか」であり、まさにその通りのゲーム性となっている。トップレベルのFPSプレーヤーでもワンマンプレイでは絶対に脱出できない、徹底したCO-OPのゲームデザインになっているのだ。

常に仲間と行動を共にすることに対し、強い動機づけがおこなわれている。CO-OPゲームの決定版になりそうだ
 この強い手ごたえから言うと、本作はPCのオンラインプレイで、Xbox 360のLIVEで、絶対に盛り上がるゲームになる。友達同士でも、知らない人とプレイしても、生き延びるための濃密なチームプレイを楽しめることだろう。

 気になる発売日はPC版が11月4日で、Valveの「Steam」で配信され、日本語もサポートされる。Xbox 360版は11月7日で、北米・欧州向けの出荷となる。

 製品に搭載されるステージ数は、4つのシナリオに5つづつのステージで計20種類。PC-Xbox 360のクロスプラットフォームプレイはサポートされず、各プラットフォーム内で完結するスタイルになる。新時代のCO-OPを楽しめる本作、プレイできる日を楽しみに待とう。

【「Left 4 Dead」】
濃密なチームワークを「せざるを得ない」内容に特化し、CO-OPプレイの楽しさを最大限に引き出そうという作品「Left 4 Dead」。Valveがイチオシするタイトルであるだけに、PCで、Xbox 360で、オンラインプレイが大いに盛り上がりそうだ。11月の発売が待ちきれない


□Valveのホームページ
http://www.valvesoftware.com/
□「Left 4 Dead」の公式サイト
http://www.l4d.com/
□関連情報
「E3 Media and Business Summit 2008」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/e3link.htm

(2008年7月18日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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