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第6回China Digital Entertainment Expoが中国上海にて開幕
中国国産タイトルのクオリティ上昇。パブリッシャが各国タイトルを積極展開

7月17~19日 開催

会場:Shanghai New International Expo Center

入場料:50元(約800円)

Shanghai New International Expo Centerは相変わらずの混雑ぶり。会期2日目に、正面玄関上に設けられた雨よけの巨大なガラス天井の1枚が落下して粉々になっているという信じがたい光景を目にしたが、来場者にけが人がでなかったことを祈るばかりだ
 中国最大規模のゲームショウ「China Digital Entertainment Expo(ChinaJoy)」が、7月17日より、上海のShanghai New International Expo Centerにおいて開幕した。

 北米ではE3が開催され、プラットフォーマーを軸にした来年再来年に向けた各社の足並みが出揃った。2008年の中国といえば真っ先に北京五輪が頭に浮かぶが、意外や上海の町並みに五輪熱などこれ微塵も感じない。一方で、すでに2010年の上海万博に向けた区画整理があちこちで行なわれている。

 中国の地域的な広さを実感すると共に上海入り早々肩透かしを食らってしまったが、地域別の特性がはっきりしているアジア地域ならではの発見の多かった取材だった。アジア発オンラインゲームの最新トレンドを早速お伝えしたい。

■ 第6回ChinaJoy開幕! コスプレエリアを拡大し、動漫ショーのテイストを加味

人手は実感として例年並みかやや少ない。かなり歩きやすくなった。主催者発表では初日の来場者数は約25,000人
 今年のChinaJoyは例年通りの同会場同規模にて開催された。これまでからの大きな変化は開催3ホールのうち後方1ホールが完全にコスプレとイベントのエリアになったことだ。巨大なコスプレステージが登場し、e-Sportsの大会が行なわれているブースとそれらを取り巻くコスプレグッズ販売エリアと着替えエリアで後方ホールはすべて占められた。「真・三國無双」シリーズや「遥かなる時空の中で」といったコーエーを中心とする日本IPの人気が高く、コスプレをしたユーザーが思い思いのゲームメーカーブースの周りで撮影に興じるなど、一種の動漫ショー的な側面が段々と濃くなってきた様子だ。

 来場するユーザー層もゲームユーザーからは少しずつずれてきた印象で、総じて中国メーカーの新作タイトルが収穫不足な感と共に、やや全体のボリュームが目減りしてしまった印象だ。

 メーカーのブース展開では、中国企業による大規模ブースを次々に打ち立て華を競う様子は相変わらずだった。とはいえ海外市場とのコンテンツのやりとりに長けた老舗の国内パブリッシャーを中心に質の高いブース展開を行なった企業も多い。

 今年出展した中国発のオンラインゲームの主な企業は、大手パブリッシャー・デベロッパーでは盛大(SHANDA)、The 9、9YOU、CDC Games、世紀天成、Ten centなどで、デベロッパーではヒットに恵まれた完美時空、KING SOFTといったメーカーが存在感を放った。

 同時に、今年の特徴を挙げるならば前出のパブリッシャーが海外産のコンテンツを前面に押し出して展開していたことがあげられる。プラットフォーマーのSony Computer Entertainment Asia(SCE Asia)を除けば日・韓の企業が独立したブースを構えず、提携先のパブリッシャーにPRを任せる手法が定着してきたといえるだろう。

「真・三國無双 Online」1本で固めてきた天希ブース。海外企業の出展がそれほど多くない中で海外産コンテンツの露出には中国のパブリッシャーによる取り組みが大きい
 登場した日本のコンテンツ・IPでは、パブリッシャーの天希がブース全体をコーエー「真・三國無双 Online」の試遊台一色で固めた例や、盛大からテクモ「DOA Online」、9youから韓国BANDAI KOREA「SDガンダム カプセル戦記オンライン」、CDC Gamesから韓国Digitalic「デジモンRPG」、ダレット「ストリートファイターオンライン マウスジェネレーション」、といったラインナップが登場した。コーエーの「三國志 11」などPCゲームタイトルはPCゲームのパブリッシャーCCNECにて出展された。

 また、日本メーカーとして唯一独立して出展を果たしたのはプラットフォーマーのSCE Asiaだ。「メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」と「グランツーリズモ5 プロローグ」などPS3タイトルの試遊台で固めた出展で上海市民を楽しませた。また、赤いPS2に続いて、日本でも販売されているメタリックブルーのPSPを出展していた。

 欧米メーカーで単独出展したのは、EA、Epic Games、UBI Soft、Crytekの4社。EAは昨年Wiiを設置したりPCゲームを置いたりしていたが、今年は「NBA Street Online」、「WARHAMMER Online」、「FIFA Online」のオンライン3タイトルのみの出展。

 「Unreal Tournament 3」のエンジニアリングデモなどを出展したのはEpic Games。UBI Softは「Brother in Arms」、「Lost」を中心としたPCゲームタイトルを引き続き出展していた。ユニークだったのはCrytekで、ブースで自社エンジニアの通訳つきでゲームエンジンのテクノロジーについて解説するデモを行なっていた。

 総じて日本、韓国、北米のコンテンツの状況を見てみると、韓国勢が最も強く、北米と日本が続いている。言語的には近い台湾勢は依然として苦戦が続いている印象だ。

 会場周りでは今年からテロ対策のために様々な施策が設けられた。昨年に続き一般ユーザーの入場券には前売りなしの現地で当日券のみの販売となった。また、購入時に身分証を提示しなければならないためチケット売り場は大混雑した。テロ対策のために会場入り口でも金属探知機とゲートによるボディチェックが設けられたが、あまりの効率の悪さにあっという間になし崩し的になくなってしまった。

 また、会場内にコスプレ関連以外での即売会がほとんどなくなったことと、浮き輪のような大きなノベルティをたくさん配布するといったことが少なくなったためメインのエリアは大分すっきりとした。夕方には小さなゴミが増えて会場内が汚くはなってしまったが、ショービジネスとして着々とブラッシュアップされてきていると思う。

【世紀天成】
世紀天成は「Counter-Strike Online」をメインに出展。サービス時期は未定としながらも簡体字バージョンで対戦イベントなども行なわれていた。ステージには対戦台の他、40台ほどの試遊台を設け同社タイトルを遊ぶことができた

【北米メーカー】
EAはオンラインタイトルにシフト。Epic GamesとCrytekは同社のエンジンの技術デモを行なっていたが、中国企業の開発者と思わしきユーザーには好評だったようだ

【中国メーカー1】
「パーフェクトワールド」の人気を背景に完美時空はメリーゴーランドを据えた巨大なブースを展開。相変わらず会場全体がイベントやステージで押す雰囲気は変わらない。イベントスペースを設けこそすれ、今年は全体として最も試遊台数が多い年になったと思う。パブリッシャーが堅実に光るコンテンツをプッシュしていたのが好印象だ
会場の難こそあれ、展開方法の洗練度は例年でもっとも優れている。非ゲーマー層のユーザーが増えた分、コンテンツにしっかりと集中したいところだ

■ パブリッシング力のある企業が強い。盛大ブースにみる逆輸入戦略

新しくテクモのTeam Ninja部長に就任した長谷川仁氏。今回の異動に関して「DOA Online」への影響は今のところないとのことだが、今後の展開が楽しみなところだ
 盛大は今年10周年を迎えた節目の年とあって、「DOA Online」一色だった昨年とは打って変わり、自社の現行コンテンツと新作ラインナップを7タイトル出展した。

 「DOA Online」は、1次αテストが進行中で、今回のChinaJoyではプレイアブルが出展されることになった。同タイトル周りでは、プロデューサーを務めるテクモの長谷川仁氏が7月からTeam Ninjaの部長に就任し、「DOA Online」以外の「DOA」フランチャイズについてもプロデュースを行なうことになった。長谷川氏のインタビューは別稿にてお伝えする予定だ。

 盛大ブースの出展タイトルで面白かったのは、韓国ActoZ Softが開発した空をテーマにしたMMORPG「LAZESKA」とオンラインピンポンゲーム「X-UP」が中国をファーストローンチとして展開されることだ。いずれも北京五輪の終わる8月末頃から9月中を目処にベータテストが開始される。

 逆のパターンでは、盛大の自社開発によるカラオケをモチーフにしたオンラインゲーム「巨星(Superstar Online)」で、台湾と韓国で先に展開し、台湾での成功実績を背景に年内の中国市場への投入を目指す。

 この他自社及び子会社開発タイトルでアクションRPG「鬼吹灯」、街の中を体ひとつで障害物をクリアしながら駆け巡るレースアクション「Free Jack」の2作と、韓国wemadeの開発によるMMORPG「蒼天」の計7作品。いずれも年内にサービスが開始されるタイトルだ。

 ファーストローンチが必ずしも母国で行なわれるとは限らないということは、それだけグローバル戦略に長けており、グループや提携企業との連携が極めて円滑にできていると考えられる。昨年は「DOA Online」がフォーカスされる中で同社の取り組みが見えにくかったが、今回盛大の将来性を非常に感じさせるブース展開であった。

【DOA Online】
昨年登場した砂浜は健在。デモムービーでは、アバターキャラクタのいるロビーから対戦に発展するまでの一連のムービーが流されていた。キーボードでもパッドでも遊べるようになっており、ガチャガチャ押しているだけでも簡単にコンボがつながるなどハードルはかなり低くなっている

Actoz Softからの逆輸入タイトル「X-UP」。ヒップホップとピンポンを混ぜたのがポイントで中国の国技を意識してこうした展開になったという。女性キャラクタの「乳ゆれ」もこだわり、セクシーさもミックスさせたとのこと。オリンピック後のサービスを目指す

自社開発タイトルで、台湾・韓国で先に展開させたという盛大の自社開発「巨星(Super Star Online)」。「カラオケオンライン」と担当者が言うように、カラオケを歌ってその歌をユーザー同士で聴くことができる。本来の歌との音程などをうまくとることで得点が加算されていく。同時に歌えるのは1人だけだが、1つのセッションに100人以上を収容することができ、歌を聞かせたり愛をささやいたりとちょっとしたリサイタル気分が味わえそうだ。歌のうまいユーザーに花束やテープなどを投げることができ、それらが課金アイテムとなるとのこと。年内のサービスインを見込んでいる

SCEAのブースでは「メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」が高い人気だ。同作の発売週にはPS3本体の売り上げも非常に高かったとのことで、PS3陣営にもキラータイトルのプッシュがハードウェアのセールスを押し上げていける理想的な素地が整った。プロデューサーの小島秀夫氏を台湾や香港に招くなど、アジア独自のプロモーションがユーザーには好評とのことだ。ブースではメタリックブルーのPSPを出展

MySpaceは、今年3月に公開された「MySpace Developer Platform」を使用したゲームアプリケーションコンテスト「TheGame08 - マイスペース・アジア・ソーシャルゲームコンテスト」を発表した。主にブラウザ上で動作するアプリケーションが対象となる。日本・中国・韓国・インドの4地域で優勝した各開発者に約300万円が贈られる。東京ゲームショー 2008で決勝が行なわれる予定だ。これまで強みであった音楽に加え、ゲームを取り込んだエンターテインメントのMySpaceという位置づけを強化していきたいとのことだ

後方ホールでのコスプレは非常に高い人気だ。また、とても末尾を確認する気にはなれなかったが、入場時のセキュリティの強化のために2日目昼には炎天下の中会場全体の端から先が見えなくなるまで500m以上に及ぶ長蛇の列がチケット売り場前にできることになった。イベントというより会場全体のセキュリティの強化に足を取られてしまった


□China Digital Entertainment Expoのホームページ
http://www.chinajoy.net/
□盛大(SHANDA)のホームページ
http://holiday.sdo.com/chinajoy2008/cjmm/
□「DOA ONLINE」のページ(中国語)
http://doa.sdo.com/
□盛大「巨星(Super Star Online)」のページ
http://vote512.sdo.com:8512/demo/jx/default.html
□MySpace「The Game08」特設ページ
http://www.myspace.com/thegame08japan
□関連情報
「China Digital Entertainment Expo 2007」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070715/cdeelink.htm

(2008年7月19日)

[Reported by 三浦尋一]



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