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会場:Shanghai New International Expo Center
入場料:50元(約800円)
北米ではE3が開催され、プラットフォーマーを軸にした来年再来年に向けた各社の足並みが出揃った。2008年の中国といえば真っ先に北京五輪が頭に浮かぶが、意外や上海の町並みに五輪熱などこれ微塵も感じない。一方で、すでに2010年の上海万博に向けた区画整理があちこちで行なわれている。
中国の地域的な広さを実感すると共に上海入り早々肩透かしを食らってしまったが、地域別の特性がはっきりしているアジア地域ならではの発見の多かった取材だった。アジア発オンラインゲームの最新トレンドを早速お伝えしたい。
来場するユーザー層もゲームユーザーからは少しずつずれてきた印象で、総じて中国メーカーの新作タイトルが収穫不足な感と共に、やや全体のボリュームが目減りしてしまった印象だ。 メーカーのブース展開では、中国企業による大規模ブースを次々に打ち立て華を競う様子は相変わらずだった。とはいえ海外市場とのコンテンツのやりとりに長けた老舗の国内パブリッシャーを中心に質の高いブース展開を行なった企業も多い。 今年出展した中国発のオンラインゲームの主な企業は、大手パブリッシャー・デベロッパーでは盛大(SHANDA)、The 9、9YOU、CDC Games、世紀天成、Ten centなどで、デベロッパーではヒットに恵まれた完美時空、KING SOFTといったメーカーが存在感を放った。
同時に、今年の特徴を挙げるならば前出のパブリッシャーが海外産のコンテンツを前面に押し出して展開していたことがあげられる。プラットフォーマーのSony Computer Entertainment Asia(SCE Asia)を除けば日・韓の企業が独立したブースを構えず、提携先のパブリッシャーにPRを任せる手法が定着してきたといえるだろう。
また、日本メーカーとして唯一独立して出展を果たしたのはプラットフォーマーのSCE Asiaだ。「メタルギア ソリッド 4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」と「グランツーリズモ5 プロローグ」などPS3タイトルの試遊台で固めた出展で上海市民を楽しませた。また、赤いPS2に続いて、日本でも販売されているメタリックブルーのPSPを出展していた。 欧米メーカーで単独出展したのは、EA、Epic Games、UBI Soft、Crytekの4社。EAは昨年Wiiを設置したりPCゲームを置いたりしていたが、今年は「NBA Street Online」、「WARHAMMER Online」、「FIFA Online」のオンライン3タイトルのみの出展。 「Unreal Tournament 3」のエンジニアリングデモなどを出展したのはEpic Games。UBI Softは「Brother in Arms」、「Lost」を中心としたPCゲームタイトルを引き続き出展していた。ユニークだったのはCrytekで、ブースで自社エンジニアの通訳つきでゲームエンジンのテクノロジーについて解説するデモを行なっていた。 総じて日本、韓国、北米のコンテンツの状況を見てみると、韓国勢が最も強く、北米と日本が続いている。言語的には近い台湾勢は依然として苦戦が続いている印象だ。 会場周りでは今年からテロ対策のために様々な施策が設けられた。昨年に続き一般ユーザーの入場券には前売りなしの現地で当日券のみの販売となった。また、購入時に身分証を提示しなければならないためチケット売り場は大混雑した。テロ対策のために会場入り口でも金属探知機とゲートによるボディチェックが設けられたが、あまりの効率の悪さにあっという間になし崩し的になくなってしまった。
また、会場内にコスプレ関連以外での即売会がほとんどなくなったことと、浮き輪のような大きなノベルティをたくさん配布するといったことが少なくなったためメインのエリアは大分すっきりとした。夕方には小さなゴミが増えて会場内が汚くはなってしまったが、ショービジネスとして着々とブラッシュアップされてきていると思う。
■ パブリッシング力のある企業が強い。盛大ブースにみる逆輸入戦略
「DOA Online」は、1次αテストが進行中で、今回のChinaJoyではプレイアブルが出展されることになった。同タイトル周りでは、プロデューサーを務めるテクモの長谷川仁氏が7月からTeam Ninjaの部長に就任し、「DOA Online」以外の「DOA」フランチャイズについてもプロデュースを行なうことになった。長谷川氏のインタビューは別稿にてお伝えする予定だ。 盛大ブースの出展タイトルで面白かったのは、韓国ActoZ Softが開発した空をテーマにしたMMORPG「LAZESKA」とオンラインピンポンゲーム「X-UP」が中国をファーストローンチとして展開されることだ。いずれも北京五輪の終わる8月末頃から9月中を目処にベータテストが開始される。 逆のパターンでは、盛大の自社開発によるカラオケをモチーフにしたオンラインゲーム「巨星(Superstar Online)」で、台湾と韓国で先に展開し、台湾での成功実績を背景に年内の中国市場への投入を目指す。 この他自社及び子会社開発タイトルでアクションRPG「鬼吹灯」、街の中を体ひとつで障害物をクリアしながら駆け巡るレースアクション「Free Jack」の2作と、韓国wemadeの開発によるMMORPG「蒼天」の計7作品。いずれも年内にサービスが開始されるタイトルだ。 ファーストローンチが必ずしも母国で行なわれるとは限らないということは、それだけグローバル戦略に長けており、グループや提携企業との連携が極めて円滑にできていると考えられる。昨年は「DOA Online」がフォーカスされる中で同社の取り組みが見えにくかったが、今回盛大の将来性を非常に感じさせるブース展開であった。
□China Digital Entertainment Expoのホームページ http://www.chinajoy.net/ □盛大(SHANDA)のホームページ http://holiday.sdo.com/chinajoy2008/cjmm/ □「DOA ONLINE」のページ(中国語) http://doa.sdo.com/ □盛大「巨星(Super Star Online)」のページ http://vote512.sdo.com:8512/demo/jx/default.html □MySpace「The Game08」特設ページ http://www.myspace.com/thegame08japan □関連情報 「China Digital Entertainment Expo 2007」記事リンク集 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070715/cdeelink.htm (2008年7月19日) [Reported by 三浦尋一]
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