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会場:銀座ソニービル
オリジナルアニメーション「亡念のザムド」は、「鋼の錬金術師」、「交響詩篇 エウレカセブン」などで知られるボンズの最新作。9月より毎週更新で配信され、全26話を予定。1話ごとの有料レンタル方式で、初回の視聴開始より3日間閲覧が可能。料金はHD版が400円、SD版が300円(料金はすべて税込・予価)。音声はどちらも5.1chサラウンドに対応。レンタル期間中はPS3からPSPに転送して閲覧することも可能になっている。 SCEJは、本コンテンツの独占配信に関する発表会を銀座ソニービルにて開催した。ビデオ配信事業部担当プロデューサーの田井野 賢氏によれば、PLAYSTATION Networkのアカウント登録者数は、2008年5月の時点で日本国内で100万アカウントを突破。現在も順調に増加しているといい、PLAYSTATION storeの利用状況は、月間来場者数が40万ユニークアカウント、総コンテンツ数が約1,500、累計ダウンロードが約1,700万を数えるという。
現在開催中のE3でも、PLAYSTATION storeを利用した北米向けの映像コンテンツ配信について発表が行なわれているが、SCEJは日本国内においても同様のサービスを開始。「亡念のザムド」第1話は北米で既に配信済みで、田井野によれば「(伝聞だが)ナンバーワンの配信実績を誇っている」という。
本プロジェクトの経緯を「奇跡の出会い」と表現する南氏は「まずスタジオのほうから企画書があがってきて、内容、ビジュアルともに新しい作品が出来上がる予感がした。プロデューサーとしては、どういう形でお客さんに届けていけばいいのか悩んだ。そのときSCEJの方と会う機会があり『これはザムドのために作られたネットワークじゃないのか!?』というくらい出会いを感じ、一気に制作を進めていった」といい、PS3向け独占配信については「同じ時期、機会、キッカケによって世界中の人に作品を見てもらえる。そういうところに魅力を感じた」と説明する。 監督を務める宮地氏は「長いあいだ仕事をしてきまして、自分と一緒にやってきてくださったスタッフと話し合って、モチーフがあらかた固まってきたというのがひとつ。あと、ボンズのBスタジオで作っているのですが、その人たちと一緒にやりたかった」とコメント。作品のテーマについては「初めにいくつか想定していたんですけど、だいたいそのとおり作っちゃうと面白くない、矮小化されていってしまうというのは、もう初めの数話で既に起こっていまして。それよりも、アニメーションは“絵”で描いてあるものなので、喜怒哀楽全般から無頓着になっていける部分がある。それはとにかく捨てたくない。傷ついても翌週元気とか、そういうところを嘘ついちゃいけないなぁというのはあります。あとは、人と人との関係とか。昔の日本のドラマ……たとえば向田邦子さんらが丁寧に描いていたものがなくなったり。そういうのもやってみたいなぁというのがあります」とコメント。注目点にはズバリ「すべて!」と言い切る。 主人公アキユキ役について、阿部さんは「たぶん、どの年代の人がみても共感を得られる少年だと思うんです。友だちとあえばふざけあい、でも親とかに対しては乱暴な言葉遣いをしたり。男の子だったら、誰しもそういうところがきっとあったと思う。凄く普遍的な少年」と説明。収録中の意気込みをきかれると「声優の経歴的なことでいうと、ボクが一番の新人。今のアニメーションにはあまりない(キャスト陣の)キャリアの幅広さというか。話自体も、次の予想がつかない。台本を受け取って『あぁ、あの話がこういうふうになっていくのか』というのが楽しみ。とにかく、ぶつかっていくしかないなという気持ち。アキユキも基本的には色々なことに巻き込まれ、ぶつかって成長していくキャラクタだと思うので、その辺りを共感しながら一生懸命やっていこうと思います」とコメント。まだ所有していないというPS3でしか見られないことについては「持ってないんです。大至急買わないと!(笑)」と即座にフォロー。 ハル役を演じる折笠さんは、役柄について「アキユキの幼なじみ。とても活発で気の強い女の子」と説明。演じるうえで気に留めていることは「キャラクタの表情や動きがとてもリアルなので、過剰にならないように気をつけています。絵で見せていく演じかたというか、自分の声でっていうのがあるので。あまり声ばかりが前に出てしまうのも良くないと思うので“作品の空気感”を大切にしたいと思います」と説明。PS3については「ごめんなさい、まだ持ってないんです。まだ現物を見たことがないくらいなんです。まずは、PS3を持っている友人に広めて、そこから世界に発信してつなげていきたいなと思います」とコメントしてくれた。 ナキヤミ役の三瓶さんは「ザムドの世界は南北に国がわかれていて、その間で色々な抗争とかあるんですけど。北の国にあるテシク族の女の子。ちょっと事情があってザンバニ号という船で育てられた、目つきが悪いというか(笑) クールな感じ。それがアキユキと係わることによって、またザンバニ号で生活していくことで、彼女が実はこんなことを考えていたんだ、というのがだんだんわかってくる。彼女は“ヒトガタ使い”というザムドをコントロールする力を持っているのですが、ザムドになってしまったアキユキの面倒を見ていく役です」と説明。クールに見えるキャラクタだが、三瓶さんが思っているよりも感情をあらわにするキャラクタらしく、収録中「もうちょっと声を出してください」といわれたことがあるという。PS3については「持ってないんですけど……もしかしたら、なんらかの形でもらえるのかな!? (笑)」とコメントし、会場内の笑いを誘う。
アクシバ役の中西さんは、役柄について「アキユキが乗ることになる国際郵便船ザンバニ号クルーのひとり。学級にたとえると、クラスのなかのお調子者のひとり。みなさんに『そのまんま』だといわれる (笑)」と説明。苦労する点については「自分と似通っているところがあまりにも多すぎて、毎回アフレコをフリーダムにやらせていただいております。あと、ボク本編の予告もやらせていただいているんです。そのなかのコメントも毎週読み方を変えて。歌ったり、句を読むように、そっちはさらにフリーダムで。(次回予告の台本に) 書かれている部分から受けたインスピレーションで、だいたいふたつやってどちらか選ぶのが多い」と収録エピソードを披露してくれた。
次世代プラットフォームを対象とした映像配信サービスは、北米では既に実施されて久しい。その一方で、日本国内では権利関係などからコンテンツ整備が遅々として進まない現状がある。今回の「亡念のザムド」についても、PLAYSTATION Networkで独占配信されるのはいいが、採算性などの面でWin-Winの関係が築けるかどうかが今後を占ううえで非常に重要になってくる。
いちユーザーの視点でいえば優良コンテンツが増えるのは望ましいの一言だが、それが尻つぼみで消えていくようでは話にならない。田井野氏によれば、PS3を対象とした映像コンテンツは他にもいくつか準備が進められているという。同社には、今後ともさらなるサービスの充実を期待したい。
■ 亡念のザムド ~ストーリー~
ある日、いつもの通り父親に弁当を届け、投稿していたアキユキは、親友のハルやフルイチとともにスクールバスのなかで何者かによる爆破事件に巻き込まれてしまう。一命をとりとめたアキユキは白髪の少女のもとに駆け寄るが、少女からアキユキにかけられたのは謎めいた言葉だった。あまりの状況にとまどうアキユキだったが、混乱が収まる間もなく身体を異変が襲う。白髪の少女が撒き散らした「ヒルコ」が身体に入り込み、アキユキは「ザムド」に変身してしまったのだ。 時を同じくして、北政府の船団が尖端島を強襲。北政府の誇るヒトガタ兵器が島内を破壊していく。生まれたばかりのアキユキのザムドは力を制御することができず、理由もわからぬままヒトガタ兵器に襲い掛かっていく。そのとき、暴走するザムドの前にビートカヤックに乗ったひとりの少女が現われた。ナキアミである。ナキアミは抜血針をザムドに突き刺すと、その暴走を止め、国際郵便船ザンバニ号へと連れ帰った。
ナキアミの看病で、元の姿を取り戻したアキユキ。ザムドの力を制御できるようになることと、いつか尖端島に戻ることを目的に、ザンバニ号の仲間と世界を巡っていくのだった。
(C)BONES / Sony Computer Entertainment Inc. , Aniplex
□プレイステーションのホームページ (2008年7月18日) [Reported by 豊臣和孝]
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