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会場:Los Angeles Convention Center
もともと現行プラットフォームの中では、Xbox 360のXbox Liveがもっとも高い水準のオンラインサービスを提供しているが、「The New Xbox Experience」は、その水準をさらに高みに押し上げてくれるものだ。「The New Xbox Experience」は言わば、Xbox Liveのサービスパック(SP)に相当するサービスだと考えるとわかりやすいかもしれない。 折しもプレスブリーフィングの翌日15日に、「The New Xbox Experience」の単独セッションが開かれた。「The New Xbox Experience」の内容から、ロードマップ、そして日本展開まで一通り取材することができたのでここにまとめておきたい。 「The New Xbox Experience」の導入時期は、今秋が予定されている。日本での導入も予定されているというが、時期、内容は多少変化する可能性があるという。日本サービスについては正式発表を改めてお待ち頂きたい。
■ 非コアゲーマー層でも親しめる新メニュー、HDDへのフルインストールも可能に
・新インターフェイスの採用 見た目の変化でもっとも大きいのは新しいインターフェイスの採用だろう。既存のダッシュボードが姿を消し、Windows VistaのWindows Aeroにも似た、項目別のカードを横に並べたようなインターフェイスに刷新された。Windows 3.1から95に進化した時のような洗練さを感じさせる。また、自分を模したアバターが大きな存在感を放っているのも大きな特徴と言える。ちなみに既存のダッシュボードはなくなったわけではなく、Xboxガイドに組み込まれている。新メニューのデザインコンセプトについてGruhl氏は、「コアゲーマー以外の家族にも慣れ親しんで貰うため」としている。 新たなメニューの大項目は、「My Xbox」、「Community」、「Primetime」、「Games」、「Videos」の5項目。おそらくもっとも多用することになるのは「My Xbox」だ。ここから自分のアバターや実績が確認できるほか、ゲームディスクの起動やゲーム、フォト、ビデオといった各種ローカルデータにアクセスできる。 鋭い人ならピンと来たかもしれないが、新インターフェイス導入後は、すべてのゲームはハードディスクへのフルインストールが可能となる。ゲーム側に順次対応を促すのではなく、OS側で強制対応する形となるが、あくまでオプションであり、これによりHDDを購入する必要があるわけではない。必要ファイルサイズはゲームに寄りけりで、平均数GB程度になる見込み。ディスク4枚組の「ロストオデッセイ」などは、10GB超を覚悟しておく必要がありそうだ。 Gruhl氏は「これで(ディスク回転時の)騒音に悩まされることもなくなります」と笑顔で答えてくれた。フルインストールを行なうためには、当然のことながらHDDが必要となるが、標準の20GBではあまりに心許ない。実質的には120GBHDD搭載モデル向けのサービスと考えて良さそうだ。なお、当然のことながら、ゲームの起動にはゲームディスクが必要となる。PCゲームに近い起動プロセスになるわけだ。 さて、新メニューの主役となるアバターは、「Xbox Live ID」1つにつき最大32キャラクタまで作成できる。実際に作成画面を見せてもらったが、一般的な3Dアバターと同じように、衣服、髪型、目、口、鼻、耳、眉、髭、顎の9項目を複数の選択肢の中からカスタマイズしていく形となる。 これらのパーツは、初期時点ではあらかじめ用意されたものを使用していくことになるが、技術的には後から追加することも可能だという。マーケットプレイスでのアバターパーツの販売の可能性については「未定」としていたが、ニュアンス的には「YES」だった。今後はゲームキャラクタのアイコンの代わりに、ロゴ入りTシャツが販売される時代が来るのはほぼ間違いないと見て良いだろう。 このアバターの最大の特徴は、インゲームのキャラクタとして使うことができるところだ。現時点では、後述するコミュニティサービスを除くと、対応タイトルは「UNO RUSH」、「Scene It? Box Office Smash」など、それほど多いわけではないが、今後順次増えていく予定だという。
■ 「Xbox LIVE Primetime」、「ビデオ マーケットプレイス」の日本上陸はいつになる?
「Xbox LIVE Party」はゲームではなく、Xbox Live上のサービスであり、現在のXbox Liveのように、お互いが別々のゲームをしながらチャットのみを共有するといった使い方も可能。極めて自由度が高く、ゲーマーにとってもフレンドリーなコミュニティサービスだ。 そして、大きな可能性を秘めたサービスが「Xbox LIVE Primetime」だ。「1vs100: LIVE」や「Video Game Trivia」といった、バーチャルTVショウをXbox LIVE上で気軽に楽しむことができる。いつ、だれが、どのようにして参加するのかといった具体的な内容については不明だが、ムービーを見る限りでは、自らのアバターが緊張の面持ちで99人のライバルアバターに対峙し、クイズを待つシーンを見ることができる。 リビングに居ながらにして、テレビショウのヒーロー/ヒロインになれる。優勝すれば、さらにプライズまでゲットできるというエンターテインメント性と実益を備えたコンテンツだ。「Xbox LIVE Primetime」は現時点では、北米、フランス、ドイツ、英国の4カ国での導入が予定されており、この中に日本は含まれていないのが残念だ。日本では、内容の向き不向き以前に、法律が障壁となりそうだが、ぜひ何らかの形で実装を臨みたいところだ。 また、「ビデオ マーケットプレース」の大きな変化も見逃せない。こちらもまだ日本未展開のサービスだが、欧米ではXbox 360の成功の要因のひとつとなっている。今回新たに、NBC Universal、Universal Studios Home Entertainment、SCI FI Channel、USA Network、Constantin、MGMといったパートナーが参入を表明し、そしてついにビデオレンタル大手の米Netflixとの独占契約も交わした。これはXbox 360を、Netflixが配信する映画をストリーミング視聴するためのセットトップボックスとするもので、大項目のひとつにGamesと並んでVideosがあるのは、「The New Xbox Experience」の導入を機に、Xbox 360を非ゲーマー層にも訴求していきたいというMicrosoftの強い意志が感じられる。 そして「ビデオ マーケットプレース」の強化はコミュニティ機能の強化に直結する。「Xbox LIVE Party」を介して、複数の仲間と、映像体験を共有し、ボイスチャットを通じてお喋りを楽しむ。映像の選択肢が広がれば、コミュニケーションの楽しさも倍加するのは自明の理だ。Xbox LIVEを開いて、フレンドをゲームに誘うのではなく、映画に誘う。新しいXbox LIVEではそうしたアクションが日常のものとなる。
日本市場ではゲームプラットフォームとしては苦戦するXbox 360だが、仮に「ビデオ マーケットプレース」が全面的に採用されたなら、ハリウッド映画をはじめとした欧米産の映像コンテンツの消費意欲が旺盛な日本では、極めてポジティブな結果が生まれることが予想される。そのための道のりは決して平坦ではなさそうだが、これらの新サービスが日本市場にどのように軟着陸していくのかじっくり見守りたいところだ。
□Microsoftのホームページ(日本語) (2008年7月17日) [Reported by 中村聖司]
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