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会場:Los Angeles Convention Center, West Hall
今年は予想通り、ハードウェア方面の新しい話は一切なく、Xbox 360向けの新タイトル、新サービスの紹介にたっぷり1時間半が投入された。振り返ればWindows VistaとLive Anywhere構想に振り回された2006年前後に比べると、提案の内容が非常に具体的になっており、ハイエンドゲームプラットフォームでリーダーシップを発揮するメーカーとしてのプライドと自信が垣間見えた。 そのストラテジーとは、Xbox 360を中心に、あらゆるゲーム層にリーチしていくというもので、2006年のE3でビルゲイツ会長(当時)が提唱したLive Anywhere構想は、完全に過去のストラテジーになっている。360度=全方位に向けたエンターテインメントを提供していくという本来のコンセプトに立ち戻った格好だ。 「Microsoft E3 2008 Media Briefing」の主な内容は、豊富な新作ラインナップ、Xbox Liveのリニューアル、音楽、映像を軸とした体感系エンターテインメントの拡充、そして「スクウェア・エニックス」の4項目。順を追って紹介していきたいところだが、まずは日本のゲームファンにとって最大の気がかりであろう「スクウェア・エニックス」から紹介していこう。なお、発表された新作タイトルラインナップについては、別稿にて詳しくお伝えするつもりだ。
■ 「FINAL FANTASY XIII」が欧米限定でXbox 360に登場!!
スクウェア・エニックスは、海外市場の強化を事業戦略のひとつに掲げており、そのためには海外市場で高いシェアを持つXbox 360への注力が欠かせない。このストラテジーを推進すべく、近年同社はMicrosoftとのパートナーシップを深めており、すでに「インフィニットアンディスカバリー」、「スターオーシャン4」、「ラストレムナント」の3タイトルのXbox 360への優先的、あるいは独占的な提供を決めている。ただし、これらの情報はすでに発表済みのものであり、メディアブリーフィングのトリを飾るインパクトはない。あるとすれば「FINAL FANTASY XIII」のXbox 360への展開の発表しかないという読みである。 和田氏は、上記3タイトルのサービススケジュールを淡々と発表し、「ラストレムナント」の最新プロモーションムービーを紹介。そこで和田氏はいったんあっさりと退席。Microsoftコーポレートバイスプレジデントのドン・マトリック氏が〆に掛かったところを、和田氏が後ろから笑顔で呼び止め、ビッグアナウンスメントがあると切り出して、プロモーションムービーを公開。ムービー中盤、「FINAL FANTASY XIII」のヒロイン“ライトニング”が映し出されると大歓声が沸き起こった。和田氏は笑顔で歓声を受け、「我々は今日の日を待ちに待っていた。発表できる日が来たことを嬉しく思う」と喜びを隠さなかった。
Xbox 360版「FINAL FANTASY XIII」は、米国と欧州のエリア限定の発売が予定され、日本での発売は明確に否定している。日本市場は関係ないとはいえ、プレイステーション 3のCMにも使用されたキラータイトルが、プレイステーション 3での発売を待たずして、Xbox 360への投入が発表される。時代の趨勢を示す極めて象徴的な出来事といえるだろう。
■ Xbox Liveを新たな次元に導く“New Xbox Experience”を今秋スタート
Microsoftでは、新しいダッシュボードを含む新サービス全体を“New Xbox Experience”と呼んでいる。新サービスの柱となるのは、任天堂WiiのMiiを彷彿とさせるアバターキャラクタだ。頭身は、MiiとSCEの「Home」のちょうど中間当たりの4頭身ぐらいだろうか。今回、登壇者がさっそくアバター化されていたが、なかなかよく似ていた。残念ながら発表会では、アバターメイキングシーンは公開されなかったが、衣類やアクセサリーの類も含めて、カスタマイズ性は非常に高そうだ。 Xbox 360ユーザーは、アバターキャラクタを用いて、Xbox Liveを通じてチャットコミュニケーションを楽しめるだけでなく、「UNO」のようなカジュアルゲームを一緒に楽しんだり、新チャンネル「Xbox LIVE Primetime」を通じて、「1 vs. 100」といった仮想ゲーム番組に参加できる。また、フレンドとパーティーを組んで、写真を一緒に見たり、映像を一緒に見たりなど、より現実世界に近いフレンドシップが可能となる。 それから日本にはまったく関係ないが、大きな変化として「ビデオ マーケットプレース」の大規模な拡張が挙げられる。日本ではサービスを行なっていない「ビデオ マーケットプレース」だが、欧米では高い人気を博しており、今後NBC Universal、Universal Studios Home Entertainment、SCI FI Channel、USA Network、Constantin、MGMといった映像メーカー各社のテレビ番組や映画が有料配信されることが発表された。また、レンタルビデオNetflixと提携し、Netflixでレンタルした映画やテレビ番組を瞬時にテレビ上でオンデマンド再生が可能となるという。
奇しくも先月ソニーがPLAYSTATION Networkを通じて映像配信を行なう計画が発表されたばかりだが、サービスの具体性や、パートナーの数ではXbox 360がPS3を圧倒している。いずれにしても非ゲーム系の映像配信サービスが、今年のトレンドのひとつと言えそうだ。
■ ライバルハードを濃厚に意識した体感系エンターテインメントを続々発表
「You're in the Movies」は、「Xbox LIVE ビジョンカメラ」を通してアクターになれる最大4人で遊べるパーティーゲーム。監督になってボイスオーバーや動画の編集をしたり、映像をアップロードすることも可能で、簡単にB級映画の作成や出演が楽しめる。会場ではシェーン・キム氏以下、Microsoft主要幹部4人が参加し、即席のB級映画を作って見せてくれた。 「Scene It: Box Office Smash」は、専用のコントローラを使って最大4人で楽しめるクイズゲーム。昨年11月に発売された同名タイトルの続編であり、Xbox Liveの自分のアバターを登場させることができるのが最大の特徴となっている。 「LIPS」は、「押忍! 闘え! 応援団」や「ギタルマン」などを手がけてきた国内有数の音楽ゲーム系デベロッパーのイニスが開発しているカラオケゲーム。画面構成は「SingStar」に似ているが、最大の特徴はポータブルオーディオの曲データをそのままゲームに持ち込めるところ。会場では、イニスの矢野慶一氏に加え、スペシャルゲストとしてミュージシャンのMercy Duffy氏が「Rockferry」を熱唱した。 そして最後に紹介したいのが、「Guitar Hero III World Tour」と「Rock Band 2」というミュージックゲーム界最強のライバルが、いずれもXbox 360優先でリリースされるという発表が行なわれたことである。 「Guitar Hero III World Tour」は、「Rock Band」に対抗してギターのみならず、シンバル付きのドラムキットを同梱したミュージックゲーム。最大8人によるマルチプレイセッションやロックバンド「メタリカ」の参入などがウリとなっている。 「Rock Band 2」は、84曲のサウンドトラックをすべてマスターレコーディングを行ない、ロックバンド「AC/DC」の曲をゲームとしては初めて収録したことなどを特徴としている。「Guitar Hero」との大きな違いとして指摘できるのは、「Rock Band」と「Rock Band2」の音楽データに相互の互換性を持たせたところだ。1度、ダウンロードコンテンツを購入すれば、すべてのナンバータイトルで使用することができるという仕組みだ。
開発元のHarmonixは、「Rock Band」をミュージックゲームプラットフォームとして位置づけ、音楽データのダウンロード販売に留まらない多角的な展開を目指していくようだ。ちなみに「Rock Band」のパブリッシャーはEAだが、日本ではまだ発売されていないタイトルだ。この「Rockband」に限らず、日本未発売の体感ゲームは多い。今後、こうした日本ではあまりないタイトルの多くが進出してくることを期待したいところだ。
□Microsoftのホームページ(日本語) (2008年7月15日) [Reported by 中村聖司]
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