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★PCゲームレビュー★

ストーリーとアクションを一新したシリーズ最新作
「無双」シリーズ最高のグラフィックスを堪能せよ!!

「真・三國無双5」

  • ジャンル:タクティカルアクション
  • 開発/発売元:コーエー
  • プラットフォーム:Windows XP / Vista
  • 価格:6,090円
  • レーティング:CERO:B(12歳以上対象)
  • 発売日:7月11日(発売中)



 コーエーは7月11日、「真・三國無双」シリーズの最新作「真・三國無双5」のWindows版を発売した。「真・三國無双5」は、従来の無双武将達のモーション、武器、そしてグラフィックスなどを一新した、ハイデフ時代最初の「無双」であり、重厚なストーリームービーを盛り込んだ意欲作となっている。

 本作の一番の面白さは、無双武将同士の関係を見事に描ききったムービーだ。各武将の戦いの前後で挟まれるムービーはシリーズ中最も重厚な出来栄えを見せており、周ユと孫策や張飛と劉備といった主君の関係に深くフォーカスしたストーリーは、宝塚歌劇団が演じる美少年達のような儚げな美しささえ感じられる。

 また、アクションシーンにおいては、カメラアングルやカメラモーションも変わり、ゲームプレイに劇的な変化をもたらしている。たとえば、高低差のある地形を馬で飛び越えたり、水上での戦闘ができるようになったりなど、戦場の枠組みがさらに拡大している。さらになんといってもプレイステーション 3版からの移植作だけあって、非常に美しいグラフィックスで「無双」を楽しめる。PC版ではグラフィックスはさらに磨かれ、圧倒的な乱戦下で、囲んでくる敵兵をなぎ倒す“一騎当千の爽快感”は、さらに面白さは深みを増している。


■ 無双武将の顔立ち・武器が大幅変更、天下を夢見た武将達のドラマを見よ!

よりハンサムにより美しくなった武将達のストーリーは必見だ!
呉のヒロイン孫尚香。武器は夏圏(カケン)から弓に持ち替え、再び獅子奮迅の活躍を見せる
 本作が「無双」シリーズの中で転換点を迎えたと感じさせてくれるのは、ストーリーとアクションともに完全に新しく再構築されていることだ。

 まずは武将の顔がレタッチされ、どの武将も非常に若返った。美青年づくしの呉勢力、イケメン揃いの蜀勢力、ダンディーな兄貴達に囲まれた魏勢力と、ワイルドな雰囲気を醸し出していた武将達が優美で端正な顔立ちになった。

 とくに「やられたな」と感じたのは彼らが織りなすストーリーで、戦闘の前後で挟みこまれる人間ドラマは、ゲームをプレイする世代よりもそのお母さん世代を狙ったかのような作りこみがなされており、とてもユニークだと感じた。

 特に気に入ったのは魏の典偉と呉の周ユ、孫尚香のストーリー。典偉はツンデレのキャラクタに変貌しており、働きを褒めたたえる主の曹操に対して「へへっ」と鼻の下を人差し指でこすりながら毎度のように照れまくる。スキンヘッドのムキムキの外見とのギャップがたまらない。呉の周ユのストーリーでは、妻である小喬さえ登場せず、ひたすら孫策とのやりとりが続くといった具合で、緩急の付け方が非常にわかりやすい。

 その一方で、孫尚香のストーリーは戦いに生きる女性の生きざまを描いた構成で、当初は長兄・孫策との関係の中で、孫呉の隆盛を目指す。戦いの中落命した孫策から代替わりした次兄・孫権に劉備へ嫁ぐことを命じられ、「私は私の意志で、孫呉とは別の天下を見に行くわ!」と吹っ切れたように劉備の元に赴く強い女性像が描かれている。

 過去のシリーズでは、史実(「三国志演義」を含めて)を意識するあまり、内容が定番的であまり印象に残らなかったが、今回はアクション以外の部分でも毎回非常に斬新な切り口を楽しめる内容になっており、この点は高く評価したいところだ。

 また、前回まではシリーズを通じて変わらなかった無双武将の武器が変更になっている。孫尚香は円形の武器「夏圏(カケン)」から弓へ、典偉は斧から鉄球へ、夏候惇は剣から槍の先に粉砕棒がついた武器へと持ち替えている。キャラクタはもとのイメージから変わらず、またすべての武将が武器を持ちかえたわけではないが、攻撃スタンスやモーションは変化した武器に合わせた新しいものになっている。

孫尚香は当初長兄・孫策との仲睦まじい様子が描かれるが、勝ち戦の最中に落命してしまう。次兄・孫権には劉備との政略結婚を命じられ、孫尚香は劉備の傍らで蜀軍として参戦していくことになる
孫尚香のモデルとなった孫夫人は常に武装した侍従を従えていたことから弓腰姫と呼ばれていた。武器も「カケン」から弓に変更されている。描画できるキャラクタも増えて混戦が多い中、キャラクタを中心に矢を放つスタイルは非常に優秀だった
無双武将同士の濃いキャラクタがストーリーを引き立てる。そしてなぜか男同士での萌え萌えな展開が多い


■ 多数の将兵が入り乱れる混戦を潜り抜けろ!

Windows版「真・三國無双4 Special」では無双武将がすべて出現した状態で遊ぶことができたが、本作では様々な要件をクリアして、プレイ可能な無双武将を出現させていく
 次に「真・三國無双5」のアクション面はどうだろう。プレイステーション 3向けに開発された作品だけあって、戦闘中のアクションでもハードウェアの性能にチャレンジするような美しい映像を楽しむことができる。

 新しいアクションのウリは、戦略性と爽快感を高い次元で両立したことだ。前作に比べ1画面に描画できるキャラクタが増えて、カメラのアングルが高い位置になり、頭に名前のついた武将や将兵が集まってくると自分や敵武将がどこにいるかわからなくなってしまうほどの混戦になった。この状況をいかに頭脳プレイでくぐりぬけるかがポイントになっている。

 前作での敵とうまく正対しながら戦いつつも、真後ろにいる敵が見えなかったり視界外の敵に攻撃が当たらず苛々することがあった。本作ではより俯瞰した視点から360度の敵を見渡しながら、敵の将兵たちに効率よく攻撃を当てていくというプレイスタイルになった。周囲の敵をなぎ払っていくことにストレスを感じなくなったのは大きなメリットだろう。

 もっとも、カメラ位置が変更になったことは良いことばかりでなく、たとえば、高い位置のカメラになった分、敵や自分のキャラクタが思いの他小さくなってしまってキャラクタの迫力が薄れてしまった感もある。

 本作のアクションでの特徴は、連続攻撃が途切れることなく決まるようになったことだろう。これまで通常攻撃とチャージ攻撃として表現されてきた攻撃モーションは「連攻撃」と「強攻撃」に分けられることになった。

 「連攻撃」は通常攻撃なのだが、5撃目、6撃目で終わりではなく、延々と途切れることなく連続して攻撃し続けることができる。敵を攻撃しているうちに画面左下の連舞ゲージが上昇していき、連攻撃のバリエーションがその段階に応じて増加し、攻撃力を増していく。初期では2段階、スキルツリーを成長させていく過程で最高4段階まで成長させることができる。

 連舞ゲージは連続ヒットを重ねていくことなどで少しずつ上昇していき、敵としばらく戦わないでいると徐々に下がっていく。攻撃を途絶えることなく繰り出すことができるので爽快感のアップに寄与する一方で、敵のガード範囲が非常に広くなって、正面しかガードしていないように見えてほとんど360度カバーできてしまうようになった。

 いったん敵将にガードを構えられてしまうと、たちまち攻撃をはじき返されたりコンボが続かなくなってしまう。敵将がガードを解くまでに周囲の雑魚兵を叩いて連舞が途切れないようにつないだり、強攻撃で体制を崩すといった工夫が大事になる。

 また、本作から登場した軍旗を抱えた「将旗兵」というユニットが周囲の兵に対して攻撃力2倍・防御2倍といったBuffを定期的に行なうようになり、戦略性が高まっている。

 それから、今回から登場した「回避」で、ゲームの雰囲気がだいぶ変わった。素早く指定した方向に飛び退くコマンドで、戦闘中に敵将が無双乱舞を使うモーションや攻撃を入れるモーションが出たらさっと身を翻して逃げることができる。自身が繰り出している連攻撃の最中でも危険を察知した時点で回避を入力すれば攻撃をキャンセルしてくれるので重宝する。

 このコマンドができたおかげで、これまでは連続攻撃の最中に敵から無双乱舞のモーションが出るなり、「ああ、しまったー!!」と叫びながら何もできずに切り刻まれるというシーンがすっかりなくなった。これにより、駆け引きを楽しむような格闘ゲームに近い操作性になった。「回避」は1ボタンのキー入力だけなので、すぐに使いこなせるようになるのも好印象だ。なお、「回避」は馬に騎乗している時にはジャンプして柵や丘を乗り越えることができるようになっており、高低差のあるマップデザインの中でひと際重要なコマンドになっている。

騎乗してスピードに乗ってなぎ倒していくのが爽快だ ステージは混戦を極める。クラウドコントロールと回避の使いどころが肝心だ
軍馬にまたがることで水上での戦闘も可能になった。下馬すると泳いで岸を目指すことになる 連舞を重ねていくと連攻撃が徐々にパワーアップしていく
敵は一度に大量に出現して襲いかかってくる。敵に囲まれたら自分のキャラクタを見失わないこと!


■ 旅の共は副将から軍馬へ。武将の成長過程をスキルツリーで味付け

騎乗した状態での戦うシーンが多くなった。目当ての能力の軍馬が出るまでしばらくは相棒探しの旅が続く
 「真・三國無双5」では、これまで副将として登場した旅のお共の存在が、軍馬に置き換わった。軍馬は戦闘中に敵将がドロップする鐙をゲットするごとに1頭ずつ戦闘終了後に獲得することができる。

 軍馬は戦闘終了後、騎乗攻撃で倒した敵兵の数などによって武勲を獲得し、成長していく。軍馬は成長過程で、連舞が途切れにくくなる「連舞維持」や戦闘終了後に軍馬や武器を獲得できる「勧誘」、「武器獲得」といったサポート効果がつくようになり、騎乗攻撃時に炎などの属性攻撃が乗ったり、体当たり攻撃時に敵に雷を落とすといった属性効果が追加される。

 乗馬時は、水上でも攻撃できたり、高い柵を乗り越えられたりなど、なくてはならない存在だ。使用する無双武将によって騎乗攻撃時のリーチの長短があるが、騎乗攻撃が強い武将ほど本作では扱いやすい武将といえるだろう。

 武将の持っている武器にはそれぞれ連舞ランクの上昇に応じて攻撃範囲があがる「標準」、攻撃速度があがる「技」、連攻撃の1発の攻撃力が強くなる「力」の3種類が設けられている。武器に乗っている効果はつばぜり合いで有利になる「剛柔法」や攻撃範囲の広がる「真空波」など6種類の効果があり、ランダムで3つまでの効果が付与されている。

 これに強攻撃時に効果がのる属性がヒット時に敵を火で包み体力を削る炎、同様に敵を一定時間凍らせダメージを与えやすくする氷、相手を気絶させダメージを与える雷の3種類の属性がついて、武器の個性が決まる。前作までは武器の属性を「玉」として表現し、出撃時にどれか1つを選んで使用する方式だったが、本作からは武器集めの楽しみが増えることとなった。

 ちなみに、オススメの効果は攻撃力が上がる代わりに防御が大幅に下がる「背水陣」と攻撃時に矢をはじく「弾矢眼」だ。敵の強攻撃は回避の使用で確実にあたりにくくなっており、攻撃力を全面に押し出した武器選びが効果的だった。

 さらには武将の成長が強化アイテムから、武勲を獲得してレベルをアップさせていく方式になったことで、以前のようにキャラクタを成長させるためにアイテムの取りやすいマップを何度もローテーションするやり方ではなく、いろいろな場所に出陣させながら自然な形で成長させることが可能となった。

 レベルアップのための武勲の獲得には敵を倒した数ばかりでなく、本作から設けられたスキルと特殊技が重要になってくる。特殊技は各武将ごとに1つ設定された「強襲」、「神速」、「落石」、「斉射」といった「伝書」を触媒に使用できるスキルだ。いずれも発動させると近隣の敵をあっという間に倒すとともに、特殊技で倒した雑魚兵から直接武勲を獲得できる武勲包をたくさんもらうことができる。

 レベルアップするごとにツリーを成長させていくことができ、攻撃力や防御力を高めていくばかりでなく、効率的なレベルアップには不可欠な特殊技を強化するスキルや、伝書を入手しやすくするスキルを獲得できることになるので、ハイレベルになってレベルが上がりにくくなっても出撃が単調になることがない配慮がなされている。

 レベルが上がりきってしまうとほとんどのツリーを埋めることができるようになるが、成長過程においては武勲の獲得を重視したり、基本能力の上昇に特化したスキル振りも可能なので、幾通りかの成長過程を楽しむことができるだろう。

 しかし本作ではまだツリーのバリエーションが少なく、ハイレベルになった場合にいきつくパラメータは、結局は似たようなものになってしまうので、次回作ではツリーの階層をもっともっと深くするか、Aのツリーをのばしたら、Bのツリーは封印されるなど、二者択一を迫るような選択肢などもあって良いと思う。

軍馬は成長しないと秘められた能力がわからない。軍馬のレベルが低いうちは突破力が弱く敵を何人か体当たりしているうちに嘶いて止まってしまう。成長した馬の能力は実に頼もしい 武器の効果はランダムなため、良い組み合わせの武器がもらえると嬉しい
「一気呵成」の効果が武器に乗っていると、敵将とのつばぜり合いが断然有利になる 回避を駆使できれば「背水陣」の効果がのった武器が有効だ。敵をあっという間に蹴散らすことができる
特殊技「斉射」を発動。天から矢が降ってくる。倒した敵から武勲包を得ることができ、タイミングを見ながら効率的なレベルアップを目指したい 本作も事典の内容が充実しており面白い。休憩がてらに「真・三國無双5」の時代背景に思いをはせてみよう


■ コーエー会心の挑戦作。次作品のブラッシュアップに期待

キャラクタの成長の過程はスキルツリーを埋めていく順番で基本能力を重視したり特殊技を充実させたりとある程度の選択の余地がある
 「真・三國無双5」は、ストーリー性、アクション性の双方ですばらしい作品に仕上がっていると評価したい。しかし、戦闘中に自分のキャラクタが埋もれてしまうようなところは、従来の作品の良さを知る旧来からのファンにとって評価のわかれるところだろう。

 また、ガードしている敵は、どの向きから攻撃しても完全に防がれてしまったり、スキルツリーが浅く、カジュアルな遊び方をしてもすべてのツリーが埋まってしまい、ツリーを伸ばす楽しみや個性を追求する楽しみがスポイルされている部分など、仕様的に非常に雑な部分は、次回作以降で直していくべきだろう。

 本作で見ることのできたアクションとストーリーに特化した「無双」の新境地は、今後を楽しみにさせてくれる。次回の作品でも驚くような体験ができることに期待したい。


「無双」の爽快感は今回の作品で1つの完成形を見た。次回作ではどのようなチャレンジを見せてくれるのだろうか

無双モードでプレイできる武将は前作より少し減ってしまったが、盛り込まれた重厚なストーリーはシリーズ最高だ

左から順に、1,920×1,200ドット、1024×600ドット、800×480ドット。ハイスペックのPCを持っているユーザーは是非パソコンでしか体験できない大画面でプレイしてほしい

(C)2007-2008 KOEI Co., Ltd. All rights reserved.


【「真・三國無双5」】
  • CPU:Pentium 4 1.6GHz以上(Core2Duo 2.4GHz以上推奨)
  • HDD:5.0GB以上推奨
  • メモリ:512MB以上(1GB以上推奨)
  • ビデオカード:VRAM128MB以上


□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「真・三國無双5」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/smusou5/
□「真・三國無双5 ベンチマークプログラム」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/smusou5/bench/
□関連情報
【6月26日】コーエー、WIN「真・三國無双5」
ベンチマークプログラムを公開。体験版の配信も決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080626/musou5.htm
【5月23日】コーエー、WIN「真・三國無双5」
発売日が7月11日に決定! 動作環境も公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080523/musou5.htm
【4月25日】コーエー、WIN「真・三國無双5」
発売決定。7月発売予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080425/muso.htm

(2008年7月11日)

[Reported by 三浦尋一]



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