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本稿ではオープンβテストに先がけて開催されたプレス向け体験会でのスクリーンショットと、インタビューから本作の基本要素と、エムゲームジャパンの目指す方向性を紹介したい。
「風林火山」は東洋風のファンタジー要素を取り入れたMMORPG。トゥーンレンダリングで描かれたアニメ風のキャラクタが特徴で、プレーヤーは「剣」、「槍」、「爪」、「扇」のうち1つのスタイルを選び戦っていく。召喚獣を最大3匹使役できたり、巨大なモンスター、インスタンスダンジョンといった特徴を持っている。今後は対戦要素を充実させていく韓国のアップデートを受けつつ、世界観や、協力要素を充実させていく日本オリジナル要素も盛り込んでいくという。 ■ 東洋風ファンタジーMMORPG。4つの職業とスキル、召喚獣などスタンダードな要素が充実
オープンβ時のレベルキャップはレベル60までになる。フィールドは、レベル20までと、レベル40まで、レベル60までの3つが用意される予定で、テスト開始直後はサーバーは1つ、チャンネルは1つか2つを予定しているという。 本作には剣、槍、爪、扇の4つの戦闘スタイルがある。剣は防御力は低いが攻撃力の高いアタッカータイプ。槍はパーティーの盾として戦う防御力の高さを誇り、仲間の体力を上昇させる支援スキルも持っている。爪は敵に状態異常を起こさせるスタイルで、扇は回復役と遠距離の攻撃スキルを持っている。 各スタイルは性別も決まっていて、爪と扇は女性専用の武器となっている。トゥーンレンダリングで描かれたキャラクタは目が大きく、かわいらしい。スタイルにはスキルツリーが用意されていて、レベルアップしていくことで得られるポイントを割り振る。スキルは非常に派手で見応えがある。 筆者が試したのは槍タイプのキャラクタで、槍で素早い攻撃を繰り出したり、自分の体力を回復させたり、仲間の体力を増加させるといったスキルを持つ。基本となるスキルを取ると、より上位のスキルが解放される仕組みになっている。自分の目指すスキルを最短で取るために、どのようにポイントを割り振ればいいかを考えていく過程が楽しい。 操作方法としては、左クリックで移動と攻撃、右マウスボタンをドラッグすると視点移動、0~9のキーでショートカットというオーソドックスなもので、さらにWで前進、AとDで左右移動、Sで後退という操作が可能だ。本作は敵キャラクタが大きいために、接近していると移動しようとしてクリックしても敵に当たってしまう事も多い、臨機応変で操作を使い分ける必要がある。 召喚獣も様々なものが用意されている。召喚獣には「攻撃」と「支援」と「騎乗」の3種類があり同時に3匹召喚することができた。各召喚獣には経験値が設定されていて、成長させていけば頼りになる仲間になってくれそうである。「風林火山」ではキャラクタはモンスターを倒すよりもクエストをクリアして報酬の経験値で成長していく度合いが多いとのことで、クエストクリア時に召喚獣を出しておく、という方法が有効ということだ。 本作ではレベル20前後でスキルの方向性なども定まり、召喚獣を得て、どのようなゲームか見えてくるという。レベル20からはプレーヤーは2つの勢力にわかれて戦うことになる。韓国ではRvRの要素を今後追加していく予定で、また、団(ギルド)による攻城戦も実装される予定だ。この他、動物型のモンスターを調教できる要素や、韓国MMORPGではおなじみの武器を強化していく要素なども実装されている。 今回は体験できなかったが、日本版の「風林火山」ではチュートリアル要素、クエスト要素を充実させ、とくに序盤は世界観を感じながらキャラクタ育成が楽しめるように志向しているという。また、マップではカーソルを合わせるだけで棲息モンスターがわかるなど、“わかりやすいゲーム”を目指して作っていることが感じられた。
キャラクタだけでなく、召喚獣やモンスターのデザインもトゥーンレンダリングで描かれていて、独特の雰囲気を作り出している。また、街の移動には羽根の生えた狼に乗るシーンが用意されていたり、初めて街に入ったときはアニメーションのムービーシーンが入っていたりと、今後の演出に期待させられるギミックも見られた。
■ 巨大なモンスターひしめくインスタンスダンジョンに挑戦
インスタンスダンジョンでは多数のモンスターが襲いかかってくる。参加者は力を合わせてこれに立ち向かっていった。理想としては、筆者の槍が敵を引き受け、扇が回復し、剣と爪が殲滅する、という形だが、初めて触るキャラクタではうまくいかない所も多く、皆で試行錯誤しながら進んでいく、という感じになった。 ダンジョンに登場するモンスターは階層が上がるごとにレベルが上がっていく。序盤はレベルが40前後とプレーヤーキャラクタに比べればかなり弱いはずだが、体力の多さに圧倒された。装備もかなり強化しているため受けるダメージはそれほど多くはないのだが、なかなか倒せないのだ。今回のダンジョンは全部で13階層、上を目指すプレーヤーは下の階では殴られても回復しながら進んでいくとのこと。 ダンジョンでは上に行くためにはボスモンスターを倒さなくてはいけない。フロアによっては、取り巻きとボスだけを倒すもの、上り階段の近くにボスが登場するもの、フロアの途中にボスが登場するものといったバリエーションがある。トラップがあったり、鍵を開けて扉を開ける、といった凝ったギミックはないようだ。 ダンジョンでは凝ったモンスターのデザインに驚かされた。キャラクタがモンスターの腰までしかないような巨大なモンスターがごろごろしている。敵のアニメーションパターンはそれほど多くはないが、頭上から繰り出される攻撃は迫力満点だ。また、ボスのデザインは装飾の細かい鎧をつけていたり、ひと味違う。 時間には限りがあるため、とにかくゴールへ向かうために、途中からモンスターを無視して進むようになった。しかしレベル45近くの敵が出てくる層になると、囲まれて倒されてしまった。やはり扇のキャラクタは撃たれ弱い。槍である筆者はもっとバックアップに気を使うべきだった。“その場復活”は課金アイテムになる予定のようだが、現在、「他者を復活させる」のは扇のスキルしかできないという。復活できない場合はインスタンスダンジョンから出るしか方法はなく、再び合流する方法はない。できれば課金アイテムでない方法での救済措置を実装してもらいたいところだ。 戦っていて気になったのは、MPの消費の多さである。スキルの使用に対して、MPの減る度合いが激しく、スキルを多用しにくく感じた。その分、一撃が強力なのだが、モンスターのHPも多い。ダンジョンに挑むためには大量の回復薬を持って行かなくてはいけないだろう。 13階のダンジョンの攻略はかなりの長丁場になった。実際のプレイでは気合いを入れて挑むことになりそうだ。エムゲームジャパンは本作をパーティープレイ、協力プレイを楽しめる作品にしたい、という方針を持っているとのことで、インスタンスダンジョンはその目玉として注目されそうなコンテンツである。
今回プレイした範囲では、要素は充実しているものの、韓国産MMORPGとしてオーソドックスな作りだなという印象だった。体験会の後、運営スタッフに、この作品にどういったテーマを持って取り組んでいくかを質問してみた。基本要素を持っている「風林火山」を日本の運営に当たりどういった方向性でアピールしていくか、また、この作品の将来の方向性はどのようなものになるだろうか。
■ これからの「風林火山」。ストーリー要素を強化するオリジナル要素に、GMによる“寸劇”も
まず、タイトルの「風林火山」に関しては、日本では武田信玄の戦略として有名だが、古代中国の兵法書、孫子からだという。信玄の風林火山もこの書から出てきた言葉だ。「風林火山」では開発当初、孫子をより強くアピールする予定だったが、開発が続いていく中でその要素は少なくなっていった。 「風林火山」は昨年の10月に日本でクローズドβテストが行なわれているが、日本のサービスはかなり時間がかかることとなった。このスケジュールが遅れた主な理由としては「クオリティアップ」が上げられている。リアル志向だったグラフィックスが一新され、この時期に日本版ならではの要素も考えられていった。その上で、軸丸氏は日本での「風林火山」でアピールしていきたいのは、“ユーザーごとの繋がり”だという。 「ユーザー間コミュニティを深めることをテーマに、GMがユーザーの提案するイベントにも積極的に参加し、GMをアピールすると共に、ユーザー間の繋がりを促進していきます」と軸丸氏は語る。ユーザー間コミュニティを深めるために、ゲーム内だけではなく公式ページやゲーム内掲示板も積極的に使っていく方針だ。この方針は、軸丸氏を始めとした運営スタッフの提案で、これまでのエムゲームジャパンのタイトルとは違う、新しい運営を行ないたいというチャレンジとのことだ。 コンテンツもこの方向性で追加していく。1つが「団コミュニティ」という要素で、団の要素を今後実装していくと共に、ゲーム内で団のアピールを簡単にできるようにゲーム内掲示板のようなシステムを実装していく。規約を設けてGMが監視していくが、ユーザー間での交流が楽しめるようなものを目指していく。 軸丸氏は「風林火山」について、「目立つような斬新さは少ないが、1つ1つの要素のクオリティの高さを目指していくコンテンツ」だと語る。“MMORPGらしさ”を重視し、ユーザーみんなで楽しむことができるタイトルを目指している。 韓国の実装予定のコンテンツとしては、レベル20から行なうことができるRvRシステムの強化が挙げられる。キャラクタはレベル20になると、対立する2つの勢力のどちらかに所属する。レベル20からは専用の対戦マップで、レベル40からは狩場でも2つの勢力が入り交じり争うようになる。敵国のプレーヤーに勝つとポイントが手に入るが、このポイントをどう使うかはまだ検討中だ。 現在韓国では団で使うことができる城を奪い合う攻城戦と、団のアジトを巡った戦いの要素が予定されている。この2つの要素は、共に同じ勢力内の団で争われるものだ。勢力間の争いとしては専用マップで行なう勢力戦や、敵国へ侵攻していく領土戦の実装が予定されているという。 韓国側は対人戦要素を強化していくプランのようだが、日本では韓国の方向性を取り入れつつも、「協力プレイ」、「ストーリー要素」を強めていく方針だ。ストーリー要素は7月11日にオープンする公式ページでの公開から、ゲーム内の展開、そして今後の予定ではあるが、「メインストーリーシナリオ」を実装していく。メインストーリーは協力要素とソロ要素どちらも兼ね備えたものになるとのこと。世界観、ストーリーに関しては日本向けにアレンジされたものが展開していく予定だ。 ストーリーはクエストという形で実装されるが、基本的な部分から韓国版からリライトされている。初期マップのバランスも簡単なものになっており、NPCと会話し、ストーリーをこなしていくことで世界観やゲームの雰囲気をすんなりと理解してもらえる方向性を目指している。アバターアイテムも日本オリジナルのものが用意される予定だが、セーラー服や着ぐるみのような世界観を壊す衣装は実装しない。日本の要素を取り入れた服装を考えている。 オープンβテストでは初心者向けのイベントを予定している。アイテムを手渡しするようなものではなく、1つはGMのキャラクタをアピールする形でこの他にもクイズイベントなどを行なっていくという。ユーザーからの提案に関しては「戦闘大会優勝トロフィー」といった銘の入ったアイテムを作り、プレゼントする、といったプランも考えているようだ。ユーザーからの提案にどう応えるか、というところは姿勢としては明確に打ち出し、そこから何ができるかを考えていく方針だ。 GMのキャラクタ性の確立を考えており、GMイベントでアピールしていく。キャラクタ性を出すGMは基本職業と同じ4人を考えていて、槍がいじられキャラ、爪が姉御肌、扇がおとなしめで、剣が“お茶目”な性格となる。簡単な寸劇を考えてて、いじめられることの多い槍がモンスターを召喚して立てこもってしまい、他のGMと共に懲らしめにいったりと、シンプルだがGMの性格を活かしたドラマが楽しめる。 GMはふらりと街を歩いていたり、偶然の出会いもあるようだ。クローズドβテストでもGMが頻繁にこの世界に訪れることがあったとのことでオープンβテストでも、頻繁に姿を見かけることになりそうだという。また、GMに質問する「座談会」も開催していく予定だ。 ユーザーへのメッセージとして軸丸氏は「クローズドβテストからお待たせしてしまいましたが、待ってて良かったという出来になっていると思います。期待してください」と語った。堀口氏は「GMもマーケティングも頑張っていきますので、まずダウンロードして、プレイしてみてください。よろしくお願いします」とコメントした。
ユーザーとの繋がりを強めていく方向性、コンテンツのリッチさよりも、まずは手作り感のある、スタッフの努力でゲームを盛り上げていこうという雰囲気は伝わってきた。スタッフとユーザーがオープンβ時にどのような世界を作っていくかは注目したいところだ。もちろん、その後に方向性を強めていく日本独自のオリジナル要素、ストーリー要素と、RvRの要素でどのようにプレーヤー社会が成長していくかに期待したい。
□エムゲームジャパンのホームページ (2008年7月10日) [Reported by 勝田哲也]
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