★モバイルゲームレビュー★
ハイテンション熱血選挙バトル! GPS機能を使用したカードバトルアドベンチャー
「選挙炎説」 |
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- ジャンル:アドベンチャー
- 配信元・開発元:コナミデジタルエンタテインメント
- 利用料金:月額315円+章データ7本(1章100ポイント/105円相当)
- プラットフォーム:iモード/Yahoo! ケータイ/EZweb
- 対応機種:iモード FOMA 903i/703iシリーズ以降、ソフトバンク3G、EZweb BREW3.1以上
- 配信日:配信中(iモード:2月6日/Yahoo! ケータイ:4月16日/EZweb:4月17日)
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米国で、大統領選挙という4年に1度のビッグイベントが11月4日に行なわれることをうけ、メディアが連日選挙に関する話題を取り上げている。日本では、アメリカ民主党候補の氏名にちなんだ北陸の1都市が盛り上がるという、何とも日本人らしい、趣のある現象まで起きた。
また、SMAPの木村拓哉が若き総理大臣役を演じるドラマも好調なようで、今や選挙や政治もエンターテイメントの題材のひとつとして定着した。
“選挙”と“政治”に注目が集まる中、配信されたモバイル用アドベンチャーゲームが「選挙炎説」である。本作には、携帯電話のGPSを使用するものと、時計の時間を利用するものの2種類が用意されている。今回はiモードのGPS版に基づいてレビューをお送りする。
■ さまざまなアイデアを盛り込んで、選挙のエンタテインメント性を抽出
本作は、日本の架空都市を舞台に、独特の選挙ルール“炎説”で戦う男たちの姿を描いたアドベンチャーゲームだ。ゲームの構成は、物語が進行する「ストーリーパート」と、GPS機能を使用して政策カードを集める「カード収集パート」、集めた政策カードを使って対立候補者と争う「炎説バトルパート」の3つからなる。ゲーム全体は全8章仕立てで、各章は「ストーリーパート」→「カード収集パート」→「炎説バトルパート」の順を2回繰り返す構造になっている(一部例外あり)。
簡略化・具体化された独自の選挙バトルと、血液の温度が1度ぐらい上がりそうな熱血ストーリー、GPSによるカード収集などのアイデアで、選挙の持つ難しさをぬぐいさり、エンターテイメント性を追求した意欲作だ。
【スクリーンショット】 |
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選挙を題材にしつつ、明らかに必要以上の熱血度を注いだストーリーが展開される |
■ 選挙戦と少年漫画の格闘バトル物の、意外なマリアージュ
故郷を離れ、今は都会で暮らす主人公・我町治(ワガマチ オサム)のもとに「町へ戻れ」と一言だけ記された手紙が届いた。差出人不明の手紙に胸騒ぎを覚えながら、治が生まれ故郷の町へと10年ぶりに戻ってきたところから幕が開く。
故郷に帰った治は、活気あふれていた思い出の中の町と、眼前の寂れ果てている町の違いにショックを受け、呆然と立ち尽くしていた。そこで治は幼なじみの女性、箕乃里いなほ(ミノリ イナホ)と偶然に再会。いなほは、市政の腐敗によって荒廃した町を助けてほしいと治に懇願するのだった。実際に市民の言葉に耳を貸そうとしない役人の姿を目の当たりにし、言葉を失う治。
そんな治の前に謎の老人・神八人理(カミヤ ヒトノリ)が現われ、「故郷の町が好きだと思うなら、議員に立候補して町を変えてみよ」と道を示す。神八の言葉を信じ、議員への立候補を決める治。議員になるためには、この地域独特の選挙ルール“炎説”で対立候補と戦わねばならない。最初の対立候補は、“市長のパシリ”狩野虎威(カリノ トライ)だ。治はいなほを秘書にして、神八から炎説の基礎を学び、ついに政治の舞台に第一歩を刻む。それは、この町に起きる“奇跡”のはじまりだった。
政治とは無縁の青年・我町治が荒廃した故郷を立て直すため、政治家を目指すという志の高いストーリーだが、味付けは非常に濃い。全編を通して作品の根底に流れるのは“熱血”大盛りの汁ダク。ノリは、少年漫画の格闘バトル物や、ジャッキー・チェンのカンフーアクション映画のそれである。
師匠から武術(炎説)を学んだ普通の青年である主人公が、仲間と力を合わせて敵を打ち破る。次にはさらなる強敵が現われ、主人公は悩み、葛藤しながら一回り大きく成長。次々と現われるライバルたちに勝利していくという、まさにバトル漫画的な展開だ。選挙戦をバトル漫画のフォーマットに落とし込む発想は、素直に感心する。
「どこかで見たことがあるなぁ」と思いつつも、突き抜けたテンションの物語に手に汗握ってしまうのは、筆者が「ジャンプ」黄金期のマンガを読んで育ったからかもしれない。
【スクリーンショット】 |
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差出人不明の手紙や、謎の老人・神八の正体、町の政治が荒廃した理由などの伏線を張りながら物語は進行していく |
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ライバルとなる幼なじみの群雲蒼志(ムラクモ ソウシ)や、炎説の天才・此街良希(コノマチ ヨシキ)、謎多き県会議員・不動悟(フドウ サトル)ら個性的なキャラクタが登場し、物語はさらに加速していく |
■ まるで政治家の気分!? 町を歩いて有権者の声を聞く
“炎説バトル”を戦うには武器が必要。武器とは有権者に支持されるための演説のテーマ“政策”だ。そのためには有権者の声に耳を傾け、彼らの悩みを知る必要がある。有権者が何を求めているかを聞き出すことにより、炎説すべき内容が見えてくる。
ゲーム的には、有権者の声は「政策カード」としてストックされ、この政策カードが炎説バトルのときの手札となる。政策カードはそれぞれ政策に応じた数値が設定されており、その数値がそのまま炎説バトルで相手の支持者を奪う数値となっている。
さて、有権者を見つけるには具体的にどうすればいいか。ここで活用されるのがGPS機能だ。「有権者を探す」コマンドを実行すると、携帯電話はGPSにアクセスしてプレーヤーの位置情報を読み取り、プレーヤーの現在地に応じて有権者を表示する。そのため、1度有権者を発見した場所では、新たな有権者は見つけられない。
つまり、政策カードを集めたいプレーヤーは、“実際に移動しながら有権者を探す必要がある”というわけだ。主人公と同じように自分の足で町内を歩き回り、時に自転車や車、電車で遠出して有権者を探す。主人公のアクションを追体験しているようで、面白い感覚だった。
10メートルほど移動すれば、新たな有権者が発見できるシステムだが、残念なのは、GPS機能がいまひとつ生かされていなかった点。ただ「有権者を探す」コマンドを再度実行するためだけに移動を繰り返す、単調な作業になりがちだ。特定の場所に行けば特殊なカードが手に入る、たくさん動けばボーナスがあるなど、移動に喜びが発生する工夫があるとよかったかもしれない。
【スクリーンショット】 |
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有権者は6つのカテゴリーに、8人ずついるため、政策カードは6×8=48種類。また、それぞれのカードには1~3までのレベルがあり、48×3=144枚のカードが存在する |
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有権者は様々な悩みを打ち明けてくる。時にはこちらに質問をしてくる者もおり、答えを間違うと政策カードを獲得できない |
■ 拳ではなく、言葉を交えよ! ゲームの核となる、タイマン選挙バトル
本作の軸となる「炎説バトルパート」だが、そもそも“炎説”とはどんなものなのか。先にも述べたように、炎説はこの地方独特の選挙ルール。立候補者がそれぞれの支持者を1か所に集めて、その支持者の前で立候補者が演説する。そして、どちらを支持するかもう一度考えてもらう。最終的により多くの支持者を得た者が当選となるルールだ。立候補者は熱い思いを言葉に乗せ、どちらが支持者の魂を揺さぶる演説をしたのか1対1で競い合う、究極の選挙方法である。炎説の激しい攻防は、まさに格闘シーンを彷彿とさせ、本作の熱血部分の象徴といえるだろう。
ゲーム内で行なわれる炎説は、政策カードを使ったカードバトル形式。推理パズル的な要素があり、プレーヤーの推理力が試される点が面白い。最大10枚まで炎説に持参できる政策カードのバランスのよい選択も鍵となる。
そしてもう1つ、炎説のポイントとなるのは、相手に自分の支持者を奪われるごとに上昇する熱血ゲージが最大まで蓄積されると使用できる「熱血コマンド」。「熱血コマンド」には、相手支持者をランダムで大量に奪ったり、政策カードを無効にしたりするなどの効果があり、十分に一発逆転が狙える頼もしいコマンドだが、効果はまったくのランダム。あまりあてにしていると、足元をすくわれることもある。
【スクリーンショット】 |
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支持者の反応を見ながら、次に出すカードを探っていく。「秘書コマンド」で政策カードの履歴を確認できるので、推理の助けになる |
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炎説中に繰り広げられる、魂の叫びの応酬。この画面だけ見て、本作が選挙戦をテーマにしたゲームだとわかる人がいるのか、いらぬ不安を抱くほどのハジケっぷり |
■ 大胆な試みと、ハジケたセンスに脱帽。本作の目指す地平とは?
全体的な感想を述べると、GPS機能を利用したカード収集や、炎説カードバトルなど、せっかくのアイデアを活かし切れていない感じはぬぐえない。構成や文章にスキのあるストーリーと、カード収集パートのツメの甘さ、単調な展開になりがちなカードバトルと、惜しい点は確かにある。
しかし、有権者を前にした演説で、額に血管を浮かせながら咆哮を上げて、「どうだぁぁ!」とか「これでトドメだぁぁ!」などと物騒な言葉を叫び、筋肉を膨張させてスーツを破るような、超絶的にバカバカしいノリが肌に合えば、そんなマイナス点が些細なことに思えてくるから不思議だ。熱血バトルものと選挙をミックスしようと試みた、無謀とも思える制作者の姿勢にも恐れ入るしかない。カード収集にGPS機能を使用したのも、「外に出てあなたの目で、あなたの住む町の問題点を見つけ、政治に関心を持ってほしい」という制作者の崇高な願いではないのかという気さえする。考え過ぎかもしれないが。
エンディングはバトル漫画の定番と言える、「俺たちの戦いはこれからだぜ!」的な次回作に“引き”を作る終わり方をしているので、パワーアップした続編をぜひとも作っていただきたいと思う。
【アクセス方法】
iモード : メニュー/検索 → ゲーム → ゲームパック → コナミネットDX
Yahoo! ケータイ : メニューリスト → ケータイゲーム → ゲームパック → コナミネットDX
EZweb : au one → カテゴリ検索 → ゲーム → 総合 → コナミネットDX
(C)2008 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.
□KONAMIのホームページ
http://www.konami.jp/
□「選挙炎説」のページ
http://www.konami.jp/mobile/appli/senkyoenzetsu/
(2008年7月8日)
[Reported by 山科明之進]
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